転生者が仮面ライダーになってヴィランしてるからちょっと殺してくる 作:日本人
「おっかしいなぁ⋯⋯⋯峰田ってこんな頭良さげだっけ?」
ネタ多し。注意せよ。
────USJ 火災エリア
「ひぎゃああああああああああああああああ!!!?」
「ぐぎゃっへ!?た、たすけ⋯⋯ぶぇ!?」
「お、お前ヒーロー科の生徒だろぉ!?なんでこんな事⋯⋯お゛っ!?」
「うーん、なんでって言われてもねぇ⋯⋯⋯」
たった今大剣によって肉塊に変えられた
「私ってさ、ゴミとか見ると捨て置けないタイプの人間でね?貴方らみたいなのを見ると片付けたくなるんだよねぇ」
まるで道端の石ころを見るような目で自分達を見るアリアに愕然とする
そんな彼らを見て、アリアはフッと笑い、
「────てゆーのは建前でね?」
ぐしゃり、とまた1人潰された。自らに死の危険が迫る中、
「木場くん────ああ、私のクラスメイトの事ね、なかなかカッコイイんだよ?
彼、誰かを助けるためなら
また、1人。
「転生して、ず──────っと心細かった時に出会って、私みたいなオタクにも優しくしてくれて、
まぁ色々お世話になったからさ、多少は負担背負ってあげたいんだよ」
また、1人。
「自分の行いがヒーローらしくないってのは重々承知してるよ?でもさ、彼を傷付ける要因になるなら私も全力で排除するぐらいの覚悟はあるんだよ」
また、1人。
「えーと、こういう時なんて言うんだっけ⋯⋯⋯⋯⋯あー⋯⋯⋯うー⋯⋯⋯あ、そうだったそうだった」
また、1人。そんな惨劇の中アリアは淡々と言い放つ。
「眼には眼を、歯には歯を、
悪には悪を、ってね。
というわけで────やっちゃえ、バーサーカー」
「■■■■■■■■■■■■■ーーーーーー!!!!!!」
主の声に答え、
「うーん、グロい。こりゃ人払いの結界張っといて正解だったな。尾白くんも気絶してるし目撃者もナシ、と。
うん、あとは死体の始末だけだしさっさと終わらそうか」
────数分後にはその場所にはアリア、そして気絶した尾白しか生命体は存在しなかった。警察はたまたま
────山岳エリア 崖下
「────オラオラオラオラァ!!さっきまでの威勢はどうしたゴミ野郎がぁ!!」
「ぎっ!?こ、この野郎!?」
俺の持つ剣が振るわれる度に偽カブトは吹き飛び、その赤い装甲から火花が散る。奴は無様に吹っ飛び、起き上がろうとする度にまた吹き飛ばされる。奴は必死に身体を捻って躱そうとするが遅い。その場でクルリと半回転し後脚で思いっきり蹴り飛ばした。
「ぐおっほぉっ!?」
「⋯⋯⋯弱ぇな」
最初こそ天道総司の肉体スペックと戦闘センスによって苦戦を強いられたがこうして見ると隙だらけな上、動きに無駄が多い。戦いの才能こそある様だがそれこそ才能とライダーとしての性能に頼ってきたのだろう。
突然だが俺は努力無しのチートの類いが嫌いだ。ああいう主人公は大体が無双してハーレム築くワンパターンの展開だが、まあ戦いを経験したことも無いのに強い事強い事。そんなチート系のキャラクターを努力系のキャラがぶちのめしたりすると最高にスカッとしたのは今でも覚えてる。
ん?何が言いたいのかって?早い話、
「こ、殺してやる!!」
おっと、少しボーッとしていた様だ。気付けば偽カブトは起き上がっており、三下のセリフと共にこちらへ襲い掛かってくる。奴は俺が剣を振り上げた所で、
「クロックアップ!」
驚異的なスピードで一気に俺の視界から消える。やはり速い。仮面ライダー達の中でもトップクラスのスピードは伊達ではない、が。
「相手が悪かったな」
俺の後方、死角から放たれた拳を上半身だけ振り返って受け止める。奴にとっては完璧な一撃だったのだろう、止められた事がとてもショックだったのか驚愕している様だった。
「っ!?な、何で防いで⋯っ!?」
「さあな、お前が遅せぇんじゃねェか?」
「ふ、ふざけんなよっ!?そんな事があってたまるかぁ!!」
さて、さっきも言ったがクロックアップは全ライダー達からしてもトップクラスのスピードを誇る。そんなスピードで放たれた攻撃を何故見切り、止められたのか?
────ぶっちゃけ俺にもよく分からん。
555本編の1話を見りゃわかると思うが、あの時木場さんはなんというか、時間停止というか時間停滞というか、ともかくそれに近い能力を発揮していた。以前俺も出来るのかな?と試して見た結果難無く成功。原理とかは一切不明だがともかくこのクロックアップに近い現象を使い奴の攻撃を止めたのだ。停滞能力が無けりゃクロックアップはただ速いだけ、素でアクセルフォーム並、と迄は行かないがそれでもかなりのスピードを有するホースオルフェノクの敵ではない。
⋯⋯⋯といっても負担が無い訳でもない。いい加減終わりにしようか。
俺は拳を掴まれたまま喚き散らす奴をそのまま地面に叩きつける。
「ウッ、ラァ!!」
「ごほっ!?」
肺の中を空気が押し出されて苦悶の声を上げる奴の胸の中心目掛けて、俺は剣を深々と突き立てた。
「あがっ!?」
バキバキと音を立てて装甲を砕き、剣先が奴の心臓へと到達する。間髪入れずに俺は剣を介してオルフェノクエネルギーを流し込んだ。
「あ゛っ、あ゛あ゛っ!?」
暴れて剣を引き抜こうと躍起になる偽カブト。俺は両の前足で奴の方を抑え、一気に踏み砕く。
それがトドメになったのだろう、奴の全身を覆っていた装甲は光と共に消え去り、後には灰色の肌を晒す偽天道だけが残った。俺は剣を引き抜く。奴は既に灰化寸前、放っておいても直ぐに息絶えるだろう。が、灰化なんかで死なせるつもりは毛頭ない。万が一、こいつがオルフェノクとして復活しても困るのできっちりトドメを刺しておく。
俺は人型形態に戻り、剣を消して奴の首を掴みあげる。偽天道は既に声も出せないほどに灰化が進行している。それでも目を見れば何が言いたいのかは何となくわかった。
────助けてくれ。
奴の目は確かにそう俺に訴え掛けていた。もっとも、
「死ね」
そんなつもりは微塵も無いが。
ゴキリ、と鈍い音を立てて奴の首が折れる。当然だが俺がへし折った。そのまま奴を投げ捨てると、数十秒もしない内に奴の身体は完全に灰と化して消え失せた。
「⋯⋯⋯終わった、か」
そう一人心地る。厄介な相手だった。この調子だと他の糞転生者共も何かしらのチートを持っていると見るべきか⋯⋯。
「⋯⋯⋯ん?」
虫の羽音がする。もしやと思って偽天道の成れの果てを見ればカブトゼクターが羽根を広げて飛び去るところだった。
「本物の天道総司の元に帰ったって事かね」
だとしたら行幸だ。ゼクターの始末に困っていた所だったんだ。俺は灰の中のゼクターの飛び去ったベルトを思いっきり踏み潰し、破壊する。これで仮にゼクターが発見されても何者かに利用される事は無いだろう。
「さてと、さっさと他の奴らを助けに────」
ガクリ、と膝が折れる。
「────ありっ?」
そのまま前のめりに倒れ込んでしまった。段々と意識が消えて行くのを感じる。戦闘で無茶をしたつもりは無いが、俺の肉体は既に限界だったらしい。
「クソっ⋯⋯⋯ま⋯だ⋯⋯残っ⋯⋯⋯て⋯⋯⋯」
俺の脳裏に浮かんでいたのは出久達とイレギュラーの赤銅色の脳無。せめてもと、アイツらの無事を祈りながら俺の意識は途絶えた。
────セントラル広場
山岳エリアで決着が着いた頃、ここでも戦いは終局を迎えようとしていた。広場に立つのは
「ハァーッ⋯⋯⋯ハァーッ⋯⋯⋯⋯手こずらせやがってこのバッタ野郎が⋯⋯⋯⋯!」
「ええ、本当に⋯⋯⋯!生徒の中に灰色の怪物が混じっているなんて完全に予想外でした⋯⋯っ!」
そして
「クソっ⋯!
「落ち着いてください死柄木弔。ともかく今はこの怪物とあの生徒達、そしてイレイザーヘッドを始末する事が先決です。オールマイト抹殺は叶いませんでしたがそれでも充分な戦果でしょう」
「⋯⋯⋯チッ。そうだな、今回はしょうがない。だからそいつをさっさと始末しろ。1号、2号、やれ」
「「!」」
「⋯⋯⋯GIGAAAA!!」
死柄木の言葉に反応して脳無達は緑谷に迫る。緑谷は獣のような雄叫びをあげてそれを迎撃した。
「緑谷ちゃん⋯⋯⋯」
「緑谷⋯⋯どうしちまったんだよっ!?」
訳が分からなかった。突如目の前で自分達を庇って緑谷が2号に叩き潰され瀕死の重症を負った、と思ったら突如巷で噂の灰色の怪物になって自分達を助け出し、今脳無達と拳を交えている。
その戦い方もどこか気弱な雰囲気だった緑谷とは思えない程の苛烈な戦い方。相手の肉を抉り、骨を砕き、臓器を潰す。もっとも、やった傍から脳無達の肉体は再生していっているので大したダメージにはなっていない様だが。
最初こそその様な戦い方で脳無たちを追い詰めていった。が、あの死柄木・黒霧の2人が戦いに加わると一気に動きが鈍った。決定的なタイミングでトドメを刺さず、少しでも敵が離れる素振りを見せたらその敵に攻撃を集中させる。まるで押し留めるような戦い方に、蛙吹はようやく合点がいった。
「私たちを⋯⋯守っているの⋯?緑谷ちゃん⋯」
「ど、どう言う事だよ!?」
「緑谷ちゃんは⋯⋯多分あんな姿になって半ば無意識になっても私たちを守ろうとしているのよ。さっきから
「⋯⋯ッ!あんな姿になってまで俺達を守ろうって言うのかよ⋯⋯緑谷⋯っ!!
なぁ蛙吹!俺達が邪魔になってるんだったら早く逃げようぜ!ちょうど相澤先生もいるしよ!」
「ダメよ峰田ちゃん、素人の私達が動かしたら相澤先生が危険だわ。それに下手に動いたらそれこそ緑谷ちゃんの邪魔になっちゃう」
「くぅ⋯⋯っ!!俺達は見てることしか出来ないってのかよ⋯⋯!」
「悔しいけど⋯⋯そう言う事ね」
何も出来ない悔しさから思わず歯噛みする2人。その間も緑谷は脳無達の攻撃を受けて消耗していく。そしてとうとう2号の拳が緑谷の腹に突き刺さった。
「UUUGAAAAaaaぁぁぁあああああああああああああああああっ!!!」
「っ、緑谷ちゃんっ、!」
「お、おい緑谷!大丈夫か!?」
「あ⋯⋯、あすっ、っ雨ちゃんと、峰田くん⋯⋯」
「良かった⋯何時もの緑谷ちゃんだわ」
「お、おお!戻ったんだな!?」
吹き飛ばされた衝撃でオルフェノク体が解けてしまった緑谷。傷一つないその姿に安堵する蛙吹達。が、脅威が去った訳では無い。
「⋯⋯⋯仲間の無事を確認して安堵する、か。いいね、とてもヒーローらしくて吐き気がする
殺れ、2号」
それは絶望を告げる声。振り返った時にはもう遅い、既に2号はこちらに迫っていて────
『待てえええええええええええええええええええええええええええい!!』
突如響き渡る大声に
「何だ!?何処にいる!?」
『フッフッフッ⋯⋯⋯どこを見ている!私はここだァ!!』
声の方向を一同が振り向く。そこには全身を金属光沢で覆われた鋼の巨人が立っている。これまた
「だ、誰だお前はっ!!」
『私の名を知りたいか?良いだろう、ならば教えてやる⋯!』
その場で素早く構えをとる。その次に起こった出来事を、彼らは一生忘れる事が出来ないだろう。
『天が呼ぶ!地が呼ぶ!人が呼ぶ!悪を倒せと私を呼ぶ!!聞けい悪人共!
────私は正義の魔法使い、魔法少女プリティマリーちゃんでーーす!!!』
「「「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」」」
「えぇ⋯⋯⋯いや⋯⋯⋯⋯、無いわぁ⋯⋯⋯」
『そんな!!?タイミングを見計って万全の態勢で披露した必殺の名乗りなのに!!?』
何気なく呟かれた峰田の言葉にショックを受ける巨人ことマリー。無駄に感情豊かなAIである。
「って、タイミング見計らってたってそんな暇があるなら助けろよ!?」
『だって第一印象って大切じゃないですか?』
「少なくとも俺らからの第一印象は最悪だよ!?てか誰だよ!?」
『そんな馬鹿な!?そして私は木場勇治に作られたハイパーロボットです!』
「木場の!?てかなんだその自己紹介!?」
目の前で繰り広げられる謎の漫才。黒霧がチョイチョイと死柄木の脇腹を肘で着く。それでようやく正気に戻った死柄木は目の前の訳の分からん巨人を破壊する為に脳無に命令を出す。
「1号・2号、その意味不明なデカブツを潰せ!!」
その命令に、まず先んじてマリー達の近くに居た2号が動き出す。2号はマリーに向かって拳を引き絞り、一気に解き放った。
が、マリーはそれを見もせずに躱し、
『鉄山靠!!』
2号に背中を向けた体当たりをぶち当てる。2号は壁に向かって吹き飛び、瓦礫に埋もれて動かなくなった。
「⋯⋯⋯⋯は?」
それは誰の声だったか、唖然とする死柄木達にマリーは淡々と告げる。
『言い忘れてましたけど、私はかーなーり強いですから、覚悟してかかってきてくださいね?』
「ぐっ!1号ォ!!殺れぇ!そいつをぶち殺せぇ!!!」
「⋯!」
太い両腕から放たれるラッシュ。ストレート、フック、ボディ、アッパーと様々な角度から放たれるその剛腕をマリーは、
『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーーーーッ!!!!』
同じ様にラッシュで弾き返す。というかむしろ押してる。1号の右腕を左拳で弾き飛ばし、そのままの勢いで拳は1号の腹に突き刺さる。ぐらり、と1号の体が揺れ体勢が崩れる。そして1号が体勢を立て直す暇もなくマリーの拳が降り注ぐ。
『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーーーッ』
拳が放たれる度に1号の体勢が崩れていく。やがて膝をつき、拳の勢いで地面に埋まり始める。やがて一際大きく拳を振りかぶったマリーがそれを叩きつけた瞬間、大きな衝撃と共に砂煙が舞う。
「くっ⋯⋯ゴホッゴホッ、どうなってる黒霧!?」
「ダメです死柄木弔!この視界では何も────っ!?」
フッ、と自分達を影が覆う。怖気を感じた死柄木達は反射的に後方へ跳んだ。その直後、
「ロードローラーだぁぁぁぁあああああ!!!!!」
上空から
「⋯⋯っんだよそれっ!?」
上を見れば何故か空を飛んでいるマリー。マリーはゆっくりと浮遊し、緑谷達の近くへ降り立った。
「お、おい!?あんなもん何処から持ってきたんだよ!?」
『ちょっと近くの工事現場から拝借して来ました!』
「お前が遅れたの絶対それのせいだろ!?」
『な、なんの事やら〜。ぴゅ〜、ぴゅー』
「口笛吹けてないよ⋯⋯」
「嘘が下手ね」
『助けたハズなのにっ辛辣!?』
こんな状況に呑気にくっちゃべっている緑谷達の姿に酷い苛立ちを覚える。ガリガリと首筋を掻きむしる死柄木。その目は明らかに普通ではない、俗に言う『イッちゃってる』状態だった。
「殺す⋯!殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!!」
「お、落ち着いてください死柄木弔。ここは撤退を」
「こんな有様で今更引けるか!!集めた連中は全滅、脳無は2体ともやられてこっちの戦果はイレイザーヘッドを寄って集ってボコッただけだぞ!?せめて奴等だけでも殺らねぇと先生に笑われる⋯⋯!!」
酷く殺気走りながら緑谷達を睨む死柄木。今にも彼らに向かって駆け出しそうな彼を止めたのは、
「────GYAGYAGYAGYAGYAGYAGYAGYAGYAGYAGYAGYA!!!!!」
「っ、今度は何だ!?」
声の震源地は2号が埋もれていた瓦礫の山の中。声の1拍後に瓦礫が吹き飛び、ソレは現れた。
灰色の体と虎を模した鎧、2号よりもスマートなフォルムをしており何処か歴戦の戦士を感じさせる見た目。灰色の────いや、虎型のオルフェノク、言うなれば〝タイガーオルフェノク〟がそこには居た。
突然のことに酷く動揺する一同。中でも精神的に不安定になっていた死柄木は酷かった。
「クソがっ!どうなってる!?なんだよアイツ!2号はどうしたんだよ!?こうなったら先生に頼んで他の脳無を「失礼します、死柄木弔」っ、黒霧!?」
死柄木の身体を黒いモヤが覆う。黒霧の仕業だ。憤慨する死柄木に黒霧は淡々と返す。
「これ以上は危険です。時期にプロヒーロー達も到着する。放っておけばあの個体が他の生徒達を始末してくれるでしょう。
我々は撤退して次に備えるべきかと」
「⋯⋯⋯あぁ、そうだな。今日は引こう」
そう言って死柄木は緑谷達に目を向ける。
「もし生きてたら────次は必ず殺してやる」
そのまま2人は黒モヤに飲まれて消えていった。後に残されたのはタイガーオルフェノク、そして満身創痍の緑谷達とマリー。タイガーオルフェノクは緑谷達に狙いを定めたのかゆっくりと迫ってくる。
「一難去ってまた一難所かしら」
「で、でも俺達にゃこのデカいのがいるんだ!何とかなるって!」
『デカいのって⋯⋯⋯あの、期待されてるとこ悪いんですけど』
「へ?」
『さっきの戦闘で無茶しすぎたみたいで⋯⋯⋯もう1mmもボディが動きません☆』
「はぁあぁあああああああ!!?」
『いやー調子乗りすぎちゃいましたねー』
「ましたねー、じゃねーよ!!どうすんだよ俺あんなバケモンと戦えるような力ねぇぞ!!?」
こんな時までふざけるマリーに怒鳴る峰田。そんな2人(?)を見て立ち上がろうとするものが居た。緑谷だ。
「僕が時間を稼ぐ⋯!2人は相澤先生を⋯!」
「ダメよ!」
自分が囮になると言う緑谷に蛙吹が縋り付く。その目には涙が浮かんでいる。
「緑谷ちゃん、さっき私を庇って死にかけたわ。こんな所に置いていったら今度こそ死んじゃうわ!」
「っ、でも誰かが残らなきゃみんな死ぬ!だった1番〝個性〟が戦闘向きな僕が適任だ。だから僕が」
「だったら私が残るわ」
「⋯えっ?」
「へっ?蛙吹何言って⋯」
「緑谷ちゃんは怪我人、峰田ちゃんは戦闘じゃない。だったら異形型の〝個性〟で身体能力も高い私が適任だわ」
「そんな事をしたら梅雨ちゃんが!?」
「緑谷ちゃんを見捨てて助かるよりはマシよ。分かったら早く逃げて」
それだけ言ってタイガーオルフェノクに向かって行く蛙吹。それを追いかけようと駆け出す緑谷。が、途中で峰田に阻まれる。
「っ!?峰田くん離して⋯!早くしないと梅雨ちゃんが⋯!」
「ダメだっ!お前を行かせたら今度こそ死んじまう!!」
「でも梅雨ちゃんが!!」
「蛙吹ならきっとプロヒーロー達が到着するまで持ち堪えられる!だから俺達に出来るのはアイツの邪魔をしない様にする事だけだ!」
『あのー、ちょっと良いですか?』
押し問答をする2人にマリーが声をかける。
『あれ、どう考えても持ちませんよね?』
そう言いながらマリーが見る方向に緑谷達も目を向ける。
────蛙吹が、血を流しながら倒れていた。
「っゆちゃん!!!」
「嘘だろおい!!?」
『あー⋯⋯やっぱり無理ですよねぇ。普通の人間がオルフェノクに立ち向かおうだなんて無謀もいい所ですもん』
既にタイガーオルフェノクは蛙吹に目も向けずに此方に歩いてきている。どうやって蛙吹を助けるか、峰田や相澤をどうするか、そもそも相手になるのか、様々な考えが緑谷の頭を駆け抜ける。峰田は震えており、マリーは『んー』とか『あー』とか何事かをブツブツと呟いている。やがて緑谷が死ぬ気でタイガーオルフェノクを止めようと立ち向かおうとした時だった。
『────緑谷さん、でしたっけ?』
「え?う、うん。そうだけど⋯⋯」
突如マリーが声を掛けてきた。その声音(?)は不自然なほど落ち着いている。
『私の腰辺りにアタッシュケースが取り付けられてるはずです。それ取ってください』
「わ、分かったよ⋯」
不可解に思いながらも緑谷はマリーの腰辺りをまさぐる。やがてそれらしき物を発見し、そのアタッシュケースに示されているロゴに驚愕した。
「SMART BRAIN⋯⋯スマートブレイン!?あの謎の開発企業の!?」
『それについての説明は後にします。中に入っているベルトを腰につけてください』
「ベルト⋯?これの事?」
ケースを開けるとなにやら様々な機械が詰まっており、中心に変わった形状のベルトが収まっている。言われた通りにそれを身につける。
『中にガラケー型のケータイがある筈です。それを』
マリーが言うガラケー。既に何百年も前の骨董品だ。物珍しさを感じながらそれを手に取る。
『変身コードは555。入力してEnterを押してください』
「こ、こう?」
『Code 555 Enter』
『Standingby』
「うわっ!?」
フォンフォンフォン、とケータイから電子音が鳴り響く。驚く緑谷に対し、マリーはヤケに冷静だ。訳の分からない緑谷は軽くパニックだった。
『それを上に掲げて「変身っ!」って言ってからベルトに勢いよく挿入してください』
「そ、それいるの!?ていうかなんなのこれ!?」
『様式美です!やれば分かるんでとりあえずやってください!』
「あぁもう!へ、変身っ!」
『Complete』
「う、うわぁあああ!?」
瞬間、赤い閃光が周囲に放たれる。峰田は思わず悲鳴を上げ、何処と無くマリーは満足そうな雰囲気だ。タイガーオルフェノクは警戒しているのか歩みを止める。
やがて、光が晴れる。
そこには、黒いボディに銀色の
「え、えぇ!?こ、これって?えええ!?どうなってるの!?」
『その鎧の名は〝ファイズ〟。オルフェノク⋯⋯貴方達が〝灰色の怪物〟と呼んでいる者を倒す事が出来る鎧です』
「た、倒す⋯⋯?それにオルフェノク⋯って」
先程の夢を思い出して軽く動揺する緑谷。気付かずにマリーは続ける。
『私もファイズが作られた詳しい経緯とかは知りませんので。とりあえずそれならあのオルフェノクを倒す事が出来ます』
「っ!」
倒せる、そう聞いて体が引き締まったような錯覚に陥る。この場に置いての最適解、あのオルフェノクの撃破、それが出来る力が手に入った。ならば、
「僕が、やる⋯⋯!」
タイガーオルフェノクを真正面に捉える。
「僕が⋯⋯助ける!!」
一直線に、緑谷は駆け出した。
────数分後 セントラル広場
「────1-A委員長飯田天哉!ただ今戻りました!!」
「────もう大丈夫、私達が来た!!」
USJの扉をぶち破って飯田とオールマイト他雄英の教師を務めるプロヒーロー達が到着した。
「せ、せんせええええええええええええええ!!!」
彼らを迎えたのは峰田の雄叫び。オールマイトは峰田の元へ降り立つ。涙と鼻水でグシャグシャになった顔を、そっと抱き締めた。
「すまない、峰田少年。我々が遅れたせいで⋯⋯」
オールマイトが顔を向けた方向には重症の相澤、13号、蛙吹、木場の手当をする1-Aの生徒達。その中に、自身が後継者と見定めた少年はいなかった。
「⋯緑谷少年は?」
最悪の場合が頭に浮かび上がり、それを必死に打ち消しながら峰田に聞く。
「ひっ、ひっぐ、みどりやがぁ⋯!お、おれのせいでぇ!!」
「峰田少年落ち着いて!緑谷少年に何があったんだい?」
「ひぎっ、み、みどりやがぁ────」
「────
それは、最悪の報せだった。
黒アリア、(首の折れる音)、ツッコ峰田、ディオマリー緑谷ファイズと色々ぶち込みすぎた気がする⋯⋯。いいよね?いい⋯⋯⋯よね?
オールマイトが遅れた理由は次辺りで明かされるかも。出久についても同様。