初めての経験ですが、励みになります。
「これで一先ずは良いか」
俺はあらかじめ用意して置いた手錠を用い、迎撃したスキンヘッド以下8人を拘束し終えた。
先ほどの銃撃戦の結果か、或いはスキンヘッドの俺への態度の変貌ぶりから何かを感じたのか、チンピラ然とした半グレ達は全く抵抗することなく拘束されてくれたのは、余計な手間を踏まなくて済んで素直に助かった部分でもある。
さて、そろそろ呼ぶか……と俺が携帯を取り出そうとしたところ、見計らったかのように意中の人物が表れた。
「そろそろかと思って来たよ。遠山」
二階に上がってきたのは、紺のスーツ姿に肩から少々派手な、どこか現代風の和服を羽織った明るい髪に目つきの鋭さが魅力的な女性――鏡高菊代、武装検事である俺の三人の武装検事補佐の一人であった。
「菊代……確かに呼ぶつもりだったが、イヤに早いな」
「遠山の事はなんでもわかってるからね。……なんでも、誰よりも、だよ」
冗談なのか本気なのか判別し難い表情で、妖しい魅力を放つ菊代。
実際のところ、菊代の実力なら案外本当に俺のことを知り尽くしていそうで恐ろしい気もする。
鏡高菊代。かつて彼女は指定暴力団――鏡高組の組長を務めていた。
だが、部下達の反逆によりその立場を喪失。 その後は東京武偵高に編入し、中学時代に学んでいた諜報科に加え、素質があったのだろう――尋問科も併科で収めた彼女は、今では共にAランクという得難い人材なのだ。
にも関わらずその出自から中々雇用先が見つからずフリーだった彼女を俺がスカウトし、今では武検補として一緒に働いてくれている。
今回、そんな彼女を呼び出した理由は1つである
「中々そら恐ろしい発言だが……先ずは仕事の話だ」
「わかってるよ。それにしても、この程度の奴らに態々遠山が出張る必要は無かったと思うけどね……全員足してもせいぜい強襲科のAランク一人分ってところじゃない?」
流石、と言うべきか。菊代の戦力を見る目は相も変わらず優秀だ。
確かに、今し方俺が相手をした連中は実力からすれば大したことは無く、更に言えば成した事もチンピラの域を出るものではない。
いつかは警察が動いていただろうが、武装検事が出るほどの案件では、まず無い。
しかし今回、態々俺が出てきた事には理由がある。菊代を呼ぼうとしていたことにも繋がることだ。
なので俺は菊代の発言を肯定しつつ、本題に入ることにした。
「確かに、菊代の言うとおりだ。普通なら、ただの半グレの群れ相手に武検が出るのは対応過多と言えるだろうな。だが今回の目的は半グレの捕縛じゃない。……俺が今追っているあの案件に絡む情報を持っている可能性がある」
俺の発言を聞いた菊代は、何かに気付いたような表情になる。
当然、武検補である彼女は俺の言った、あの案件という言葉で今回の状況を把握したのだろう。
「なるほどね。それで私の出番って訳。了解。こっちのハゲで良い?この後警察に引き渡すなら外に傷が残らない方が良いかな……」
話ながらスキンヘッドを見やる菊代の目が俄に危険な色に染まるのがわかる。
本当に菊代はそっちの才能があるな……と思うのも束の間、菊代に話を聞いて欲しい相手はスキンヘッドでは無い。このことを早く伝えなければ、憐れなほど震えるスキンヘッドが一生モノのトラウマを負いかねない為、速やかに訂正しておく。
「いや、菊代に頼みたいのはそいつじゃ無い。スキンヘッドの隣に居るタトゥーの男だ」
俺の感覚が正しければだが、今回話を聞くべきはスキンヘッドではない。
「ふぅん。ハゲが頭かと思ったけど、遠山がそう言うなら墨の男に話を聞こうかな」
言いながら、和服の裾から何やら液体の入った注射器を数本出した菊代が、スキンヘッドの3m程隣に居るタトゥーの男に歩み寄って行った、まさにその時。
「う……ウゥゥゥ」
タトゥーの男は手錠で拘束された両手を自らの腹部に当て、蹲りながは呻き声を上げ始めたのだ。
異変に気付いた俺は、すぐさま菊代に叫んだ――
「離れろ!菊代!」
一応補足説明(簡易的なキャラ紹介)を後書きでしていこうと思います。
可能な限り作中で不足なく説明していくつもりですが、自分の実力不足も有り分かり辛い場合も考慮してです。
基本的には初登場したキャラの現在の設定を簡単に書いていきます。
※年齢については原作からの計算と合ってない可能性もありますが御容赦下さい
遠山金次(キンジ)
24歳。武装検事3年目。HSS時でなくともある程度の戦闘技能を扱えるようになっている。
鏡高菊代
24歳。武装検事補佐2年半。諜報科と尋問科のAランク。容姿は意外と変わっていないが(身長が余り伸びなかった為)色気は格段に上がり、キンジを喰いかねない(直喩)レベル