第1話 あやまち
”人間のクズ”
この言葉が俺以上に似合う人なんて他にいないだろう。
幸い容姿が良くこの世に生を受けることができ、成績優秀・スポーツも人並み以上にできる。
さらに普段の仮面優等生っぷりからは皆からの評判は上々。
そんな俺だが、その正体は決して一人では生きられない弱い生き物。
昔から何かにすがり、もたれかかり、それでメンタルの平穏を保ち、優等生を演じる。
性に目覚め始めた中学あたりから、その依存対象は女の子になり同級生、上級生は関係なかった。高校生となった今はもはや社会人の女性まで見境なし。
『お前なんか・・・・お前なんかああああああああ』
中学生の頃、”もたれる壁のひとつ”にしていた女の子に刺されたことがある。
当時から優等生な好少年を演じていたこともあり、幸いにも相手の言い分は悉く聞かれることはなく、刺した相手が執着するあまりの精神異常を起こした結果の身勝手な犯行で、俺は完全な被害者という扱いになった。
さすがにあれは死にかけたね。今でもうっすらと傷跡が残っているし。
「ん・・・陽葵くん・・・・・」
とある日俺は女の子とキスをしていた。
ここは商店街のパン屋。俺はここでバイトをしているわけであるがすでに就業時間は終了している。ではなぜここにいるのか?それはこのパン屋の娘さんの部屋にいるからだ。
「沙綾・・・かわいいよ」
俺は知ってる。こういえば喜ぶんでしょ?
「陽葵くん・・・もっと・・・・」
俺はこの子と付き合っている。
いやこの子”とも”というのが正しいか。
俺は一心不乱に唇を貪り、紅潮する沙綾の顔を凝視し、恥ずかしがって視線を逸らすしぐさを楽しむ。
「陽葵くん・・・わたし・・・・!」
沙綾は体をほてらせ、自身が来ているYシャツのボタンに手をかける。
おっと、これ以上はいけない。
「沙綾、約束だよ?」
「・・・・そうだよね」
俺には明確なルールがあった。
”一戦は超えない”
今やっていることも大概クズだと思うが、これは俺に残された最後の良心・・・人間らしいこころかもしれない。
よくわからないがその直感だけは大事にしたかったのだ。
その後の時間俺はベッドに寝転がり、ずっと彼女を抱きしめて過ごしたのであった。
※
「もっと一緒にいたかったよ・・・・」
「明日もバイトあるし、また来るからさ。今日は我慢。ね?」
「・・・そうだね!明日も逢えるし我慢我慢!それに・・・さっきまでの幸せ成分で今日は持ちそう///」
「うわ、沙綾がめっちゃ可愛いこといってる」
「陽葵・・・・」
「沙綾・・・」
またまた甘ったるい雰囲気が流れる。
夕焼けに照らされて沙綾の顔はより一層赤く見える。
「あー!おねーちゃん赤くなってるー!」
「紗南!?これは違くて///」
「はっはっは!紗南ちゃんには敵わないな!じゃあ、俺は帰るよ。沙綾、また明日な。紗南ちゃんもばいばい」
「うん!ばいばーい!」
「陽葵くん!ばいばい!」
こうして俺はやまぶきベーカリーを離れる。
そしてしばらく歩き、俺は限界を迎えた。
「なぁにがはっはっは!だクソがああああああああああ。気持ちわりぃ!死ね!死んでしまえ!俺なんて死んでしまええええええええ」
ブロック塀を殴り、拳が血まみれになるまで殴るのを辞めない。
俺は俺が嫌いだ。こういう生き方しかできない俺は嫌いだ。
俺なんて早く死んでしまえばいい。
でも死にたくない。こういうときはどうすればいいのか・・・・
「次だ・・・次へいこう」
早く・・・はやくいかないと・・・・・・
俺は”次の子”がいるところへ向かった。
※
少し暗くなってきたあたりで俺は「白金」と表札のついた家に入った。
「燐子、今いいかな?」
「陽葵さん・・・ってどうしたんですかその手!?」
さて、ここらで自己紹介をしよう。
俺の名前は弓神陽葵(ゆがみ はるき)
高校2年生だ。
そして俺は
この世に存在してはいけない
”人間のクズ”だ。
こういう作品一回書いてみたかったんですよね。
結構過激な表現も多いかもしれないのでご注意くださいね!
これはゆっくりと進めていきたいと思います。
引き続きよろしくお願いいたします。