「・・・・俺は生きてる価値なんてないのか・・・?」
人格を完全否定するあたしの言葉は、陽葵の心臓を貫き、握り潰し、そして骨まで砕くかの勢いで伝わったようだ。
「なにをバカなこといってんの?」
「じゃあ俺はどうればいいんだよ・・・・!」
「どうしたらいい、じゃないんだよ。どうしたいか、でしょ」
あくまで立ち振る舞いを変えないあたし。
さっきより冷静になっているあたしは陽葵の言葉一つ一つに淡々と返事を返すだけだ。
「でも俺は・・・・!一人じゃ何もできない・・・!」
「一人じゃ何もできないなら誰かに頼ればいい。今までみたいにもたれるんじゃなくて自分の生き方を変えられるようにね」
「でも・・・もう俺の周りには誰もいない・・・」
「でもでもでもでもうるさいッ!言い訳をしないと死ぬ体なの!?」
デモデモダッテを繰り返す態度にイラついてしまい、再び大きな声を出しちゃった。
いけないいけない、冷静にならなきゃ。
「・・・・もしさ。そんな誰かがいたら本気で自分を変えたいっておもう?」
次に放つのは選別の一言。このあとの陽葵の言葉次第で、あたしの考えは分岐する。
「ここまで情けない姿をみられたんだ・・・お前にはいうよ。確かに俺の心は俺の生き方を否定している。脳が右手を動かせと言っているのに左手を動かす。脳が寝ろといっているのに無理やり目をひん剥く。ずっとそんな感覚が続いているんだ」
そこから今までの心情を語る陽葵。限界を感じつつあったこと。でもそれをやめると自分自身を否定することになり、やめられなかったこと。あたしが見た沙綾ちゃんと別れた後のブロック塀殴打のことや燐子ちゃんと別れた後に嘔吐したこともすべて打ち明けてきた。
「俺は・・・誰かを傷つけ自分だけがいい思いをする偽りの幸せなんて・・・もう求めてないんだ。わかってたはずなのに・・・お前にここまでされるまで認められなかった」
話し切った陽葵はゆっくりという。
「俺一人じゃ変われない。でも・・・もし、こんな俺でも助けてくれる人が・・・頼れる人がいるなら、それにかけてみたい。結局人頼みになってて情けねえ話だけど」
それはようやく出た本音。
弓神陽葵の心の底からの声だった。
「そっか。そう思えただけで前進だと思うよ」
「日菜のおかげかもな・・・なあ日菜、一つ聞いてもいいか?」
「なに?」
「なんで俺は俺を助けようなんて思ったんだ?しかもここまでのことをして。こんな本性知ったら離れていくのが普通だと思うんだけど」
運命の一言。
自分を変えたいと決意した陽葵にさっきまでの極端な辛辣な態度はもういらないかもしれない。
あたしは態度を軟化させ、話を続ける。
「うーん。理由はあるんだけど今の陽葵には教えない!」
「なんだよそれ」
「そーいうもんだよ!」
「言いたくないなら仕方ないか・・・でさ、日菜。お前にここまで頼むのはどうかと思うんだけど、お願いがある」
「なにかな?」
改まった態度を見せる陽葵。今までのビクビクして虚ろな目をした弓神陽葵ではなく、スッキリした目で。
「さっき言ってた俺を助ける人・・・お前がなってくれないか?」
「愚問。今さらでしょ。ここまで来たら最後まで付き合うよ」
かなり遠回りしちゃったけどついにここまできた。
この日、弓神陽葵は変わる決意を固め、あたしは最後までこの人を支える。
そんな決意を固めたのであった。
実は結末はすでに決まっていて、それを文章にする作業をするのみとなっています。
今回で和解したようですが果たして・・・・?
引き続きよろしくお願いいたします。