「え・・・・なんで・・・・いや・・・どういう・・・・」
「うわー、目に見えてわかるくらい動揺してるねー」
日菜が言い放った言葉。
俺はそれが一瞬理解できず戸惑い。観覧車が下につくまで、ぶつけられた言葉を咀嚼し、味わうことでその意味を理解する。
「なるほどねー、陽葵はああやって女の子たちを落としてきたわけだ。さすがモテる人は違うねー。一日デートして、手間でつないで、観覧車で二人っきり。そりゃうまくいくよねえ・・・・・相手があたしじゃなかったらね」
見透かされている。俺はこいつに考えていることを見透かされているんだ。
なにが他人の事なんてわからない、だ。
このウソツキめ。
「それでさ。いつまで仮面被ってるのって聞いてるんだよ。あたしと今日遊んだのだって何かあったからなんでしょ?」
「お前は本当に・・・なにもかも見透かしてるのか・・・?」
「何もかもじゃないよ。それに前々から無理してるのバレバレ。このタイミングであたしと遊ぶってことはそろそろ限界が近いんじゃない?」
「お前に・・・・お前に何がわかるッ!」
たまらなくなった俺は大声を出す。しかし周りの喧騒に音はかき消され、周辺の人が俺たちを気にする様子はない。
「別に。キミのことなんてわかんないよ?まあ大体察しはついているけどね」
「俺はこういう生き方しかできないんだ・・・!これをやめたら・・・俺は俺じゃなくなる・・・」
「だから無理してるってこと?虚しくない?他人まで巻き込んでさ」
「虚しいとか虚しくないとか・・・俺が決めることだ」
もういい。こいつと一緒にいるのはやめだ。
さっさと切り上げて・・・沙綾や燐子にもたれかかろう。
そうすれば・・・少なくとも今よりはいい状況になるはずだ。
「もういい、俺は帰る」
「そっか。その前に一つだけいいかな」
日菜が俺と距離と詰めてくる。
「一体何をするつもり・・・ぐむぅ!?」
「ん・・・・」
刹那。
俺は日菜に・・・・・
唇を奪われていた。
「ん・・・んんっ・・・・ぷはっ」
数秒間。たったそれだけのはずなのやけに長く感じた。
「日菜・・・一体なにを・・・・」
そう言いかけた瞬間。
俺は・・・みてはいけないものを見てしまった。
「陽葵・・・くん・・・・?」
「陽葵さん、いったい・・・これは・・・?」
目線の先。
そこには・・・沙綾と燐子がいたんだ。
その表情は俺がさっきまでやっていたことを・・・日菜とキスしたところを見られていたことを意味していた。
「沙綾、燐子・・・!違っ・・・!」
「急に呼び出されたと思ってきてみたら・・・そういうことなんだね・・・」
「陽葵さん・・・ひどいです・・・!」
そういって二人は目に涙をため、そのまま走り去ってしまった。
「沙綾!燐子!」ガシッ
二人を追おうと走り出そうとしたとき、日菜に腕をガシッっと掴まれた。
「離せ!」
「追ってどうなるの?」
「日菜・・・!お前か・・・?お前が二人を・・・?俺は・・・あいつらがいないと・・・おれは・・・・・・・」
バシッ!!!
「日・・・菜・・・?」
「いつまでそんな生き方をしてるつもりなの!!!目を覚ませ弓神陽葵!!!」
強烈な平手打ち。
ぞれを自らの頬で受けた俺は茫然と立ちすくむ。
「なあ日菜・・・なんでお前は・・・そんなに俺を気にするんだ。なんで俺の生き方を否定する・・・・?なんで俺のよりどころを奪うんだ・・・?教えてくれよ・・・」
情けない声で問い詰める俺。それに対し、日菜は何のためらいもなく言い放った。
「キミを助けたいから」
意味が分からないと思った。
しかしその目はいつものお調子者の日菜ではなく、なにか決意めいたものを感じる、力強い目をしていたのであった。
引き続きよろしくお願いいたします。