【完結】偽りの幸せとクズの結末   作:光の甘酒

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第8話 謝罪

俺は何をやっているんだろう。

俺はすべてを失った。沙綾。燐子。俺を支える、もたれかかることのできる壁はもう存在しない。

自暴自棄。今の俺にこれ以上似合う言葉はないだろう。

荒れに荒れた俺はこんな夜の街を歩いていた。

 

 

「でさーwww」

「きゃはは!すごいね」

 

 

ドンッ

 

 

なんだ・・・・?

なにかにぶつかった・・・・?

 

 

「オイテメー!気ィ付けろや!」

「・・・・・・」

「オイテメエ聞いてんのか!人にぶつかっておいてなにもねーのかよ?」

 

 

なにかきこえる。

怒号だ。そうだ、これは怒号だ。

 

 

「ちょっとやめなってーwwwそこのイケメンくん、きっとアンタが怖くてビビってるんだよーwww」

「ひゃははwwwまーまー俺は優しいからよぉー・・・あやまりゃ許してやるよ」

 

 

あやまる・・・?

だれが・・・?だれに・・・?

 

 

「オイ・・・聞いてんのか!許さねえぞ?」

「ゆる・・・さない・・・?」

 

 

”許さない”

それは俺のトラウマを呼び起こす禁断の言葉。

 

 

「許さない・・・・?それは俺に向かって言ってんのか・・・?」

「ああん!?なんだテメエ偉そうに」

「それは俺に向かって聞いてんのかって・・・聞いてんだろうがよォォォォォ!」

 

 

ドゴッ!

 

 

「グハッ・・・!?」

「きゃあああああああああああああああ」

 

 

俺は容赦のない一撃を”ソレ”に向かって放つ。

 

 

「なんで許してくれないなんで拒絶する・・・なんで・・・なんで・・・なんで」

 

 

バキッ!ドガッ!

 

 

「グォ・・・ガハァ!」

 

 

俺はひたすら拳を振るい続ける。

 

 

「許してくれ許してくれ許してくれ・・・・」

 

 

ドゴッ!ゴスッ!

 

 

そして俺の言葉はやがて謝罪に変わる。

何に対して許しを請うているんだろうか。

 

 

「・・・・・ゴフッ」

「もうやめてええええええええその人死んじゃう!」

 

 

聞こえない。”許す”以外の言葉は聞きたくない。

 

 

「オイ!お前何をやっている!?」

 

 

しかしそこで放たれる鋭い言葉。

その言葉でふと我に返った俺は目の前に広がる光景をようやく認知したのだ。

 

 

血まみれになってぐったりしている男。その男にすがり泣きわめく女。

そして俺に鋭い怒号を上げた一人の警官。

 

 

「あ・・・・・あああああ・・・」

「あ、オイ待て!」

 

 

俺は逃げた。全力で逃げた。

週末なだけ会って夜の街はかなりにぎわっており、比較的簡単に警官を撒くことができた。

後ろ姿しかみられていないし多分、大丈夫だろう。

俺はそのまま逃げ切り、そして自宅に帰ったあと―

そのまま部屋から出ることはなくなった。

 

 

 

 

あれから沙綾ちゃんと燐子ちゃんが陽葵と別れたことを聞いた。

ごめんね。二人とも。本来、あたしが介入していいことじゃなかったと思う。

でも陽葵をまともにするためには、どうしても通らなきゃいけなかったことなんだ。

ちなみにあれから陽葵とは連絡を取っていない。

やっぱり顔を合わせづらいのだ。でもここまで進んだ以上後戻りはできない。このままではいけないって思う。

 

 

「え?来てないの??」

「うん・・・しばらく休むって連絡はあったらしんだけど、もう1週間になるって」

 

 

でもどうしても陽葵の動向が気になったあたしは、陽葵と同じ高校に通う中学校の頃の友達にどうしているかを聞いてみた。

しかし帰ってきた答えがこうだ。

 

 

「1週間・・・ちょうど沙綾ちゃんたちと別れた時期だよね」

 

 

どうしても気になり、ソワソワ落ち着かなくなったあたしは決心して一人暮らしをする陽葵の家に向かった。

 

 

ピンポーン

 

 

「・・・・・」

 

 

しかし反応はない。うーん、インターホンくらいじゃでないっていう意思表示かなあ・・・・

 

 

ガチャッ

 

 

「あれ・・・?あいてる?」

 

 

なんと玄関のドアが開いていた。

さすがに不用心過ぎないかな・・・?

でもやっぱり心配だ。あたしは勇気を出し、そのまま足を踏み入れた。

 

 

「陽葵!入るよ!」

 

 

しかし返事はない。

 

 

「陽葵ー・・・?」

 

 

部屋に入りあたしが見たもの。

それは・・・・

 

 

「陽葵!!!!」

 

 

大量のカップ麺のゴミが詰まったゴミ袋が乱雑に置かれ、空になったペットボトルが散乱する部屋の中に横たわる陽葵であった。




引き続きよろしくお願いいたします。
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