「悪魔を殺して平気なの?」「天使と堕天使も殺したい」   作:サイキライカ

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木場君は後何話弄ろうか…?


勘違いも程々にってな

「こんな時、どんな顔したらいいでしょうか?」

「指指してゲラゲラ笑ってやれば?」

 

 校庭に転がった木場の姿に困惑する白音にどうでもいいと適当ぶっこく。

 よく分からんが木場が教会の連中に復讐だなんだと因縁吹っ掛けてぎゃーすか騒いだ揚げ句、二対一のケンカを始めてボロクソに負けただけで特に面白くもなかったし。

 

「貴方」

 

 時間の無駄だったなと帰ろうとしたら長髪が絡んできた。

 

「ん?」

「一誠君が死んだ時駒王町に居たのよね?」

「誰だそいつ」

 

 居た気もするが、よっぽどでないと見なくなった顔はその他にぶっこんで思い出さないようにしてるからな。

 

「三大変態に数えられていた彼です」

「ああ、あいつね」

 

 堕天使殺るときに囮にしたゴミか。

 

「確かに居たが、それがどうしたよ?」

「なんで、なんで一誠君を助けてくれなかったのよ!?」

 

 こいつもヒステリー持ちなのかいきなりキレやがった。

 

「貴方悪魔を殺すのが仕事なんでしょ!?

 だったらどうして一誠君が悪魔に殺される前に悪魔を殺さなかったのよ!?」

 

 ……どうでもいい話だったか。

 

「喚く暇があんならお前が悪魔を殺して回れよ。

 俺は悪魔殺す以外にも仕事やってるから忙しいんだ」

 

 最近は妙に白音に懐かれてひたすら面倒臭いってのも有るんだからよ。

 

「っ、この!?」

 

 帰るべと背中を見せれば長髪がぐねぐね曲がる玩具を俺に向けて斬りかかった。

 

「なっ!?」

 

 趣向返しに軽身功で玩具の剣先に乗ってみせながら吐き捨ててやる。

 

「下手糞」

 

 仙道の知覚範囲は全周完全網羅してんだ。

 その上露骨に殺気を向けてくればどう斬りかかるか宣言してるのと変わらねえよ。

 

「この……」

 

 剣を操作しようとしたが、そんな長髪に白音が接近した。

 

「何してくれてんですか貴女は?」

 

 震脚からの寸勁を長髪に叩き込みぶっ飛ばす。

 

「ゴッ!?」

 

 お手本のような一打に長髪が縦に回転しながら相方のとこまでぶっ飛んだ。

 修行の成果がよく出てるな。

 

「よくも舞沢さんに手を出してくれましたね?

 戦争ですか? 戦争ですね?

 分かりました。鏖殺します」

 

 ハイライトが消えた目で可視化した氣を迸らせながら構える白音。

 あんまりな変化に見ていた連中が呆気に取られ、木場なんか世界が終わったかのような顔してやがる。

 ……白音の奴、最近こうなる事が多いような?

 

「アホに付き合ってないで修行行くぞ」

「…分かりました」

 

 頭をポンポン叩いてやると元に戻るが一々こうしてやんなきゃならんのが面倒臭い。

 タケさんの依頼だし、もう暫くは我慢するけどさ。

 

「待ちなさい!?」

 

 外野が喚いてるが興味はねえ。

 無視していつもの公園に向かう。

 

「あ、そうだ。

 白音、日本神話はなんだって?」

「向こうからは何も。

 一応うーちゃんのお社に報告しに行くつもりです」

 

 まあ、把握はしてるだろうよ。

 日本国内で八百万の神の目と耳の届かない場所はねえし、今回の事も交渉材料としてもう動いているかもしれない。

 

「行きます」

「いいぜ」

 

 氣を練りながら軽い組手を少々打ち合う。

 特にやることが無いときはこうして仙道の修行と平行して八極拳を学ばせているが、これが中々白音と相性がいい。

 本人は悪魔に転生した特典で怪力と耐久力上昇の恩恵を貰ったらしいが、一定以上の連中になれば攻撃を食らえば即死が当たり前な世界になるのだから、必要なのは受けと避け。

 特に白音は妖猫だったといっても小柄で耐久力よりも機動力に優れているのだから一撃が重い重戦士系より手数と機動性を尊ぶ軽騎兵として伸ばした方が成功するだろう。

 そういう訳で、破壊力は氣で賄いつつ手数の多い大陸拳法を教えている。

 個人的に、妖猫の白音が十二形拳を使うようになったら笑えると思うからその内修めさせようと狙ってる。

 

「あ、そうそう。

 白音には言っとくわ」

「なんですか?」

 

 下段蹴りと見せ掛け浴びせ蹴りを

放ち、着地から蹴り上げ踵落としのコンボを繋げつつ白音に伝えておく。

 

「なんですか?」

 

 避けられるよう手加減した一連の連撃を捌ききったのを確認し、俺は話を続ける。

 

「あいつらが持ってた剣、あれエクスカリバーじゃないから」

「そう…なんですか?」

 

 よっぽど驚いたらしく手が止まる白音。

 

「うん。

 あいつらが持ってたの、確かにアーサー王縁の剣だけど、あれアーサー王が折った選定の剣カリバーンだぞ」

 

 目を真ん丸にする白音に一休みいれるかとベンチに座り俺は言う。

 

「そも、エクスカリバーは湖の貴婦人がアーサー王に預けた黄金の剣だ。

 あんなとんちきな機能もなければ、そもそも折れる代物じゃねえ」 

 

 あの剣が折れるとしたら、それこそ大陸を両断するような馬鹿な真似が必要だろう。

 隣に座りぴったりくっつきながら白音はこてんと首をかしげる。

 

「じゃあなんで教会はカリバーンをエクスカリバーと勘違いしたんでしょう?」

「さあな。

 持ってった奴が勘違いしたか貴婦人がエクスカリバーだと騙って渡したか、どちらにしろ原型を無くすぐらいねじ曲げられちまってたから、今更どう弄ろうと裏で流れてる安もんとどっこい程度の代物にしかならねえよ。

 あれなら天目一箇が打った剣の方がよっぽど信頼できるな」

 

 まあ、昨日の死体を見るに切れ味はそれなりだから、李書文先生やフリードぐらいの奴が振り回せば違うだろうけど。

 ガシャン

 

「あん?」

「そんな…がらくたに僕の人生は、僕達は命を弄ばれたと言うのか……?」

 

 木場がなんか絶望に沈んでた。

 今の話を聞いたのか?

 

「まあいいや。

 帰るか」

「木場先輩は…」

「ほっとけほっとけ。

 関わってもいいことにならんぞ」

 

 それでもいいなら好きにしろと言い残して俺は帰ることにした。




あの聖剣はエクスカリバーではなくカリバーン。

本物はブリテンの湖で貴婦人が守り続けてるというのが作中設定です。

さて、ゼノヴィアにはまだお仕事あるけどイリナにはさくさく退場してもらいますか。
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