「悪魔を殺して平気なの?」「天使と堕天使も殺したい」 作:サイキライカ
フリード、セックスは遊び。相手は壊すもの
主人公、セックスは仕事。相手が満足すれば終わり
つまり同類
「今回の内ゲバに関わる気はない。
が、民と土地に何かしたら下手人がどの勢力に属し、どのような立場にあろうとぶち殺す。
というか日本でやるな冥界でやれ。
それと天使共は面貸せ」
以上が日本神話の見解である。
「実に適切な意見だな」
翌日から木場が学園から消え、更に事件が起きることもなく二日が経過し、ぷらぷら歩きつついざという事態の際にはどうするかと考える。
実際問題、コカビエルなんて相手に自分ではほぼ確実に勝てない。
策を練り慢心で腐らせその上で悟られず奇襲を掛けて一撃で仕留めるならば漸く可能性が一桁パーセントあるかどうか。
幹部クラスの堕天使と人間とのスペックの差にはそれだけの隔絶があるのだ。
一応チャクラを全門開いた状態でかつ大周天を行えば一分ぐらいは正面からでも拮抗できるはずだが、一分を越えた時点で大周天で吸い上げた氣により肉体が破裂して死ぬだろう。
「スナイパーライフル…禁呪弾でも一発で仕留められないだろうし二発目は通じない。
ブラフマーストラはそもそも習得してない。
投擲は…穂先に使える刃がねえしなぁ」
可能性を羅列するもどれも現実的ではない。
転生のタイミングが合わず、何より嫌な予感がしたから避けていたが、やはり旧暦の間に影の国でガエブルグを修得しておくべきだった。
足元の、教会から派遣された短髪を跨ぎ、いよいよ頭打ちだなと困ってしまう。
「貴様!?」
なんでか短髪が噛み付いてきた。
「なんだようるせえな」
こっちはコカビエル始末する手段考えるので忙しいってのに。
「なんで見捨てるんだ!?」
「…なんで?」
別に共闘してるわけでもないし、俺からしたら助ける理由がないぞ?
「お前には人の心が無いのか!?」
「そんなもん、あるに決まってんだろ!!」
短髪を蹴り飛ばし多節棍を抜いて降ってきた斬撃を打ち払う。
「がぁっ!?」
手加減無しで蹴り飛ばしたからか悲鳴を上げるが無視。
多節棍を棍へと変形させて相手を見る。
「あっひゃひゃひゃひゃ!?
逃げたねーちゃんを追っ掛けてみればマイフェイバリットとの感動の再会しちゃいましたよ?」
「随分御機嫌じゃねえか。
なんか楽しいことでもあったか?」
「いえーす」
ちゃらけイカれたふうに見えながらも、ギラギラとした俺への殺意の手綱を手放すことなくフリードは嘯く。
「最近激しいエッチがとんと御無沙汰だったんでぇボクちん不満全開消化不良だったんですがぁ、ついさっきまでなんでもオールオッケーな牝豚ちゃんをgetしちゃいましてね。
そしたらもうハッスルハッスル。
チョーすっきりさせてもらったお陰で快眠快便ですよ。
ありがとうジーザスくたばりやがれ」
なんというか、何時にも増してテンションが高いな。
「だけじゃねえんだろ?」
「もっちもちのロンローン。
じゃーん、新しい玩具でーす!!」
今度も二本!!と最近見た玩具を見せびらかすフリード。
「貴様…イリナをどうした!?」
「イリナ?
あ、牝豚ちゃんね。
飽きちゃったから首絞めックスで神様のとこにボッシュートしといてあげたよ。
僕ちゃん超優しいでしょ?」
「……っ!?」
よっぽど受け入れ難かったらしく声にならない声で罵詈雑言を叫ぶ短髪。
そんな雑音を聞き流し俺は棍で肩を叩きながら訊ねる。
「で、もう一匹も捕まえに来たと?」
「oh、yes。
雇い主が何かに使いたいみたいなんで拾ってこいって。
社畜は辛いですよ」
「あっそ」
ヤるのか別の使い道があるのか……まあ、俺には関係ない話か。
「んじゃまあ、殺るか」
「いいんですかぁ?
私絶好調ですから瞬殺しちゃいますよ?」
「瞬殺ねぇ…」
鼻で笑い調息で練った氣を丹田で回し嘯く。
「そりゃあこっちの台詞かもよ?」
「あひゃ☆」
奇怪な笑い声が交差し、俺達は遊び始めた。
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目の前で起きている事が現実だと私の頭は受け入れられなかった。
「ヒャア!!」
「シィッ!!」
イリナを辱しめた揚げ句殺したと嘯く下郎とアサシンと呼ばれた舞沢という日本神話の戦士との戦いは、私に現実の壁というものを嫌というほど叩き付けた。
神速の体捌きを可能とさせる『天閃の聖剣』と幻影を生み出す『夢現の聖剣』を振るうフリードに対して、舞沢が使うのは短いロッドを鎖で繋ぎそれを組み合わせ完成させた一本の長いロッドのみ。
教会のエリート戦士として育てられた自分が聖剣を使いイリナと二人掛かりでも一方的に蹂躙されたフリードを、舞沢は特別な何かがあるようには見えないそのロッド一本で捌いていた。
「ミーたん大分身!!」
ふざけた口調で『夢現の聖剣』を使い大量の分身を生み出したフリードが分身と共に斬りかかる。
「バラバラコマ肉の完成だ!!」
「抜かせ」
舞沢は幻影には目もくれず、何処から斬りかかるのか最初から分かっているかのように体を捻りロッドを振り回して本物のフリードを穿つ。
「ちぃっ!?」
幻覚に惑うことなく放たれた突きに、フリードが舌打ちを打ち大きく飛び退くと首をかしげる。
「どうしたことでしょう?
聖剣の匠の技とおいたんのさいきょー剣技が全く通じません。
アサシンタソ、なんか秘密を隠してません?」
滅茶苦茶な剣の腕とふざけた物言いだが、反して構えは一切油断なく隙を窺っている。
対して舞沢は気軽にロッドで肩をトントン叩きながら鼻をならす。
「そんなのあるに決まってんだろ?
つうか、それ以前にテメエが手ぇ抜いてんのが理由だよ」
涼しげにそういい放つ舞沢に私の背筋が冷たくなる。
あれで手を抜いている…だと?
聖剣による加速を用いた超高速連撃も、もう一方の聖剣による分身を用いた撹乱も、どちらも片方だけでさえ並以上のエクソシストを翻弄して一方的に勝てるだろうに、舞沢はそれを手抜きと吐き捨てた。
「変な玩具は飽きてんだよ。
遊ぶんなら本気で遊ぼうぜ?
じゃなきゃ、萎えちまうよ」
「……キャハ☆」
舞沢の言葉にフリードが聖剣を投げ捨てる。
「思ってた通りやっぱアンタ最高だよ。
ひっさびさに本気、出しちゃうぜ」
そう言うとフリードは懐から黒塗りの短刀を抜く。
「こちらに取り出したるは神も仏も所縁も何もございませんただの匕首。
しかしながら頑丈でよく切れるボクちん自慢の逸品でごぜえます」
くるりと逆手に握り腰を沈めるフリード。
「……いいねぇ。
あんな玩具振り回すよりよっぽど似合うじゃねえか」
そう笑うと舞沢はロッドを分解し三本の短いロッドが繋がった状態に切り替える。
「……」
「……」
さっきまでの騒がしさが嘘のように二人は無言で対峙する。
張り詰めた空気が満ち、私は蹴り折られた肋骨の傷みも忘れ思わず生唾を飲み込んだ。
それが引き金となった。
「「っ!!」」
次の瞬間二人の姿がブレ、ギィンと甲高い音が響き短刀とロッドが噛み合っていた。
馬鹿な…教会最強の聖剣を握っていた時よりも速いだと!?
私が驚いている間にも立て続けに短刀が閃きロッドがそれを打ち払う。
「ひゅ…」
突如ロッドがバラけ、舞沢は先端のロッドに握り手を持ちかえるとまるで鞭のようにロッドを振るった。
「きひぃ!!」
連続する打撃をフリードは捌くも、僅かに手数が足りないと見るや這うように身を沈め弾丸のように懐へと潜り込む。
そのまま何故か更に身を捻り背中からぶつかると、舞沢の身体が異様に吹っ飛んだ。
「なっ!?」
ただのチャージであそこまで飛ばせるものなのか!?
驚愕する私を他所に危なげ無く着地した舞沢は愉快そうに笑う。
「へぇ?
貼山靠なんて何処で覚えたんだよ?」
「大陸ではっちゃけてた爺さんに教わったんですよぅ。
その後ぶっ殺されかけたんで逃げたんですけどねぇ」
意味がわからない。
しかし舞沢は理解できたらしくくつくつと笑う。
「李先生は相変わらずみたいだな」
お前も知り合いなのかよ!?
「もしかしておたくもですかい?」
「槍と拳を少々な。
自慢しとけよ、あの人が殺そうってするのは強い奴だけだからな」
「わぁい」
その言葉に何故かフリードはケタケタ笑いだす。
……理解できない私がおかしいのだろうか?
煤けた気持ちになる私を尻目に二人は再び構える。
「なんなら同門らしく拳一本でやろうか?」
「それも悪くないんですが、そいつはまたの機会にってことで」
「来世の間違いじゃねえのか?」
「そでした」
愉しそうに牙を剥き、二人は再び交差した。
描写したらあんまりになったのでイリナは末路のみで。
さて、フリードの強化内容も判明させたし次いくか