「悪魔を殺して平気なの?」「天使と堕天使も殺したい」   作:サイキライカ

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私、これを書き終わった後生きていられるでしょうか?(震え声)

ちゃんと御伺いはしましたが、やはり不安になります。


次は、少しは平穏な世界だとありがたいな

「ヒャッハァァアアアア!!」

「シャアアアアアアアア!!」

 

 フリードとの愉しいぶつかり合いはここ数十年の間でも最高潮をマークした。

 李先生は……うん。あれは桁が違いすぎて楽しむ暇ないから。

 大陸武術に手を染めて千五百年弱。

 前も含めその間、闘争を呆れるほど繰り返してきたが、これほど熱い戦いは多くなく、久し振りに魂が燃え上がる感覚に酔いしれた。

 それがいけなかった。

 

「良いぜフリード(ブラザー)

 テメエは本気で……」

 

 ドンッ、と背中から何かが貫通する衝撃が走り、意思に反して力が抜けて棍がカラカラと地面を転がる。

 

「時間切れだフリード」

「……こいつはあんまりじゃねえですかコカビエルの旦那?」

「貴様が戯けているからだ」

 

 力が入らないのに身体が倒れないのは、背中から刺された天使の使う光力の槍が支えているからだ。

 

「エクスカリバーを持ってこい。

 奴が実験を始めるそうだ」

 

 小周天をフルに行い絶命は避けているが、今回はどうやらここまでみたいだな。

 

「聞こえているかアサシンちゃん。

 生きてたら続きやろうぜ」

 

 そう耳打ちするとフリードは離れていく。

 暫くして槍が消えると俺の身体が自然と倒れる。

 

「おい、生きてるのか!?」

 

 短髪が近寄ってきたが、それよかさっきからブルブル震えている携帯の方が気になる。

 

「悪いと思うなら、俺のズボンの携帯を寄越せ」

「携帯?

 これの事か?」

 

 言われた通りに携帯を持たせたのを確かめ、言うこと聞かない身体を氣で無理矢理動かし携帯を耳に当てる。

 

『生きてるか?』

「腸ごとシェイプアップさせられてるが、ギリギリイザナミ様の厄介にはならずに済みそうだ」

『ならいい。

 天津神として正式に命じる。

 今すぐ猫を連れて関東を離れろ』

 

 ……なんだと?

 

『野郎、駒王の龍脈に暴走術式なんて余計なことしやがった。

 はっきり言う。

 そのせいで神田の御霊がぶちギレた』

 

 ……聖書陣営、終わったか。

 

『なんとか最後の封印だけは解けぬよう死守してはいるが、現界は防げないだろう。

 間違いなく今回に関わる連中は全員死ぬ。

 お前は…』

「タケさん」

 

 なら、丁度いい。

 

「悪いが今日付けで日本神話との契約切らせてもらうわ」

『おい』

「白音はそっちで頼んます」

 

 そう言うと俺は携帯を踏み潰す。

 

「聞いてたか?」

 

 物のついでと短髪にも警告しとくか。

 

「今から此処(駒王町)はグラウンド・ゼロになる。

 死にたくなけりゃあ逃げろ」

「どういうことだ?」

「コカビエルが関東の守護神の逆鱗に触れた。

 聖剣の回収がしたきゃ、一旦関東から離れて終わるまで大人しくしてからにするんだな」

「お前はどうするんだ?」

「フリードと決着つける」

 

 仙道で出血を押さえつけ、棍を拾い歩き出す。

 後ろで短髪が喚いてるが、準備する時間が勿体ねえから無視して歩き出す。

 

「何故そこまで決着に拘る!?」

 

 態々先回りしてそう怒鳴る短髪を押し退けながら俺は言う。

 

「勿体ねえんだよ」

「勿体ない?」

「久し振りに、()()()()()()()()()()()()()との最期を、こんな締まらねえもんにしてたまるか」

 

 どうせ皆置いていくんだ。

 だからこそ、忘れたくないと思えた記憶だけは持っていく。

 

 そうじゃなきゃ、なんもかんも本当にどうでもよくなっちまう。

 

 そう言い捨て、短髪を残して俺はセーフハウスへと向かった。

 

 

~~~~

 

 

「起きろ『』。

 交代の時間だ」

 

 …………ヘクトール将軍?

 

「そろそろ次の戦端が切られる。

 今度こそアキレウスを仕留めてやれば、流石にオデッセウスも退いてくれる筈だ」

 

 無理だ。

 将軍はアキレウスに勝てない。

 

「上手くいくさ。

 じゃなきゃ、トロイアはおしまいだ」

 

 将軍、これは茶番なんだ。

 ゼウスが仕掛けた、人間を減らすためだけに行われている誰も救われない茶番なんだ。

 

「心配すんな。

 ペンテシレイア率いるアマゾネスは勇猛で、パリスの阿呆だっていい加減目を覚ましてくれる。

 息子達のためにも、絶対に勝って終わらせるんだ」

 

 そんな未来は訪れないんだ。

 アンタはアキレウスに殺されて、ペンテシレイアも負けて、疲れきっていたトロイアは停戦協定の証と偽ったトロイの木馬を受け入れて滅びてしまうんだ。

 

「そういえばお前、昔酒の席で面白いこと言ってたよな?

 確か、前世の記憶を引き継げるんだろ?」

 

 ああ。確かに酔った勢いで将軍に話したことがあったな。

 

「じゃあさ、俺が死んだら俺のこの槍、お前にやるよ。

 代わりに、俺の息子の子孫が絶えるぐらい遠い未来まで俺達の事を覚えていてくれるって約束してくれるか?」

 

 ああ。忘れてねえよ。

 トロイアでの愉しい日々も、将軍が酒の席のノリでお持ち帰りして奥さんに泣かれて本気で謝ってた馬鹿な話まで、何千年先までだって全部持っていってやるよ。

 

「ありがとよ。

 さて、今日も生き残れよ」

 

……

…………

………………

……………………

 

 休むために仮眠していたせいか、懐かしい記憶を思い出した。

 

「まだ、間に合うな」

 

 時間を確認し、そうごちる。

 状態は六割程度まで回復した。

 大周天を含めて総動員してやれば、コカビエルは無理でもフリードとの決着までは持つだろう。

 ここからはただの消化試合。

 日本神話は今回の件で全面戦争する事で腹を括った。

 出来れば聖書の陣営が滅びる前に生まれ変わって、戦争に参加してやりたいところだが、まあ望みは薄いだろう。

 人間に生まれ変わるのは確定していても、産まれるまでのスパンは疎らで、しかも戦えるようになるまでに時間が掛かるのだ。

 それまで聖書の陣営が本気になった日本神話に耐えられるはずがない。

 

「……いくか」

 

 今生最後の戦いだ。

 せめて、最後まで記憶に残しておきたいと思えるものになってもらいたいと思いながら、俺はセーフハウスを後にした。




主人公、今生捨てる。

そしてフラグ乱立

それにしてもヒロイン(候補)よりキチガイ選ぶ主人公ってどうなんだろう……?
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