「悪魔を殺して平気なの?」「天使と堕天使も殺したい」   作:サイキライカ

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短めだけど投下します


正直、日本に限っては悪魔の駒ってあんまり目新しいもんじゃないよね?


僕は、この怒りを忘れない

「父様!!」

「ミリキャス!! グレイフィア!!」

 

 愛する妻と息子が捕まった絶望と、親として己の惨めな姿を見せたことへの恥辱に叫ぶサーゼクスへその罪状を述べる。

 それは日ノ本の民を悪魔に変えた事ではない。

 

「お前の罪は一つ。

 『死』を貶めたことだ」

 

 そもそも、日本では古来から人が偶然自発的を問わず鬼や妖に変わり果てることなど日常茶飯事だった。

 故に日本神話は冥界の転生悪魔については自身で成るなら自業自得と、強制であるなら運がなかったと見逃し続けた。

 ただ一つ、許しがたい行いに腸を煮えくりかえらせながら。

 

「お前達は死した者を(・・・・・)生き返らせた(・・・・・・)

 

 過去において生き返りを願う者は神話現世を問わず多くあったが、そのどれもが絶対的に叶わずに終わった。

 それはエジプト神話のオシリス神とて変わらない。

 確かにオシリスは妻の執念で生き返っているが、変わりにその命はセトと共に乾期と雨季に準えた限定的なものとしてであり、代償に二柱は交互に死しては生き返るを永劫繰り返すこととなった。

 

「森羅万象に於いて例外はなく、神も人も変わらずに絶対で在らねばならぬ『死』をお前達は貶めた。

 それは、お前とお前を王と奉る悪魔が滅びる程度で購える罪ではない!!」

 

 『死』を弄んだ者が死んだ程度で許される筈はない。

 

「だからこそ選べ!!

 王として民を道連れにするか。

 親として妻と子を道連れにするか。

 お前はお前の天秤(矜持)を自ら砕いて滅んでいけ!!」

 

 選べる筈のない選択を強要する須佐之男にサーゼクスは嫌だと叫ぶ。

 

「ならば両方とも地獄に送ろうか?

 民は修羅道に、子は餓鬼道に、妻は畜生道に落としてお前に奴等が永劫苦しむ様を見せ付けてやろうか?」

「止めてくれ!!

 それは私の罪だ!!

 どんな購いも果たして見せるから頼む!!」

 

 必死に慈悲を願うサーゼクスに一切の容赦もなく須佐之男は決を迫る。

 

「くどい!!

 この罪はお前一人が購い済ませて終わる罪ではないのだ!!」

 

 叱り付ける須佐之男にとうとうミリキャスが悲痛に叫んだ。

 

「日本神話の神よ、僕が代わりに罰を受けます!!

 だから、どうか父様と母様は見逃してください!!」

 

 両親のために己を差し出すと嘆願するミリキャスにサーゼクスは駄目だと叫ぶ。

 

「お前がそんなことをしては駄目だ!!

 それは私の「黙れ」っ!!」  

 

 喉笛を締め付けサーゼクスから言葉を奪うと須佐之男はミリキャスを冷たい瞳で睥睨する。

 

「童、お前は言葉の意味をきちんと理解しているのだろうな?」

 

 まるで魂を握り潰されそうな圧力を放つ須佐之男の瞳にミリキャスは恐怖しながらもそのつもりだと言った。

 恐怖の最中にあってなお真っ直ぐ自分を見るミリキャスに、須佐之男は試してもいいだろうと正面から見据えた。

 

「ならば問うぞ。

 同胞たる悪魔を滅ぼす隣人殺しの罪。

 家族を見捨てる親殺しの罪。  

 お前はどちらを背負うのだ?」

 

 誤魔化しは許さぬと射殺さんばかりに圧を高める須佐之男に、ミリキャスは生唾を飲み込んでから口を開いた。

 

「僕は……」

 

 背負う罪を口にしようとするも、そうする前にサーゼクスが動いた。

 

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ああ"!!」

 

 魂を燃やすような咆哮を上げ再び『滅びの魔力』の塊となり須佐之男の拘束を振り払ったのだ。

 

「父様!!」

『ミリキャス!!

 グレイフィアをたの「戯け」

 

 最後まで言わせることなく須佐之男はサーゼクスを縦に両断した。

 

「息子に背中を押されねば答え一つ出せぬか愚物め」

 

 侮蔑さえ含ませた須佐之男の言葉を最後に、サーゼクスは文字通りこの世界から消滅した。

 

「父様!!」

 

 無惨な最期にミリキャスの慟哭が響く中、須佐之男は事態の締めとこの場の全てに宣言した。

 

「進め!!」

 

 須佐之男の号令を受け、待機していた日本神話の軍勢が動き出す。

 戦車と軍艦の砲撃が都市を砕き飛行機が落とす爆弾が建物を炎で炙る。

 そうした中を武士達が駆け、目につくものを片端から切り捨てていく。

 そこに慈悲はない。

 老いも若いも平等に、女赤子さえ刃の錆へと変えていく。

 

「ああああああああああ!!」

 

 目を覆う惨劇を前にミリキャスの慟哭が空しく響く。

 

「さて、お前達二人はどうするか」

 

 神との契約だ。

 生かしておくのは当然だが、だからといって野放しにはさせられない。

 順当に言うなら封印が妥当だろうと考えていた須佐之男に狐がとある提案を持ち掛けた。

 

「なあなあ野分はん。

 あんじょうしますよってこの二人、うちが預かってもエエですかなぁ?」

「どうする気だ九尾?」

 

 聞くだけならいいだろうと言う須佐之男に狐はクスクスと笑いながら嘯く。

 

「いやねぇ?

 裏京都の代表に娘っこがおるんやけど、ええ子やからこの子を婿に宛がったろぅ思いましてなぁ。

 裏京都やったらえらい真似もそうそうあきまへんし、それにそろそろ新しぃ胤の一つも入れへんとあきまへんと思っとったきに、どないでっしゃろか?」

「そんな、僕は…」

 

 狐の言葉に反しようとしたミリキャスに狐はミリキャスだけに聞こえる声で囁いた。

 

「日本神話に復讐したいやろ?

 せやったら、うちの話に乗っとくとええで」

 

 狐の甘言としか思えない言葉に、しかし確かに胸の奥にしっかりと燻る怒りの炎を抱いていたミリキャスはその提案に利を見出だした。

 

「……どうして、ですか?」

「うちは元から日本の神は好かんのや。

 せやから、あんさんが日本神話滅ぼすぅ言うんなら、妖怪連中纏めるいい方法を教えて手ぇを貸したるって話や」

「…………」

 

 筋は、そうおかしくないのだろう。

 実際妖怪を味方に付けれれば日本神話を滅ぼす目も見えるかもしれない。

 

「分かりました。

 その話、お受けします」

「ほんまにええ子や」

 

 ニタリと笑い狐はどないですか?と須佐之男に願い出る。

 

「……いいだろう。

 ミリキャス・グレモリーとグレイフィア・グレモリーの身柄は裏京都に預ける」

 

 そう言うと須佐之男は霧に包まれ姿を消した。

 そうして取り残されたミリキャスは父が消えた場所を見て、血が滲むほど拳を握る。

 

「ほな行きましょか」

「お願いします」

 

 狐に導かれるまま、復讐を誓いミリキャスは冥界を後にした。

 




次回は本格的にエピローグ開始

先ずはだれからいこうかしら?

因みにエピローグ済んでもまだ終わらないからね?
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