「悪魔を殺して平気なの?」「天使と堕天使も殺したい」   作:サイキライカ

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今回は別方向でエグい展開が含まれます。

後、また原作キャラが消えます。


なんでこっから仲良くできると思えるのか理解できねえ

 駒王町にある廃教会を訪れた堕天使の総督アザゼルは平伏する三人の堕天使を怒りと呆れの混じった目で睨んでいた。

 

「で、お前らを唆したレイナーレはどうしたんだ?」 

「それが……」

「さっさと言え」

「はい!?」

 

 恫喝されカラワーナは吃りながらも神器所持者の抹殺に出たきり帰ってきていないと報告した。

 

「……どうなってやがる」

 

 その答えに苛立たしげに頭を掻くアザゼル。

 そもにしてアザゼルは随分前から神器所持者の抹殺から身柄の保護へと方針を転換していた。

 しかしレイナーレはその指示を知らず、あまつさえよりにもよって魔王の妹が管理する土地へと入り込んだ。

 

(俺以外の誰かが勝手に指示を出したのか?)

 

 思い当たる奴は何人かいる。

 アザゼルの方針転換を面白く思わない者。

 神器の解析に人道的配慮を導入したことに不満を抱く者。

 そして事実上休戦状態である現状に怒りを抱く者。

 『神の子を見張る者』はアザゼルがワントップの一枚岩ではあるが、しかしアザゼルの方針に全ての堕天使が賛同しているわけではない。

 そういった組織に不満がある誰かが裏で糸を引いている可能性をアザゼルは感じていた。

 もしくは既にテロリストへと降っているか……。

 

「あ、あの、あたし達は……」

「……とりあえず本拠地で詳しい話を聞かせろ。

 それ次第で酌量を考えてやる」

 

 この場で消されるのではと怯えるミッテルトにそう言うとアザゼルは連れてきた上級堕天使に後を任せ、レイナーレが確保したという神器保有者の様子を確認しに向かう。

 

「ここか」

 

 まあ死にはしていないだろうと特に何も考えず扉を開けたアザゼルは、視界に広がる光景に即座に後悔を覚えた。

 換気がされていない部屋の中は凄まじいまでに雄の臭いが立ち込め、その発生源であるベッドには両手を鎖で縛られた少女が全裸で縛られていた。

 鼻が曲がりそうな悪臭の中、少女に近付いたアザゼルは改めてその少女が『手遅れ』であると理解して溜め息を吐いた。

 

「酷え真似をしやがる」

 

 全身を雄の体液で汚された少女の瞳は濁りきり、生命活動を続けるだけの肉塊と何らかわりないまでに壊されていた。

 これでは稀少な『聖母の微笑み』も二度と使うことは出来ないだろう。

 

「取り敢えず回収だけはしておくか」

 

 万が一回復すれば良し。

 意識が回復しなくとも所持者を生かしたまま神器を抜き取る技術の披検体として使えばいい。

 それだけの価値が少女に宿った『聖母の微笑み』にはある。

 

「厄介な真似をしてくれる……」

 

 もう此処には用はないと踵返し部屋を出ていくアザゼル。

 そして今後指示なく駒王町への侵入を行った者は問答無用で裏切り者として処罰することを改めて強く言明。

 それから一月後、とある幹部が現状を打破するため駒王町へと侵入を果たし本格的な活動を始めた。

 

 

~~~~

 

 

 いきなりだが、また生徒会室へと呼び出された。

 

「さて、今度はどう出てくるかな?」

 

 万が一に備え対悪魔用の弾丸を装填したトカレフ他いくつか対策は仕込んであるが、予備のマガジンまでは用意していないし総掛かりで来られたら擂り潰されて終わりだな。

 タケさんの警告の矢先にと来るだろう来世での説教に背筋を寒くしながら生徒会室に入ると、のっけから首に剣が添えられた。

 

「え~と、これはなんの冗談かな?」

 

 白々しく惚けながら両手を上げて相手を確認すると、そいつは木場とかいう悪魔であった。

 

「止めなさい木場さん」

「ですがソーナさん!!」

「確かに彼は最も怪しい容疑者ですが、証拠もなしに斬ることは許しません」

 

 人を無視して好き勝手言ってくれるな。

 それはそうと流石日本神話。

 情報管理は徹底しているぜ。

 

「あのさ、さっきから訳分かんないんだけど?」

「すみません舞沢君。

 ですがもう少しだけそのままで質問に答えてください」

 

 そう言う貴族悪魔にざっと室内を確かめれば、中々どうして俺を逃がさない布陣がかなりの精度で敷かれている。

 が、逆に今俺の首に剣を突きつける木場とその後ろで露骨に敵意を向けている凸凹二人組が布陣の完成度を崩している。

 一目で解るほどの温度差から、おそらくこの三人は昨日殺ったグレモリーの、他はシトリーの配下なのだろう。

 

「正直首が冷たいんでさっさと終わらせてくれるか?」

「貴様……」

 

 ぎしりと歯を鳴らす木場にシトリーが怒声を放つ。

 

「これ以上続けるなら追い出しますよ!!」

「っ……」

「舞沢君もです。

 不愉快なのは分かりますが、ですが彼等は余裕がありませんので余り煽らないでください」

「へいへい」

 

 敢えて余裕を見せながら俺はシトリーの問いに答える態度を示す。

 

「で、なんで俺はこんな目に遇わされてんだ?」

「単刀直入に聞きます。

 舞沢君、貴方は日本神話の指示で駒王学園に入り込んだのですね?」

「違う。

 俺に依頼したのは日本神話を崇める神道勢力だ」

 

 この情況を乗り切るためには下手な嘘は控えるべきと俺は正しく訂正する。

 そう言うと、凸凹の奇乳と呼ぶべきほどでかいものをぶら下げた方が苦虫を噛み潰したように顔を歪める。

 

「では、彼らの依頼は?」

「悪魔の殲滅」

 

 刹那、首筋から痛みが発せられる。

 どうやら斬ろうとして辛うじて留まったみたいだ。

 

「ではもう一つ。

 貴方はリアス・グレモリーを討伐しましたか?」

「いいや」

「嘘は通じません。

 私はシトリー家の悪魔。

 真実を暴く力があります」

 

 原典のお前(シトリー)ならな。

 内心嗤いながら俺は確信をもって嘘を突き通す。

 

「俺はリアス・グレモリーに手を出しちゃいない」

「………解りました」

 

 そう言うとシトリーは木場に剣を下ろすよう言う。

 

「……分かりました」

 

 シトリーの命に渋々剣を下げる木場。

 直後、俺は適当に手加減して木場をぶん殴った。

 

「がっ!?」

 

 完全な不意打ちに木場の体が吹っ飛ぶのを何故と固まる中、俺はハンカチで止血をしながら吐き捨てる。

 

(こいつ)の怪我はこれで勘弁してやる」

「木場先輩!?」

「木場くん!?」

 

 テーブルを巻き込み倒れた木場に駆け寄る凸凹二人を無視して俺は問う。

 

「まだやるか?」

「上等じゃねえか!!」

 

 こっから先は命の取り合いだとプレッシャーを掛けてやると生徒会からいかにもヤンキー染みた男が吠える。

 

「匙!!」

「しかし会長!?」

「今のは木場君が悪かった。

 それで今は納めなさい!!」

「っ、……解りました」

 

 恫喝に近いシトリーの声に匙は悔しそうに引き下がる。

 

「で、今から俺をぶち殺すか?」

 

 狙って挑発に聞こえるようそう聞いてみれば、意外とシトリーは冷徹に答えた。

 

「いえ、冥界陣営は日本神話との敵対を望んではいません。

 ですので貴方が私達に直接刃を向けるまで貴方の身の保証を約束します」

「だから、はぐれ狩りに協力しろと?」

「駄目でしょうか?」

 

 条件はそれほど悪くない。

 が、それを受ける利点はたいして無い。

 いや、一つ思い付いた。

 

「条件が二つ」

「調子に乗ってんじゃねえぞテメエ!?」

「匙!!」

 

 そのやり取りが噛みつくチワワと飼い主みたいで地味に笑えたが、下手に馬鹿にして今の空気を台無しにしても意味がないと俺は堪えながら条件を口にする。

 

「一つは弱え奴と足並み揃えても邪魔なだけだ。

 誰でもいい。

 足並み揃えてもいいと思わせるだけの実力があると証明しろ」

「だったら見せてやんよ!!」

 

 そう言った直後、匙が俺に殴り掛かってきた。

 

「止めなさい匙!?

 転生悪魔の力でも人間を簡単に」

 

 パァン!

 シトリーが制止を呼び掛ける声が終わる前に匙の放った拳は片手で弾かれた。

 

「な!?」

 

 驚く匙。

 

「温ぃぞ」

 

 そのまま丹田を回し震脚から崩拳に繋げ、匙の水月に撃ち込む。

 

「ごぶぉ!?」

 

 中々良い悲鳴を上げて匙の身体が吹っ飛び、その背後にいた木場を巻き込んで派手に縺れて倒れた。

 

「全然駄目だな。

 さっきの話は無しだ。

 お互い勝手にやったほうが早え」

 

 ストラーイクなんて内心笑いながらそう言い捨て、シトリーが何か言うのも無視し俺は生徒会室を脱した。




原作でのレイナーレ達は誰かに利用されてたと思うの。

アーシアは助けてくれる人が居なかったからフリード君にぱっくんちょされたけど、ディオドラのタゲは外れたから幸せになれるよ。(外道スマイル)

因みにアザゼルはアーシアの経緯を詳しく知らないので憐れとは思ってもそれだけだという。

次回はちょっとエロくなるかも。

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