「悪魔を殺して平気なの?」「天使と堕天使も殺したい」   作:サイキライカ

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漸く主人公が戦うよ。

それはそうと最後に戦ったの何時だっけ?


よりにもよってこいつかよ

 小周天を行い現場に急行した俺の視界に入ってきたのは、蹲るオーフィスに向け剣を振り上げる黒い馬に乗った骸骨騎士と、間に入りオーフィスを庇い両手を拡げるうーちゃんの姿だった。

 無限の龍神が無力化されていることから自分の手に余る相手だと本能的に察しながらも、損得勘定を走らせうーちゃんの生存を優先し速度を加速させ棍を振り抜いた。

 

「ぜりゃあああ!!」

 

 ドゴンッ!!と轟音が響き、棍に打たれた馬が宙を舞う。

 

「おんし…!」

「今しがたぶりだなうーちゃん」

 

 吹っ飛ばされた馬は痛がりながらも空中で静止し、骸骨騎士が剣を構える。

 

「単刀直入に聴くぜ。

 オーフィスはどうなってる?」

「わからぬ。

 あやつを前に急に腹が空いたと蹲ってしまったのじゃ」

「腹が空いた?」

 

 おいこら。

 あんだけ食っといて腹が空いたは…いや、

 

「も一つ確認。

 あの骸骨騎士は『天秤』を持ってなかったか?」

「う、うむ。

 おんしの言う通り、剣に持ち変えるまで天秤を手にしておったぞ」

「……マジかよ」

 

 想定される中でも最悪の事態じゃねえか。

 

「うーちゃん。

 オーフィス連れて早く逃げろ」

「ならぬ!

 逃げるならおんしもじゃ!!」

 

 身を挺するなと言いたいんだろうが、そうじゃねえようーちゃん。

 

「彼奴は『飢餓』の権能持ちだ。

 放っておいたら大惨事じゃ済まねえ」

「……知っておるのか?」

「ああ。

 奴は『第三の騎士』。

 ヨハネの黙示録に記されたアポカリプシュの予兆だ」

 

 俺の言葉に反応したのか骸骨が骨をガタガタ鳴らせて笑ったように見えた。

 

「はっきり言うぜうーちゃん。

 俺は奴をぶち殺したい。

 だから、下がってろ」

 

 そう言いながら地を蹴り第三の騎士へと躍りかかる。

 初手から加減はしない。

 呪を発動させ『滅びの魔力』を棍に纏わせ殴りつける。

 

「…!?」

 

 棍のオーラに第三の騎士はあからさまに反応し馬の腹を蹴って回避をさせる。

 

「逃がすか!!」

 

 ニューナンブを抜き狙い様に連射すれば禁呪弾の一発が馬の前足を掠め消し飛ばす。

 足を消滅させられ馬が悲鳴を上げ、直後に騎士が手綱を手放し天秤を構える。

 来る!!

 全開でチャクラを廻し氣を纏った直後、天秤がカタカタと左右に揺れて片方が沈み、俺は強烈な飢餓感に襲われた。

 まるで一月絶食を強制させられていたかのような空腹感に全身の筋肉から力が抜けそうになるも、調息を駆使し胃を強引に膨らませ全身の筋肉を氣で補強し耐える。

 喰らって解ったが、こいつは予想以上にキツイ。

 俺に餓えて死ぬ経験が無かったら、耐えられずにオーフィスと並んで蹲っていただろう。

 だがな、

 

「経験済みなんだよ!!」

 

 死に方の経験値は腐るほどあるんだ。

 どの程度までなら全力維持できるかも把握してる。

 足りない分は大周天で補い、足の筋肉が切れるほど力を込めて騎士へと飛びかかる。

 

「…!」

 

 回避は間に合わないと判断した騎士が剣で受け止めるも、『滅びの魔力』が触れた場所から確実に消し去り、馬上で振るうに適した長さの剣が三分の一にまで短くなった。

 

「避けるのじゃ!!」

 

 このまま削りきると節を解放しようとした矢先に飛んできた警告に俺は反射的に後ろへと跳ぶ。

 刹那、黒馬が失った足の残りで先程まで居た位置を凪ぎ払った。

 あのままだったら良くて相討ちだったか……。

 妙に軽くなった身体に違和感を覚えつつ汗を拭うとうーちゃんの悲鳴が響く。

 

「もうよい!!

 それ以上戦えば主の身体が持たぬ!!」

 

 うーちゃんの悲鳴に、どういうことだと汗を拭うのに使った掌を見て、理解する。

 さっきまで鍛えた筋肉でがっちりしていた手の肉が大きく減り、まるで引きこもりのように細くなっていた。

 おそらく飢餓感に肉体が自食作用を行ったためだろう。

 推察される己の体重から、筋肉ばかりか下手をすれば骨まで食われているかもしれない。

 体調から、全力で戦えて残り三十秒といったところか。

 まあいい。

 どうせ元より全力で戦えるのは短時間のみ。

 

「止めぬか!!」

「無理だな」

 

 都合がいいことに奴さんかなり腹を立てたらしく逃げるそぶりはない。

 時間は惜しいがうーちゃんに余計なちょっかいをもらうわけにはいかないと口を開く。

 

「こいつを放置すれば山のような餓死者が出る。

 そうしたらうーちゃん泣くだろ?

 そうしたら結局俺がタケさんにぶち殺されるさ」

「馬鹿者!!」

 

 冗談めかして言えばやはりうーちゃんは怒ってしまった。

 だが、いい休憩になった。

 身体を壊す勢いで大気の氣をチャクラを廻す燃料とし、弱った身体を氣で補強して騎士へと走る。

 

「くたばれ!!」

 

 俺の突貫に騎士は串刺しにしようと細くなった剣を突きだした。

 掛かった。

 その突きに俺はアスファルトを踏み砕きながらフルブレーキを掛ける。

 足の骨が割れる音がしたが構わない。

 棍の呪を解き先端を真っ直ぐ剣先へと合わせ軽身功で後ろへと退避。

 そして棍を手放し騎士の脳天にニューナンブの照準を合わせて引き金を絞った。

 ぱんっ

 それで終い。

 禁呪弾に頭を食われた騎士は残る身体を馬ごと塩の塊へと変じさせた。

 

「……勝った」

 

 正直最後の一手は賭けだった。

 引き金を絞るだけの筋肉が残ってなければ、引く際の反動で腕は使い物にならなくなっていたはだろう。

 

「この、戯けが!!」

 

 遅ればせながら襲ってきた空腹と疲労に意識を薄れさせていると、うーちゃんが涙目で俺を叱り付けた。

 

「悪い、出来れば、飯、食わせてくれ」

 

 そこまで言ったところで、俺の意識は落ちてしまった。




ということで何気で主人公がガチバトルの初勝利な回でした。

正直第三の騎士は験能使われた時点でほぼ詰みな相手だったので今作では戦闘能力は低めにしました。

次回は支度まで行けるか?
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