「悪魔を殺して平気なの?」「天使と堕天使も殺したい」   作:サイキライカ

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 お久しぶりです。

 コロナとは関係ないところで体調を崩し執筆が遅くなりました。
 で、本編でなく番外編なのはいつものです。

 詳しくは活動報告にて。


Another IF『英雄派』【で】遊ぼう(1)

 堕天使コカビエルとの某で死んだはずの俺は、なんやかんやで死なずに終わらなかった。

 九死に一生を得るなんて言うが、正直あそこで死んでおけばと今は後悔している。

 死んでおけば今のような聖書陣営が正しいと、赤竜帝を宿した性犯罪者が選ぶ道が正しいと進んでいく神仏修羅共の吐き気のする()()()を横で見ないで済んだはずなのだから。

 

「舞沢さん、どうしたんですか?」

 

 屋上でドゥリンダナを持ったまま転生悪魔になったゼノヴィアの暗殺手段を考えていたら、膝の上からそう白音が問い掛けてきた。

 というかいつの間に膝に乗ったんだこいつは…まさか、圏境か?

 俺の感知をすり抜けてだとしたら、完全に追い抜かれてるって事なんだが……。

 

「別に。

 晩飯の買い出し考えてただけだ」

 

 考えるのをやめ適当に言うと、白音はあっさりと信じて目を輝かせた。

 

「デザートはなんですか?」

 

 何普通に一緒に食う前提なんだよコイツは?

 まあ、保護観察処分で置き場所に困るからと白音の姉貴を借りてる部屋の一つに置いて(監禁して)いるし飯ぐらいは構わねえけどな。

 

「茶葉の交換時期だし、どうせだから紅茶シフォンにしてバナナソースでも添えるか?」

「じゅるり」

 

 無表情で涎を溢す白音を視界から外しつつ空を仰ぐ。

 相変わらず日本神話というか高天ヶ原は音信不通。

 五大宗家のお陰で裏側はなんとか均衡を保っちゃいるが、『茶番劇』に我慢の限界を超えた北欧のロキが盤面をひっくり返そうとした辺り、遠からず人間側にも何らかの動きはあるだろう。

 と、そんな事を考えたのがフラグだったのか携帯電話がブルブルと着信を告げる。

 

「ちょっと退け」

 

 白音を退かして着信相手が雇い主である神道系組織の番号なのを確認し携帯に出る。

 

「どうした?」

『至急京都に向かって欲しい』

「あん?」

 

 挨拶もなしに要件を告げられ首を傾げる。

 京都と言えば表舞台から闇へと潜った陰陽寮の管轄の筈だが…?

 

「構わないが内容は?」

『安倍晴明が張った京都結界の要、『裏京都』の狐の妖怪が聖書陣営への恭順をする可能性があると報告があった。

 真偽を確認し、場合に拠っては『代替わり』を行ってもらいたい』

 

 『代替わり』、つまり現在の要を排し新しく結界の要を供えろという事だ。

 

「なんで外様の俺に?

 陰陽寮(あちらさん)は?」

 

 京都の陰陽寮とて無能じゃない。

 事妖怪相手に限れば、愛宕山の御大さえ肝を冷やしてのけられる手練は幾人も居る。

 いくら『裏京都』の要が竜種に匹敵するとしても勝てない相手では無いだろうに。

 

『嫌疑の内容から聖書陣営に詳しい者が最適と判断された。

 陰陽寮からの許可は出ている。

 回答は?』

「……」

 

 別立て京の妖に情はない。

 とはいえ奴等は宇迦之御霊の庇護の者。

 そいつらが聖書陣営に与するのは……不愉快だな。

 

「受けよう。

 すぐに向かう」

 

 そう言って携帯を懐にねじ込む。

 

「どうしたんですか?」

「仕事だ」

 

 一応答えるだけ答えそのまま行こうとすると、白音は裾を掴んで引き留めた。

 

「何すんだよ?」

「一緒に連れてってください」

 

 そう縋るように見上げてくる白音を、俺は腕を振って振り払う。

 

「先方から悪魔はお断りだと」

 

 そう言い捨て、そういえばと思いポケットからマンションの鍵を取り出して投げ渡す。

 

「数日掛かりになるだろうから、黒歌の世話はそっちに任せた」

 

 そういや、なんでアレの監視を引き受けてたんだ?

 後ろから聞こえる呼びかけを聞き流しながら、今まで当然のように引き受け気にもしていなかった事実に首を傾げた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 そうして武器だけ携えその日の内に新幹線で京都に到着した。

 

「さて、さっさと済ませちまうかな」

 

 夕刻は過ぎて夜の帳は降りきっている。

 普通なら日を改めるだろうが、相手は妖。夜の民だ。

 逆に昼間に顔を出すほうが礼儀知らずだろう。

 多少支度は足りねえが、()()()()に遅れを取るはずが…

 

「……あるに決まってんだろうが」

 

 今俺は何を考えていた?

 妖怪を見下した?

 有り得ねえ…。

 確かに『裏京都』の妖の大半は、そこそこ腕の立つ拝み屋が祓える程度に弱い。

 だが、それを格下と見下して勝てるような人間か俺は?

 

 否。

 

 知識なら多少は優位に立てる。

 死にながら積み重ねた戦闘経験なら神話な英雄にだって張り合える。

 しかし、しかしだ。

 俺はいくら盛っても一流止まり。

 天使。悪魔。竜。神。英雄。

 人を超える()()を相手にどれだけ足掻こうと、精々が称賛の一つも零させるが限界。

 そんな雑兵に下を見下している余裕はない。

 

「呑まれてやがるな」

 

 意識を切り替え己の立場を自覚する。

 『茶番劇』がよく使う手だ。

 意識をそれとなく誘導し、自分の都合の良いように振り回す。

 完全に抜け出す事は不可能な以上、意識の手綱を握り流されぬ様にするしかない。

 

「目的は嫌疑の事実確認と()()()

 先ずはホテルにチェックインだ。

 その後で陰陽寮に『裏京都』の総大将へのナシと現在の『裏京都』の資料を回収する」

 

 やるべきを口にして優先順位を明確にする。

 そうして向かおうとした足を踵返しながら俺は頭の中でだけごちる。

 

(『茶番劇』が介入したという事は、『裏京都』は黒で確定か)

 

 にしても、総大将の『五月』は何を考えて悪魔に擦り寄っている?

 亜細亜大戦での損害で表に関わらなかった五大宗家、陰陽寮も共に痛手を被り、侵入した聖書陣営に手が回らず主だった地脈は奪われたが、『裏京都』を含め要の多くは未だに日本側が握っている。

 五月は『裏京都』の()()を重く捉えていた筈なんだが、だからこそ()()()()()()

 

「…待てよ?」

 

 ホテルの部屋に入った時点で俺は前提を誤っている可能性に気付く。

 よくよく考えてみれば五月が総大将を摂っていたのは五百年以上前だ。

 千年を優に生きる天狐の五月が、何らかの理由で代替わりを為していてもおかしくは無い。

 もしそうなら、『代替わり』の際に情報のいくつかを失伝していて、その為に聖書陣営との取引をしなければならないと()()()している可能性もある。

 

「どちらにしろ、確認が重要か」

 

 聖書陣営からの圧力に屈しようとしているのか、はたまた勘違いから生存の道を聖書陣営に見出したのか、それ次第で取るべき手段も変わる。

 そう改め直し、俺は窓から見えた京都の風景を台無しにしている『サーゼクスホテル』を視界から外しつつ懐の携帯電話に手を伸ばした。

 

 

 

 




 おまけ、現在の主人公の好感度

 聖書陣営:いつか滅べ
 
 白音:気まぐれで餌やって懐かれたから仕方なく餌やり続けてる野良猫
 黒歌:五月蝿い預かり猫
 オカマ:着こなし的な意味で服のチョイスが間違ってる。
 アーシア:顔には出さないが気持ち悪い一択。
 性犯罪者:憐れだな。だが死ね。
 胸:……居たの?
 ホモ:興味無し
 朱:ハリセンボン
 ゼノヴィア:ドゥリンダナを悪魔に引き渡した。絶殺。そのためなら自爆テロも辞さん。
 
 神話体型各位:邪魔さえなければ好きにして。

 帝釈天:嫌がらせならもっと本気出せ。
 ハデス様:おいたわしや…。

 五大宗家並びに神道系:今は耐え時だな。

 『裏京都』:(いくつか前の前世での)娘はまだ生きてんのか?

 八雲:そもそも知らん。
 九重:同上

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