「悪魔を殺して平気なの?」「天使と堕天使も殺したい」   作:サイキライカ

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皆様アンケートありがとうございました。 

多数のご意見に従いアナザールートはそのままとしておきます。

とはいえ見辛いという意見も少なくない。
なので、今回は試験的に次話をアナザールートの下に投稿します。

再びご意見を募らせていただきますので、宜しければまたご意見をお願いします。


言った筈だ。正面から不意打ちだって。

 再度開かれた戦端は、その始まりから苛烈を極めた。

 

『主よ、愚かしき叛骨の徒の末路を御照覧あれ!!』

 

 『魔獣創造』により生み出された幾頭もの四足の狗を伴いデュランダルⅡを構え飛びかかるストラーダ。

 しかし舞沢は使い手の意を汲んで柄を伸ばし槍と成したドゥリンダナを奮い、獣全てを斬り裂き捌ききる。

 だがそれはストラーダも想定内。

 デュランダルⅡを振るいドゥリンダナを打ち上げ開いた右半身に光力を纏った左腕を突出す。

 

「足りねえよ」

 

 しかし舞沢は走圏を駆使し回転しながら左腕を盾でパリィして剣へと柄を縮めたドゥリンダナを振るう。

 

『ぐぅっ!?』

 

 膂力に加え遠心力をも加算させたドゥリンダナの迅速の斬撃を身を沈め紙一重で躱したストラーダだが、兜までは間に合わず髑髏の意匠を施された兜は首を刎ねられたように宙を舞う。

 神より賜った鎧を損なう失態に己の至らなさと成した舞沢への赫怒に意識を染めるストラーダだが、反して状況はそれを許さない。

 舞沢はダンッ!!と地面が浅く陥没する程の震脚を踏み、左肘を眼前のストラーダに振り抜いていた。

 逡巡の間も置かず両腕を盾に肘を防ぐも繋げた虎爪掌が腕を落とし逆袈裟にドゥリンダナが振りあげられる。

 

「甘いっ!!」

 

 しかしストラーダとて一度は神域に足を掛けた武人。

 振りあげられたドゥリンダナをデュランダルⅡの柄尻で叩き落とし光力の波動を放つ。

 だが舞沢は焦る様子もなくバックラーで波動を防ぎながら後退。

 仕切り直される戦場、互いにさしたる手傷を負うことなく、しかし天秤は僅かにストラーダの不利へと傾けられた。

 

「成程。

 確かに言うだけはあるようだな」

 

 自然とストラーダの口から賛辞が溢れる。

 武器は当然ながら、なによりもファランクスという古い技術とドゥリンダナを組合せたその堅牢さがストラーダを感心させた。

 それも当然。ドゥリンダナとファランクスの組み合わせは舞沢が相当昔から考えていたモノだ。

 ヘクトール将軍程に才能は無いと自覚していた舞沢は、ならば自分なりのドゥリンダナの扱い方を模索した。

 そうした中で舞沢はスパルタでファランクスを身に着け、それの問題点こそドゥリンダナに相応しいのではと着目した。

 護り、持久戦に高い効果を発揮するファランクスだが、反して重歩兵で獲物が槍である以上近距離での立ち回りは話にならない。

 だがイピクラテス式の軽歩兵仕様なら機動性を確保し、かつ剣にも槍にもなるドゥリンダナなら距離に応じた形態で対応出来る。

 剣でも無理な至近距離なら八極拳で殴り飛ばせばいい。

 そうやって考えに考え尽くし、集団戦術であるファランクスを単一で運用する立ち回りを研究し、そこで己に足りない要素を集め鍛錬以外の掛けられる時間の大半を注ぎ込んで研いたドゥリンダナ専用の戦技こそが今からストラーダが相対しているものだ。

 千年以上の積み重ねは、盲たとはいえ格上である筈のストラーダを確かに追い詰めていた。

 

(しかし解せぬ) 

 

 ドゥリンダナの錆と散った狗を再生産しながらストラーダは一つの疑問を過ぎらせる。

 

(あの盾、一体何だ?)

 

 主より直接洗礼を受けたストラーダが現在内包する光力はセラフに並ぶ。 

 だというのに、あの盾は並の悪魔なら塵も残さぬほどの光力を防ぎきった。

 

(金属ではないからアイギスの盾ではない。

 同じくプリドゥエンでもない。

 飾りの無さからオハンも否)

 

 神器(セイクリッド・ギア)の中に含まれていない知り得る限りの神話に連なる盾を挙げるもその特徴から候補を省き、一枚だけ特徴に当て嵌りそうな可能性に至る。

 

(大アイアスの盾。

 それがあの盾の正体か)

 

 トロイア戦争に名を残す七枚の皮を重ねた盾。

 その逸話から放たれたモノに対して絶大な防御力を秘めているというのはなんらおかしくはない。

 サイズが小さいことは不可解だが、他に思い当たるような強力な盾はない。

 舞沢の経歴を知っていたら絶対にあり得ない結論をそうだと決め付け、ストラーダは狗をけしかけながら自らもまた前に出る。

 

(如何に大アイアスの盾であろうと主の加護によりデュランダルを超えたデュランダルⅡを正面から防げる道理はない!!)

 

 盾を落とさぬ限りデュランダルⅡ以外は役に立たぬと先ずは盾を狙い剣を振り下ろす。

 

「シィッ!!」

「ひゅう」

 

 裂帛の気合と共に振り下ろされたデュランダルⅡを舞沢は盾ではなく独特な呼吸と共にドゥリンダナで受け流し、そのまま背中からショットガンを抜いて半歩下がりながら引き金を絞る。

 放たれた散弾は衝撃でストラーダの追撃の手を止めさせるも、しかし鎧に傷を付けることなく弾かれる。

 

「鉛玉程度が主の御加護に傷を付けられるものか!!」

 

 銃は牽制にしかならぬと嘲り開いた間を詰めようとしたストラーダだが、舞沢がショットガンを手放しその手にピストルを握っていることに気付き瞬時に射線から外れる。

 

(あれは先程デュランダルの柄を破壊した銃。

 アレだけは危険だ)

 

 先程デュランダルを奪われた事からあの銃の弾には何らかの処置がしてあると危険度を高める。

 故にストラーダは狗を前に出す。

 

「チィッ!!」

 

 大量の狗に対し舞沢はドゥリンダナを腰にファランクスを解いて八卦掌を中心に拳法で捌き更にピストルを3発連射して狗を消し飛ばす。

 

(やはり奴の切り札はそれか)

 

 姿を消していた時と同じ様子で狗が消滅したことを見たストラーダは、やはり銃はこそ真っ先に破壊すべきと狙いを定める。

 そして舞沢が銃を六発撃ちきりシリンダーから排莢した所を狙い七匹の狗を舞沢にけしかける。

 

「嫌なタイミングを!!」

 

 再装填の間を突かれ悪態を吐いて装填を中断し七匹の狗を殴り飛ばす。

 その隙をストラーダは突いた。

 

「貰った!!」

「っ!?」

 

 拳を引き戻す際に生じる隙、卓越した舞沢であっても生物である限り無くすことは叶わないその緩みを正確に突かれた舞沢は、間を作るためリボルバーを手放し敷居とする。

 当然大量生産品である()&()a()m()p();()()が、模造品とはいえ聖剣を防げる筈も無く微かなラグを生むだけで真っ二つに切り裂かれる。

 憂いは断ったとストラーダは決着を着けに走る。

 

「地獄で主に侘び続けろ!!」

 

 放てる最大の光力を込めたデュランダルⅡを振り上げる。

 悪あがきか舞沢は稼いだ間でショットガンを向けているが、通じないことは既に証明されていると無視しそのまま振り下ろす。

 それが、罠だと気付いたのは終わってからだった。

 

 ドパンッ!!

 

 デュランダルⅡが舞沢に届くより先にショットガンから散弾に加工された()()()が吐き出される。

 禁呪弾は着弾と同時に『滅びの魔力』を発してストラーダの胸から腹を根こそぎ消し去った。

 

「ごぁっ!?」

 

 支えを失い地面に転がったストラーダは何が起きたのかの全く理解できず、しかし己が致命的に不覚をとったことだけは理解した。

 

「何故、何故、さっきのは…?」

 

 急激に襲う寒気さえ気にならない程疑問を渦巻かせるストラーダに()()()()()()を抜きながら舞沢は口を開く。

 

「簡単な話だ。

 普通の弾とスペシャルな弾を混ぜて突っ込んどいたんだよ」

「あり得ん!!」

 

 死に水を取る気はないが疑問ぐらいは答えてやると告げた舞沢にストラーダは喚く。

 

「その様な詐術、何時から仕込んで、いや、一々記憶して闘い続けるなど正気の沙汰ではない!!」

「あのさぁ、」

 

 常識を叫ぶストラーダに本気で呆れながら舞沢は嘯く。

 

「俺はカミサマに喧嘩売ってる()()()だぞ?

 その程度の立ち回りも出来なくて、なんでカミサマ殺せるんだ?」

 

 そう嗤いさえせずに吐き捨て、舞沢は「まぁ、」と言った。

 

「ヴァスコ・ストラーダが、カミサマに狂っていなかったらこうも上手く嵌める事は出来なかったろうさ」

 

 そう、心から憐れみを籠めてストラーダを見下ろす舞沢。

 

「テメエがカミサマの力に頼らず磨いた武だけで俺を殺しに来ていれば。

 テメエが神滅具なんつう()()()()()で燥いだりして無かったら。

 他にもあるが、テメエが()()()なままだったなら俺は普通に負けてたろうさ」

 

 過大も過小もせずそう評価を告げる舞沢。

 

「…く、くく」

 

 その言葉を聴きストラーダは低く嗤う。

 

「儂が()()()であったらだと?

 儂は変わってなどおらぬ!!

 貴様の様な卑怯者が偶々儂を殺す機会に恵まれただけだ!!」

 

 そう吐き捨て、天を仰ぎ叫ぶ。

 

「主よ!! この卑しき魂全てを貴方に捧げます!!

 どうか、どうか地上全てを貴方の愛で満たしてください!!」

 

 そうあらん限りの声を振り絞り、ヴァスコ・ストラーダは絶命した。

 

 ストラーダの完全な死を見届け、舞沢は軽く肩を鳴らす。

 

「さて、準備運動はこれぐらいでいいな」

 

 そうごちてストラーダの遺体からドゥリンダナに使われていた鞘を奪い、ベルトを調節して腰に吊るし突き立てたままだったトライデントを掴む。

 しかし次の瞬間、舞沢の手はトライデントから弾かれた。

 

「…ちっ、ポセイドンに気付かれたか」

 

 使ったのが匙ではないとバレて封印されたらしい。

 僅かに走る痺れを振って逃し、トライデントはそのままに舞沢はハデスの隠れ兜を被って『方舟』へと足を向けた。

 

「直接会うのは三千、いや、二千年ぶりか」

 

 そう漏らした声はエルサレムの乾いた風に掻き消されて消えた。




ということでお爺ちゃんはお休みになりました。

余談ですが盾は大アイアスの盾ではありません。
勘のいい人なら本編での活躍から正体がわかるかも。

そして今更主人公の本来の戦闘スタイルが判明したという。

徹底的に相手に誤情報を信じさせるよう立ち回ってからの騙し討ち。

…こいつ、主人公でいいんだろうか?

そして書き終えてから気付いたんだけど、主人公の戦闘スタイルがヤーナムの狩人を彷彿とさせた。

最新話の位置について

  • このままアナザールートの後でいい
  • 以前の状態に戻したほうがいい
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