「悪魔を殺して平気なの?」「天使と堕天使も殺したい」   作:サイキライカ

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前回のあらすじ

ヨシュア「(鍵を差し出しつつ)頼むペドロ。 いつかでいい。 父に、デュエルには愛があるのだと教えてくれ」
ペドロ(舞沢)「(鍵を受け取り)……分かったよ」

〜約2000年後〜  

聖四文字(以下聖四)「人が争いを止められないのはデュエルがあるからだ。 だから私は世界を滅ぼしデュエルの必要の無い千年王国を樹立する」
舞沢「(デッキトップを掴みながら)そんな寝言は勝手にほざいて…」
ビルガメッシュ『忘れるな我が民よ!! 俺達はデュエルが楽しいからデュエリストなのだ!! それを分からぬ輩に言ってやれ。 お前はデュエルを愉しんでいるかとな!!』
舞沢「……そうか。 そう、だよな王よ」
舞沢「なあ、聖四文字。 お前は、一度でもデュエルを楽しいと思ったことがあるのか?」
聖四「デュエルにそんな無駄は必要無い」
舞沢「デュエルが楽しくないなんて、憐れだよ聖四文字!!」
舞沢「俺のターン!! ドロー!!」
舞沢「俺は手札から儀式カード『彼方への呼びかけ』を発動!! 場のオーフィストークンを生贄にヨグ・ソトースを召喚!!」
聖四「馬鹿な!? アウターゴッドシリーズはあまりにも危険すぎる故に地上から一切の痕跡さえ残さず抹消した筈!? それを何故!!??」
舞沢「ヨグ・ソトースの効果発動!! ヨグ・ソトースの召喚後デッキ、墓地、エクストラ、除外を問わず『アウターゴッド』と名の付くカードを場に好きなだけ配置できる!!」
聖四「やらせん!! その効果の発動前に手札から『神の一撃』を発動!! 手札の二天龍を除外しヨグ・ソトースの効果を無効化しその使用を完全に禁止とする!!」
二天龍『俺達の扱い!!??』
舞沢「ヨグ・ソトースは潰されたが射線は開いた!! 装備カード『ドゥリンダナ』をモンスターゾーンに移動させダイレクトアタック!!」
聖四「何故だ!? 何故お前はそうまでして抗うのだ!?」
舞沢「決まってんだろ? デュエル『が』楽しいからだよ!!」
聖四「デュエルが…楽しい?」
舞沢「俺達はデュエルで勝つことだけが目的なんじゃねえ!! 勝ったり負けたりしながら競い合うことを楽しむのも目的なんだ!!」
舞沢「誰かとするデュエルは、勝つか負けるか()()()()()から楽しいって思えるんだ!!」
舞沢「だから俺達は人間(デュエリスト)なんだよ!!」
舞沢「穿けドゥリンダナ!!」
聖四「ウォォォオオオオオ!!??」LP0

勿論大嘘なんだけど、大体合ってた件





遊ぼうぜ。

 核である聖槍と器を破壊した事で聖四文字は崩壊し始める。

 しかしまだ諦めきれないというのか、ドゥリンダナを抜き鞘に収める俺に向けて言葉を紡ぐ。

 

「…お前達は、弱い」

 

 指先から塩の塊へと変わりながら聖四文字は言う。

 

「今のまま進もうとも、お前達は互いを憎み、争い、殺し合って、やがて滅びを迎えるだろう」

「だろうな」

 

 争いが無い時代なんて何処にも無かった。

 人間が悪を捨てて生きることは一度も無かった。

 誰も奪われることのない世界なんて存在しなかった。

 だが、それでも確かに前に進んで来た。

 だからこそ、今までの事を無かったことにして神様の庇護下で生きていく(後戻り)なんて事は出来ねえんだよ。

 

「お前達だけでは滅びを乗り越えられぬ。

 だから私がいる」

「それはもう過去なんだよ」

 

 数多の神が手を離し、人が神を伏して崇めるものから過去の物語へと変えた時点でお前達()の役目は終わっていた。

 

「俺達は滅びが何なのか、それを乗り越えるのに何が必要なのか、それを知るために俺達は誰の手も借りず俺達だけで先に行く。

 俺達の()()()は済んでんだ。

 テメエも()()()を済ませろよ」

「…そうか」

 

 私達は、もう必要はないのだな。

 その言葉を確りと聞き、ヨシュアとの約束は果たしたと俺は聖四文字に背を向ける。

 

「滅びの先を目指すと言うなら行くがいい。

 その果てに見るものが、得るものがお前達の望むものであることを私はいの…」

 

 最後の言葉は凄まじい雷音に掻き消された。

 

「っ!?」

 

 突然の雷音に殴られたような衝撃を受けバランスを崩したが、なんとか体勢を保ちながら振り向くと、そこに聖四文字の姿はなく、血に汚れたゼウスが立っていた。

 聖四文字が立っていた場所に佇むゼウスは、俺に構う様子も無く愉快そうに哄笑した。

 

「ガハハハハハハ!!

 見たことか聖書の神よ。

 貴様の傲慢なる野望は貴様が愛そうとした者の手で打ち砕かれたぞ!!

 『全ての道はローマに通ず』とは人間もよく言ったものよ。

 やはり真に正しき神は我等オリンポス、いや、この私はゼウスであったのよ。

 ガハハハハハハハハハ!!」

 

 …ああ、そういや聖槍に封じられてたんだっけあの下半神。

 関わりたくないから放ったらかしてたけど、美味しいとこだけ横取りしに動いたみたいだな。

 しかも俺を勝手にオリンポスの傘下扱いしてやがる。

 まあ、トロイアはギリシャ圏だから間違いとは言わねえが持ち出されたら否定しておこう。

 どっちにしろ興味を持ちたくもないし、放っといて帰ろうとしたのだが、ゼウスは目敏く俺に声を掛けやがった。

 

「待つがよい。

 我が威光に恐れを成すは無理も無いが、褒美の一つも賜わらずに下がらせては主神の沽券に関わろうというものだ」

 

 死体蹴りでよっぽど機嫌がいいらしく、俺のガン無視を好意的に解釈し馬鹿みたいに笑いしながら俺の肩を掴んできやがった。

 今の装備なら全殺しも可能なぐらい弱っているのが見て取れるから、トロイアの恨みを込めて今すぐぶち殺してもいいんだが、正直、そんな手間暇かけてやるような義理さえコイツにはない。

 

「失礼しました大神ゼウスよ。

 今の御身の御姿を見る事を不敬と思い退しようと思いましたが、考えが足りなかったようで深くお詫びします」

 

 つうわけで、外っ面だけ取り繕って傅きながら思ってもいない言葉を適当に並べる。

 しかしゼウスはそんな事に全く気づいた様子もなく更に機嫌を良くした。

 

「ふむふむ。

 お前の気遣いは実に素晴らしい。

 だが偉業を成したものがその様に遜るのは感心せんなぁ」

 

 嘘つけ。

 そうしたら気に入らねえで殺すのがテメエだろうが。

 

「まあ良い。

 して、今回の大義見事であった。

 褒美として、お前に儂の娘の一人を妻とすることを許し、お前をオリンポスに列することを許そうではないか」

 

 …冗談じゃねえぞ。

 ゼウスの娘って、アテナとアルテミス以外の殆どがテメエの()()()()じゃねえか。

 ハデス様個神なら兎も角、オリンポスの紐付きになるつもりがねえし、なによりオリオンの末路を知っていて神を嫁になんか欲しがるわけねえだろ。

 

「大神ゼウスよ。

 許されるならば願いが一つ」

 

 とにかくこの場を逃げ切るため、俺は適当に対価になりそうな願いを口にする。

 

「私は予てより英雄ヘクトール将軍の生涯に強い憧れを抱いております。

 それ故に対価をと申されるならば一つ直接お伺いしたい事があります」

 

 主神相手に正面切っての要望だ。

 決して安くはないだろう。

 

「大神ゼウスよ。

 何故にトロイアを戦地と選ばれました?

 かの時代、トロイアと同じ程に栄えていた国は他にもあった筈。

 しかし大神ゼウスはトロイアを戦地にお選びになられた。

 その真意を知る事を報奨として望みます」

 

 おべんちゃらを並べつつさして知る意味も無い事を尋ねる。

 実際、その理由はトロイアの王プリモアスの前王ラオメドンの()()()()が尾を引いていたのだろう事は察している。

 ラオメドンはアポロンとポセイドンとの約束を反故にして喧嘩を売った揚げ句、最後はトロイアを助けたヘラクレスにまで約束を反故にするなんて馬鹿をやらかして殺されたが、ラオメドンこそがトロイア終焉の引き金だったのは間違いない。

 

「その問いに神妻を娶る以上の価値があるのか?」

「私にとって最上の愉悦は啓蒙を得る事。

 女の柔肉を抱くより、啓蒙に脳を震わせるほうがより愉悦を得られるのです」

 

 強ち嘘でもないしな。

 転生を繰り返した中で性欲なんざ殆ど無くなったし、それでもっつうなら白音に頼めば済む話だ。

 

「ま、まあ、そういう人間もたまにはおるか。

 しかしトロイアか…」

 

 納得した様子だが、何故か歯切れが悪くなる。

 

「…まあ、よかろう。

 ただし、他言無用とせよ」

「? わかりました」

 

 どういう意味だ? 

 ラオメドンは関係無いのか?

 表に出さず疑念を過ぎらせる俺にゼウスは言う。

 

「お前達がパリスの審判と銘打ったあの林檎だがな、実を言うとあ奴にくれてやったわけではないのだ」

 

 ……は?

 

「宴席に加えられなかったとエリス神が最も美しい女神に渡ると黄金の林檎を投げつけてきおってな。

 それをヘラ、アテナ、アフロディーテが奪いあった挙げ句儂の手に転がり込んで来たのよ。

 誰に渡そうと恨まれるのは面倒だから地上に投げ捨てたら、偶々あの羊飼いが拾ったのであ奴に押し付けたのよ」

 

 ………。

 

「今思えばあれこそ我が天意の現れそのものであった。

 特にお前が絶賛したヘクトールは実に良い働きをした。

 只人で有りながらアキレウスを相手にあれ程の粘りを見せたことは実にみごとだった」

 

 ……………。

 

「ヘクトール将軍は大神ゼウスに連なる系譜に列しておりましたが?」

 

 あれ? 何勝手に口が動いてんだ?

 

「……はて?

 そうだったか?

 抱いた女の事など一々憶えておらんからな。

 しかしだと言うなら流石儂の血だ。

 やはり英雄は儂の血を引いて然るべきなのだ」

 

 ガハハハハハハと耳障りな笑い声を撒き散らすゼウス。

 正直今すぐブチ殺したくて堪らないが、殺るだけ時間の無駄だ。

 そもそも大凡の神にとって、人間とは()()以下の()()でしかない。

 見目が気に入れば摘み取って玩び、気に入らなければ踏み潰す。

 そんな奴等が繁茂していたからこそ、神の中で唯一()()()()()()()()()だった聖四文字は世界中に勢力を広げ、繁栄を成した。

 聖四文字の降す天罰は理不尽な間引きでは無く悪を改心しない人間への裁き。

 聖四文字の与える試練は神のためでなく其の者が天へと昇るための禊。

 そう嘯き、自らが人を愛する神だと吹聴する言葉は多くの人間に希望を抱かせた。

 最も、だからといって信徒や天使のあくどいでは済まないような弾圧や虐殺が肯定されるわけではないし許す気も無いが。

 だからこそ、無視して帰るのが(こいつら)には最も効果的だ。

 さっさと帰ろうと立ち上がった俺は、不意に右手に何かを掴んでる事に気付いた。

 なんだ?

 いつの間にと不思議に思いつつ手を開いてみると、手の中には血塗れの()()が握られていた。

 

「……あ?」

 

 なん、…っ!?

 反射的に全力でその場を逃げると、直後、()()()が今いた場所を凄まじい速度で通り過ぎた。

 

「キサマァァァァアアアア!!

 儂の睾丸を、儂の王権をよくも奪い去ってくれたな!!!!」

 

 次いで響き渡る雷音のような怒号。

 そちらを見れば、股ぐらを血塗れにしたゼウスがこれでもかと言うぐらいブチ切れていた。

 

「………ああ、そういう事ね」

 

 どうやら俺は、ついさっきまで()()()()()()()()()()()()()()。 

 何処から幻覚だったかはもう判らないが、まあ、そんな事は些事だろう。

 そもそもヨグ・ソトースを見ておきながら発狂死を免れていただけで御の字だった訳だし、聖四文字が消滅しているのは間違いない。

 

 ならばもう、前だけ見て生きる理由はない。

 

 だから、折角だ、()()()()()()()な事をしてみよう。

 

殺して(遊んで)やるよ糞下半神」

 

 差し当たり、滅んだトロイアの怨みをそう仕向けた張本人に叩き付けてやろうじゃないか。

 

 




主人公が幻覚を見てたのはゼウスの台詞を聞き終えてからです。
怒りで発狂状態が暴走し不意打ちでゼウスの()()をもぎ取りました。

次回は対雷神と、そろそろ他の様子も入れなきゃな。

そしてどうでもいい話だけど、今回一番時間が掛かったのはあらすじだったりする

最新話の位置について

  • このままアナザールートの後でいい
  • 以前の状態に戻したほうがいい
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