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ほんの僅かな刹那の時、それぞれが反対側吹き飛ばされた星那と詠を、一つの影が受け止める。
「えっ? おと……優斗」
がっしりと抱き留められた星那は、仮面の下で頬を紅く染めてしまう。
父親だとはいえ、永らく共に暮らしてはいなかった訳だし、見た目が明らかに父親というには若い。
抱き締められれば照れてしまうのも無理はない。
そしてもう一人……
「ちょっ、優斗!?」
同じくユートに抱き留められて、狼狽をしながら顔を紅潮させる詠。
どうしてか詠にも解らないが、こんな風にユートの腕の中に居ると安堵をしてしまうし、何だな照れてしまう自分が居た。
「ぼ、僕は男だから星那みたいに助けてくれなくても大丈夫だ!」
それが少し悔しいのか、ちょっと突っ慳貪な態度になって詠は無理に身体を引き離す。
「そうだな、
「う、うん……」
『
「この模擬戦は引き分けとする!」
檄がそう宣言をした。
その後、ペガサスの光牙VS
オリオン座のエデンVS
この組み合わせで模擬戦が行われた。
因みに、
「そういえば、栄斗ってのはどうしたんだ?」
「
「
ユートの疑問に龍峰が答えてくれたが、それを聞いたユートは白銀聖闘士である
「確か、
弟子が何処の誰かまでは知らなかったが、元は自分の青銅聖衣──
聖闘士資格や聖衣は世襲するモノではなく、星の導きと聖衣に選ばれる事。
だが、皆無でもない。
「正直、君のその知識が何処からくるのか知りたい気もするね」
苦笑いの龍峰。
少しばかり情報を公開し過ぎたらしい。
「まあ、今は良いか。君は聖域で聖闘士の資格を得たみたいだし、聖闘士発祥の地なら色々と情報や人脈も在るだろうしね。だけど、あの廬山龍飛翔や
「廬山龍飛翔は教皇や黄金聖闘士・天秤座の翔龍が使う技だね。小宇宙を纏った状態で自らを昇龍覇で真っ直ぐ飛翔させる技かな?
一巡目での前聖戦に於いても、
「不幸な行き違いがあり、
本人から……
「そうだったんだね」
「龍峰なら使えるんじゃないかな? 要修業だけど」
「父さんや義兄さんが使っている技を?」
「頑張る価値はあると思うんだけどな……僕も使える訳だしさ」
「そう……かもね」
龍峰は少しばかり考えてから頷いて応える。
この後、ユートから適宜アドバイスを受けながら、技の訓練をする龍峰の姿が見られたと云う。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ユートの部屋には仮面を取り去り、ベッドの上にてユートに甘える星那──但し実の娘だからエロ無し──の姿が在る。
ヒルダの娘……姉達に比べると甘えられなかったが故か、こうやってたま〜に甘えに来ていた。
ユートも生まれていた事を知らなかったとはいえ、星那に余り構ってやれなかったからなのか、特に拒む事もない。
「ねえ……どうしたの? お父さん」
「うん?」
「難しい顔してる」
「ああ、檄が言っていた事で……ね」
「檄センセが?」
「二つの案件について相談をされてね」
この場に居る最高権力者は学園長……
一応、十二宮黒鍛聖闘士は黄金聖闘士に準じる権力を持っているが、その場に黄金聖闘士が居るのなら、やはりそちらの権威の方が高いのである。
まあ、ユートが黄金聖闘士だと知るのはミケーネと檄と市、弟子であるエデンと娘の星那くらいだが……
「二つの案件って?」
「一つ目は鋼鉄聖闘士養成所との合同訓練。二つ目がアテナのパライストラ視察の件だな」
「鋼鉄聖闘士って、機械の聖衣を纏う聖闘士だよね? そんな計画があるんだ」
「まだ早いと思うんだよ。青銅聖闘士仮免生の中でも純パライストラ生、一部とはいえ鋼鉄聖闘士をバカにしている者も居るからね。それに那智や蛮に聞いた話だと、鋼鉄聖闘士候補生も正規の聖衣を与えられている聖闘士に、隔意を持つ者も居るらしいし……」
「ああ、ありそうね」
幸いにも龍峰や詠などにそんな意識は無かったが、筆頭は
要するにアレだ、上には上が居る上昇思考とは真逆な考え、下には下が居るという訳だ。
エリート様やサラブレッドな同期の聖闘士仮免生、そういうコンプレックスを刺激される存在が身近に居る中で、自分を保つ為にも小宇宙を使えなかったり、ある程度は使えても星座の導きを得られなかったりすると、実力次第で精霊などを象る聖衣を与えられるのだが、大抵は鋼鉄聖衣という機械仕掛けの聖衣を与えられて鋼鉄聖闘士となる。
「軍に無理矢理例えると、教皇が元帥、黄金聖闘士が将官、白銀聖闘士が佐官、青銅聖闘士が尉官、雑兵が下士官といった感じだね。それで精霊聖闘士は白銀と同格──例外在り──で、十二宮黒鍛聖闘士が准将、他の黒鍛聖闘士は聖衣の元となった階級に準ずるし、鋼鉄聖闘士は准尉って感じになるな」
青銅聖闘士は低くとも、少尉……或いは三尉だ。
小宇宙を使えずに機械に頼るからには、どうしても実力主義によって成り立つ関係上、正規の聖闘士より下になってしまう。
戦闘能力にしても聖衣の武装が有る分、雑兵よりはマシな程度でしかない。
所詮は機械で足りていない能力を補っているだけ、小宇宙という爆発的な力の発露の源を持たねば、超人にも等しい力は得られないのだから。
ユートが造る鋼鉄聖衣であれば、氣と魔力の合一による小宇宙に程近いエネルギーを得られるから結構、強くなれるのだが……
麻森博士やグラード財団スタッフでは、どうしてもそこら辺のシステムを構築が出来なかったし、量産型鋼鉄聖衣に後付けをしようにも拡張性が低くて無理。
というより、システムの問題から後付けが出来る類いの物ではない。
外付けや後付けの出来ないシステムである以上は、初めから組み込む事を前提に造るしかなかった。
況して、そんなバカスカと量産が出来る物でもなかったから、ワンオフ程ではなくとも数を用意出来ないのが痛い。
其処で少し方向性を変えてみる事にした。
生体エネルギー系のシステムは難しいが、装甲板を変える事は出来る。
神の闘士を相手にどれだけ有効かまで判らないが、装甲板を
これも数を揃えるのには時間が掛かるが、陰陽合一法を組み込むのに比べればコンスタントに出来る。
純粋なエネルギー攻撃には意味を為さないにせよ、物理的な攻撃からは可成りの防御を期待出来たから、現在は急ピッチで鋼鉄聖衣の装甲仕様を変えていた。
閑話休題……
聖闘士を目指す人間には何種類かがあり、食い詰めた人間──孤児など──が門戸を叩く場合、他の神の闘士に家族を殺された復讐者の場合、家族が聖闘士だから成り行きでなる場合、純粋に愛と平和を護りたい場合などだ。
鋼鉄聖闘士だとはいえ、生命を懸ける分はグラード財団から決して少なくない手当てが出るし、衣食住に困る事もないから孤児などが食に困ると門戸を叩く。
それは、正規の聖闘士も鋼鉄聖闘士も変わらない。
やはり決定的なのは……
「人間の性根だな」
ユートは嘆息をすると、膝に乗せた星那の頭を撫でてやる。
星那は擽ったそうに目を細め、その感触を楽しんでユートに身を委ねた。
やはりまだ時期尚早であると判断するが、檄達としてはそれを解消する為にも早目に第一回目の合同訓練をしたいらしい。
檄だけでなく、鋼鉄聖闘士養成所のグレートティーチャー(笑)の那智と蛮も、どうやら同じ意見だとか。
実際に問題が起きたら、第二回に向けて話し合いをして解決案を模索しようという事な様だ。
「まあ、案ずるより産むが易し……かな」
そんな事を考えてると、ノックがされて扉が開く。
「優斗、話したい事が……ごめん!」
それは詠だった。
詠はユートと星那の姿を認めると、真っ赤になって謝り扉を閉める。
端から見るとイチャイチャする男女の図な為にか、詠はどうもそこら辺を勘違いしたらしい。
仕方無くユートは詠を追い掛け、部屋へと引き摺り込んでやった。
「ねぇ、詠……何で目を逸らしてんの?」
何故か顔を背けて目を逸らす詠に、星那が小首を傾げて訊ねると……
「仮面を着けろ、このバカ星那!」
今も尚、目を剃らした侭怒鳴ったものだった。
女性聖闘士の仮面の掟、本来聖闘士の世界はアテナ以外では女人禁制であり、若しも女子で聖闘士となる場合は、女である事をかなぐり捨てるべく素顔を仮面で覆わねばならない。
故に、女性聖闘士が仮面の下の素顔を視られると云う事は、女である自分の姿を視られるに等しく、裸を視られるより屈辱的な事だとされ、男に素顔を視られたら視た相手を殺すか……若しくは愛するしかないのだと云う。
例外は家族や恋人など、覆い隠す必要のない相手の場合だ。
また、アテナの侍女として選出された聖闘士だと、仮面を着ける必要は無い。
アテナは女神であるし、その肉体の世話をするのはやはり女性の必要があり、故にこそ仮面で女を捨てた女性聖闘士ではなく、女性の侭に聖闘士となれる者を数名だけ赦されていた。
その条件は完璧な女性──純潔──である事。
まあ、闘うメイドさんと思えば間違いない。
そんな特殊な聖闘士を、
星那は
見た目的に詠や星那とは同い年に見える様に設定をしており、詠からしたなら仮面を外して接する仲──恋人同士──に見えたのかも知れない。
そして、星那は詠が部屋に引き摺り込まれても尚、仮面を外した侭だったからこそ、詠も目を逸らしていたという訳だ。
指摘を受けた星那は仕方無く仮面を着ける。
漸く落ち着いて話が出来ると嘆息をしながら口を開いた詠だったが、図らずも詠の用事とは星那との会話の内容に被ったものがあったという。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「アテナの視察の件か? それなら知っている」
「そう……アテナは療養で余り聖域にも帰らないし、代わりに姫巫女が視察に来る事になったんだ」
「姫巫女ねぇ、アリアと栞と……
詠は頷いた。
アリアは光牙と共に拾われた子供で、アテナの光の小宇宙を浴びて吸収をしており、その縁から姫巫女として教育をされている。
栞の場合、何処からともなく連れて来られた少女であり、愛書家だと云えるくらいに読書好きだ。
そして
ユートが連れて来たと云う意味なら栞と同じだが、栞はユート本人がある程度の面倒を見たのと異なり、初めから詠に託していた。
何故なら、
「それじゃあ、護衛に誰が来るかは?」
「そこまで詳しくは知らないけど多分、
「ああ、確かに人当たりは良いよねぇ」
「やっぱり父さんの事も知ってるんだ」
「そりゃ、
「護衛とは別に僕らから、案内役を出すらしい」
「で、詠が来たなら立候補をしたのか?」
「うん、
認識阻害の術式の所為なのか、ユートが姫巫女の事を呼び捨てても違和感を感じない詠は、普通に会話を続けている。
「それでさ、ユートが向こうの意向で推薦されたみたいだよ」
「うん? 僕が?」
「そう、アリアと栞の二人の姫巫女から」
「……そうか」
迂闊と言えば迂闊。
確かに案内役を選出するなら、詠が立候補しなくても
それと同じく、アリアと栞ならユートを選ぶ筈。
何故ならば、この二人は聖域でもユートと仲良くしていたのだから。
また、ユートが双子座の黄金聖闘士であると知っているし、パライストラに来ているのも知っていた。
ならば、知らない相手に案内をされるより知り合い……取り分け親しい相手に案内された方が良い。
特に人見知りな部分があるアリアだと、その傾向が顕著になっていた。
「それで檄先生に、立候補した僕と向こうから選ばれたユートで、もう一人を選ぶ様に言われたんだ」
「成程、それが本題か」
視察に来る姫巫女は三人──アリア、栞、
「星那で良くないかな? 確か星那ってアリアと仲が良かっただろう?」
「うん、そうね」
一巡目の世界と異なり、エデンとは特に関わりが無かったが、代わりに教皇の間に最も近い双魚宮に出入りをして薔薇を育てていた星那は、武器になる薔薇だけでなく普通の薔薇も育てていた為、姫巫女に薔薇を贈る事をよくしていた。
お陰で三人の姫巫女とは御茶会をするくらい仲が良くなり、人見知りなアリアもユート以外で心を開いた数少ない相手だ。
「(アリアにお兄様呼びをしないよう、釘を刺しておかないとな……)」
対外的には同い年くらいなのに、双子座の黄金聖闘士の時みたく『お兄様』と呼ばれては困る。
栞に関しては、現状だと唯一の戦闘力を持つ姫巫女であり、特に心配もしてはいなかった。
護衛? 寧ろ、アリアと
本来だと、栞はユートの冥闘士なのだから。
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【聖闘士名鑑34】
名前:アガシャ
年齢:?
属性:水
階級:青銅聖闘士
聖衣:百合星座
誕生日:?月?日
血液型:?型
身長:?
体重:?
出身地:ギリシア・ロドリオ村
修業地:ギリシア・聖域
必殺技:王魔薔薇(ロイヤルデモンローズ) 黒鋸薔薇(ピラニアンローズ) 紅血薔薇(ブラッディローズ) 吹雪薔薇(ブリザードローズ) 睡魔薔薇(スリーピングローズ) 麻痺薔薇(パラライズローズ) 雷鳴薔薇(ライトニングローズ) 旋風薔薇(ハリケーンローズ) 守護薔薇(ガーディアンローズ) 光炎薔薇(シャイニングローズ) 虹薔薇園(レインボー・ローズガーデン)
備考:一巡目の前聖戦時代にユートが出逢った少女。本来の流れでは一般人として生きた筈だが、ユートとの出逢いからアルバフィカの後を継ぐ様に聖戦終了後に魚座の黄金聖闘士となるべく修業し、襲名をした。ユートの使徒となり、NDやΩの時代は百合星座として闘っている。暗黒聖闘士との闘いの後、黒鍛魚座を襲名した。
【聖闘士名鑑35】
名前:リネ
年齢:13歳
属性:風
階級:暗黒聖闘士
聖衣:暗黒鷲座
誕生日:?月?日
血液型:?型
身長:?cm
体重:?kg
出身地:?
修業地:?
必殺技:暗黒・鷲竜巻 暗黒回転捕食 暗黒強風鉤爪
備考:鷲星座のユナと同郷の少女。一巡目では死亡をしていたが、二巡目の今回は行方不明となっていた。何故か暗黒聖闘士てなってユナの前に現れる。
【聖闘士名鑑36】
名前:インテグラ
年齢:?
属性:?
階級:精霊聖闘士→十二宮黒鍛聖闘士
聖衣:二影聖衣→黒鍛双子座
誕生日:五月
血液型:?型
身長:?
体重:?
出身地:?
修業地:ギリシア・聖域
必殺技:影海賊蹴 銀河爆砕 交路幻影
備考:一巡目とは異なり、初めからパラドクスと共に聖域で修業をしていたが、やはり仲が悪かった様だ。精霊聖闘士(エレメンタルセイント)の二影聖衣(ドッペルゲンガー)として活動をしている。自分の為にしか力を揮わず、教皇である紫龍のストーカーをしている双子の姉に忸怩たる思いを抱いている。後に優雅に見初められて黒鍛双子座に任命された。影海賊蹴(シャドーバイキングキック)はΖ星アルコルのバドの技である影・海賊虎爪(シャドーバイキング・タイガークロー)の蹴り版。