あの人に出会ったのは、私がドイツで教官をしていた時だった。あの時私は、午前の訓練を終わらせて基地に戻ろうとしていた。
千冬「では、午前の訓練はここまでとする。各自休憩と食事を済ませておけ」
「「「はい、教官!」」」
千冬「よし、では解s――」
ブーーーッ!!!ブーーーッ!!!ブーーーッ!!!」
千冬「どうした?!」
警備員「基地に侵入者です!」
千冬「なに?数は?」
警備員「10人です!今警備のIS部隊が応戦していますが、かなり不利な状況です。それに……」
千冬「なんだ?さっさと言え!」
警備員「………その侵入者、ISを装備していないのに警備のIS部隊を圧倒しているのです」
千冬「なんだと?!」
千冬は驚愕した。とうぜんである。ISは登場してから最強の兵器と言われてきた。それを装備した大勢の警備部隊をたかが10人の、しかもISを装備していない侵入者が圧倒していると言うのだ。驚かない方がおかしい。そして、私の教え子達の部隊である【シュヴァルツェ・ハーゼ】に命令が下った。
『基地に侵入者あり。基地に侵入者あり。シュヴァルツェ・ハーゼは直ちに迎撃せよ』
千冬「よし、私もでる。シュヴァルツェ・ハーゼ!出撃だ!」
「「「はい!教官!」」」
千冬「ラウラ、隊長として、部隊の統率を頼むぞ!」
私は念のため、シュヴァルツェ・ハーゼの隊長であるラウラ・ボーデヴィッヒに指示する。
ラウラ「はっ!お任せください教官!」
そうして私達は侵入者の迎撃に出た
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千冬「な、なんだこれは?」
千冬達が現場に来て見たのは、10人の侵入者にやられて倒れた警備部隊だった。
???「おっ!今度はほねのありそうな奴らじゃねぇか」
千冬「貴様、何者だ!」
???「俺の名は【スコーピオン】。行くぜ嬢ちゃん方!」
『イーーッ!!!』
千冬「くっ!各自応戦!」
「「「了解!!」」」
千冬の指示で各自が戦闘を開始した。千冬は基地に置いてあった打鉄でスコーピオンと、ラウラ達は黒服の戦闘員とそれぞれ戦っている。だが………
スコーピオン「オラオラぁ!どうした嬢ちゃん!さっきから防戦一方だぜ!!」
千冬「くっ!(隙がない!)」
千冬はスコーピオンに攻撃が出来ず、ブレードで攻撃を防ぐ事しか出来なくなっていた。いつもの千冬ならこのようなことは起きないが、相手が悪かった。スコーピオンの一撃は速く、重いのだ。それも千冬以上に。それ故に千冬は攻撃が出来ずにいた。
スコーピオン「オラァッ!!!」
バキィンッ!!
千冬「!??!」
ブレードが叩き折られて、千冬は驚愕し、焦った。千冬でもISのブレードを折ることは出来ない。それを目の前の怪人は意図も簡単に叩き折ったのだ。そして千冬の戦闘スタイルはブレードによる接近戦の為、千冬は攻撃手段を失った事になる。驚きもするし、焦らないはずがない。
ラウラ「教官!?」
スコーピオン「楽しかったぜ嬢ちゃん。だが、これで!」
スコーピオンは止めの一撃を千冬に叩き込む為に右腕を上げる。
千冬「くっ!!(すまない、一夏!!)」
千冬は己の敗北と死を悟り、目を瞑る。だが……
ブゥゥゥゥンッ!!!
ガンッ!!!
スコーピオン「ぐわぁっ?!」
千冬「……………ん?」
千冬は己に攻撃が来ない事に疑問を持ち、目を開ける。そこにはスコーピオンはおらず、代わりに赤と白のツートンカラーのバイク【サイクロン】に乗ったヘルメットを被った青年がいた。
青年「君、大丈夫?」
千冬「あ、あぁ。それより、お前は誰だ?奴らの仲間ではないようだが……」
青年「あぁ。俺は……」
青年はサイクロンから降りてヘルメットを脱ぐ。その青年は世界中のだれもが知っている人物であった。
青年「俺は本郷猛。よろしく、織斑千冬さん」
千冬&ハーゼ「本郷猛!?(((Mr.ホンゴー!?)))」
千冬達は皆驚いていた。それもそうだ。何せ世界的に有名であり、行方不明になっていた本郷猛本人が目の前にいるのだから。
本郷「今は時間がない!そこの二人!織斑さんを安全な野老へ!」
ラウラ&クラリッサ「「は、はい!」」
本郷の指示で、ラウラとシュヴァルツェ・ハーゼの服隊長であるクラリッサは千冬を安全な場所へ連れていく。それを確認した本郷は、スコーピオンと対峙する。
スコーピオン「裏切り者が!あんたから先に始末してやるよ!」
本郷は直ぐに臨戦態勢になり、服をなびかせ、腰にタイフーンを出現させる。そしてタイフーンの風車ダイナモが回り、本郷の身体は黒とダークグリーンの、腕には同じくダークグリーンの二本のラインが入った戦闘スーツの様になり、手にしたバッタの様なヘルメットを被る。
本郷「行くぞ!」
本郷が叫ぶと同時にヘルメットの目の部分が赤く輝く。
スコーピオン「行くぜ!ホッパー!」
スコーピオンは宣言と共に本郷に向かって走り、右の拳を振るう。しかし、本郷はそれを的確に避け、スコーピオンの右横腹に強烈な左ストレートを打ち込む。
スコーピオン「ぐおっ?!」
スコーピオンは本郷のカウンターに対応出来ず、ダメージをもろにくらってしまう。本郷はその隙を見逃さず、続けざまに拳と蹴りを打ち込む。
スコーピオン「はぁ……はぁ……まさか、ここまでやられるなんてな」
スコーピオンは一切の反撃が出来ず、ボロボロになりながら立ち上がる。本郷はこれを好機と見て、大きく飛翔する。
本郷「トウッ!!」
本郷がジャンプすると同時に、右足からスパークが散る。
本郷「やぁぁぁぁぁぁっ!!」
スコーピオンの胸部に【ライダーキック】の派生技である【電光ライダーキック】が炸裂する。
スコーピオン「ぐわぁぁぁぁっ!?」
ドオォォォンッ!!!
凄まじい程のスパークが散り、スコーピオンは爆散する。戦闘員達も、部隊の子達に倒されていた。
本郷「………終わったか」
本郷はこの場を去るためにサイクロンを止めている所へ向かおうとする。
千冬「待ってくれ!」
本郷「………」
本郷は応答はしないものの、足を止めて千冬を見る。
千冬「本郷さん。一つ聞かせて下さい。貴方はその力で、何のために戦っているのですか?」
千冬の質問に、本郷は答えた。
本郷「命は美しい物だ。だから……俺はその美しい物を守りたいだけだ」
本郷はそう言い残し、サイクロンに乗ってどこかへ消えてしまった。
その後、ドイツ軍による捜索活動が行われたが、本郷猛が見つかることはなかった。
後半がかなり無理矢理になってしまいましたが、いかがたったでしょうか。
次回は本郷の束との接触回です。予定では戦闘は入れないつもりです。