灰へと至る巡礼   作:カルガモ大将

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第1話

俺の家系は騎士の家系だった。上流階級で、敬虔な白教の信徒。みんな大好き騎士の国、アストラ。なんか昔に襲われたらしいが、おそらくはそいつから作られたのが邪眼の指輪だろうと推測できる。

で、まあ、御察しの通り、なんでか知らんが俺はダークソウルの世界にいる。運が良ければ人のままで死ねたのだが、悲しいかな、俺の身には呪われた証が浮き出てしまった。人間性が無い時にはお世話になるダークリングだ。

だが、まあ、白教だからなのか、不死になった俺は司祭から不死の使命を伝えられ、防御力重視の騎士装備と、竜紋章の盾、それに、強力な祝福が施された上質な武器ことアストラの直剣、そしてエスト瓶を渡され、ロードランへと送り出されてしまった。

 

カラスの運搬だと思ったら、デーモン郵送で火継ぎの祭祀場まで送られた時はおしっこちびるかと思った。

まあとにかく、俺はこんな感じでダクソの世界で生きのこらなければいけなくなってしまったのだ。

だが、祭祀場にはペトルスが居ないし、青ニートも居ないしで、これ、一番乗りが俺って困りますよ。篝火も勿論火がついてない。これはヤバイ。詰んでる。階段を降りてかぼたんの確認をしたが、やっぱり居なかった。

 

……いやー、キツイっす。

 

取り敢えず、篝火の起こし方から確認しようか。

不死の遺骨を燃やしてるとかなんとか言ってたから、篝火を点火するには、亡者を殺して骨を集めて、ソウルを燃料にすれば燃えるはずなんだ。ほら、火継ぎをするのに王のソウルが必要ってのは、それすなわち莫大なソウルが燃料ってとれるしね。

じゃあ、骨はまあ集められるとして、燃料はどうするのか。

 

……マラソンかなあ。

 

よし、と覚悟を決めて火の付いて居ない篝火から腰を上げる。

 

さて、まずは坂の上の亡者からやりますか。

坂を登り、盾を直剣の柄の部分で叩くことで、近くにいた1人をこちらに気づかせ、襲わせる。

 

緩慢な右の振りを受ける前に右手を上から切り落とし、返す一手で胴体を横に切り裂き、二分割する。

 

よし、まず一体は無力化した。

 

こうしている間にも、もう一体が坂の上から降りてきていた。飛びかかりながら襲ってくるが、それを半身になることで避け、背後からの致命の一撃で殺す。

 

ここから上に行くと火炎壺と斧持ちのコンビネーションがウザいので、今殺したこの2人を祭祀場へと持って帰る。そして、肉を削いで骨だけにし、それを砕いて小さくして篝火の地面に埋めて、今手に入れたばかりのソウルを篝火に突き刺さっている螺旋剣へと注ぎ込む。

 

──ボッ

 

「うぉわぁっ!?」

 

まさか本当に着火するとは思わなくて、驚いて声が出てしまった。だが取り敢えず、これで仮説は証明された。

 

もしも火を継いだとしても、ソウルだけ置いてけば余熱でなんとかなるかもしれない!!!

 

どこぞの上級騎士が余熱でなんとかなるって言ってたのは間違いじゃなかったかもしれんな。

 

さてさて、取り敢えずは篝火で暖をとりますか。

腰を下ろし、とても弱々しい火を眺め、これから先のことを考える。

 

ペトルスと青ニートが居ないってことは、恐らく、他の面々も来ていないだろう。だって、ダークサインが出て直ぐだもんな。いやまて、リロイさんってたしか白教最初の不死人じゃなかったか……? いや、無理だな。今から地下墓地行っても助けられる気がしない。そもそもアッチとコッチで世界線がズレてる可能性もある。あの人鬼強いけど、これはキツイなあ。

……まさか、タルカスやファリスもここに来る可能性があったりするか? いやどうだ? バーニス騎士団とかは別ルートで来た可能性もあるが、ううむ。団体客はどんな感じでロードランに巡礼してるのかが分からんな。

というか、そもそも俺に火は継げるのか? オンスモとか倒せる気がしないんだけど。あんなん白呼ばんと無理じゃって。人間性がゴリゴリ減っちゃうよぉ〜。

 

あ、そうじゃん。俺以外にも巡礼者が来るんだから、そいつらに継がせればいいじゃないか! なんたる名案! 俺は天才か!

そうと決まれば早速行動だ。篝火から腰を上げ、亡者たちをバッタバッタ薙ぎ倒しながら今度は城下不死街まで進み、篝火を点火……あれ、ないぞ。篝火が無いぞ。え、篝火が無いって、え? なぜに?

 

……また篝火を作らないといけないのかあ。

 

殺した亡者達はソウルの業で取り込むことが出来ないので、それを引きずりながら、祭祀場と不死街までを行ったり来たりして全部持って帰る。

 

「まじかあ……」

 

だが、祭祀場の篝火の火が消えていた。やっぱ、火力が足りなかったのかね。また亡者たちを骨だけにして着火。だが、やはり火の力は足りない。ゲームだと、座れば世界線が変わるからなのか雑魚MOBが復活していたが、この世界では、というか、火が弱いからなのか、雑魚MOBが復活しない。取り敢えず、この調子だと雑魚MOBは復活しない世界だと捉えるのがいいだろう。

 

今度は城下不死街で見かけた、まだ殺していない亡者を殺して周り、不死の商人の元へと向かう。

 

「おやおや、あんた、珍しい。まともな奴が来るとはね」

 

「そんなにもか」

 

「ああ。呪いの証が出てから、そうだな、それなりに経ってるんだ。この街はお互いに殺しあって、結局、まともな奴は居なくなっちまったよ」

 

そうか、ここは不死を迫害する地域だったのか。それとも、不死人しかいない街だから、城下不死街なのか。まあ、どちらでもいいか。

 

「なあ、あんた。取引しないか?」

 

「何とだ」

 

商人の干からびた顔が、笑みに変わる。

 

「俺はあんたに道具を売る。代わりにあんたは俺にソウルを渡す。悪い話じゃあないだろう? 騎士サマなら、戦いのイロハってやつを知ってるはずだからな。どうだい?」

 

まるで、俺が断るという選択をしないかのような口ぶりだ。

 

「乗った。だが、亡者から手に入るソウルは少ない。まともな取引が出来るようになるまでは時間がかかるだろうよ。」

 

「そうかい。ああ、そうだ。あんたには1つ忠告しといてやるよ」

 

そう言って商人は、上の方を向きながら語り始めた。

 

「不死の証が浮かび上がって直ぐに、デーモンが下の方に住み着きやがったんだ。もし下に行くなら気をつけろよ。まあ、上も上でデーモンがいるんだがな」

 

キヒヒヒヒッ、っと気色悪い笑い声と共に、商人は話を終えた。

 

「そうか。情報提供感謝する」

 

もうデーモンが居るのかあ。辛いなあ。

商人に背を向け、再び祭祀場へと戻り、また亡者達の肉を削いで骨だけにし、砕いて地中に埋めた。火が消えていたので、再び点火した。

 

「はあ〜」

 

やっぱり火力が足りないのか、ここから離れている間に火は消えてしまうようだ。溜息が出る。まったく、ままならないものだ。

 

「黒騎士、行ってみるかあ?」

 

再び不死街を進み、亡者を倒して安全を確保し、黒騎士がいる細道を進む。足音が立たないよう、気づかれぬよう、息を殺し、ゆっくりゆっくり歩みを進める。そして、直剣を両手で持ち、心臓に向けて背中から突き刺した。

急いで剣を引き抜き、黒騎士から離れる。鎧を貫通して心臓があるはずの位置に剣を突き立てたにも関わらず、黒騎士は元気そうにこちらを追いかけて来る。黒騎士の走りながらの突きを──

 

「ッッッだりゃあ!」

 

──パリィ。

 

黒騎士が咄嗟に盾で胴体を隠す。だが、狙いは胴体ではない。今度は首を狙って剣を突き刺し、引き抜く。だが、まだ死なない。今度は剣を振り下ろして来るが、またパリィ致命でパパッと沈めた。黒騎士の肉体が宙へと溶けて消えていく。

 

「うっそやろ」

 

ドロップアイテムは楔石の塊のみ。悲しいなあ。黒騎士の盾が欲しかったなあ。まあ無い物ねだりをしても仕方あるまい。

 

じゃ、デーモンを倒しに行きますか。

階段を登り、霧の壁を潜り抜ける。まずはハシゴを登って上にいる亡者をパパッと倒し、下へ降りる。そのまま気づいていないふりをして歩みを進める。だが、目は上を向けている。

 

あ、来た。

 

デーモンがジャンプしてこっちに来るのが見えたのでダッシュでハシゴへと向かい、上へ登る。

 

「オォォォォォォ!!!」

 

うわー、怒ってそーな声が下から聞こえるなあ。ま、運がなかったと思って諦めてくれ。

直剣を両手で持ち、高台から飛び降りる。

 

「うおおおおおおおおおお!!!」

 

全体重を込めて直剣をデーモンの頭に突き刺し、グリグリと、脳味噌を搔き回してぐちゃぐちゃにする。勿論デーモンも暴れるが、根性で耐えるしかない。

一度剣を引き抜き、もう一度差し込む。

 

「グオオオオオオオオオ!!!」

 

今度はさっきよりも深く刺さった。

 

「うおおっ!?」

 

が、デーモンに掴まれ、投げ飛ばされた。

ゴロゴロと転がって壁にぶつかり、衝撃で肺から空気が溢れでる。

やっべ。メチャクチャ痛え。これ確実にどっかの骨が折れてる。エストを飲み、傷を癒す。

 

「ぷはぁ〜生き返るわあ〜」

 

じゃ、トドメを刺しましょうか。相手はもううまく動けないようで、倒れ伏した状態でこちらを睨め付けるだけだ。

 

タリスマンを手に取り、祈りを捧げる。

 

「太陽万ざああぁぁぁぁぁぁぁい!!!」

 

雷の槍を作り出し、デーモンへと投げつける。

 

「グオオオオオオオオオ……」

 

これがトドメになったのか、デーモンの姿が宙へ溶けて消えていった。

 

「はぁ〜疲れた」

 

その場に座り込み、愚痴を言ってしまう。

 

「なんで脳天二回も突き刺してんのに死なないのさ。やっぱデーモンおかしいわ」

 

まったく、お陰で死にかけたわ。取り敢えず、また祭祀場に戻るとするか。

その場から立ち上がり、デーモンが落とした人間性と骨片を拾って祭祀場へと戻る。まぁ、案の定と言うか、やっぱり篝火の火は消えていた。

 

「はぁ〜クソゲー」

 

点火、そして腰を下ろす。

 

「……はあ」

 

どないせえっちゅうねん。

 

 

 

 




次は明日0時。
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