灰へと至る巡礼   作:カルガモ大将

5 / 7
そもそも原作ダクソの二次創作を読む奴なんていねえよ!
みんなお手軽にダクソの住民が蹂躙する作品読むに決まってるわ!
前提条件からミスってるじゃねーか!
アカーン!


第5話

騎士の行動は早かった。リフトを使って城下不死教区のガーゴイルの元へと赴き、黄金松脂を塗りたくったアストラの大剣を振り回すことでガーゴイルを一瞬で殺し、鐘を鳴らして一度アンドレイの近くの篝火に座ってマーキング。そしてそのまま狭間の森を駆け抜け、リフトを降りて飛竜の谷経由で病み村へと向かい、毒の沼を根性で駆け抜けて休むことなくクラーグと対峙し、再び黄金松脂で強化されたアストラの大剣を振り下ろし、攻撃を受け、身体を焼かれながらもクラーグ本体を真っ二つにし、鐘を鳴らして骨片でマーキングしておいたアンドレイの所の篝火へと戻る。篝火に座り傷を癒した後、そのままセンの古城を駆け抜ける。

蛇人を誘導して道を開けさせ、時に叩き潰し、時に攻撃を防いで駆け抜けて、最上階の巨人を斬り殺し、霧を潜り抜けた。

 

アイアンゴーレムの真空の刃を瓦礫に当てさせ、攻撃を潜り抜けて背後に回り、再び黄金松脂を塗ったアストラの大剣で足を切りつける。するとアイアンゴーレムが体勢を崩してぐらつき始め、そのまま足を攻撃し続けると、アイアンゴーレムは尻餅をつき、位置が悪かったため、そのまま奈落の底へと堕ちていった。

 

黄金の輪を調べ、ガーゴイル達に運ばれて、とうとうたどり着いたアノールロンド。

 

マーキングの為篝火に座り、立ち上がった所で声をかけられた。

 

「貴公、余裕がないと見える。何が貴公をそこまで駆り立てる」

 

その問いに、騎士は答えなかった。

 

騎士は駆け出し、リフトを使って下に降り、細い道を通って割れた窓から建物内に侵入し、絵画守を突き落としながら細い梁を駆け抜け、回転式レバーを押すことで仕掛けを動かした。ガーゴイルが襲ってくるのを無視して階段を駆け上がり、巨人衛兵も無視し、レッサーデーモン達も無視して細い道を駆け抜け、銀騎士による狙撃を回避しながら銀騎士へ肉薄し、アストラの大剣による突きで銀騎士を吹っ飛ばし、安全確保。そのまま建物内へ侵入し、階段を駆け上がってから反転、ジャンプしてショートカットし、そのまま聖堂内へと入った。近場の銀騎士を排除し、巨人衛兵も処理した。だが、霧の壁付近までうろついたり、レバーを回してショートカットも開通させたが、黒い瞳のオーブは反応しない。

 

「なぜだ! なぜなんだ!」

 

本来ならば、ここで瞳のオーブが震え出し、罪人ロートレクの世界へと侵入出来る。だが、黒い瞳のオーブは反応していない。

 

「うそ、だろ……?」

 

黒い瞳のオーブは、下の方を見ていた。

 

「墓場系か、小ロンドか、それとも灰の湖か」

 

自分に言い聞かせるように、そう呟いた。

 

「クソッ! クソッ、クソッ、クソッ!」

 

上手くいかない事への苛立ちに、汚い言葉が口から飛び出す。

 

なぜだ、なぜなんだ。なぜこうまでして、運命は俺を翻弄するのだ。

 

「あれ? 騎士様?」

 

「ッ!?」

 

反射的に背後を振り向く。

そこには、二人の人がいた。

 

「あ、やっぱり騎士様だ。久し振りです〜」

 

「ほお、貴公が彼女の話していた騎士様、か」

 

騎士鎧を身に纏った者と、バケツ頭に太陽が描かれた鎧を着た者。

 

「……ああ。久し振りだな」

 

知り合いに会ったのだ。弱みを見せぬようにするのは当たり前のことだった。

 

「あ、紹介しますね。こちらの太陽の戦士がソラールさんです!」

 

「紹介に預かった、アストラのソラールだ。貴公の話はよく聞いている」

 

「で、こちらが……そう言えば、名前、聞いてないです。いい機会ですし、私にも教えて下さい!」

 

ああ、そうだった。そういえば、俺は誰にも名前を告げていなかったなと、ふと思い出した。たしかに、いい機会だ。

 

「……そうだな。私はフリッツ。フリッツ・バーンだ。貴公と同じ、アストラの出身だ。よろしく頼む」

 

「アストラのフリッツだな。よろしく頼む」

 

「ああ。こちらこそ、よろしく頼む」

 

差し出された手を握り返す。

 

「私も握手ー」

 

彼女も手を出してきたので、空いている左手で握手をする。

 

「さて、これから先には強敵が待ち構えているようだが……どうだ? 共同戦線を組まないか」

 

握手も終わり、ソラールが霧の壁を指差してそう言った。これはいい運命に恵まれた。一対二の戦いは辛いが、三対二ならば、かなり優位に立ち回れる。

 

「ああ、乗った」

 

その誘いに、俺は乗ることにした。

 

「では、急ごう。俺たちがあとどれだけの間、同じ世界に居られるか分からんしな」

 

「ああ、そうだな」

 

「よし、頑張りましょう」

 

各々が気合を入れ、手を繋いで霧の壁を潜る。こうしなければ、ズレてしまう可能性があるからだ。

 

霧の壁を潜ると、そこには巨大な槌を担いだ大男が居た。

 

「やっときたあ。でへへ、おれ、ころす」

 

ねっとりと絡みつくような低い声。人殺しに快楽を見出すような、狂人。処刑者スモウがそこにいた。

 

「では、始めるとしよう」

 

上から、金色の獅子が降ってきた。いや、違う。獅子鎧を纏った、歴戦の騎士だ。

 

「我こそは四騎士の長、オーンスタインである。不死の勇者達よ、試させてもらうぞ」

 

放たれる威圧感。流石は石の古竜達を屠ってきただけの事はある。だが、こちらとて、負ける訳にはいかんのだ。

 

「竜狩オーンスタインか。その鎧は雷に強いと聞いたことがある」

 

「うむむ、それだと俺の雷の槍は役に立たなそうだ。よし、俺は巨漢の方を相手しよう」

 

「ごめんなさい。騎士様に任せっきりになっちゃうんですけど、私も巨漢の方に行きます。槍の相手は苦手なので」

 

どうやら、俺一人で竜狩オーンスタインと戦うことになるようだ。

 

「了解した」

 

「話し合いは終わったか。では、行くぞ!」

 

律儀に待っていてくれたオーンスタインがこちらへ突撃する。

 

──疾い!

 

咄嗟に盾で防いだはいいものの、途轍もない衝撃が全身を襲う。

 

二撃目はどうにか避けることが出来たが、三撃目は自分から後ろに飛びながら盾で受けることで衝撃を減らした。

 

「好機」

 

だが、それ以上にオーンスタインは速かった。俺まだ地に足を着けていないというのに、四撃目が空中の俺に向けて放たれた。薙ぎ払いのそれをどうにか防いだが、吹き飛ばされ、無様に血をゴロゴロと転がる。

 

「そんなものか!」

 

オーンスタインから雷の槍が放たれる。辛うじて発動を認識できたそれを盾で防ぎ、お返しとばかりに今度は、こちらが雷の大槍を返す。

 

「うおおおおおおおおお! 届けえええええええ!!!」

 

放たれたそれを、オーンスタインは槍の穂先を突き出す事で受け止めた。だが、受け止めただけで、雷の大槍の勢いは、まだ消えていない。

 

「……見事。よく練られた信仰心だ。だが、まだ足りん!」

 

槍を一振り。それで、俺の雷の大槍はかき消された。だが、俺もそれで倒せるとは微塵も思っていない。これは、エストを飲むための時間稼ぎだ。そして、エストを口に含んでおいて、すぐに回復するための時間でもある。

 

「さあ、私を超えて見せよ!」

 

今度は槍から雷球が放たれる。それを回避したが、罠だった。

 

「仕留める」

 

目の前に突き出された槍。あの雷球は、俺の行動を誘導させるためのものだった。だが俺とて、四騎士の長相手に無傷で済むとは思っていない。

 

「ッッッ!」

 

口に含んだエストを吐き出さぬよう我慢する。

腹を思い切り貫かれ、身体が真っ二つに割かれるが、これでいい。根元まで刺さる勢いだったが故に、刺されている最中に口に含んだエストを飲んだお陰で身体が裂けながら回復したおかげで、俺は今、槍の根本に居る! ここなら、オーンスタインに攻撃が届く!

 

「竜のウロコを貫くのなら、雷を投げてはならぬ。その手で直接、竜に杭を突き立てるのだ」

 

「……まさか」

 

「神を狩るのならば、何を突き立てるのだ?」

 

右手に持ったタリスマンに、人間性の闇が集まる。左手はオーンスタインの右手をしっかりと掴み、離さぬよう気合を入れる。俺が馬鹿みたいに人間性マラソンをしたのは、この奇跡を扱うためだ。出し惜しみはしない!

 

「奇跡【闇の杭】」

 

オーンスタインの胸元に、思い切り叩きつけた。

 

「グゥッ!!!」

 

ドゴン、という爆発音と共に、オーンスタインが大きく仰け反った。だが、オーンスタインは槍から手を離す事はなかった。

 

「もう一度!」

 

再び、右手に人間性の闇が集まる。

 

「褒美だ。受け取れい!」

 

だが、こちらが奇跡を発動させる前に、オーンスタインの左手がこちらへ向かう。

 

「マズッ!?」

 

オーンスタインの左手から身を守る様、再び同じ奇跡を放つ。

 

──奇跡【雷の大槍】

 

オーンスタインが放ったのは、何の変哲も無い雷の大槍。だが、触媒を必要としない神族で、尚且つ、太陽の化身に忠誠を誓う四騎士の長が放つそれはどうだろうか?

 

「ぐあああああああああ!!!」

 

結果的に言えば、出来立てホヤホヤの奇跡が勝つはずも無く、多大な信仰心によって練り込まれた雷の大槍に、真正面から撃ち抜かれたのである。

 

フリッツの身体から力が抜け落ち、腕がダラリと垂れ下がる。

 

「よかったぞ、名も知れぬ騎士よ」

 

オーンスタインが、フリッツから槍を引き抜く。

フリッツはそのまま地面へと倒れ込んだ。

 

「ふむ。向こうはスモウを下したか」

 

スモウは倒れこみ、息をするのがやっとの状況であった。だがそれは相手をしていた二人にも言えることで、どちらも肩で息をしており、エストの残りも殆ど無かった。

 

「まだまだ荒削りと見える」

 

オーンスタインが近くにいたソラールに狙いを定め、ゆっくりと槍を構える。

 

「出直すがいい」

 

──ドゴン!

 

「グフ……ッ!」

 

貫かれたのは、オーンスタインの方だった。

 

ゆっくりと後ろを振り返るオーンスタイン。そこには、全裸で両手にタリスマンを握りしめたフリッツがいた。

 

「もう一発!」

 

既に詠唱が終わっていた闇の杭を再び撃ち込む。

 

「グオオ!」

 

オーンスタインが崩れ落ちる。

 

「……見事。汚い勝ち方だが、勝ちは勝ちだ。煮るなり焼くなり、好きにするといい」

 

両膝をついたオーンスタインが、痛みを堪えながらそう言った。

 

「ううむ。俺としてはもう動けないし、かの四騎士の長であるオーンスタイン殿と、その相棒? であるあの巨漢に敬意を表し、殺したくはないのだが……」

 

自分の考えを伝えてくるソラール。

 

「そもそも殺せるだけの体力が残ってないし、痛み分けってことでいいと思うんだけど……」

 

そうか。ここで俺が違う意見を唱えたらマズイ空気だな。

 

「俺も同じ意見だ。無闇に殺す必要もない」

 

「……フッ。甘いな、お前たちは。だが、その優しさがいいのだろうよ。リフトを上がり、王女に謁見するといい。そして」

 

「ぬっ? どうやら、時間切れの様だな」

 

「……みたいだね」

 

二人の体が見えなくなっていく。

 

「またどこかで会えることを期待しているぞ。俺が書くサインは金色に輝いているからな。もし見つけたら呼んでくれ! 力になろう!」

 

ソラールがそれだけ伝え、姿が完全に見えなくなった。

 

「フッ。いい仲間を持ったな。貴公が闇に堕ちようと、引きずり上げてくれるだろう」

 

オーンスタインの言葉を無視し、リフトへと向かう。

 

「貴公、勝つ為ならばなんでもするようだが、まだ、完全に闇に堕ちてはおらぬようだ。人は闇に強いが、だがそれ以上に、闇に堕ちやすいことを、肝に命じておくといい」

 

リフトを上がり、王女の間の扉を開き、定型文を聞き流して王の器を手に入れた。

 

篝火はここにはないので、竜狩りの大弓が落ちているところから落下してデーモンを倒し、巨人鍛冶屋へのショートカットを開通させた。

 

そして巨人から竜狩りの矢をある程度買い、アノールロンド最初の篝火へと移動する。

 

「……どうやら、試練を乗り越えたようだな」

 

黒い瞳のオーブは、まだ下の方を向いている。やはり、地下墓地もしくは巨人墓場、灰の湖あたりが有力か? それとも、イザリスだったりするのだろうか。

 

「貴公、そのオーブは……!」

 

「……どうした」

 

変に反応していたせいで、思わず聞き返してしまった。

 

「ついてくるといい。どうやら貴公には、我が主人に謁見する資格があるようだ」

 

ああ、これは、面倒な事になった。

言われるがまま、真鍮の女騎士について行く。だが、何処へ行くかなんて、知っているさ。

 

『汝、火守女の遺したオーブを所持しているようだな』

 

「……ああ」

 

『どうやら、資格はあるようだ。よろしい。汝、神の剣として、その罪人を裁く気はあるか?』

 

「これは、私が裁き、裁かれねばならぬ問題だ。神は関係のない事だ」

 

『なるほど。だが、いい。気に入った。汝にはこれを送ろう』

 

頼んでもないのに暗月のタリスマンと青い瞳のオーブが送られてきた。

 

『オーブの瞳を覗き込め。そこに罪人はいる』

 

それだけ言い残して、陰の太陽グウィンドリンの気配は奥へと消えて行った。

 

再び彼女について行き、篝火へと戻る。

 

「貴公の復讐に、暗月の加護のあらんことを」

 

その言葉を聞きながら、俺は篝火へと身体を溶け込ませ、不死教区の篝火へと転送した。

 

アンドレイに武具の修理を頼み、終わったのを確認すると再び不死教区のリフトを使って祭祀場へと戻り、オーブを確認する。まだ下を向いている。まずはリフトを使って小ロンド、そしてそこから病み村へと向かい、クラーグの住処の篝火で一度休憩してマーキングし、オーブの確認をする。どうやら、高さ的にはここら辺らしい。だが、ここからは下にしか行けない。つまりは、地下墓地か巨人墓場だ。

 

転送で再び城下不死教区へ。祭祀場まで降りて、今度は地下墓地へ。骨をメイスで砕きながら進み、術師を撲殺してスイッチを押し込む。

 

外に出てまた骨を蹴散らし、ショートカットを使って全身をグチャグチャに潰しながら下に降りる。激痛を無視して人間性を砕き、傷を癒す。

 

そのまま落下攻撃で車輪骸骨を砕き、全力でボスの霧のところまで走る。そして霧を潜り抜け、三人羽織と対峙する。走りながら人間性を消費して人間性の闇をアストラの大剣に纏わり付かせ、三人羽織をそのまま一刀両断。それだけで三人羽織は死んだ。篝火の秘儀について記された書物を回収し、そのまま先へ進む。篝火を点け、パッチが居るところへ行ったが、パッチの姿が見えない。そしてここで、オーブが震え出した。

 

「今行くよ」

 

持参していたランタンで明かりを点け、オーブをじっと見つめる。

 

……ああ、見えてきたよ。

 

身体がソウルへと変換され、オーブに吸い込まれて行く。そして、一瞬の浮遊感。

 

【罪人ロートレク・ペトルスの世界に侵入しました】

 

そうか、お前達なのか。

 

呼び出された場所は、パッチが居たはずの崖の上。

背後を確認するが、誰も居ない。

 

「ついてねえ、ついてねえよ!」

 

「それはこっちの台詞だ!」

 

下からは、パッチとペトルスの声が聞こえてきた。

なるほど、そういうことか。ロートレクに落とされたか。じゃあ、手始めにペトルスから殺そうか。

 

ペトルスは片手にランタンを持っているようで、ニコとヴィンスのどちらかは分からないが、そいつと戦っている。聖職の戦士だけあって、どちらも強いのだろう。

 

だが、俺には関係ない。

 

上から飛び降り、先ずは亡者化している方をそのまま一刀両断する。

 

「あっ、あなたは! 助かりました! 先程ロートレクに襲われてですね」

 

ペトルスが警戒を解いた。バカな奴だ。これから死ぬというのに、詰めの甘い奴だ。

 

「なんにせよ、無事でよかった」

 

左手で肩を掴み、動けないようにする。

 

「ええ、死ぬかと思っ!?」

 

アストラの大剣を心臓へと突き刺し、引き抜く。

 

「お、おま、え……」

 

驚愕と苦痛に目が見開かれ、此方を強く睨みつけた。

 

「死んでいたら、復讐が出来ないからな」

 

今度は両手で持ち、水平に全力で振るう。

こうしてペトルスの身体は真っ二つに分かれ、俺にソウルとして変換、吸収された。が、こんなソウル必要ない。取り込むのではなく、一時保留しておく。

 

「お、おい、あんた! こっちも助けてくれ!」

 

まあ、パッチは恩を仇で返すようなことはしないだろう。グレイラットの件もそうだったしな。

 

もう一人の聖女の付き人をバックスタブで殺し、安全を確保する。

 

「た、助かったぜ兄弟。もしも会うことがあったら、よろしく頼むぜ」

 

「ああ、そうだな」

 

さて、ロートレクはどこにいるだろうか。俺だったら、ここから上に向かう道で待ち構える。勿論、白を呼んでだ。

 

だが、ここでペトルスとパッチ、聖女レアが死にかけるのを待つなら、事情を知らない白は呼ばないだろう。つまり、ロートレクは一人で待っているはずだ。

 

俺はそう考え、上へ向かって進み始めた。そして、やはり、ロートレクは梯子の前で、たった一人で待ち構えていた。

 

「ククク、やはり貴公か」

 

「ああ」

 

「ああ、哀れだよ。まるで炎に向かう蛾のようだ」

 

「そうか」

 

「ククク、仕方あるまい。お前はこの世の真実を知らぬまま逝くがよい」

 

ああ、そうか。お前、ダークレイスになっちまったんだな。闇撫でのカアスに唆されて、調子乗ってるんだな。

 

「死ぬのはお前の方だ」

 

先程手に入れたソウルを変換し、武器を強化する。ソウルとは生命の根源、即ち力である。武器を強化するならば、これが一番手っ取り早い。

 

アストラの大剣を上段から振り下ろすが、隙も大きく、攻撃範囲も狭いため簡単に避けられてしまう。

 

「フン!」

 

アストラの大剣を収納し、即座に左手に竜紋章の盾を構えてショーテルの攻撃を防ぐ。そして、防いでいる間にアストラの直剣を取り出し、盾で防ぎながら突きを出す。

 

「チッ」

 

舌打ちと共に、ロートレクが背後へと下がった。この空間は狭く、手数で勝負する武器の方が向いている。

 

つまりは、そう。狭い空間を活かせることをすれば良い。

 

左手の盾をタリスマンへと変える。

 

「やらせん!」

 

恐らくは、平和の歩み、もしくは雷の槍だと踏んで詰め寄ったのだろう。だが、俺が使う奇跡はそれではない。

 

「死ねいクソホスト!」

 

「グアッ!」

 

神の怒りだ。だが、俺の神の怒りは、普通とは違う。太陽信仰により、雷属性の衝撃波を放つようになったのだ。

 

金属鎧には、電気と衝撃波がよく効くだろう。オマケに、ここは狭い空間。

 

「死ねい!」

 

俺の怒りを燃料に、もう一度神の怒りを放つ。

 

「グゥッ!」

 

スライムを壁に向かって投げつけた時のように、ロートレクが壁に吹っ飛んで張り付けられる。

 

「くたばれ!」

 

これでトドメだ。

 

「ッ!」

 

壁と鎧とでサンドイッチされて、今頃は肉汁溢れ出す具材になっている事だろう。

 

「……せいぜ──うかい──こ─だな……」

 

途切れ途切れの掠れ声で完全には聞き取れなかったが、どうせしょうもない、負け犬の遠吠えだろう。

 

ロートレクの姿が宙に溶け、ソウルへと変換されていく。

 

【火守女の魂を奪還しました】

 

【復讐を終え、元の世界へ戻ります】

 

あばよ、酔っ払い。

 

 

 

 

 

 

魂を取り戻したのはいいが、どうすればいいのか分からない。取り敢えず、人間性を突っ込む感じでかぼたんに突っ込む。

 

その時、不思議な事が起こった。

 

死んで瑞々しさを失っていたその肉体が、生まれたての赤子のようにツヤとハリを取り戻し、生気を取り戻したのだった! ドクンドクンと血が全身を巡り、胸が上下に動き、呼吸の音を確認する事ができた。そう、今、彼女は生き返ったのだ!

 

「う、うう……」

 

苦しそうな声をあげ、もぞもぞと動き始める彼女に対し、彼は思わず抱きついた。安心したのだろう。

 

「う、冷たい。あれ? ええと、貴方は……」

 

「ああ、良かった」

 

「ええと、その状況の理解が出来ないのですが」

 

「……ああ。すまない。色々あったんだ。すまない」

 

「いや、その、貴方様は──」

 

 

 

 

 

 

 

──どちら様でしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

「……俺は、フリッツだ。アストラの、フリッツ・バーンだ」

 

「そうなのですか。申し訳ありません。私は、貴方様の事を覚えていないようです。きっと、アストラの何処かでお会いしたのでしょう。私の名は──」

 

「いや、いい。知っているんだ。自己紹介は、大丈夫だ」

 

「やはり、知己の仲だったようですね。申し訳ございません」

 

そう言って彼女は、申し訳なさそうに答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ああ。心が折れそうだ。

 




次も0時。
実はこれでやりたいこと書ききった。心を折るためだけにアナスタシアちゃんには犠牲となってもらった。ほら、フロム的な愛の形だし、ハッピーエンドだよ。

Q.オンスタ戦で裸の主人公。
A.人間性で回復。音を立てぬよう、鎧を脱ぎ去る。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。