イナズマイレブン! 脅威の転生者 ゴジョウ!! 作:ハチミツりんご
サッカーは素人で、イナズマイレブンもそこまで詳しくないのですが、楽しんでいただけるよう頑張ってみます。
イナズマイレブンという作品をご存知だろうか?
サッカーを愛してやまない少年、『円堂守』を中心に、仲間達が様々な苦難を乗り越えていくサッカーゲームであり、続編やアニメ化、漫画化など、未だ衰えない人気作品である。
この作品、最大の特徴が、なんといっても派手な必殺技である。
炎をまとってシュートしたり、よく分からないエネルギーを集合させてボールを止めたり、指パッチンで時を止めたり……
などと、現実では到底起こりえない『超次元サッカー』が繰り広げられる世界なのである。
さて、そんなイナズマイレブンだが、君たちは【
初代イナズマイレブンにおいての序盤のライバル校、【帝国学園】の選手であり、背番号5番、ポジションはDF。
ククク…という口癖が特徴的で、敵味方問わず
……ぶっちゃけ原作ではただのモブキャラとしか言いようがない、これといった活躍がないキャラクターなのだが、この五条勝、唯一にして最大の特徴を持っている。
人気投票1位、それが彼の特徴だ。
イナズマイレブン人気投票の際、1人のVIPPERが『イナズマイレブン人気投票で五条さん1位にして子供と腐女子泣かそうぜ』というスレを立てた。そして五条さんの名の元にVIPPERが集結。その結果、五条さんが見事1位に輝いた。
そして、その次の人気投票も1位、その次はついに公式から卒業が発表される上に、《ダンボール戦機》にも似たようなキャラが出るなど、公式からも破格の待遇を受ける人気キャラクターとなった、まさにシンデレラボーイである。
さて、何故俺がこんなにイナズマイレブンを、ひいては五条さんを解説しているのか。それは、俺の目の前にある鏡を見ていただければ分かるだろう。
クルンとなっているチャーミングな前髪
何故か瞳を見ることが出来ないメガネ
つり上がった口角に、綺麗に並んだ歯
間違いなく、鏡には幼い五条勝が映っていた。
「………なぜちっちゃい頃?」
これは、五条勝となったある人物の、奮闘の物語である……?
――――――――――――――――――――
ククク…はじめましてですね。私が五条勝です。
狂え、純粋に……!!!
……はい、すみません。調子こきました。
改めまして、どうも五条勝です。
いやー驚いたね、起きたらいきなり五条さんだぜ?しかも原作より前だし。自分5歳ですよ。ショタ五条ですよ、ショタ五条。誰得なんですかねぇ。
しかし、なんで俺は五条さんになってんだ?別に、五条さんを愛用していた訳でもないし、イナズマイレブンもめっちゃ詳しいわけじゃないんだけど。大体の流れを知っているくらいだ。どの必殺技が強いのかとかあんま分からんし。
このまま帝国にいったら、原作の流れには乗るだろうけど、世宇子中にボッコボコにされるしなぁ。メインキャラならどんな風になるのかも分かるけど、五条さんだからなぁ。でも、せっかくのイナイレの世界で、原作にかかわらないってのもなぁ……。
「――さる君?勝くん?大丈夫かい?」
声をかけられたことで、ハッと我に返る。思考を一時中断し、話しかけてきたおばあさんの方を向く。おばあさんは目的地についたことを伝えると、運転していたおじいさんと共に車から降りる。俺も乗っていた方のドアを開けると、二人に続いて車を降りた。
車を降りてすぐに目に入ったのは、周りの建物と比べて2回りほど大きい建物だった。見た目は洋風で、なんというか教会とかが近いかもしれない。庭が広く、サッカーなどもできそうだった。入口には門があり、その門の前に数人の子供たちが立っていた。
「ほら、勝くん。あそこがこれから住む家だよ。これからは私達を親代わりだと思ってくれ。」
「あの子達も一緒に住むのよ。仲良くしてあげてちょうだいね。」
おじいさんとおばあさんの言葉に、俺は返事を返す。2人は俺の手をとって、ゆっくりと我が家に向かって歩いていく。
あ、言い忘れてた
五条さん、孤児みたいです。
いや、俺だってびっくりしたよ?でもねぇ、記憶があるんですよ。
多分、五条さんの元々の記憶だけど、休日に両親とサッカーをしたことや、2人が飛行機事故で亡くなったこと。引き取ってくれる人がいなかった五条さんを、血縁関係が無いのに迎え入れてくれたおじいさんとおばあさんの事などだ。
……五条さんの元々の人格はどうなってしまったんだろう。俺が入ったせいで消えてしまったのか、それともまだ心の奥に眠っているのか、それとも俺と五条さんの魂が混ざって一つになったのか。もしかしたら憑依なんてしてなくて、俺は五条さんが作り出した二つ目の人格って可能性もある。
まぁでも、五条さんの元々の人格がどうなったのか知っても、どうにも出来ないんだけどね。
しっかし、五条さん結構大変な人生歩んでんな。両親が飛行機事故で死亡って、鬼道兄妹みたいじゃん。いや、身内がいない分鬼道兄妹よりも悲惨かもしれない。
そうこうしてるうちに、子供たちの前までやってきた。数人の子供たちがこちらを警戒した様子で見ている。
多分だが、五条さんと同じように孤児なのだろう。親に捨てられた子もいるかもしれないし、警戒されるよな、そりゃ。
よし、なるべく友好的にいこう。子供たちの方を見ながら、俺は笑顔で挨拶をする。
「ククク…はじめまして、五条勝と言います。これからは家族として、よろしくお願いしますね……?」
子供のひとりである青い髪の女の子が「ヒッ!」と短く悲鳴を上げ、隣に立っていたドレッドヘアーを後ろでまとめた髪型の男の子が女の子を庇いながらこちらを睨んできた。
……何故だ、俺は精一杯の笑顔で挨拶したはずだ。悲鳴をあげられる理由なんて無いはずだが。五条さんフェイスに問題があるのだろうか。いや、五条さんフェイスに問題は無いはずだ。こんなにチャーミングなのに。それなら俺の笑い方に問題が――――
――待てよ、青い髪の女の子にドレッドヘアーの男の子?それってまさか――
「と、とりあえず皆、中に入ろうか。勝くんの歓迎会をしなければな。」
と言いながら、おじいさんが門を開けて中に入っていく。それに続いて、おばあさんやほかの子供たちも家に戻って行くので、俺も後ろをついていく。
庭に入ると、改めてその広さを実感した。その上、子供たちが遊ぶであろう様々な遊具やスポーツ用品が置かれていた。
そんな庭を見渡していると、ふと俺の視界にあるものが映りこんだ。
それは、土埃のついた、古いサッカーボールだった。
何故かそのボールに目を奪われ、しばらく見つめていた。すると、こちらを見た子供のひとりで、俺よりも年が上であろう男の子がこちらに近づいてきた。
「ねぇ、サッカー好きなの?」
「……ええ。飛行機事故で亡くなった両親と、休みの日によくやっていましたから。」
すると、それを聞いた男の子は申し訳なさそうな表情を浮かべた後、すぐに気持ちを切り替え俺に言葉をかける。
「じゃあさ、歓迎会の後にみんなでやろうよ!サッカーを!」
「……ええ、ぜひ。」
男の子は、「約束だよ!」と言いながら、前を歩いているみんなのところに戻っていった。その後ろをついて行こうと俺も歩き始める。
その時、俺を睨んでいたドレッドヘアー君が目を見開いてこちらを見ていたので、不思議に思い近づいていった。
「……先程から、何か御用でしょうか?」
「……お前も。」
「?」
「……お前の父さんと母さんも、死んでしまったのか?飛行機で……。」
「……ええ。それが何か?」
「いや、俺達の父さんと母さんも飛行機事故で死んでしまったからな。思うところがあっただけだ。……じゃあな、先に行く。行こう、春奈。」
「あ、待って、お兄ちゃん……!」
慌てて兄を追いかけ、女の子はその隣に並ぶ。心なしか2人と他の子との距離が離れている気がした。
「ククク……待ってくださいよ。」
こちらから声をかけると、ドレッドヘアー君が訝しげな表情でこちらを見た。
「なんだ?」
「名前を、聞いていないと思いましてねぇ。これから生活を共にするのですし、教えていただけませんか…」
俺がそういうと、彼は納得した表情でああ、と言った。
……まぁ、十中八九予想できてるんだけどね。こんな目立つ髪型の子そうそういないし。
俺がそんなことを考えているとは露とも知らず、彼は自分と妹の名前を口にする。
「そういえば、言ってなかったな。
俺は有人。高島有人だ。こっちは妹の春奈。よろしくな。」
あぁ、やっぱりそうですか……。鬼道兄妹じゃないですか、やだー!!
思いっきりメインキャラじゃないですか!しかも孤児の時って、原作に繋がる大事な時じゃん!なんでそんな時に五条さんがいるんだよ!!
五条さんだからか、納得した!!!!
……とりあえず落ち着こう。ポジティブだ、ポジティブに行こう。ここに鬼道兄妹がいるってことは、俺は鬼道有人とサッカーができる。それはきっとレベルアップに繋がるだろうし、将来鬼道財閥に引き取られる有人と知り合えるのは普通に嬉しい。帝国に進学しても知り合いがいるわけだしね。
それに、なんだかんだ言ってやっぱり原作メインキャラと絡めるのは嬉しいしね。
……よし、決めた。もういっその事、積極的に原作に関わっていこうか。大筋の流れは変えないようにしつつも、この五条勝の名を全国に轟かせようではないか。
だってさ、かっこよさそうじゃない?エイリア学園の選手達に「あいつは……五条勝!!!」とか言われたりする五条さんとか。
イナズマジャパンとして試合に出て、外国の選手達から「クソっ!マサル・ゴジョーが出てきたか……!!!」とか言われちゃう五条さんとか。
よっしゃ、なんかやる気湧いてきたわ。
俺が、五条勝をメインキャラにしてみせる!
クックック……アーハッハッハッハッ!!
「いきなり叫び出したよこの人ぉ……。怖いよお兄ちゃん……。」
「シッ。見ちゃダメだ春奈。そっとしておいてあげなさい。」