イナズマイレブン! 脅威の転生者 ゴジョウ!!   作:ハチミツりんご

13 / 64
サッカーを書きたい・・・でもサッカーが遠い・・・


黒帽子さん、誤字報告ありがとうございます。


第十三条 強き者は恨みを買いやすい

 

 

 

帝国寮で1晩過ごしてから、俺たち帝国学園の新入生は入学式に出席していた。

 

 

『・・・これにて、私の話は終了とさせていただきます。では、続いては学園長である、影山零治総帥のお言葉です。』

 

 

壇上に立って長々と喋っていた・・・誰だっけ。ほら、アニメにも出てたあのデブハゲ。あれが話を終え、入れ替わるように影山が壇上に上る。

 

 

『・・・君達は、選ばれた人間だ。』

 

 

影山は新入生達を一瞥すると、静かに口を開き、話を始めた。

 

 

『学業と部活動、共に全国の頂点に立つこの帝国学園に入学出来た。その時点で、君達は選ばれたエリートであると言えるだろう。』

 

 

静かに、しかし身体の芯に響くような声で、影山は淡々と話を続ける。

 

 

『・・・しかし、私は君たちにその程度で終わって欲しくはない。』

 

『選ばれた才能を持つ者・・・なるほど、確かに稀有な存在だろう。

 

しかし、そんなもの私に言わせればなんの価値も無い。』

 

 

影山の言葉にざわめきこそ起こらないものの、周りの子達の緊張が一気に高まる。

 

 

『才能は、磨かれてこそ価値のあるものだ。己の才能にかまけて努力を怠る者は、ただの愚か者だ。』

 

『君たちが愚か者でなく、真のエリートを志す者だと切に願っているよ。

 

短いが、以上を持って君達への激励の言葉とさせて頂こう。』

 

 

そう言って、影山が壇上から降りてゆく。残された新入生達は、影山の言葉に感動したのか、随分と気合いの入った顔つきになっていた。

 

・・・うーん、言ってること自体は別にいいんだけど、なんだろうね。裏でやってることとかこれからやる事とか色々知ってるからかめっちゃ胡散臭く聞こえるわぁ。

 

 

俺がそんなことを考えている間も、入学式は進んでいき、有人による新入生宣誓も終了したため、入学式は閉式。俺達は教員に案内されて、それぞれのクラスへと移動していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ん?なんだ五条、お前もここか?」

 

「おや、大野君。奇遇ですね。」

 

 

 

教員に案内された五条は、偶然にも大野と同じクラスになっていた。知り合いと同じクラスになれて安心した五条は、近くの席ということもあって大野と2人で会話をしていたのだが、クラスメイトの多くが2人を横目で眺めており、そんな彼らを見て五条は首を傾げる。

 

 

「………なんだか視線を感じるのは気のせいですかね?」

 

「ん?・・・あぁ、そりゃ俺とお前に注目してるんだよ。」

 

「リトル時代に有名だった貴方はわかりますが、何故私が?」

 

「なんだ、お前知らねぇのか?有名人だぜ、無名の選手が入部テストでいきなり一軍入りして、しかも総帥の推薦で特待生、挙句あの鬼道有人の親友だー、ってな。」

 

 

ゲラゲラと笑いながら語った大野の言葉に、五条は思わず頭を抱える。

 

 

「………自分で言うのもなんですが、盛り込み過ぎじゃないですか?」

 

「でも事実じゃねぇか。まぁ、分かっただろ?注目される訳がよ。」

 

 

面白がっている大野に、肩を竦めて答えた五条は、自分達を眺めているクラスメイト達の方を見る。その中に、五条はふと見知ったーーーといっても一方的にだがーーー顔を見つけた。

 

 

緑髪で、左眼を覆い隠す程の長い前髪をした髪型をしており、何故か顔の下半分をマスクで覆っている。

 

そんな彼は、五条の視線に気づいたのかそちらを見ながら、訝しげに視線を強める。

 

 

「・・・んだよ。なんか用か?」

 

「………いえ、用がある訳では無いのですが。貴方、サッカー部ですよね?二軍に選ばれていた。」

 

「へぇ、あの有名な特待生様が、俺みてぇな二軍選手なんかの顔を覚えてんのかよ。ご苦労なこった。」

 

「・・・おいてめぇ、なんだその言い方は、あぁ?」

 

「落ち着いてくださいよ、大野君。君もそう挑発しないでください。同じクラスでサッカー部同士、仲良くしようと思っただけですよ。私は五条勝、こちらの彼は大野伝助。二人ともDFです。君は?」

 

 

「・・・けっ。咲山。『咲山修二』だ。ポジションはMF。」

 

「では、咲山君。これからよろしくお願いしますね?」

 

「はいはい、よろしく。」

 

 

手をヒラヒラと振った咲山は、そのまま机に突っ伏し睡眠の体勢に入る。

 

 

そして、咲山と会話していたのを切っ掛けに、五条や大野と少しでも関係を持とうとクラスメイト達が押し寄せてくる。それ程までに帝国サッカー部の、そして一軍の力は強力なものなのだ。

 

 

そして、ひとしきりやって来た相手との会話を終えた五条達に近づいていく男が一人。

 

また来たか、とげんなりした様子でその男を見た五条は、ピタリと動きを止める。

 

 

「オイッス、お二人さん。なんか大変そうだな?」

 

「確かに、いい加減疲れてきたぜ。今もこうやって話しかけられてるしな。」

 

「ハハハ、悪ぃな。同じサッカー部同士、挨拶しとこうと思ってさ。・・・つっても、俺は三軍でなんだけどね。」

 

「いいじゃねぇか、これから頑張ればよ。・・・てか、どうしたんだよ、五条。なんだ?こいつも知ってんのか?」

 

「いやいや、流石にそんなことは「知っていますよ。」ない・・・え、マジで?」

 

「マジか、お前三軍の奴らまで覚えてんのかよ。」

 

「いえいえ、彼自身を知っているだけですよ。だって彼、アメリカ少年リーグ優勝チームのメンバーですし。」

 

「なんだ、マジで知ってんのかよ!!それなら、話は早いな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺、『土門飛鳥』!一応帰国子女で、ポジションはDF。宜しくな、お二人さん!」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい寺門、簡単に抜かれんな!!」

 

「す、すみません!!」

 

「右サイド空いてるぞ!攻めろ攻めろ!!」

 

「パス回しもっと速く!!」

 

「大野ぉ!!もっと激しく当たれ!!」

 

「オ、オッス!!」

 

「ぐっ・・・!!」

 

「しっかりしろ源田!練習にすらなんねぇぞ!!」

 

入学式を含めた初日の学校が終了し、部活動に所属していない生徒達が帰宅、もしくは入部する部活動を決めるための体験入部に向かっているなか、ここサッカー部のみが新入生も含めて練習に励んでいた。

 

 

一軍に合流した一年生達は、それぞれがリトル時代に名を轟かせた実力者達。しかし、ここは40年間全国頂点に君臨し続ける名門中の名門、帝国学園。流石にそのレベルの高さに戸惑い、ついて行くのが精一杯といった様子だった。

 

 

ーーー二人の例外を除いて。

 

 

 

「ククク……恵那さん!!」

 

「っと!ナイス五条!」

 

「いいぞ勝!!恵那さん、そのまま前線にパス!FWはそのまま切り込んでシュート!」

 

 

 

一年生達の中でも隔絶した実力を持つ鬼道と五条の2人は、上級生と同等ーーーいや、それすらも超えるであろうその力を見せつけていた。特に鬼道は、既に一軍の中心に立ち、上級生達に指示を出し続けている。

 

 

 

「よし、休憩だ!!」

 

 

鬼道の言葉と共に、各々休息を始める。鬼道も休もうとしたところで、唐突に首筋にぴとりと冷たいものが押し当てられる。

 

 

「うおっ!?」

 

「ククク……いたずら成功、ですね。ほら、ドリンク。」

 

「・・・勝か。驚かせないでくれ。」

 

「申し訳ないです。では、私はそこで倒れ込んでいる彼らにドリンク配ってきますね。」

 

 

 

そう言って離れていく五条の言葉を聞いて、鬼道はようやく寺門達三人がキツさのあまり地面に横になっていることに気づいた。

 

 

 

「・・・相変わらず、良く気がつく奴だ。」

 

 

 

いつもと変わらず慇懃無礼な笑みを浮かべながらも、細かい気遣いを欠かさない親友を見て、鬼道は呆れたように笑うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だぁーー!!!キッツ!!いくらなんでもキツすぎるだろ!!!」

 

「俺、もう動けねぇ・・・。」

 

「しかし、先輩達はやはり凄いな!シュートを受けた手がまだ痺れているぞ・・・。」

 

「確かに初日にしてはハードな内容でしたね。皆さんストレッチはしっかりして下さいね?」

 

「なんでお前はそんなにピンピンしてんだよ・・・。」

 

 

 

練習が終わり、影山に呼び出された鬼道を除く一年生4人は、サッカー部専用のシャワー室にて汗を流していた。

 

 

そんな時にシャワー室の扉が開き、二人の男が中に入ってくる。入ってきた男のうち、灰色の髪をした男が五条達に親しげに話しかける。

 

 

「よっ!五条に大野じゃねーか。お前らも自主練してたのか?」

 

「おや、土門君じゃないですか。いえ、私達はちょうど今終わったところですよ。

 

それと、貴方は・・・。」

 

 

そう言って、五条は土門と共に入ってきた男に顔を向ける。そこに立っていたのは、薄い水色の髪を長めに伸ばし、オレンジ色の瞳を持つ、中性的な容姿を持った少年だった。

 

 

 

ーーーそう、原作において鬼道有人の右腕とも呼ばれ、日本代表『イナズマジャパン』のメンバーとして世界で活躍した帝国のFW、『佐久間次郎』がそこにいた。

 

 

(・・・そういえば、原作レギュラーの中で、唯一名前呼ばれてなかったな。三軍にいたのか。)

 

 

成神や洞面といった五条の一個下のメンバーを除けば、この佐久間のみが名前を呼ばれず、三軍にいることを知った五条は内心首を傾げていた。原作での彼の実力は、鬼道に次ぐ帝国No.2のはずであり、そんな彼が何故三軍にいるのか、と。

 

 

 

対する佐久間は、五条を視界に収めた途端にまるで怨敵を見るかのごとき目で五条を睨みつける。

 

今まであったことも無い佐久間にそのような目線を向けられる事に心当たりがない五条は、心の中で大いに戸惑うが、幸いにも表情には出さず、いつもの笑顔のままだった。

 

 

 

「・・・すまない、俺は向こうのを使わせてもらう。」

 

「え?あ、おい!佐久間!」

 

 

土門が止めるのも聞かず、佐久間は五条達から離れた方へと行ってしまう。そんな佐久間の対応に、大野は不満げな表情を露わにする。

 

 

「なんだぁあいつ。感じの悪いやつだな。」

 

「ん?なんだよ大野、お前アイツのこと覚えてないのか?」

 

「そうだぞ、夏の大会の準々決勝だったか?その時のキャプテンの筈だ。名前は確か・・・『佐久間次郎』、だったか?」

 

「へぇ、アイツあんたらと対戦するくらい強いヤツなんだな。道理で三軍にしては上手いと思ったぜ。

 

・・・あ、俺『土門飛鳥』ね。」

 

「おう、寺門大貴だ。」

 

「源田幸次郎だ。よろしくな、土門。それにしても、凄い目で睨まれてたな、五条。お前何かやったのか?」

 

源田の疑問に、五条は首を横に振る。当然だ、五条自身は彼のことを知っているが、現状2人は赤の他人であり、公式戦にも出ていない五条にとっては恨まれる理由なんぞ全くないと言っていい。

 

 

と、そこへ汗を流し終えたのか、シャワー室から出るために佐久間がこちらへとやってくる。

 

 

「・・・土門、俺は先に戻ってるぞ。」

 

 

土門に先に戻る旨を伝え、佐久間はシャワー室のドアに手をかける。

 

その瞬間、扉がひとりでに開き、佐久間の目の前に、影山との話を終え、汗を流しに来た鬼道が立っていた。

 

 

 

「っ!!!き、鬼道さん・・・!!」

 

「ん?お前は・・・確か、佐久間だったか?」

 

「お、俺のことを知っているんですか!?」

 

「?知っているも何も、1度対戦しただろう?その時印象に残っていたからな。」

 

「ホントですか・・・!!あ、ありがとうございます!!失礼します!!」

 

 

鬼道からの言葉に、不機嫌そうな顔つきをしていた佐久間は顔を輝かせながら急いでシャワー室から出ていった。

 

そんな彼の行動に疑問を持ちながら、五条達の近くでシャワーを浴び始める。

 

「・・・なんだったんだ、あいつは?」

 

『・・・さあ?』

 

シャワー室にいる全員の疑問だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああああぁぁぁぁぁ!!!!」

 

「うおっ!?うるせぇ!?」

 

土門や鬼道と別れ、一軍寮へと向かう道中、突然大野が叫び出す。そのあまりの声量に、3人は咄嗟に耳を塞いで鼓膜を保護する。

 

「・・・何があったんですか、貴方に。」

 

「お?おお、スマンスマン!!いや、ようやくさっきの奴のこと思い出してよ。」

 

「さっきの?・・・あぁ、佐久間ってやつの事か?」

 

「そうそう、あいつあのワンマンチームのキャプテンだった奴だったよな!いやぁ、思い出せてスッキリしたぜ!」

 

「ワンマンチーム、ですか?」

 

 

大野の言葉に、五条が疑問の声を上げる。それを聞いた源田が、あぁ、といいながら答えてくれる。

 

 

「五条は知らないんだったな。リトル時代の佐久間のチームなんだが、良く言えば佐久間の個人技を活かしたスタイル・・・まぁ、言い方を変えればアイツのワンマンだったんだ。確か、それまでの試合の得点は全部アイツのはずだ。」

 

「まぁそれで自信もプライドもあったんだろうが、まぁ俺達ーーー正確には鬼道の奴にコテンパンにされてな。自慢のシュートも源田に止められるし、自信は粉々、プライドはズタボロ・・・まぁ、俺達と戦った相手にゃ、よくある話だよ。」

 

 

その時の様子を振り返りながら、詳しく教える源田と寺門。そんな二人の解説を聞きながら、ふと大野が言葉をこぼす。

 

 

「・・・でもよぉ、それで負けたから俺達や鬼道を恨むなら分かるけどよ。なんであいつは五条を目の敵にしてんだ?」

 

 

大野の言葉に、それだよなぁ、と2人も同意する。

 

そんななか、五条はハッとなにかに気づいたような仕草をし、次いでため息をついて、静かに口を開く。

 

 

「………なんとなく分かりました。たぶんですが、彼は有人に憧れていて、私に嫉妬しているんでしょう。」

 

「鬼道に憧れて、なんで五条に嫉妬することになるんだ?」

 

「・・・あぁなるほど。そういうことか。」

 

「寺門、お前分かったのか?なら教えてくれよ!俺はてんでわかんねぇ。」

 

 

五条の推測に、ある程度頭の回転が早い寺門は察しがついたが、源田と大野の2人は未だにウンウンとうなっていた。そんな二人のために、五条はわかりやすく説明していく。

 

 

「つまり、彼は自分を負かした有人に憧れたわけです。そして、隣に立ちたいと思ったのでしょう。彼のいる名門、帝国学園の門を叩いた。

 

ーーーそしたら、私がいたんですよ。無名の選手の癖に鬼道有人から親友と称され、一軍に合格した私が、ね。」

 

 

「つまり、佐久間のやつからしたら、自分の立つはずだった場所を、五条に奪われたように感じたんだ。だからあんなに目の色変えて嫌ってんだよ。」

 

 

五条の解説と寺門の補足を聞き、やっと佐久間の心の内を理解した2人だったが、はっきりいって呆れの感情しか湧いてこなかった。

 

 

「我儘な子供みたいだな。」

 

「ガキかよ。・・・まぁ、ほっといてもいいんじゃねぇのか?そんな奴は、ここまで登ってこれねぇよ。」

 

「いえ、それでは駄目です。

 

………彼は、ここまで登ってきます。必ず。」

 

 

そう力強く言った五条に対し、驚きの目を向ける3人。どことなく、その言い方が、熱くなったときの鬼道に似ていたから。

 

そんな五条に、源田は軽く笑い、彼の肩にポン、と手を置いた。

 

 

「なら、アイツと和解しなきゃな。その方法、考えておけよ?」

 

「………他人事みたいに言いますねぇ。」

 

「実際他人事だからな!」

 

 

ハハハ、と笑う3人に、五条は肩を落としながらため息をつき、次いで薄く笑い声をあげる。

 

 

そんな彼らは、近づいてきた自分たちの寮に向けて、歩みを進めていった・・・。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。