イナズマイレブン! 脅威の転生者 ゴジョウ!!   作:ハチミツりんご

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いやぁ、アレスの天秤最終話見ましたけどなんか不完全燃焼感がすごい。剛陣先輩が活躍するのは別にいいんですよ。レモネード結構かっこよかったし。問題は灰崎が空気だったことで。

もっとほら、明日人の2人で合体技とか放って欲しかった。ついでにキャスティングアームって、あれ王家の盾よりも強い技感なさすぎな気がする。でも楽しかったです。


第十七条 それぞれの苦悩

 

 

「・・・なに?そうか、分かった。」

 

 

影山は手に持っていた携帯の電源を落とす。そんな影山の前に立つ鬼道は、眉を顰めている恩人に質問を投げかける。

 

 

「どうかなさいましたか、総帥。」

 

「ああ、実に・・・実に悪い知らせだ。五条が事故にあった。自動車との衝突事故だそうだ。」

 

「なっ・・・!?勝が事故に!?アイツは無事なんですか!?決勝戦には出られるのですか!?」

 

 

普段の冷静沈着な彼は何処へやら。ただ、それも仕方ないだろう。先程まで話していた自分の親友が、自身の目標であった男が事故にあったと聞けば。

 

そんな鬼道を、影山は諭すように語りかける。

 

 

「落ち着きなさい、鬼道。常に冷静さを失うな、と教えたのを忘れたのか?」

 

「申し訳ありません、ですが!!」

 

「いいから聞け。幸い、五条は大きな怪我は負っていない。今は意識を失っているが、じきに目を覚ますだろうとの事だ。」

 

「そう、ですか・・・よかった。」

 

 

影山から伝えられた情報により、鬼道は親友の無事に心から安堵する。影山は、そのまま話を続けていく。

 

 

「だが、しばらくは絶対安静との事だ。当然、この後の決勝戦には参加出来ない。我々帝国学園に負けは許されない。

 

・・・まさか、五条一人抜けたくらいで瓦解するような腑抜けたチームではあるまいな?」

 

「ご安心を。確かに勝が抜けた穴はとてつもなく大きい。ですが、彼を抜きにしても我々が負ける要素がありません。絶対王者の名を、全国に轟かせてみせます。」

 

 

自信を持って頷く鬼道に対し、影山は指示を出す。

 

 

「五条が抜けたことによる戦術やフォーメーションの修正はこちらで行おう。お前も他のメンバーと共に、試合に向けて体を慣らしておけ。」

 

「了解しました。それでは失礼します。」

 

 

深く頭を下げ、影山に背を向け入口の扉へと歩いていく。しかしふと歩みを止め、鬼道は影山に向き直る。

 

 

「総帥。一つだけ質問をお許し下さい。何故勝は事故にあったのですか?アイツは車に轢かれるような間抜けではないと思うのですが。」

 

 

鬼道の言葉に、影山は肩を竦めて答える。

 

 

「見ず知らずの子供を庇ったそうだ。自分を車と子供のあいだに挟み、衝撃を和らげるようにしてな。」

 

「・・・なるほど、アイツらしい。」

 

 

失礼します、と言って鬼道が今度こそ部屋から出ていく。

 

 

 

 

鬼道が出ていくのを確認してから、影山は机に肘をつき、一つため息をつく。

 

 

 

 

 

・・・どうしてこうなった。

 

 

 

 

 

影山の心のうちは、その言葉で溢れていた。

 

 

 

今回の事故は、影山自身が仕組んだものだ。木戸川清修の1年生エースである『豪炎寺修也』、彼を試合に参加させない為に彼の家族を、それも彼が溺愛している幼い妹を事故に見せかけ殺害、もしくは意識不明の重体にまで持っていく。

 

それによって豪炎寺は必ず妹の元へと向かう為、決勝戦には参加出来ない。さらにコレで心にキズを負ってくれれば、そこにつけ込んで帝国に引き抜くことも可能かもしれない。もし無理だったとしても、最低限影山自身の邪魔をしなければそれでもよかった。

 

 

 

 

 

それがどうだ?

 

 

計画は誰にも漏らしてはいない。その上、五条は完全に帝国のーーー引いては影山の支配下に置かれ、監視されている。影山の計画を知ることなど不可能なのだ。

 

 

にもかかわらず、五条は影山の計画に介入して見せた。幸いにも計画自体は成功しており、豪炎寺らしき少年がスタジアムから走って出ていくのを確認した、と部下から連絡があった。それでも腹立たしいものは腹立たしいのだ。

 

 

何よりも、影山が気に食わないのは五条の行動が殆ど意味の無い行動だからだ。

 

影山にとっては、計画は成功しているので利はある。豪炎寺兄妹にとっても、妹が死ぬ確率はほぼゼロとなり、兄にとっては五条は恩人とも呼べる人物になるだろう。

 

ただ、それだけだ。五条にとっての利益は。

 

 

 

今回の計画を仮に知っていたとしても、わざわざ豪炎寺の妹を助ける理由にはならない。見捨てて妹が犠牲になっても、豪炎寺修也が五条を恨むことは無い。何故なら五条は今回の件と全く関わりがないのだから。

 

つまり、五条にとっては、この兄妹を見捨てたとしてもなんの不利益も無いのだ。むしろ、己が身に危険が及び、なおかつ影山に悪感情を持たれる可能性が高い。関わった方が損なのだ。

 

 

 

それでも、ヤツは豪炎寺の妹を救った。

 

 

 

何故だ?何故ヤツはそのように行動した?ここで豪炎寺の妹が死ぬことで、ヤツに発生するデメリットはなんだ?

 

 

 

もしくは・・・兄の方か?豪炎寺修也と関わりを持つこと、それ自体がやつの狙いなのか?

 

 

 

 

「・・・冷静では、ないな。」

 

 

 

一度頭を振り、心を落ち着けるように深く呼吸する。それにより、多少の冷静さが戻ってくる。

 

 

鬼道に冷静であれ、と教えたのは影山本人だ。その自身がこのように取り乱すとは、彼の事を悪く言えないな、などと柄にも無いことを考える。

 

 

(・・・冷静に考えれば、今回の件は偶然の可能性が高い。こちらが情報を漏らした可能性は低く、かつ五条がそれを知る可能性も低い。その上、五条は事故に巻き込まれている。事前に知っていたなら、妹を救えばいいだけだ。そこまでする必要は無い。)

 

 

 

冷静さを取り戻した頭でそう考える。しかし、五条勝がただそれだけで行動するだろうか?何か裏があるようにしか思えない。

 

 

 

 

しかし、影山にその答えは浮かばなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いたか!?」

 

「どこにもいねーよ!みたいな!」

 

「スタジアム中探しましたが、全く姿が見えません!」

 

「くそっ!この大事な時に、どこ行きやがったんだアイツ・・・!!」

 

 

 

光宗の言葉に、武方三兄弟がそれぞれ答える。フットボールフロンティア決勝の日、1年生ながらエースを務める豪炎寺修也が姿を消した。ここまでの彼の活躍は目覚しく、木戸川清修をここまで連れてきたといっても過言ではない程だ。

 

 

そんな彼が、姿を見せない。しかし、試合開始はもうすぐそこまで迫っていた。木戸川清修を率いる名将、二階堂は幾ばくか悩んだ後、メンバーに告げる。

 

 

 

「・・・もう時間が無い。お前ら全員アップに行ってこい。俺はギリギリまで探してみる。もし、豪炎寺が戻るのが間に合わなかったら、勝が出ろ。いいな?」

 

 

 

手早く指示を出し、心配そうな顔つきのメンバーをピッチへと送り出す。

 

 

向かう途中、武方三兄弟の長男、勝は小さく呟く。

 

 

「・・・逃げたんだ。」

 

 

不思議と、それは全員の耳に届いた。

 

 

「アイツ、逃げやがったんだ。帝国学園が、決勝戦が怖くなって!!逃げたんだ!!」

 

「勝・・・。」

 

 

憧れていた男が、尻尾をまいて逃げ出した。実際にはそんなことは無いが、勝にはそうとしか考えられなかった。激昂する勝を、友と努は心配そうに見つめる。

 

 

木戸川清修のメンタルは最悪に近かった。

 

 

 

 

「ふんっ!」

「それ!」

「ぃよいしょぉ!!」

 

「ゴハァァァァ!?!?」

「「ま、勝ーー!!?!」」

 

 

武方勝の腹に、坂本の強烈なボディーブローが炸裂。体勢を崩したところに、田中の蹴りが尻を強打。そして、がら空きになった顎に向かって佐藤の見事なアッパーカットが決まり、勝は宙を舞い、某栽培されるマンに負けてしまった中華料理のような姿で地面に倒れる。三馬鹿はィェーィ、とハイタッチ。

 

 

 

「なんでいきなりボコボコにされなきゃならないの!?みたいな!?」

 

 

ガバッ!と起き上がった勝は、当然3人に抗議する。

 

 

「まぁまぁ、おちついただろ?」

 

「むしろ余計に頭に血が上ったわ!!みたいな!!」

 

「でもほら、一応吹っ切れてるだろ?」

 

「それでも殴る必要あった!?」

 

「うじうじすんな!男らしくないぞ!」

 

「問答無用で殴った奴が言うそれ!?もうやだコイツら!!」

 

 

三馬鹿と勝のコントじみた会話に、ぽかんとする友と努を含めた木戸川イレブン。そんな中、まぁ本音はさ。と坂本が話し始める。

 

 

 

「このままじゃチームの雰囲気が悪くなるからな。それに、豪炎寺が逃げたってのも違うだろうしな。」

 

「でも!ここに今アイツは居ない!それが何よりの証拠っしょ?!」

 

「んなわけねぇだろ。帝国が怖くなってアイツが逃げる?ないない。そんなの、お前が1番わかってるだろ?」

 

 

坂本の指摘に、思わず声が詰まる。勝自身、豪炎寺が逃げたとは思えなかった。だが、事実彼は今ここにいない。

 

黙っていると、坂本に代わり田中が話し始める。

 

 

「それに、真面目なアイツが俺たちに黙っていなくなるなんて、よっぽどの事情があるんじゃない?」

 

「それは、そうかもだけど・・・。」

 

「だァーーっ!!めんどくせぇ!もっとシンプルに考えよーぜ!」

 

 

煮え切らない勝の様子に、痺れを切らしたかのように佐藤が口を開く。

 

 

「豪炎寺がいないんなら、俺たちで勝てば良いだろ?ここにいる全員で帝国学園に勝って優勝して、戻ってきた豪炎寺をもみくちゃにしてやろーぜ!なんで肝心な時に居ないんだー、ってな!!」

 

 

ニィ、と笑って佐藤はそう言い放った。

 

 

呆気にとられていた勝の両肩に、不意に友と努の手が置かれる。

 

 

「友、努・・・。」

 

「いいですね、それ。やってやりましょうよ、勝。」

 

「そうだな!!帝国学園なんてボコボコにしてやろーぜ!」

 

 

3人の友人と、血を分けた兄弟2人の言葉に、勝の心は軽くなる。

 

 

ーーーそうだ、豪炎寺を信じよう。

 

 

「・・・そうだな、やってヤローじゃん?木戸川のエースは豪炎寺じゃねぇ!この武方勝だ!!」

 

 

ニッ、と笑った勝は、いつもの調子を取り戻し、そう宣言する。

 

 

「おっと、それは聞き逃せませんねぇ。木戸川のエースは、この武方友ですよ?」

 

「はぁ?何言ってんだ、武方努に決まってんだろ?」

 

 

やいのやいのと言い合いを始めた武方三兄弟を見て、木戸川イレブンが俺も俺も、と悪ノリし出す。

 

 

先程までとは打って変わり、木戸川イレブンのメンタルは最高潮に達していた。

 

 

「よっしゃ!!アホ豪炎寺の分まで優勝するぞ!!」

 

『おうっ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃・・・

 

 

 

 

 

「やっちまったァァァァァァァァァァァァァァ…………………!!!!!!!」

 

 

稲妻病院のベッドの上で、メガネをかけた少年が頭を抱えていた。言わずもがな、我らが五条勝である。

 

トラックに轢かれて意識を失ってから、彼はこの病院で目を覚ました。それを見た看護師が医師を呼びに行き、検査を受けた。幸い、大きな怪我は負っていないが、しばらくは安静にしていないとダメだ、という結果だった。医師いわく、この怪我で済んだのは奇跡だそうだ。

 

さて、そんな彼がこんなことになっているのは、思い出したからである。自分が庇った女の子のことと、その兄の事を。

 

 

(ヤバイヤバイヤバイ………!あれ絶対に夕香ちゃんだ!!影山の策略だ!豪炎寺の雷門行きのフラグだぁぁぁぁぁ………!!!!)

 

 

五条の懸念の通り、原作において豪炎寺の妹である『豪炎寺夕香』の事故は、彼がサッカーを辞め、雷門に来る為の最も大事な場面である。それに、豪炎寺が雷門に転校してくるのは、この稲妻病院に近いから、という理由もある。

 

 

 

つまり、ここで豪炎寺夕香が大きな怪我をせずに退院したりすると、それだけで豪炎寺が雷門に来る理由は無くなってしまう可能性があるのだ。原作ブレイクなんてものでは無い。『イナズマイレブン』という作品の根幹を揺るがす程のものである。

 

 

まず、豪炎寺修也が雷門に来なければ帝国学園との練習試合は起こらない。結果、雷門イレブンは当初のダメサッカー部のままとなる。

 

 

もし何らかのイレギュラーが起こり、全員がやる気を出したとしよう。それでも、攻撃の主軸である豪炎寺がいないのでは、円堂たちは勝ち上がれない。情報収集する必要が無いので、土門も仲間にならない。つまり一之瀬の加入も無くなる可能性が出てくる。

 

 

(本格的にまずいぞ………エイリア学園ルートにしろ、アレスルートにしろ、主人公たる雷門がいないと物語が成立しない!つまり、ただでさえ原作から離れてる可能性があるのに、完膚なきまでにぶち壊される!そうなったらもう原作知識なんてあってないようなもんだ!!この世界、変な方向に進むと地球が終わるぞ!?)

 

世宇子中が勝利すること、エイリア学園に勝てるチームが作れないこと、ガルシルドの野望を阻止できないこと。これらが起こってしまうと日本が、挙句の果てには世界が大変なことになる。

 

これを阻止する為にも豪炎寺修也が、引いては雷門中が必要不可欠となる。

 

 

 

(どうすんだ!?仮に豪炎寺が雷門に来ないと仮定して………シャドウ?いやダメだ、この時点では雷門に居ないし実力不足。虎丸は学年が足りないし………吹雪兄弟を北海道から連れてくる?確かアツヤが生存しているから士郎が北ヶ峰に固執する必要は無いし、実力も十分だ。でもどうやって連れてくるんだよ!!あぁもうどうしたら………!!)

 

 

 

頭を抱えながらウンウンと唸っている五条。

 

 

 

そんな時、唐突にノック音が響いた。不思議に思いながら、五条は部屋に入るように促す。

 

 

扉が開き、ノックした人物が病室に入る。

 

木戸川清修のユニフォームを身にまとった、白髪を逆立てた髪型で鋭い目つきの少年だった。初対面だが、五条にとっては酷く見覚えのある顔つき。ある種、五条を悩ませている張本人である、未来の雷門の、引いては日本のエースストライカー。

 

 

「君は………。」

 

「すまない。妹を助けてくれた人が目を覚ましたと聞いてな。

 

 

初めまして、豪炎寺修也だ。」

 

 

炎のエースストライカーが、目の前にいた。

 

 

 

 

 

 

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