イナズマイレブン! 脅威の転生者 ゴジョウ!!   作:ハチミツりんご

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前のお話で書き忘れていたことを1つだけ。


このお話では、士郎とアツヤは一個違いにしております。そして、なえちゃんの年齢はアツヤと同い年にしております。どうか、ご了承ください。


番外編 第三条 沖縄のピエロ?

 

 

「青い空!!!」

 

 

ーーー鳥のさえずりが聞こえる。

 

 

「青い海!!!」

 

 

ーーー漣の音が、心地よく響く。

 

 

 

 

 

 

 

「そしてイケてる白いオレェ!!!」

 

 

 

ーーー静寂が、周囲を支配した。

 

 

 

 

 

「・・・誰も居ねぇ!!!!」

 

 

 

 

男『比得 呂介』、渾身の叫びであった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは沖縄。日本列島から離れ、一年を通して暖かい空気に包まれているこの場所に、つい数ヶ月前に彼は引っ越してきた。

 

 

少年の名は、『比得 呂介』。愛媛の強豪クラブチーム『愛媛リトルエンペラーズ』のエースストライカーであり、現在は大海原中に通う中学一年生。

 

高い身体能力と強力なシュート技も併せ持ち、味方とも問題なく連携が取れる彼は、入部してすぐに大海原中のレギュラーに。フットボールフロンティアでは、エースストライカーとしての番号、9番を手渡されていた。

 

そんな彼は、同い年で大海原中のエース番号である10番を背負う、変則リズム型司令塔こと『音村 楽也』と共に、チームを率いてフットボールフロンティアに参戦。沖縄勢の中で圧倒的な強さを見せつけて決勝まで無失点勝利。優勝は確実ーーーのはずだった。

 

 

なんと決勝戦前日、村で行われていた村祭りに監督を含めて全員で参加。楽しいものだったし、決勝に向けて気合い満タン、さぁ行こう!そうした、その時。

 

 

なんと深酒し過ぎた監督が砂浜の上で爆睡。あの手この手で起こそうと努力したが、起きず。代理の監督を立てようとしたが、哀れ大海原、決勝戦の時間に間に合わず。不戦敗となり、彼らの本戦出場の夢は脆く崩れ去った。

 

幸いにも、チームに3年生の生徒はいなかったため大きな問題にはならなかったが、監督は半年間の禁酒を言い渡された。そんなに軽くていいのか、とも思うが、本人は絶望的な顔をしていたし、まぁいいだろう。大海原はノリが軽いことが特徴なのだ。

 

 

 

「・・・てか、ほんっとに清々しいまでに人が居ねぇ・・・」

 

 

 

まぁそんな悲劇(?)があった大海原サッカー部の面々も立ち直り、練習に明け暮れていた、そんな時。

 

 

 

『海で泳いでみたい!!』

 

 

 

ーーーなどと比得が言い出した。沖縄に来てから、かつての友と戦うためにずっと練習に時間を費やしてきた。

 

が、それも報われず。この年では彼らと戦うことが出来なくなった彼は、その鬱憤を晴らすかのように、我慢していた『海』を解禁したのだ。

そんな彼の為に、長く沖縄に住んでいるチームメイト達は、彼の為に秘密の特別スポットを教えた。地元民にしか知られておらず、ほぼ貸し切り状態で泳げる事、よく波が来る為、その気になればサーフィンなども出来る穴場スポットなのだ。

 

それを教えて貰えるあたり、彼らの間には、確かに絆が結ばれているのだろう。

 

 

ーーーが、今回は、少しばかり問題があった。

 

元々、比得という男は騒ぐことが好きな男である。静かな映画鑑賞よりも祭りで騒ぐことが、休日は家にいるより外にいる方が、一人でいるよりも複数人でいる方が好きな男なのである。

 

 

そんな彼に人のあまりいない、穴場スポットを紹介する。これは別にいい。彼は見ず知らずの人間とも仲良くやれる人種ではあるが、気心知れた友人達の方が楽しめる。問題はその後だった。

 

 

どうせなら友人達と遊びたい比得は、当然その穴場スポットを教えてくれたチームメイト達を誘った。そして、遊ぶの大好き、ノリの軽い彼らは勿論了承。「いいじゃんいいじゃん行こうぜウェーイ!」的なノリを見せた後一旦解散。それぞれ用意をしてから現地集合する事になった。

 

 

 

ーーーここで、大海原中の面々について軽く解説しておこう。沖縄の中でもピカイチの実力を持つ大海原中サッカー部は、どんな状況でもおおらかに楽しく!がモットーだ。

常にハイテンションに戦い、シュートを決めれば盛り上がり、シュートを決められても盛り上がる、ある意味最強のメンタルを持つチームである。

 

そんな彼らは友人を大切にするいい子達である。しかし、彼らにはちょっとしたーーー人によっては割と致命的な弱点を抱えている。

 

 

 

 

 

 

・・・みんな揃って、色々ルーズなのだ。

 

 

 

 

比得に誘われた彼らは、それぞれ自宅に帰宅し、遊びの為の準備を進めていた。そんな中で、彼らのルーズさが発揮されてしまう。

 

 

眠気を覚えて、まぁ時間になったら起きるっしょ!と言って寝てしまう者。

 

店番の手伝いをして欲しいと親から言われ、連絡しなくても居なかったら察してくれるからへーきへーき!と言って連絡しない者。

 

約束の場所に行く途中で、珍しい貝殻みっけー!と言いながら別の砂浜で貝殻集めに奔走する者。

 

時間まで余裕があるから音楽を聞こうとしたら新作が発表されており、相変わらずの素晴らしいリズムだ・・・、と言いながらそのまま自宅でトゥントゥクっている者。

 

 

 

もう一度言おう。彼らはいい子達である。ちょっとばかし危機感と責任能力と時間感覚と注意力が足りてないだけなのだ。

 

 

それに対して、比得は全くの逆。約束をすれば時間より早く到着し、約束をすれば必ずそれを果たすし、用事が出来れば連絡を欠かさない男なのだ。マメである。

 

更に今まで彼の近くに居た人間ーーー特に仲の良かった五条と小鳥遊は責任感のある人物だったのだ。そのギャップもあってか、誰一人として来ていないこの状況に、自分がなにか問題を起こしたのではないか、とヘコんでいた。図太いようで、実際の彼の心はナイーブなのだ。ガラスのハートなのである。

 

 

 

「あー・・・俺なんか悪いことしたっけなぁ・・・」

 

 

 

心に割と深い傷を負った比得は、どんよりとした雰囲気を醸し出しながら体育座りし、砂浜で砂を弄っていた。

 

 

 

 

 

そんな、水着姿の怪しいピエロ男が一人でいじけていた、その時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イィィィィィィィィヤッホォォォォォォォォォォォォォウ!!!!!」

 

 

「ーーーへ?どわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」

 

 

 

 

突如として響いた叫び声に、思わず比得は顔を上げる。すると砂浜に座り込んでいた比得の元に、高い波を伴って1人の少年が飛来。そのまま少年は砂浜へと着地、対して比得はその波に飲み込まれ、ワカメと共に砂浜に打ち付けられる。

 

 

 

「ドゥエッワカメ!?ゲホッ、うぇ、砂も口に入った!?」

 

「ん?おぉ、なんだ誰かいたのか!いやーわりぃわり・・・ぃ・・・」

 

「うぇー気持ちわり・・・ん?え、なに?なんかついてる?」

 

 

 

顔に引っ付いたワカメをひっぺがしながら、口に入った海水や砂を吐き出しながら、比得は目の前で顔を青くしている少年へと問いかける。

 

 

 

 

 

「ば・・・」

 

「ば?」

 

 

 

 

 

 

 

「バケモノだァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

「誰がバケモノじゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」

 

 

 

そう、海水によって自慢のピエロ風化粧が崩れ、名状しがたき顔面を晒した比得が叫んだ・・・。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやーゴメンゴメン、まさか化粧が崩れてるとは思ってなかったわー」

 

「あーびっくりした・・・いや、俺も突然突っ込んじまって悪かったな!てか、なんで男なのに化粧なんかしてんだよ?」

 

「んー?俺のアイデンティティだからね!」

 

「あいでん、てぃてぃ・・・?」

 

 

未知の言語であるかのように呟く少年に、何その言い方!と化粧を落として素顔をさらした比得は笑う。

 

 

「まぁいいや!お前、こんなとこで何してんだよ?ここらじゃあんま見かけない顔だし、一人だし。迷ったか?」

 

「あーいや、半年くらい前にこっちに引っ越してきて、友達にここ教えてもらったんだけどね。約束の時間になっても、誰も、こなくって・・・ね・・・」

 

「なんだそりゃ、誰待ってんだよ?」

 

 

もしかしたら知ってるやつかもしれねぇぞ?と言う少年に、比得は自身の友人達であるサッカー部の面々の名前を挙げていく。

 

 

「えーと、渡具知ちゃんに古謝ちゃん、平良ちゃんにキャンちゃんに音村ちゃんーーー」

 

「音村にキャンに渡具知ぃ?そりゃサッカー部の奴らじゃねぇか。

 

まてよ、最近引越してきたサッカー部の奴・・・あー!!お前か、比得って!!」

 

「え!?なんで知ってんの!?」

 

 

 

思い出したかのように叫ぶ少年に、比得は思わず聞き返す。目の前の少年は、褐色肌に鍛えられた肉体、さらに逆立ったピンク髪と、一度見たら印象に残る見た目をしており、面識があれば忘れないはずだ。

 

 

 

「音村は俺の幼なじみだからな!よく聞いてるぜ、面白いリズムを持ってる奴がいる、ってな!」

 

「音村ちゃんの幼なじみ!?」

 

 

 

まさか友人の幼なじみだとは思わず、驚きを露わにする。そうだぜ!と言いながら二カリと笑う少年。

 

 

「俺は綱海!『綱海 条介』だ!音村達の知り合いなら、俺の知り合いだ!よろしくな!」

 

「おっけーおっけー!俺は比得呂介ね!よろしく綱海ちゃん!」

 

「おう!」

 

 

比得の言葉に、綱海は笑顔で応じる。初対面に近い相手からいきなり『ちゃん付け』で呼ばれても気にしていない辺り、彼の懐の深さが窺える。

 

 

「・・・そういや、綱海ちゃんは何してんの?いきなり突っ込んできたけど」

 

「ん?俺はこれだよコレ!サーフィン!」

 

 

 

バシバシと砂浜に刺さった彼の相棒たるサーフボードを叩く。

 

 

「サーフィン!カッケー!」

 

「お?なんだ興味あるのか!ならやってみるか?どうせこの後暇だろ?」

 

「マジで!?俺でも出来んの!?」

 

「おう、任しとけ!いっちょ前にサーフィン出来るように教えてやるよ!」

 

「うぇーい!やるやるー!」

 

 

 

何気なく発した綱海の提案に、比得がノリノリで了承。かくして、綱海によるサーフィン教室withピエロが始まったーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こう?」

 

「違う違う、こうだ、こう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どわぁぁぁぁぁ!?」

 

「ほら言わんこっちゃねぇ!全身でバランスをとるんだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、おぉ!?いい感じ!?」

 

「そうだ!その調子だ比得!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「イエーイ!!!サーフィンサイコー!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだお前!センス良いしノリもいいなおい!!」

 

「イエーイ!綱海ちゃんもノリノリでサイコーじゃん!!」

 

 

 

ナーハッハッハッハ!!!と笑い合う二人。長いこと2人でサーフィンを楽しんだ後、近くで店を構えていた綱海の知り合いの店でサータアンダギーを貪っていた。店主の好意で無料である。

 

 

「いやー、ひっさびさにこんなにノリのいいやつに会ったぜ」

 

「俺も、こんなに派手に遊んだの久々だなー」

 

「あー、サッカー部だもんな、お前。練習とか結構あるらしいけど」

 

「んー、まぁ休みの日はかなり少ないね!でも練習楽しいし、別にいいかなー。どうしても、勝ちたい相手もいるしね」

 

 

そう言って、自分を変えてくれた男のことを思い出す。他人を馬鹿にしていた自分を根本から変えてくれた彼に勝つ為、比得は日々努力しているのだ。そういうもんかぁ、と呟いた綱海は、自分の分のサータアンダギーを頬張っていく。

 

そんな中、あっ、比得が思い出したかのように言った。

 

 

 

「そうだ綱海ちゃん!!綱海ちゃんもサッカーやらない!?」

 

「はぁ?俺が?俺はサーファーだぜ?」

 

「綱海ちゃんの身体能力ならすぐに出来るようになるって!来年の大会に向けて、力になってくれる人が欲しいんだ!」

 

 

この通り!と頼み込む比得。実際、綱海の運動神経は全国でも類を見ないほど高く、身体能力に限って言えば大海原中ーーーいや、全国どこの学校にも、彼に勝る選手はいないだろう。

 

 

「うーん、でもなぁ・・・」

 

 

頼まれた綱海だが、あまり乗り気でなく渋っていた。しかし、これは彼にしては珍しいことだ。

 

通常の彼なら、誘われてもすぐに断わり、サーフィンに向かうだろう。しかし、今回頼んできているのは仲良くなった相手。しかも年下だ。基本的に年下に甘い綱海は、普段ではあまりしない決断を下す。

 

 

 

 

「んー・・・まぁいいか!お前がやってる奴なら俺も楽しめるだろ!

 

いいぜ、俺もサッカーやろうじゃねぇか!お前の力になってやるよ!」

 

 

「マジで!?よっしゃ!よろしく綱海ちゃん!」

 

「おう!俺に任しとけ!俺に乗れねぇ波はねぇんだ!」

 

「なにそれかっけー!」

 

 

なんだかんだ騒ぎながら、サッカー部に入部することを決めた綱海。この後、綱海がひとつ上だと分かって驚く比得だったり、帝国の試合映像を見て綱海が五条のプレーを見てよりサッカーに興味を持つのだが、それが終わってそれぞれ帰路に着いた。

 

 

「いやー、綱海ちゃん面白かったなー。めちゃくちゃ動けるし、まともにサッカーやらせたら凄いことになるだろうなぁ」

 

 

そんなことを呟きながら、比得は現在お世話になっている家についた。

 

 

 

「たっだいまァ!」

 

「おう、帰ったかひ・・・誰だお前?」

 

「いきなり辛辣!?」

 

「ハッハッハ!冗談だよ、冗談!おかえり、比得。珍しいな、外で化粧落としてるなんてよ」

 

「まぁ、色々あってね〜。改めて、ただいま!雷電ちゃん!」

 

 

大声で笑いながら比得を出迎えたのは、この家に住んでいる『土方 雷電』。6人兄弟の長男で、忙しい両親に代わって年の離れた弟妹の世話を引き受けている。

 

サッカーの実力もかなりのものであり、比得も誘おうとしたのだが、彼は柄じゃない、と言ってこれを断った。曰く、「弟妹の世話もあるし、どうせならお前が練習に集中出来るようにしてやりたい」との事。わざわざ下宿している男にまでこれだけ気を遣うあたり、ものすごく良い奴である。

 

実際それを知ってから比得も無理に誘おうとはせず、練習のない日は家事を手伝ったり、弟妹の遊び相手をしたりと、なるべく土方の負担が減るように努力している。

 

 

「あ、ひえだー!」

「ほんとだひえだー!」

「おかえりひえー!」

「ひえ、遊ぼー!」

「サッカーしよ、サッカー!」

 

 

「おーうただいまお前らー!よっしゃ、飯出来るまでサッカーやろうぜ!」

 

『わーい!!』

 

「もう少しで出来るから、早めに切り上げろよ!」

 

 

 

土方の言葉に了承しながら、比得は中庭に出てちびっこ達とサッカーを始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーこれが、彼の日常。

 

 

 

大海原中の面々だけでなく、綱海、果ては土方まで巻き込んだ彼は、これからの物語に、どのような影響を及ぼすのだろうか・・・?

 

 

 

 

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