イナズマイレブン! 脅威の転生者 ゴジョウ!!   作:ハチミツりんご

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第五十二条!! 開眼

 

 

 

「おい、もう始まってんぞ!!」

 

「円堂、お前こんな時くらい小テストクリアしろよなぁ!?」

 

「ふ、フットボールフロンティアのことで頭がいっぱいでさ……なはは……」

 

「いいから急げっての!!」

 

『こらーっ!!廊下走るな、サッカー部!!』

 

 

 

 

 バタバタと騒がしく廊下を走り、急げ急げと円堂を急かす染岡と半田。申し訳なさそうに曖昧な笑みを浮かべる円堂の後ろから、生活指導担当教員である菅田先生からの叫び声が飛んでくる。

 

 

 「すみません!」と半田が謝るが、3人は足を止めない。何故なら今日はフットボールフロンティア東京地区予選、準決勝の第二試合………とどのつまり、既に秋葉名戸に勝利して決勝にコマを進めた彼ら雷門中の相手を決める試合なのだ。

 

 

 

 

「ただでさえ決勝の相手が決まる試合だってのに、やり合うのが尾刈斗と帝国!!俺らと試合したチーム同士の試合だ!!なのに何でてめぇはそんな日に限ってテスト落としてんだ!?」

 

 

 

 急いで靴に履き替えながら、先頭を走っていた染岡が円堂に向けて呆れた様な怒りをぶつける。決勝の対戦相手が決まるだけでなく、つい最近雷門中と練習試合をした2校のぶつかり合い。彼らからしてみれば是が非でも見ておきたい試合である。

 

 そんな日に限って小テストで居残りさせられるキャプテンこと円堂。普段は風丸達の協力もあってギリギリのラインで踏みとどまっていたのだが、あまりにもサッカーに熱中し過ぎて今回は超えられなかったらしい。

 

 

 

 「悪かったって!」と円堂が笑いながら謝罪をすれば、仕方ないなという雰囲気を醸し出しながら染岡と半田がため息。

 

 取り敢えず、今は円堂のおつむの悪さよりも帝国と尾刈斗の試合だ。3人は並んで校庭を駆けていき、校舎を出てすぐ右側にあるオンボロ部室……今ではすっかり愛着の湧いた、サッカー部の部室へと駆け込んでいく。

 

 

 

「試合は!?どんな状況だ!?」

 

 

 

 染岡がそう言い放ち、続けて入ってきた半田や円堂の視線も机の上に置かれたテレビに集中。学校がある日に行われる準決勝第2試合を見る為に、マネージャーとなった雷門夏未がわざわざ手配してくれたものだ。

 

 

 テレビに映る時間は、前半終了間際。深緑のユニフォームに身を包んだイレブンが、ボールを持って攻め上がってくる紫色のユニフォームのイレブンから奪い取ろうと躍動する。

 

 

 

 

「点差は……1-0!帝国の先制か!」

 

「あのディフェンス崩して鉈から点取るか……流石は帝国だな」

 

 

 

 既に試合時間も折り返し地点、ハーフタイムに入ろうかというところ。その時点での点差が一点と、中々に競った試合だ。半田の呟きに呼応するように染岡が反応。

 尾刈斗のディフェンス陣を崩して鉈から点を奪うのはなかなかに骨が折れる筈だが、相手は天才鬼道率いる王者帝国。これくらいは予想出来た。

 

 

「にしても、すっげぇー試合なんだな!!くぅ〜、前半が見れなかったのが悔しいぜ!!」

 

 

 

 あの王者帝国を一点に抑えている古豪尾刈斗。その総合力は、円堂達雷門中と戦った時の帝国学園に匹敵する程ハイレベルだ。特にGKの鉈を筆頭にした守備陣は、豪炎寺ですら攻めあぐねる程の練度を誇る。

 

 そんな試合を見ていられることに喜びを覚えた円堂だったが、初めから見ることが出来なくて悔しさも滲ませる。

 

 

 しかしふと、そんな試合を見ているというのに静かにしている他の部員達に疑問を覚えた。顔を見れば、揃いも揃って神妙な顔つきで画面を睨み付けている。

 

 

 

「なんだお前ら、こんな凄い試合見れて嬉しくないのか?」

 

「……よく見ろ、円堂」

 

「豪炎寺?」

 

 

 

 疑問を感じた円堂が素直に周りにそう聞くと、本来あるべき世界線よりも1年早く円堂と共にサッカーをしてきたチームのエース、豪炎寺が壁にもたれながらそう言う。

 

 その言葉に訝しさを感じた円堂。染岡、半田も同様に首を傾げている中で今一度画面を見る。そして、豪炎寺の言った意味が理解出来た。

 

 

 

 

『【クイックドロウV2】……っ!!』

 

『ああっと!!武羅渡、五条のディフェンスに反応出来ずボールを奪われたっ!!鋭いパス回しで帝国が一気に攻め上がるーーっ!!』

 

 

 

 攻め上がっていた尾刈斗の攻撃陣の一角、武羅渡からボールを掠めとる。雷門の中盤の要を担うマックスや半田も使用するクイックドロウという技だが、五条の身体能力から繰り出されるそれはマックスたちのクイックドロウと一線を画す。タイミング、角度、スピード……仮に反応出来ても抗うのが難しいほど絶妙な瞬間を切り取っていた。

 

 

 奪った五条はそのまま鋭いパスを辺見に送る。一瞬だけ前方を確認した辺見が斜め上にボールを蹴り上げ。それに反応した成神が飛び上がって一気に蹴り下ろす。

 

 

 

「上手い!」

 

「空中を使ったパス軌道で中盤の頭を越えたのか……帝国のパススピードがあってこその芸当だな」

 

 

 

 必殺技も使わず、パスのみで尾刈斗のMF達を躱して見せた帝国のプレー。半田が思わず賞賛の言葉を口にすると、風丸がその素早いパス回しに舌を巻く。

 仮に他校があれを真似したとしても、同じことは出来ないだろう。帝国学園の連携能力の高さ、お互いを把握した綿密なプレースタイルがあってこそ実戦投入出来る代物だ。

 

 

 

 

『寺門!佐久間!洞面!』

 

『了解!【デスゾーン】っ!!』

 

 

 

 ボールを受け取った鬼道が間髪入れずにボールを高く打ち上げる。同時に3人の名前を呼ぶと、代表して佐久間が反応。素早く飛び上がって空中で位置に着くと、暗いエネルギーをボールを基点に充填、何度も放ってきた帝国の代名詞たるシュートを放った。

 

 

 

 

『【フランケン守タイン】ッ!!三途!!』

 

『【リバ、ーズ……レイ、ス】……ッ!!』

 

 

 

 尾刈斗のDF、ゴール前に立つ不乱が真っ先に動いて止めに入る。その後少し遅れて三途も同様にブロックを入れる……が、その威力は本来のものとは掛け離れている。

 練習試合で染岡のドラゴンクラッシュ込みの連携シュートを止めて見せた時のリバーズ・レイスではない。画面越しにだが、染岡にはそれが分かった。

 

 

 

『【サーティン・マチェッツ______V2】っ!!』

 

 

 

 しかし彼らは、進化した雷門と互角の試合を繰り広げた古豪尾刈斗。三途が本来の威力を出し切れなくとも、不乱単体のブロックでデスゾーンを大きく削る。

 

 止めることこそ叶わなかったが、彼らの後ろにいるのはこの男______雷門最強威力のシュートであるドラゴントルネードを切り伏せた執念のGK、鉈だ。青白く光る13の刃が闇色のエネルギー塊を削り取り、真っ二つに切り裂いてみせた。

 

 

 

「すげぇ、鉈っ!!」

 

「サーティン・マチェッツを進化させてやがる……!」

 

 

 

 練習試合の時から一段階進化を遂げた尾刈斗GK、鉈の技に思わず円堂が叫ぶ。ブロック込みとはいえ、デスゾーンは帝国学園が誇る強力な連携シュートだ。真正面の火力は全国でもトップに位置し、並のキーパーでは拮抗すら難しい。

 

 それを止めて見せた鉈のGKとしての実力は、間違いなく円堂や源田、杉森といった東京地区有数の……否。全国区で見ても指折りの守護神だろう。

 

 そんな一連のプレーを見ていた半田が、首を傾げながらぽつりと呟く。

 

 

 

 

「………でも確かに、凄いけど……………なんか、疲れ過ぎじゃないか?」

 

 

 

 

 画面に映る、古豪尾刈斗のユニフォームを纏った選手達。その殆どが肩を上下させ、荒く息を整えている。動きも精彩を欠き、雷門との練習試合で豪炎寺と染岡のツートップを僅か一点に抑えた時とは比べることも出来ない。

 

 

 終わりかけとはいえ未だ前半。そんな試合状況にも関わらず、尾刈斗の体力は尽きかけている。当然何があったのか、と疑問を覚える円堂達だったが、豪炎寺が画面を横目に見ながら解説を入れた。

 

 

 

 

「______帝国は、交代要員のいない尾刈斗の穴をついて徹底的に体力を消耗させに出たんだ。開始早々に一点を奪った後、五条を完全に守備に回らせ、鬼道を中心にFWとサイドのMFで素早くパスを回して走らせてな……」

 

「そっか、尾刈斗は試合人数ギリギリしかいないから動きが悪くなっても、交代させられないのか……」

 

 

 

 帝国と尾刈斗は、どちらが勝利してもおかしくない……それ程には拮抗している。確かに帝国学園の方が地力、経験共に上には来るだろう。

 それでも、打倒帝国を掲げてここまで駆け抜けて来た尾刈斗の勢いはそれを覆しかねないものだ。故に圧倒的な試合展開になることは無い。

 

 

 

 ______だからこそ、帝国学園は確実に勝ちを拾いに来た。

 

 自分達に届きうるから。この王座を害しかねない実力を秘めているから。言い換えれば彼ら尾刈斗を認めているからこそ、『交代要員の欠落』という分かりやすく、そしてスポーツにおいて圧倒的なハンデを利用してきたのだ。

 

 

 

「だけどさぁ、なんであのメガネの進化系みたいな人を守備に専念させてるの?さっさともう一点取るべきじゃん」

 

「えっ、ボク進化したらあぁなるんですか……?」

 

 

 そんな中で、雷門中盤陣の要を担うマックスが疑問を投げかける。

 

 王者帝国は、未だに一点しか取れていない。これならぱ尾刈斗は一つシュートを決めれば同点に追いつくことが出来る上に、そうなれば試合の流れは尾刈斗に傾く。

 駄目押しの意味でも安全策の意味でも、もう一点を奪いに行かずに五条を守備に専念させる意味は薄いだろう。

 

 

 そもそも帝国守備陣は、五条が攻めに回ったとしても並大抵の攻撃ではビクともしないほど堅牢なのだ。源田幸次郎単体でも脅威的なのに、大野と万丈という信頼出来るセンターバック2人に、左サイドを担う一年特待生の成神。尾刈斗を警戒しているとはいえ、固め過ぎなのは否めなかった。

 

 

 

 

「いや、違う。アレは鬼道の策略だ」

 

 

 マックスの疑問にその場の殆どが同意を示していたが、豪炎寺が頭を振る。

 

 

 

「策略って……攻めないことがか?」

 

「あぁ。尾刈斗は交代が出来ない。対して帝国はベンチですら他校のエースクラスを備え、そもそものスタミナも全国屈指……つまり後半になればなるほど、尾刈斗は体力を削られ不利に陥る」

 

 

 

 攻めないことが戦略。そんな豪炎寺の判断に風丸が納得しかねる表情を見せ、隣に座っていた壁山もその大きなからだを揺らしながらウンウン、と頷いていた。そんな中でも豪炎寺は確信を持って説明を続ける。

 

 

 

「後半になれば体力が尽き、本来のパフォーマンスは発揮出来ない……だからこそ、尾刈斗は早い段階で一点をもぎ取っておきたい……取らなければならないんだ。そうしないと肉体的にも精神的にも、逆転はほぼ不可能になる」

 

 

 

 

 

「______鬼道はそんな尾刈斗の心理を見抜いている。だから現状、五条をディフェンスリーダーとしての役割に専念させているんだ………全国最高峰の守備を前にしても、余計に体力を失うと知っていても、尾刈斗は攻めざるを得ない。足を止めれば止めただけ、自分たちが不利になる」

 

 

「………えげつない………」

 

 

 

 

 守りに入った瞬間、王者帝国に呑み込まれる。だから尾刈斗は攻めるしかない。例えそれが、鬼道有人という天才によって意図的に作られた道だとしても。その先に巨大過ぎる壁があったとしても。か細く掴めるのかも分からない、極小の確率に賭けねばならない。

 

 

 豪炎寺の言葉を聞き、影野が息を呑む。絶対王者帝国学園が誇る、世代最強の司令塔。【天才ゲームメイカー】こと、鬼道有人。その類まれなるサッカーセンスと深い戦術理解度から放たれる戦術は、決して相手にしたいものでは無い。

 

 

 

 

『【ハウリングウルフ】ッ!!』

 

「っ!月村のシュートだ!!」

 

 

 

 円堂の言葉で、今一度雷門の意識が画面に向く。雄叫びをあげる月村が、自身で編み出したシュートを強引に繰り出しているところだった。

 

 

「上手い!あのコースならブロックは入らな______いぃ!?」

 

 

 

 サイド方向に駆け込んで放たれた月村のハウリングウルフ。タイミングもそうだが素早いトラップからの間を縫うようなキックコントロール。間違いなくノーブロックでキーパー源田まで到達すると、半田が叫ぼうとした時だった。

 

 

 

 

『______【スピニングカットV2】』

 

 

 

 蒼色の衝撃波が、ハウリングウルフの行く手を阻む。広範囲のブロックを可能にする使い勝手の良さ故に単純威力はそう高くないこの技だが、時間稼ぎにはもってこいだ。

 

 突き進むボールが薙いだ右足から形作られたエネルギー障壁を破らんと吼える。ギャリギャリと耳障りな音が響き、どうにかしてこの先のゴールネットを揺らそうと躍動する。

 

 

 

 

『______ヘェアッ!!』

 

 

 

 しかし、しかし。そんな思いは届かず、エネルギーの壁に阻まれていたボールを壁越しにシュート。ただでさえ削られていたボールは為す術もなく、高々と宙に舞っていった。

 

 

 

『止めたーーっ!!帝国学園の隙をつくような月村の見事な高速シュート!!しかしそれすら予期していたのか、離れていたはずの五条が回り込んでブロック!!無常にもボールは空高く飛ばされてしまったァァァ!!』

 

 

『そしてここで前半終了のホイッスルが鳴り響くぅぅぅ!!東京都地区予選準決勝第2試合、点差を見れば僅かに一点差!しかしその一点が遠い、遠すぎる〜〜〜っ!!王者帝国、その名に恥じぬ見事なサッカーで前半リードで終えました!!』

 

 

 

「………アレに間に合って、その上で弾くのかよ」

 

 

 

 画面越しの角馬の実況響く中、染岡のつぶやきが全てを表していた。

 

 

 

「………円堂。よく見ておけ」

 

「豪炎寺?」

 

 

 

 驚きまじりに画面を見ていた円堂に、豪炎寺が呟いた。

 

 

「録画じゃないアイツのプレーを見るのは、これが初めてだろうからな。アイツは、間違いなく______」

 

 

 

 ………本来間に合うはずもない距離、タイミング、コース。それでもこの男は止めた。完璧に、止めてしまったのだ。並のキーパーなんかよりも数段厄介で、数倍恐ろしいDF。世代最強の守備力を誇る、帝国学園特待生。鬼道有人の親友であり、総帥影山零治からも特別視される、謎多き傑物。

 

 

 

 

「______鬼道と並ぶ、俺たちの………雷門の全国出場への、最大の壁だ」

 

 

 

 

 【ピッチの絶対帝王】、『五条 勝』。本来有り得ないイレギュラーを、原作の最重要人物が………宇宙一のサッカー馬鹿が、その姿を眺めていた。

 

 

 

 

 

☆☆★

 

 

 

 

 

 

「だァァァァァッ、クソっ!!わりぃ、ラストいけると思った!!止められたけどなぁ!!」

 

「いや、アレはいくべきでしたよ。どうせ時間もなかったんですし、必殺技使わせただけ得したと思いましょう」

 

 

 

 ドカッ、とベンチに座り込んで頭からタオルを被る月村。ラストワンプレーを強引に行き過ぎたと謝罪を口にするが、月村と同じく攻撃役を担っている武羅渡が的確な判断だったと首を振る。あれ一回で尽きるとは全く思えないが、せめて少しでも五条を消耗させた事実を喜ぼうと肩を竦めていた。

 

 

 

 

「………鉈、三途、大丈夫か?」

 

「ンーッ、問題ナッシング!!最初は油断したけど、まだまだ止められるぜ不乱パイセン!」

 

「俺も、まだまだ………全然、余裕ですよ………」

 

 

 

 逆側では、守備陣唯一の3年生である不乱が前半でもっとも過酷だったであろう二人に声を掛ける。鉈はいつもの如く決めポーズを見せながら肩をグルングルン回して見せ、三途も普段とは違い獰猛に笑いながら大丈夫だと言い切って見せた。

 

 

 双方共に大丈夫だと笑ってみせているが、不乱には分かってしまう。

 

 鉈は既に何本もシュートを受け、しかもそれら全てを全力で止めて来た。シュートブロックにより減衰しているとはいえ帝国の強力な連携技に真っ向からぶつかってきたのだ、腕の痺れが隠せておらず、必死に拳を握って誤魔化していた。

 

 三途も度重なるシュートブロックに加え、普段は上がらないような場所にまで走り込んでのパスカットやオフェンス妨害、味方との連携、全体を見渡せる位置からの指示飛ばしを率先して行っていた。しかし彼はスタミナが豊富ではなく、動きが鈍り始めているのは否めない。

 

 

 

「(2人だけじゃない……チーム全体が疲弊しきっている。後半戦い抜けるかどうか、怪しいな……)」

 

 

 

 交代要員のいない尾刈斗は、どうしても体力面で他校に比べて不利となる。それは重々承知していた事であり、走り回ることの多いMF達を中心にしてスタミナ強化にも勤しんできた。

 

 だが相手は因縁の王者、帝国学園。全力どころか、試合中に限界を越えなければ勝てない中学最強のサッカープレイヤーたち。彼ら相手では、この分かりやすく明確な弱点が尾刈斗イレブンを蝕んでいた。

 

 

 

「やっぱり、監督の指示がないのが致命的、か………」

 

「ゴメンなさい、先生が少しでもそういうの出来たら良かったんだけど……運動はからっきしで………」

 

「八尺先生のお陰で不戦敗にならずに済んだんですし……気にしないで下さい……」

 

 

 

 木乃伊の呟きに、監督代理としてベンチに座っている八尺が俯きがちに謝罪を口にする。

 しかし、彼女が地木流から託された戦術メモが無ければそもそもここまで拮抗するのも難しかったのだ。試合に出られたのも、急な事態に彼女が対応してくれたからこそ。それを分かっている八墓が、小さく笑みを浮かべながらそう言った。

 

 

 しかしどうしても、こういう時に監督である地木流がいないのが重く響いてしまう。

 

 

 

 尾刈斗はいわゆる『司令塔』がいない。鬼道有人の様にチーム全体を俯瞰し、適宜判断しながら策を練られるチームの要。それが高いレベルで可能な選手は、残念ながら尾刈斗にはいなかった。かろうじて幽谷ならこなせるかもしれないが、実力で鬼道に勝てないのは明白だ。

 

 だからこそ、常に全体を見渡せる監督が全員に指示を出し続ける………それが尾刈斗のスタイルだ。つまり今の尾刈斗は脳を潰され手足のみが残った状態。各個の判断にも限界があった。

 

 

 

「守備位置変えるアルか?八墓と木乃伊を下げて______」

 

「それじゃあ、一点を守り切られて終わる………ここは俺が三途と変わってブロックに入る………俺は死なない……ぐふっ」

 

「でも、屍先輩のサイドからの突破が無いとどちらにしろ攻撃枚数が減ってジリ貧じゃ無いですか。いっそラインあげてパスカットとオフサイド狙いで______」

 

 

 

 GKの鉈と、広範囲のブロックを可能にする三途の消耗が激しいのは頂けない。故にMFのうち2人を守備に回すことを霊幻が提案するが、屍がそれでは攻め手に欠けると否定。一年の柳田も交えてどれが最善かを話し合う。王者帝国相手に、前半一点のビハインド。もう一点奪われたら、そこで試合が決定すると言っても過言では無かった。

 

 

 

 

「 (______どうする)」

 

 

 

 首の皮一枚でなんとか繋がっているこの状況。攻撃の要であり尾刈斗中キャプテン、幽谷は地木流の纏めていた戦術メモを食い入るように眺めながら必死に打開策を探っていた。

 

 

 

「(守りに入るのは論外。鉈先輩達にこれ以上負荷を掛けたら間違いなく後半もたない。かといって無闇矢鱈に攻めたら止められて、そのまま速攻に繋げられる………スローペースで攻めるのはありっちゃありだけど、チェイン込みのうちの最大火力で、帝国のブロックを破って源田幸次郎を抜けるかと言われれば……厳しいなぁ)」

 

 

 

 

 現世代が歴代王者帝国の中でも最強と呼ばれる所以は、鬼道有人と五条勝という規格外の2人だけが理由では無い。全員が全員、高い戦術への理解と鬼道の指示を即座に読み取り実行する判断力。各々得意分野はあれど、ありとあらゆるプレーに精通するチームメイト達もまた、最強たるに相応しい面々。

 

 

 特に厄介なのは、常に鬼道の後ろを守り続け、世代のトップを駆け抜けて来たキング・オブ・ゴールキーパー、『源田 幸次郎』。

 円堂守というダークホースこそ現れたものの、GKとしての才能は負けていない。むしろ試合経験値を考えれば、スペック面では源田の方が強力だとも言える程のキーパーである。

 

 

 

 そんな源田幸次郎相手に、五条や大野、万丈、成神といった面々のブロックを受けてなお突破出来るほどの単純火力が尾刈斗にあるかと言われれば、正直厳しい。

 尾刈斗は元々、ファントムシュートやゴーストロックといったテクニックで撹乱するチームだ。力比べに出たが最後、王者帝国にねじ伏せられるのが目に見えている。

 

 

 

「………後半、1点………1()()()()()()

 

 

 

 しかし。王者帝国、歴代最強の布陣を相手にしてもなお、幽谷には………否、尾刈斗には【秘策】があった。

 

 

 

 あの日、帝国の二軍に惨敗した時から、残ったメンバーで必死になって練習した。そんな中で、対帝国用に開発したにも関わらず通用しなかった必殺タクティクス、【ゴーストロック】。地木流を中心として、それをどうにか活用出来ないかと改良案を出し続けた。

 

 

 結果として、改良には成功した。ゴーストロックを必殺技のレベルにまで落とし込み、限定化することによってより妨害されにくくした新たなる技。

 使い手のいなかった………というよりも、チーム内で誰も使いこなせなかった故にお蔵入りされていたその必殺技を、幽谷は習得した。切り札となるその技は、チーム全体の意向もあり練習試合ですら温存されて、今この時まで温められてきた。

 

 

 

 それを使えば、点が取れる。王者帝国であろうと初見ではまず対処不可能なこの技ならば、ほぼ確実に同点に追いつけるはずだ。

 

 

 

 

「______出来るのか………?監督がいない状態で、俺に………」

 

 

 

 だが、この技を教えて実戦レベルまで押し上げてくれたチームの監督がいない今の状態で、完璧にそれをこなせるかと言われれば、幽谷の胸中には不安が濁流の様に渦巻いていると評さざるを得なかった。

 

 

 

『______だィ丈ブ?』

 

「……大丈夫。ありがとう、心配してくれて」

 

 

 虚空から響くその声に、曖昧な笑みで答える。バンダナで隠している故に姿は見えないが、肌を撫でるような冷たい雰囲気を幽谷はよく知っている。

 

 

 幼い頃から、()()()()()()()を感じることが出来た。言葉だけ聞けばこれくらいの歳の子供にありがちな黒歴史的なアレ、とも考えられるが………幽谷に限って言えば少し違っていた。

 

 『霊』が見える。理由は多々あれど肉体的な死を経験し、魂のみが抜け出した亡者。その残留思念とも言うべきものであり、普通の人間には見ることも聞くことも叶わない存在。

 強いていえば、霊感あるものならば朧気に感じられる程度だろうか。しかし幽谷は、ハッキリとその霊というものを見て、聞くことが出来た。

 

 

 

「……情けないな。技術も心構えも、貴方にたくさん教えてもらったのに……監督がいないだけで、こんなに不安になるなんて」

 

 

 

 自嘲するように幽谷が笑うと、それに合わせて肌に感じる冷気が少し強くなる。心配してくれているのだろう。死してなお、優しい人だ………いや、優しい霊だ、が正しいのだろうか。

 

 いつの間にか、隣に寄り添うようになったその霊体。あまり多くを語ろうとはしなかったが、自身のことを『元プロのサッカー選手』と自称しており、それに違わぬ程卓越した技術を持っていた。

 サッカーを始めた切っ掛けも、この霊が珍しく自分の話をしてくれた事だった。彼か彼女かも分からない霊体だが、プロの技術を持つことに変わりは無い。専属コーチから教えを受け続けた幽谷は、一年生ながら全国でも活躍できる選手へと成長していた。

 

 

 

 実力は付けてもらった。負けたくも無い。だがそれでも、自分に出来るのだろうかという不安が、尾刈斗の一年生キャプテンの精神に重くのしかかっていた。

 

 

 

「やっぱり……俺には、重過ぎたかな」

 

 

 

 監督から、先輩達から託されたキャプテンマーク。物理的な重さはほとんど無いが、精神的な意味での重さは訳が違う。

 笑みも浮かべずにして、腕に巻き付けたそれを撫でる。その表情に力はなく、託されたものとしては情けないと思われても仕方がないものだった。

 

 

 

『____________』

 

 

 

 自信を失いかけていた幽谷の姿を、言葉を聞いたその霊。暫くはじっと俯く幽谷を見つめていたが、ふと視線を逸らすと身体を浮かせ、ふわりとその場から離れていった。

 

 

 その移動を感じ取った幽谷がふと顔を上げて霊の行先を視線で追う。するとその霊は、代理監督としてベンチに座り、真剣な様子で話す尾刈斗イレブンの様子をハラハラと見守っている女性教師、八尺のカバンをツイツイ、っと指さした。

 

 何を、と思った時。八尺のカバンから、白い紙が見えていることに幽谷が気がつく。

 

 

 

「……あの、八尺先生。その紙……」

 

「へっ?……あっ、コレですか?実は地木流先生から頂いた紙に混ざっていたんです。作戦とは関係ない様だったので一応抜いておいたんですが……」

 

 

 幽谷から声をかけられた八尺がカバンに手を入れ、その紙束を取り出す。地木流から作戦用にと手渡されていた用紙とは違うもの、ページが振られていない手書きの紙。あの帝国学園との試合、指示は出せないがせめて試合に集中出来るようにと、関係なさそうなものを抜いておいたのだ。

 

 

 

 「見ますか?」と尋ねられたので、思わず虚空に佇む霊へと視線を投げる。こくり、と頷いたように思えたので、お礼を言いながらその紙を受け取り、目を通す。

 

 

 

 

「………これって………僕らの選手情報?」

 

 

 

 幽谷が目にしたのは、白い紙の余白が無くなるほどにビッシリと書き込まれた文字の羅列。1番上に【鉈 十三】と書かれていたので捲ってみれば、次には【三途 渡】、その次には【柳田 しげる】、【不乱 拳】、【屍 藤美】…………現チーム全員分の詳細な情報が書き記されていた。

 

 

 得意なプレーは勿論、苦手なプレイヤーのタイプ、試合中にやりがちな癖、咄嗟の判断時にどう動くのか、使える必殺技のレパートリーに、性格やそれに伴うチーム内での役割、どのように接したらいいのか…………裏表全てを使って書き込まれた情報は、三日三晩程度で書けるような代物では無い。本当に長い間、信頼を持って接さねば書けないような内容だった。

 

 

 

「これ全部、監督が………?」

 

 

 言ってしまえば中学部活動。自分たち選手にとっては二度とない瞬間だろうと、監督にとってはこれからも続いていくだろうフットボールフロンティア。数年どころかたった1年、2年でいなくなる選手に対しては、心の底から、本気で向き合わなければこんなことは出来ないだろう。

 

 

 

 その中に、見知った先輩達以外の名前を見つけた。不死や魔界、人形、円谷、黒上………帝国との試合を最後に部を去った、幽谷とは面識の無い先輩達だ。

 

 

 どの選手も、レギュラーの面々と同じくらい書き込まれている。しかし最後の方、最近書いたのであろう部分にはどの選手の用紙にも『自分の采配が悪かった』『サッカーを嫌いになっていないことを願う』『戻ってきて欲しい』と、懺悔にも近い言葉がいくつか見受けられた。

 

 

 

「………律儀な人だな、本当に………ん?」

 

 

 

 既に辞めてしまった人達に対してもこうして纏めて、しかも貶すようなことはひとつも無い。辞めてしまったことも自分の采配のせいでボロ負けにさせてしまった、もっと善戦できるポテンシャルを秘めていたのに、と言うものばかり。

 

 

 そんな中で幽谷は、一枚の紙に目が止まった。最上部に書かれているのは、【幽谷 博之】…………とどのつまり、自身について纏められた用紙だった。

 

 

 

『身体能力、技術面、サッカーというスポーツへの理解度、咄嗟の判断の的確さ、どれをとっても間違いなく中学トップクラスになれる逸材。その実力を秘めていながら謙虚な性格で部内の輪を乱すようなことはせず、学年が上の生徒たちとの関係も良好。得意なプレーや必殺技もうちのスタイルと見事に合致している。うちに来るべくして来た、と言っても過言では無いほどに、最後の足りないピースを補う選手』

 

 

「うわ……恥ずかしいな、これ………」

 

 

 

 ベタ褒めと言っても過言では無い……と言うか、実際べた褒めされている。面と向かってでは無くとも、こうして紙越しに書かれると慣れない恥ずかしさに身体がむず痒くなる。

 

 そんな風な書き込みを読み進めて行くと、最後の方に、不思議と吸い寄せられた。

 

 

 

『間違いなく、自分の想定を超える才能を秘めている。成長を促す意味でも、新たな起爆剤としての意味でもキャプテンマークを託したが、まだ一年生。特に気にかけ、潰れてしまわないように細心の注意を払うように心がける。キャプテンという重圧で潰してはならない。彼が成長出来る最高の環境を提供するのが、監督たる自分の役目だ

 

 

 彼が来てくれたお陰で、あの技を託すことが出来た。これから先の試合で必ずチームを救ってくれるあの技は難易度が高いが、幽谷ならばきっとやり遂げてくれる。それに、月村達も迷いなく協力してくれるだろう』

 

 

 

 

『______ベンチから偉そうに言うだけで、何も手助けをしてあげられない。情けない』

 

 

 

 

 

「………気にかけててくれてたんだ、やっぱり」

 

 

 

 くしゃり、と紙が歪む。

 

 

 

 

「情けなく無いですよ、監督。本当に………本当に、情けなくなんかない。これだけしてくれる人が、情けないはずないじゃないですか」

 

 

 

 

 俯きながら、少し震えながら。彼は静かに拳に力を込める。

 

 

 それを静かに見守っていた、その霊。いつも近くに寄り添い、自分を鍛えてくれたその霊に、幽谷は小さく語り掛けた。

 

 

 

「ねぇ」

 

『なァに?』

 

「後半、この技を解禁して、最後まで走りきれるよね」

 

『ダィ丈夫だネ』

 

 

 肯定を示す霊に向けて、幽谷が視線をあげる。

 

 暫くじっと、バンダナで遮られた視界でその存在を見つめる。そして、ふと彼がバンダナに手をかけ、また問うた。

 

 

「そっか。じゃあ______」

 

 

 

 

 

 

 

「______()()()()()()()、走りきれるかな」

 

 

 昔からの教え子からの問いに、鼻で笑うように霊がこう返した。

 

 

 

 

 

『死ヌ気でやれバ、ね』

 

「それなら良かった。死ぬ気になればいいだけだもんね」

 

 

 

 静かに、その場から立ち上がる。口元に笑みをたたえた彼は、ゆっくりと視線を巡らせ、少し離れた場所にいた一人の選手の元に歩いていった。

 

 

 

 

「不乱先輩。少しいいですか」

 

「……ん?」

 

 

 守備陣との話し合いを終え、失った水分を補給していた三年生の不乱。声をかけられた彼は、普段とは少し違う幽谷の様子に首を傾げながらも応対する。

 

 

 

「どうかしたか」

 

「後半から、あの技使おうと思います」

 

 

 幽谷から告げられた言葉に、少し目を丸くするが、「そうか」、と小さく頷く。どちらにしろ一点差で負けているのだ、温存して勝てるほど甘い相手でも無いのでその判断は当然だろう。

 

 

 

「……それで、なんで俺にそれを言った。月村の方が先じゃないか?」

 

「不乱先輩に、お願いがあるので」

 

「お願い…?」

 

 

 

 あの技を使うのなら、近くでサポート出来る月村や武羅渡に真っ先に伝えるべきだろう。それなのに何故DFの自身を優先したのかと問えば、幽谷はそう口にした。

 

 

 

「………後半開始一発目に、流れをウチに引き寄せたい。ボールを持ったら早々に仕掛けて、同点に持ち込みます」

 

「なるほど…………それで?お願いってのは?」

 

「それは______」

 

 

 

 幽谷が静かに、お願いの内容を口にする。それを聞いた不乱がぎょっとしたような表情を浮かべ、正気かと幽谷に聞き返す。

 

 

 

 

「………お前、俺の事買い被りすぎだろ……」

 

「俺の知ってる不乱先輩は、それくらいやってくれる人です」

 

「………ったく」

 

 

 

 ガリガリと頭を掻いた不乱は、溜息をつきながら。しかしてニヤリと笑って、目の前の後輩の頭をグリグリと撫でた。

 

 

 

 

 

「まぁ、後輩に頼まれたら、断れねぇか………任しとけ、()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

★★☆

 

 

 

 

 

 

『さぁ!!運命の後半が今、始まろうとしております!!前半一点差でどうにか凌いだ尾刈斗、ここはどうにかして早々に同点に持ち込みたいところ!!帝国ボールから、後半開始です!!』

 

 

 

 角馬の声響く中で、今再び試合が動き始める。泣いても笑っても、これが終わった時にはどちらかが勝者となり、どちらかが敗者となる。ポジショニングは両チーム変わらず、帝国側からのスタートとなった。

 

 

 寺門がボールを鬼道へ送り、佐久間と2人で駆け上がっていく。

 ボールを保持した鬼道も同様にドリブルで上がっていき、まずディフェンスを仕掛けてくるであろう幽谷を警戒するが……。

 

 

 

「……なに?」

 

 

『あぁっと!!尾刈斗キャプテン幽谷、仕掛けない!!そのまま鬼道をスルーし、敵陣へと駆け上がっていく!!』

 

 

 

 当然ディフェンスして進路を塞いでくると予想していたが、幽谷は鬼道には目もくれずに帝国ゴールへと走っていく。予想と違う動きを見せた幽谷に違和感を感じた鬼道だったが、すぐに思考は切り替わった。

 

 

 

「寄越すね!!【おんりょうV2】ッ!!」

 

「っ!甘いっ!!」

 

 

 

 霊幻が片手にどす黒いエネルギーをかき集め、地面に沈みこませるようにして叩き付ける。そこから這い出てきた無数の手足が鬼道を絡め取ろうと迫っていく。

 

 しかしそれに引っかかる鬼道では無い。ボールを足に挟み込んで跳躍した鬼道は悠々と霊幻の必殺技をかわしてみせるが、それも織り込み済みだった。

 

 

「貰った!!」

「空中じゃ、躱せない……!!」

 

 

 霊幻の技によって跳んで躱すと予期していたMFの2人、木乃伊と八墓の2人が左右から同時に仕掛ける。いかに鬼道有人と言えど、空中で必殺技を使う事は難しい。これで防げたと思った2人だったが、鬼道有人はそう単純には止められない。

 

 

 鬼道は一度足に挟んでいたボールにスピンを加えながらわざと地面に向けて投げ出す。そして鬼道自身は空中で身体をひねることで滞空時間を延ばし、木乃伊と八墓の間をすり抜けるようにして躱す。

 すると、先程地面に投げ出したボールがスピンの影響で大きく跳ね上がって、まるで飼い主の元に駆け寄る飼い犬のように、鬼道の足元へと戻っていった。

 

 

「っ、マジかよ……!!」

 

「済まないが、必殺技が使えずとも躱し方は幾らでもある。いい不意打ちだったが、甘いな…………ッ!?」

 

 

 

 完全に不意を打ったと思ったのに素早く抜かれてしまった木乃伊が、鬼道の技術に舌を巻く。判断自体は悪くなかったと賞賛を送る鬼道だったが、咄嗟に感じた嫌な気配から反射的にボールを真横に送った。

 

 

「っち……ダメだった………」

 

「………気配を殺して死角からの不意打ち………雷門の影野のプレーを見ていなかったら危なかったかもしれないな」

 

 

 

 鬼道が感じた気配の正体は、足音を殺してボールを奪いに来ていた尾刈斗のセンターバックの一人、三途。シュートブロックの役割があるゆえに滅多なことでは前に出ないと思っていたため、鬼道もここまで接近を許してしまったのだ。

 

 

 完璧なタイミングで奇襲を仕掛けて来たが、流石は鬼道有人。以前の練習試合で似たようなプレーをしていた雷門のDF、影野を知っている彼は咄嗟の判断、かつ体勢が整っていなかったにもかかわらず、サイドの咲山に向けて的確なパスを送り出していた。

 

 

 

「ぐふっぐふっぐふっ!!!ボールゥ!!」

 

「キメェんだよてめぇ!!【ジャッジスルー改】っ!!」

 

「ぐっぶふぅ!?」

 

 

 

 ボールを受け取った咲山が得意のドリブルで切り込んでいくが、その前に屍が立ち塞がる。巨体を揺らしながら一心不乱に突っ込んでくるその姿は恐怖そのものだが、あいにく咲山はその程度でビビる様なメンタルはしていない。

 

 的確にジャッジスルーを決めて吹き飛ばし、その隣を駆け抜ける。そして咲山がボールを鬼道へと戻そうとした時、異変に気がついた。

 

 

 

 

「アンタは通さないヨ!」

「フリーにすると厄介だからな」

「ここで、止めさせてもらうね………」

 

 

「くっ……流石に面倒だな……!」

 

 

 

 なんと鬼道の周りを取り囲むようにして、霊幻、木乃伊、八墓の3人がピッタリとマンマーク。パスを通すどころかその場から動かすことすら許さないとばかりにキツく3人からマークされた鬼道は、思うように動けなかった。

 

 

 

「咲山、センタリング!!」

 

「了解!!ぶち込め佐久間ッ!!」

 

「あぁ!!寺門、洞面!!」

 

「おうっ!!」

「はいっ!!」

 

 

 

 しかし鬼道を止めたからといって、帝国の攻撃手段を削ぐことにはならない。彼ら一人一人が、鬼道と並び立って戦うことが許された精鋭中の精鋭。彼の指示がなくとも、個々で判断して最適解を導きだして実行する。それが王者帝国のレギュラーメンバーだ。

 

 ポストプレーを得意とする鬼道の右腕、参謀の佐久間からの合図を受けて咲山がボールを大きく蹴りあげる。それに合わせるようにして佐久間が声を掛けると、寺門、洞面共に反応を返し、回転しながら飛び上がる。

 

 

 

 

「DFを1人上げたのは失敗だったな!!食らえっ!!」

 

『______【デスゾーン】ッ!!』

 

 

 

 飛び上がった3人のパワーを一点に集中させ、スタンプキックで打ち出す。帝国が誇る連携技、全国トップクラスの破壊力を誇る必殺技だ。前半止められはしたが、消耗している尾刈斗守備陣、しかもブロッカーを担っていた三途を前に出しているためブロックに参加はできない。ゴールネットを揺らす自信が、帝国にはあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『______鉈先輩も三途先輩も、限界が近い。このままいけば流れを掴むより早く2人の……いや、チーム全体の体力が尽きて敗北が決定的になります』

 

 

 後輩から告げられた言葉を、思い返す。

 

 

 

『後半開始早々に点を決めて同点にすれば、まだ戦えます。あと一点、という心理が体を動かしてくれる……だけどボールは帝国スタート、一回はあの帝国の猛攻をしのがなければなりません』

 

 

 

 息を吸って、吐く。心を落ち着け、迫り来るボールをしっかりと見据える。

 

 

 

 

『なのでまず攻撃陣の要である鬼道有人を3人がかりで止めます。そうしたら帝国は確実にデスゾーンへと繋げてくる。ここで鉈先輩に無理をさせる訳にもいきませんし、流れを持ってくるならド派手にいったほうが効果的です。なので______』

 

 

 

 

 

『______不乱先輩、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「………ほんっと無茶苦茶言ってくる後輩だよ、お前は」

 

 

 

 ベンチで告げられた言葉に思わず苦笑する。

 

 デスゾーン。帝国学園が誇る、全国でみても最強格の必殺シュート。前年度の大会では、木戸川清修のGKが多重のシュートブロックで減衰した上でようやく止めて居たような代物だ。

 

 それを単独で止めろ?しかもGKでもなく、DFの自分が?どんな無茶ぶりだ、と呆れを通り越して笑えてくる。それこそ帝国の誇るディフェンスリーダーならば出来るかもしれないが、自分は一介のDFに過ぎない。止めろという方が無理だろう。

 

 

 そもそも自分は同級生の中でも実力は下だったのだ。

 

 未来のエースストライカーだと評されていた月村とも、鉈が入ってくるまでチームの守護神を務めていた不死とも、優れた洞察力と気のいい性格で試合でも日常でもチームのバランスを保っていてくれた魔界とも違う。

 

 

 言わば図体がデカいだけの木偶の坊。サッカーを始めた頃はシュートをバシバシ決めるストライカーに憧れていたものの、動きの鈍い自分に才能なんてなかったから、逃げるようにDFに転向したのだ。

 打倒帝国なんて目標があった訳でもなく、ただ単に帝国に入れる実力も、都外の有名校の目に止まるほどの守備力も持ち合わせていなかった。古豪と評される尾刈斗にきたのも、家から近くそれなりの実力のチームに身を置きたいという見栄からきた不純な動機だ。

 

 

 

 そんな俺がこのシュートを止めるなんて、土台不可能なものだ。漫画の主人公ならこういう時に覚醒して新技の1つでも習得するかもしれないが、そういう奇跡は本気でやってきた奴の元に舞い込むものだ。少なくともそんな奇跡を授けられる程、綺麗な心は持っていない。

 

 

 

「______【フランケン守タイン】ッ!!」

 

 

 

 闇色の稲妻が走るエネルギーの塊が、突き放さんとするために空を呑みこみながら迫ってくる。全身に力を込め、真正面から己の技でぶつかって行く。小細工する暇は無し、純粋に力と力をぶつけ合う……が。デスゾーンの強大なパワーの前に、受け止める身体が仰け反り、一歩後ろに足が下がる。

 

 

 ほら見ろ、技の進化すらもさせられない。そもそも3人連携のシュートを1人で止めるとか物理的にできるわけが無いのだ、止められない。自分の実力では、勝ち目なんて望めない。

 

 

 

 

「______けるか……ッ!!」

 

 

 

 あぁでも、少し違うか。

 

 

 

 

「負けて、たまるかァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

 

 

 

 勝ち目は無い。立っている土台も違う。

 

 だけど。負ける気なんて、さらさら無いさ。

 

 

 

 実力は大きく負けている。今この瞬間全ての力を振り絞ったとしても、確実にこのシュートを止められる程の力は自分には無い。謙遜でもなんでもないただの事実。それだけ己は弱く、帝国学園は強いから。

 

 

 だからなんだ。諦める理由にはならない。そもそも()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 この場にいない監督は、誰よりもこのチームのことを考えて、練習メニューも個人個人に合わせて考えてくれていた。

 

 鉈はみんなのムードメイカーを務めながら、守護神としていつもこんなシュートを止めて来てくれた。

 

 三途は身体能力に恵まれてるとは言い難かったが、それでも必死になって体を張って守ってくれていた。

 

 柳田と屍は、攻守両面に走り回って体力も尽きかけているだろうに、それでもチームの為に足を止めていない。

 

 霊幻、木乃伊、八墓達は判断が難しい局面でも最適解を選び続け、チームが崩壊しないように陰ながら支え続けてくれている。

 

 武羅渡はまだ二年生にも関わらず、月村と並び立つ程にまで成長し、攻めの一角を担ってくれるまでになった。

 

 

 

 

 

「不乱先輩っ!!!」

 

 

 ………幽谷は一年生でキャプテンという重圧を背負いながらも価値を諦めず、俺を信頼して任せてくれた。

 

 

 

 そして何よりも、誰よりも。

 

 

 

「______信じてんぞ、不乱ーーーーっ!!!」

 

 

 

 

 あの試合で、誰よりもシュートを止められて。誰よりも実力差を叩きつけられて。殆どの同級生が辞めていく中で、真っ先に立ち上がったアイツが、信じてくれている。

 

 

 

 

 奇跡を待つな。自分のような不誠実な人間には、どうせ待っていても奇跡は贈られない。

 

 

 だけどこのチームは違うだろう。みんな頑張っている、死ぬ気で勝とうともがき続けている。そんな彼らが報われないなんて、到底認められない。奇跡が起きるべきチームだ、それを間近で見続けてきただろう!!

 

 

 だから起こせ。この無駄な図体はこういう時のためにあるんだろう!!なんの取り柄もない木偶の坊にただ一つ、少しだけできる事!!

 

 

 

「オオオオオオォォォォォッ!!!」

 

 

 

 最高の仲間を、もっと先へと送ることっ!!

 

 

 

 

 

 背後に現れた不死の怪物。真正面から、ただただ純粋に。その剛腕を唸らせて、闇色の球体を真上から叩き伏せる。

 

 高速スピンのかかったボールが、前へ進もうと怪物の腕を削る。ビキビキとヒビが入り、それでも全く緩めずにボールの勢いを殺す。

 

 

 怪物の腕が砕け散り、霧散する。まだ強い勢いを残したボールは彼の腹部に激突。それでもなお、必殺技を破られてなお、深く腰を落とし、立ち向かう。

 

 螺旋回転するボールが彼を突き破らん威力で廻り続ける。それでもなお、彼は立ちはだかる。

 

 

 

「…………ははっ」

 

 

 

 ______そして。

 

 

 

 

 

 

「起こせるもんだな……奇跡って」

 

 

 

 

 

 

 膝を着きそうになりながらも、両足で地面を踏み締めて。彼はその場で笑って見せた。

 

 

 

 

『______と、止めたァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!??信じられません、帝国学園の、あのデスゾーン!!全国トップクラスの破壊力を誇る、あのデスゾーンをっ!!単独で止めて見せた、尾刈斗DF不乱拳ンンンンンンっ!!最上級生の意地!!チーム一のパワー自慢の面目躍如だァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!』

 

 

「うおおおおおおおおおおおおっ!!!!不乱パイセェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェン!!!」

 

 

 

 実況の角馬の言葉が、その場の殆どの人間の気持ちを代弁していた。

 

 あの帝国の連携シュート、それを止めたのがGKではなくDF……しかも全国的には全く名が知られていない、昨年度の二軍との試合ではレギュラーにすら入っていなかった男。信じられないものを見るように、帝国メンバーの目が見開かれていた。

 

 

 

「ほらっ、止めたぞ!!決めてこいッ!!」

 

「っ、しまった!!」

 

 

 鉈の叫びが木霊する中で、不乱は力を振り絞って大きくボールをキック。デスゾーンをねじ伏せられ、GKにすら届かなかったことに気を取られた鬼道も不意を突かれて反応出来ず。高く上がったボールは、一気に帝国陣地にまで送られた。

 

 

 

「辺見っ!!」

 

「分かってる!!」

 

 

 源田からの言葉を受けて、飛んできたボールをトラップしようと辺見が跳躍。木乃伊達尾刈斗のMFはディフェンスの為に下がっていたので、フリーでそれを受けようとした。

 

 

 

「______ありがとうございます、不乱先輩」

 

 

 

 ………そんな辺見の目の前で、忽然とボールは姿を消すこととなったのだが。

 

 

 

 

 突如消えたボールに辺見が驚愕しているが、離れていた他の選手からは何が起こったのか明確に理解出来た。

 

 

 ______吸い寄せられたのだ。彼の元に。尾刈斗のエースの元に導かれるように軌道を変えて、足元へと収まった。

 

 

 

 

「王者帝国………本当に強い。普段の俺じゃあ天地がひっくりかえっても勝てないよ」

 

「おやおや………ならここで、ボールを渡していただけると助かるんですがねぇ」

 

 

 

 幽谷の小さな呟きに、反応する男が一人。月村と武羅渡からマークされていたもののそれをフェイントで振り切ってボールを奪いに来た、帝国のディフェンスリーダー。特待生の、五条勝だ。

 

 

 世代屈指の瞬発力を生かし、瞬時に肉薄。そのままボールを掠め取ろうとした、その時。

 

 

 

 

「いいや、無理ですよ______()()()()()()()()()

 

 

 

 幽谷が()()()()()()()()()()()()。不自然なまでに、彼の体が急停止した。

 

 

 

「っ!?こ、れは……!?」

 

「五条!!どうし………っ!?」

 

 

 五条の目が驚愕に見開かれる。不審な様子を案じて声をかけた万丈だったが、すぐさま彼も顔を歪める。

 

 

 

「なん、だ……動けねぇ……!?」

 

「こ、れって………まさか…!?」

 

 

 万丈、そして大野も五条と同様に、その場から全く動くことが叶わなかった。

 

 

 尾刈斗中。そして不自然に動けなくなる現象。五条から話を聞いていた成神の脳裏には、一つのタクティクスの名が横切っていた。

 

 

 

 有り得ない、と五条が心の中で叫ぶ。

 

 あれは複雑怪奇な動きで視覚的に惑わせ、その心理的な隙をついて監督がフィールド外から催眠術を掛けることによってようやく可能になる代物。意図せぬ事とはいえこの場に尾刈斗の監督はおらず、代理で座っている女性はそんな経験があるようには思えない。それに、幽谷はなんら変な動きはしていない。にも関わらず、五条達は足を止めた。止められた。

 

 

 

 

「(冗談だろ………ノータイムの【()()()()()()()】だと!?)」

 

 

 

 間違いない。ゴーストロック、尾刈斗が得意とする必殺タクティクス。本来ならば雷門に破られ、この世界では五条の手によって一年前に破られたはずのタクティクス。

 

 複数人で行うはずのこの技を、単独でやってのけた。それ即ち、現状五条達帝国DF陣は無力化されていることに等しかった。

 

 

 

 

「______フッ……!!」

 

 

 

 完全にDFの動きを止めて見せた、尾刈斗のエース。彼はサマーソルトキックの要領でカカトからボールを高く上に上げると、地面に両手を着く。

 ズブリ、と彼の手が沈む。真っ黒に、底なしの闇のように穴の空いた地面へと手を伸ばし、拳を握って振り上げる。

 

 

 そこから現れたのは、真っ黒の鳥。地面から大空へと飛び立ったその鳥は、大きな嘶きをあげながら高く上げられたボールを追従。それに合わせて、幽谷も大きくジャンプした。

 

 

「これが全身全霊、俺の、最高威力ッ!!」

 

 

 

 蒼空を切り裂く黒い影が、ボールを包み込む。ぐにゃりと身体を歪ませて黒い球体となったそのボールは、中央に一本の線が入っていた。

 

 

 そして追うように飛び上がった幽谷が追いつくと、その線が______まるで閉じた瞳のようになっていたボールが開かれ、赤と紫に彩られた単眼と化す。ギョロりと動くその瞳は、GKの源田を真っ直ぐに捉えた。

 

 

 

「______【ゲイズ=ウジャド】ッ!!」

 

 

 

 オーバーヘッドで幽谷がその瞳を撃ち抜く。赤と紫、ふたつの光が螺旋回転しながら混ざり合い、ゴールネットを突き破らんと空中を切り裂いていく。

 

 

「っ、舐めるな!!【フルパワーシールドV2】ッ!!」

 

 

 

 しかし、DFと違い体を動かすことの出来る源田が両拳にエネルギーを充填。それを右拳へと集結させ、大きく跳躍。地面を殴り付け、極厚のエネルギー障壁が帝国ゴールを護らん為にその姿を見せる。

 

 

 源田の技の中でも最高威力、しかも油断無く完全に発動した。もう二度と無様を晒さぬために鍛え上げてきた誇り。仮に雷門の【イナズマ一号】だろうと止められる自信のある、王者帝国の守護神に相応しい技。

 

 

 飛来する2色の光線と、エネルギー障壁がぶつかり合う。止められる自信はあった。源田はミスなく、最適なタイミングで必殺技を発動出来た。だからこそ、動きを止められたDF達も大丈夫だと心の中で思っていた。

 

 

 

 

 ______ビキリ、とヒビが入る。パワーシールドとは比較にならない極厚の障壁。しかし一度入ったヒビはそのままビギリ、ビギリと広がり始め………源田が目を見開いた瞬間。彼の最高の必殺技は、砕け散った。

 

 

 

 

「………嘘、だろ……?」

 

 

 

 源田自身か、それとも別の誰かの呟きか。それは誰にも分からなかったが、ただ一つだけハッキリしていることがあった。

 

 

 

 

 

 

「______嫌いなんですよ、()()

 

 

 

 地面に降り立った幽谷が、ため息をつく。

 

 

 

 

()()()()()()()馬鹿みたいに疲れるし、色は気持ち悪いから友達も出来ないし。下手に開いてると見えたくないものまで見えちゃうから、普段は隠してるんです」

 

 

 

 そう言って彼は、()()()()()()()()()()()()()()()()()を触る。

 

 

 この状態では、脳にかかる負荷が尋常では無い。だからこそ普段は隠しているし、試合でも滅多に見せない。誰にも言ったことのない、幽谷の秘密。ゴーストロックとは違う、()()()()()()()()

 

 

 

「でも負けたくないから。先輩達とも、監督とも…………まだこのチームで、勝ち進みたいから」

 

 

 

 

 そう言って幽谷は笑う。赤と紫、ふたつの色が織り交ざった二つの瞳を覗かせて。

 

 

 

 

 ……たった1つ。今この場で、確かな事実。それは______

 

 

 

 

「足元掴んで引きずり下ろしますよ______王者帝国さん」

 

 

 

 

 ______一年生キャプテンの手によって。試合は振り出しに戻されたということだ。

 

 

 

 

 

尾刈斗 1-1 帝国学園

 

 

 

 

 

 

 

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