イナズマイレブン! 脅威の転生者 ゴジョウ!! 作:ハチミツりんご
みんな五条さん好き過ぎだろ
黒帽子さん、誤字報告ありがとうございます
「・・・ついたぞ。ここが、今日から君が暮らす施設だ。」
黒光りする車に揺られ、飛行機に揺られ、俺は黒服に案内されるがままに愛媛の施設にたどり着いた。
黒服の話では、俺は近くの小学校に通いながら施設の特待生として過ごすそうだ。
・・・施設の特待生ってなんなの?黒服の話では、どうも影山の為の戦力っぽいけど、なんとなく使い捨ての駒っぽい印象だ。だって本当に必要な戦力なら有人みたいに自分で育てるだろうし。
「こっちだ。」
ぼんやりとそんなことを考えていると、黒服が歩き出したので後ろをついていく。施設の隣の大きめの建物ーーーなんか体育館っぽいーーーに入っていったので、俺も続いて入る。
するとそこには・・・
「おい、パス!パス!」
「一人フリーだぞ!」
「もっとプレスかけろ!!」
至って健全にサッカーをやっている子供たちがいた。いやまぁ、周りには白衣を着た怪しい雰囲気の大人がちらほらいるけど。間違っても炎が出たり、空中にとどまって回転したりする超次元ではない。
それに、どの子もレベルが高い。特に、大人達が出す指示を的確に実行する統率性は見事だ。
そんなことを思いながら練習を眺めていると、俺を案内していた黒服が俺に話しかけてくる。
「・・・どうだ、このチームの実力は?かなりハイレベルだろう?」
「ええまぁ。基礎がしっかりしていますし、走り回れるだけの体力もあるみたいですね。」
「その通りだ。だが、まだまだこんなものじゃない。君と、他2人の特待生が加われば、このチームはさらに盤石なのものになるのだぁ!?」
自信満々にそう叫んでいた黒服だが、突如飛来したサッカーボールが側頭部に激突した為吹き飛び、そのまま倒れる。
いきなりボールが飛んできたことに驚き、練習している子供たちの方を見ると、子供たちや指示していた大人も驚いた様子でこちらを見ていた。どうも彼らではないようだ。
「ありゃりゃ〜!外しちった!!」
「うっわ、あんたFWの癖にまともにシュートも打てないの?価値なくない?」
「忍ちゃんヒドゥイ!!」
一体誰が、と考えていると、俺のいる反対側の入口付近から声が聞こえる。そちらを見ると、緑色の髪を纏めたピエロのような少年?とクルクルと巻いた様なサイドポニーに、前髪を眼帯のようにして左目を覆い隠すという特徴的な髪型をした桃色の髪の少女がいた。
・・・なーんかすっごい見覚えがあるんだけど、どこで登場する子だったっけ?特にあのピエロとか、1回見たら忘れないと思うんだけどなぁ。
「ま、外しちゃったらもう1回打てばいいじゃん?」
そんなことを言いながら、ピエロっぽい男子が近くのボールカゴから新しいサッカーボールを取り出し、軽く前に放る。
「よい・・・しょっと!!」
そしてそのまま軽く助走をつけ、右足でボールを蹴った。こちらにまっすぐ飛んできたそれを、俺は慌てずに足で受ける。
・・・結構強いな。キック力だけなら有人に並ぶかも。
「ありゃ?普通に止められたわ。」
「へぇ・・・流石に、影山さんが自分から誘っただけの事はあるみたいね?」
ピンク髪の子がそういうと、周りの大人達がざわつき始める。いや、事前連絡くらい無かったの?
そんなことをかんがえていると、ピエロ君と眼帯ピンクちゃんがこちらに近づいてきた。
「あんた、結構強いじゃん。名前なに?」
「………五条勝です。そちらは?」
「あたし、
「へいへーい、おれ呂介!よろしくね、勝ちゃん?」
「ええ、よろしくお願いします。」
小鳥遊に、比得って・・・あぁ!!思い出した思い出した!こいつら確かあれだ、無印のエイリア学園編で不動がいるチームのやつだ!!【真・帝国学園】だっけ?
「いやー、勝ちゃんつよいねぇ!俺キックには自信あったんだけどなぁ!やっぱアイツらみたいな雑魚とは違うね?」
そう言って、比得は先程まで練習していた子供たちを見る。子供たちは、憎々しげに俺たち三人を睨んでいた。
・・・え、俺も?
「……彼らは、チームメイトでは?」
「はぁ?違う違う、あれは人数合わせのための駒。あたしと比得がいれば勝てるし。」
むしろいる方が邪魔かな、などと言いながら笑う小鳥遊。笑いながら同意する比得に、それを聞いて悔しそうに顔を歪める他の子供たち。
・・・なんか、随分とめんどくさそうなところに来ちゃったなぁ・・・。
とりあえず挨拶を済ませた俺は、何故か運動用の服に着替えされられピッチに立たされていた。・・・何故?
「今から、適正テストを始める!まずは、キック力の測定だ。」
そう言って、GKがゴールの前に立つ。先程まで練習していた子供たちの1人だ。
「……よろしくお願いします。」
「・・・」
なにか喋ってぇ!?特待生ってだけで嫌われ過ぎじゃない?なんなのこれ、俺なんか悪いことした?
ピーッという笛の音とともに、GKが構える。ついでに、俺の足元からボールが出てきた。なにこれハイテク。
「特待生なんかに負けるかよ・・・!」
うわぁ、めっちゃやる気出してる。敵意通り越して殺気すら感じる勢いだ。
まぁでも、手は抜かずにいかなきゃ相手に失礼だしね。全力でいこうか。
足元のボールを、助走をつけずにその場で蹴る。蹴られたボールは、まっすぐゴールの隅に吸い込まれ、ネットを揺らした。GKの子も反応は出来ていたが、ボールには届かなかった。
「くっ・・・!」
間に合わなかったことに驚いた様子だったが、すぐにこちらを睨みながら構えなおす。だからなんでいちいち睨むのさ。
ピーッと再び笛がなり、足元にボールが出現する。今度は少し助走をつけ、回転をかけながらボールを蹴る。GKも反応し、ボールを掴もうとするが、回転によってボールはGKと逆方向に曲がり、再びゴールネットを揺らした。
「んなっ!?」
ボールが曲がったことに驚きながら、悔しそうに顔を歪める。まぁあんな曲がるとは思わんわな。
ピーッと三度笛が鳴り、足元にボールが出現する。今度は大きく後ろに下がり、十分な助走距離を稼いでから走り、全力でボールを蹴る。小細工無し、純粋なパワーのみのシュートだ。その速さにGKは全くついていけず、棒立ちのままボールがネットに突き刺さった。
「・・・・・」
口を開け、呆然とした様子のGKを見ながら、俺は監督役の白衣の男に話しかける。
「これで充分だと思いますが?」
「そ、そうだな。次の試験に移ろうか。」
「次は、突破力を測る試験だ。ディフェンスを躱し、向こうのラインまでたどり着けばクリア、これを人数を増やしながら行う。」
その言葉と共に、DFの1人が俺とラインの間に立つ。例によって、この子も俺を睨んでいた。心が痛い。
ピーッという笛を聞き、ドリブルを始める。
・・・が、俺とDFの彼では基本のスピードが違いすぎる。そのため、ほとんど何もせずに俺はDFを抜き去った。
その後、2人、3人と人数を増やしていったが結果は変わらず、遂に俺とラインの間には11人の子供たちが立っていた。
「くそっ!!次こそ止めるぞ!」
リーダーらしき子がそう号令し、残りの子供たちが「おうっ!」と答える。全員がやる気に満ちているようだ。
ピーッと笛が鳴る。その瞬間、子供たちが俺を包囲し、一斉にボールを奪いにくる。
「これなら逃げ道はないぞ!!」
「………まだ、甘いですねぇ。」
逃げ道はない、といったが、厳密には1箇所空いている。
それは、空中。
俺はボールを蹴り上げ、斜め上に飛び上がる。蹴り上げたボールを身体をひねりながら空中で足に挟み、そのまま着地。悠々とラインを越える。
「・・・い、意味わかんねぇ、なんであんなことできるんだよ!!」
お?お前この程度で驚いたらいかんぞ?これより全然やばいことが普通に起こる世界だぞ?炎纏いながらシュートするぐらいじゃなきゃやっていけんぞ?
「……これくらい、君たちにも出来るようになりますよ。」
本心からそう言うと、子供たちはこちらを睨んできた。皮肉と受け取ったのか?ホントのことなんだけどなぁ。
そんななか、仕切り直すように監督役が声を出す。
「では、このままディフェンス力のテストに入る。先程までと逆に、相手にラインを割らせないようにしろ。徐々に人数を増やしながら行う。」
「ねーねー、監督ぅ!ちょっと待ってくんなぁい?」
監督役が指示を出している途中、近くで眺めていた比得が声を上げた。
「見るだけにしようと思ったんだけど、やっぱ見てるだけとか無理だわ!その試験、俺にやらせてくんない?」
「・・・いいだろう。予定変更、五条の相手は比得だ!」
比得の提案に、少し考えてから監督役が同意する。前の試験で、子供たちでは力不足だと考えたのだろう。
俺の前に、ボールを持った比得が立つ。表情は変わらずニヤニヤしたもの・・・あれって素であれなのかな?それともピエロっぽく振舞っているのだろうか?
そんなことを考えていると、笛が鳴り、比得がドリブルしてくる。なるほど、確かにさっきの子供たちとは比べ物にならないスピードだった。
俺は比得の進行方向に立ち塞がり、ボールを奪おうと仕掛ける。しかし、比得は自分の体を壁にし、巧みにボールをキープする。
比得がロールして躱そうとしたが、その先に回り込む。すると、比得は一旦下がり、勢いをつけてこちらに走り込んでくる。止めようと身構えた時、比得は速度を緩め、ヒールリフトでボールを上にあげる。
・・・が、ギリギリそれが見えた俺は飛び上がり、ボールを胸でトラップし、着地する。
「うっそん!?」
「あーりゃりゃ、あいつ負けてんじゃん。」
比得の驚きの声と小鳥遊の呆れの混じった呟きが聞こえる中、監督役は俺の勝ちを告げる。それと共に、俺の診断テストは終了した。
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「し、失礼します!!」
焦ったように息を切らしながら、部下のひとりが部屋に入ってくる。そんな部下の様子を顔を僅かにしかめながら見た影山は、部下から1つの書類を受け取る。
そこには、自身が報告するように命令していた、五条勝の身体能力データが纏められていた。
「なんなんですか、その子供は!!キック、パス、ドリブル、スピード、ディフェンス、全てにおいて規格外です!!はっきりいって、現在の帝国にこれを上回る選手がどれだけいるか・・・!!」
「・・・静かにしたまえ。見苦しいぞ。」
「っ!!はっ!申し訳ありません!」
影山は、手元の資料に視線を落とす。
(・・・なるほど、確かに6歳児の身体能力とは思えないな。一般の選手では比べ物にならない。帝国の一軍に数名居るかいないかだな。)
そのデータは、影山から見ても異常と呼べるものだった。自分自身が考える最高の原石、鬼道有人と比べても遜色が無い・・・いや、ことディフェンスにおいては、鬼道有人すらも上回っているその力。
一体どこで身につけたのだろうか。彼の両親は至って普通の人物だった。交友関係も同様に、ごく普通だった。それなのに何故。
影山には、その疑問は尽きなかった。しかし同時に思う。
コレは、1歩間違えば自分を蝕む毒だが、同時にコレは強力な武器にもなりうる、と。
「・・・引き続き、監視を続けろ。それと、鬼道有人が出る大会に五条勝を参加させるな。鬼道有人というブランドに傷がつく。」
「はっ!!」
まぁいい、と影山は内心ほくそ笑む。武器になるのなら使えばいい。もし、自分を蝕むような事があればーーー
「・・・いつでも消せるようにしておけ。」
ーーー蝕む前に、取り除けばいいのだから。