イナズマイレブン! 脅威の転生者 ゴジョウ!!   作:ハチミツりんご

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UA25000越え、お気に入り1000越えありがとうございます!!

見ててヒェッ……ってなりました。みんな五条さん大好きかよ


那由多。さん、誤字報告ありがとうございます


第九条 吹雪兄弟の実力

「ほいよっと!!」

 

「よいしょ・・・っと!!」

 

 

『決めたァァァァァァァァァ!!!ここで試合終了!!今大会招待チームとして参加しているリトルエンペラーズ、圧倒的な実力を見せつけての決勝進出!!これで、決勝戦はこの【愛媛リトルエンペラーズ】と、前年度優勝の【ゆきんこベアーズ】との戦いだァ!』

 

 

 

 

「おぉ〜、凄いなあの子達!!相手のチーム、去年決勝で士郎たちと戦った子達だよな?それに10-0で勝つなんて強いんだなぁ」

 

 

眼鏡をかけた、歳若い男性が驚いた様子でそう言うと、隣に座っている子供のうち、橙色に近い髪色をした子供が面白くなさそうに鼻を鳴らす。

 

「ふんっ!全然強くないよ!マシな動きしてるのは変なFWとピンク髪のMFだけで、俺と兄貴の二人なら、簡単に倒せるよ!」

 

そんな一つ下の弟の言葉に、灰色っぽい白色の髪をした兄は穏やかな笑みを浮かべながら口を開く。

 

「・・・それはどうかな。アツヤも気づいてるんだろう?あのチームで、一番強いのは・・・」

 

「あのメガネでしょ?兄貴。」

 

弟の答えに、兄は満足そうな笑みを浮かべる。そんな子供たちの会話に、父親である眼鏡の男性は目を丸くする。

 

「え、あのDFの子かい?あんまり目立ってるようにはみえなかったけどなぁ。」

 

「目立たないようにしてるんだよ。周りのサポートに徹している上に、相手を怪我させないように力を抑えてる。彼が居なければ、このチームは成り立ってないよ。」

 

「へぇー、そういうものなのか・・・。すごいな士郎、そんなことに気づくなんて!」

 

そういって、父親は兄の頭を優しく撫でる。嬉しそうに目を細める兄を見て、弟も負けじと父親に話しかける。

 

「俺も、俺も気づいてたよ!!」

 

「お、そうか!アツヤも凄いなぁ。」

 

父親に撫でられ、満足そうな表情を浮かべる弟。そんな父と息子のやり取りを見て、呆れながら近づいてくる女性が1人。

 

 

「もう、こんな所にいたの?」

 

「「お母さん!!」」

 

「おや、どうしたんだい?」

 

「どうしたんだい、じゃないわよ!そろそろ帰らないと遅くなっちゃうわよ。」

 

「え?・・・あぁ、本当だ。それじゃあ、そろそろ帰ろうか。」

 

「「はーい!!」」

 

 

彼らの家は、大雪原を越えたところにある。ここに来るまで時間はかかるが、泊まる程ではないという微妙な距離にある自分たちの家に、彼らは向かっていった・・・。

 

 

 

 

 

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「はぁ!?なんでですか監督!!なんで五条が前半ベンチなんですか!!」

「そうですよ!ディフェンスの要ですよ!」

「特に動きが悪かったわけでも無いし、納得出来ません!!」

 

 

決勝戦当日、試合前にロッカールームで監督役が俺を後半から出すことを伝えると、一般生、特に三人衆が猛反発した。自分たちだけで特待生2人の暴走を止められないから、だそうだ。

 

 

・・・いやまぁ、心配になるのはわかるよ?てか俺が心配だし。一応これまでの対戦チームの選手に怪我させないように俺が注意払ってたし、実際けが人は出てない。が、次の試合は俺が出ない。よって、比得と小鳥遊(アホふたり)が暴走する可能性アリ。大いに心配だ。口に出したら小鳥遊に蹴られるから言わないけど。

 

 

「これは決定事項だ。文句があるなら試合には出さん。」

 

 

監督役がそう言うと、騒いでいた三人衆も口を噤んだ。まぁ試合には出たいだろうし、仕方ないね。

 

 

「まぁまぁ、マサルちゃんが出なくても俺がいるし?点とるのとか楽勝だよねぇ!」

 

ケラケラと笑いながらそう言う比得の隣で、小鳥遊は呆れたように肩を竦める。

 

「てか、これまで五条が参加する方が珍しかったのに、今更何言ってんの?ま、守備が心配ってのには同意するけどね。後ろがあんた達だけとか、私らが抜かれたら点取られんの確実じゃん。」

 

 

一般生達から睨みつけられるが、小鳥遊は何処吹く風と受け流す。一般生達も、実力差を知っているためか睨むだけで何も言わない。

 

 

 

そんな時に、試合開始時刻が迫っているとアナウンスがあった。監督役が手を鳴らし、全員を自分に注目させる。

 

 

「とにかく、五条は後半からだ。前半は田所が入れ。愛媛リトルエンペラーズの名にかけて、決勝も絶対に勝つぞ。いいな!」

 

 

『はい!!』と一般生達が大きく返事をし、監督役に連れられて、ゾロゾロとロッカールームを出ていく。

 

 

 

「なぁなぁマサルちゃん、なんで決勝では後半からなの?そんなこと俺たちに言ってたっけ?」

 

ロッカールームを出る際、比得がそんなことを聞いてきたので、ため息をつきながら答える。

 

 

「………貴方達が出ていった後、監督から言われましてね。前半は吹雪兄弟を観察して、総帥の役に立つかを見極めろだそうです。」

 

「ほーん・・・てか、それならこれまでの試合でマサルちゃんが出る必要無くない?」

 

 

比得に言われて、はたと気付く。確かに、吹雪兄弟の実力を確かめるだけならそれまでのチームは相手しなくてもいい。吹雪兄弟のいる【ゆきんこベアーズ】の時だけ出ればいいんだし。

それなのに、なんでわざわざそれ以外のチームと試合をさせたのかな?特に強そうな子も、原作に関わるキャラもいなかったと思うんだけど・・・。

 

そんなふうに考えていると、小鳥遊が興味無さそうにしながら口を開く。

 

「・・・別に、最近出てなかったから出してやろう、くらいの気持ちじゃないの?深く考えることないでしょ。」

 

「それもそっか!忍ちゃんさっすが〜!」

 

「キモい」「キモいですね。」

 

「酷くない!?ねぇ最近酷くない!?」

 

「あーあー、うっさいうっさい・・・。てかあんた、新必殺技覚えるとか言ってたけど覚えたの?」

 

「いやー、実は後ちょっとなんだよねぇ。高さが足りなくってさ。そういう忍ちゃんも【サイクロン】まだでしょー?」

 

「まぁね。なんでか五条みたいに強い風が吹かないんだよねぇ・・・。」

 

 

「てゆーか、こんなことしてないで急ぎましょうよ。」

 

 

いつの間にか必殺技談義を始めている小鳥遊と比得に呆れながら、俺は2人を連れてピッチへと急いだ・・・。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さぁ、この白兎少年サッカー大会もいよいよ大詰め!!決勝戦に駒を進めたのはやはりこのチーム、前年度優勝の【ゆきんこベアーズ】!!!

そして、対するは遠く愛媛からの刺客!!招待チームとしての実力に恥じない戦いぶりで今大会を勝ち上がった、新鋭、【愛媛リトルエンペラーズ】!!!僭越ながら私、試合が始まるのが待ちきれませぇぇぇぇん!!!』

 

 

決勝戦となり、元々高かったテンションをさらに上げている実況をよそに、ゆきんこベアーズのエースストライカー、アツヤは相手チームを見て、面白くなさそうに呟く。

 

 

「・・・んだよ、あのメガネ出てねーじゃん。俺達のこと舐めてんのか?」

 

ふつふつと怒りが湧き上がってきている弟を見て、兄である士郎は苦笑いを浮かべる。

 

 

(あらら、アツヤったら随分怒ってるねぇ。まぁでも、あいつはそれくらいの方が動きのキレは良くなるし、いっか。)

 

 

『さぁ皆さん、お待たせしました!!まもなく、試合開始です!!!』

 

 

士郎がそんなことを考えていると、実況の声とともに笛がなり、試合が始まる。

 

 

最初に攻め込むのは、リトルエンペラーズ。ボールを持った比得が、今までの試合同様一人で敵陣に切り込んでいく。

 

 

 

・・・が、しかし。

 

「おせぇんだよ!!」

 

「はぁ!?」

 

 

比得に素早くチェックしたアツヤが、瞬きの間にボールを奪う。一瞬でボールを盗られたことに驚きながらも、比得はボールを奪い返そうとアツヤを追いかける。

 

スピードに自信があった。しかし、アツヤの速さはそれを上回っており、さらに加速して比得を置き去りにする。

 

 

「ちょ、マジかよ!?」

 

「何してんのよ!【キラースライド】!!」

 

 

すぐさま近くにいた小鳥遊がブロック技を使いフォローしようとするが、アツヤはタイミングを見計らって飛び上がり躱す。

 

「うそ・・・なんで・・・!?」

 

 

「おそい、おそい、おそい!!!てめぇらなんかじゃ相手になんねぇんだよぉ!!」

 

 

あっさりと抜かれたことに呆然としている小鳥遊に向かって、アツヤはそう吐き捨てる。

 

そのまま勢いに乗って走るアツヤを、並の子供が止められるはずもなく、DF陣はあっさりと蹴散らされた。

そして、アツヤはあえてGKに向かってシュートを放つ。

 

 

「くらえ!【アイシクルショット】!!」

 

「【タフネスブロック】!!!

ぐっ、う、うわぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

アツヤの放ったボールは氷を纏いながらGKの佐藤に向かって真っ直ぐに飛んでくる。佐藤も負けじと必殺技を繰り出すが、はっきりいってアツヤと対峙するには力不足であり、ボールはそのままGKごとネットを揺らした。

 

 

 

『ゴォォォォォォル!!!準決勝まで先制点を取り続けたリトルエンペラーズ、逆に先制点を許してしまったぁぁぁぁぁ!!!なんという早業、なんという実力!!決めたのはゆきんこベアーズのエース、吹雪アツヤだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

 

 

 

シュートを決めたアツヤは、リトルエンペラーズのベンチーーー正しくは五条に向かって指をつきつけ、そのまま指を上に向けて手前にクイックイッと曲げる。

 

 

・・・とっとと出てこい。

 

 

そのような思いを込めた挑発であったが、五条はしばらくアツヤを見つめると、表情を変えずに顔を逸らす。

 

五条本人は、特に意味があってそうした訳では無いのだが、アツヤはその行為が、自分が出るほどではない、と言っているように感じ、ますます怒りのボルテージが上がっていく。

 

 

 

(クソがっ!!絶対引きずり出してやる!!)

 

 

「はいはい、あんまり熱くなっちゃ駄目だよ、アツヤ。」

 

 

怒り心頭の弟を見かねてか、兄である士郎が涼しげな笑みをたたえてアツヤに近づく。信頼する兄からの言葉に僅かばかり溜飲を下げるが、それでもおさまらないといった様子で叫ぶ。

 

 

「だってよぉ!!見たかよ、あいつ俺が挑発しても興味無さそうに顔そむけやがった!完全に俺達のこと舐めてるよ、兄貴!!」

 

「まぁまぁ、僕達のこと舐めてるんなら好都合じゃないか。ありがたくやらせてもらおうよ。」

 

「・・・けっ、つまんねぇの。」

 

 

 

 

その後、士郎はポジションに戻り、試合が再開する。ボールを持った比得は、先程と同じように、1人で上がっていく・・・ことはせずに、小鳥遊に一旦ボールを預け、そのまま2人で上がってくる。

 

 

「2人居ても、俺には勝てねぇよ!!」

 

「・・・あんまり舐めないでよね!!」

 

 

アツヤがボールを奪おうと近づくと、小鳥遊は比得にボールを渡す。その後、大きく息を吸い込み、比得の方に紫色の吐息を吐き出す。

 

そして、その吐息に合わせて比得はボールを足で挟み、高速で回転させる。すると、ボールの作り出した渦が吐息を巻き込み、紫色の竜巻を作り上げる。

 

「「【たつまきどくぎり】!!」」

 

「うおっ!?」

 

 

毒を含んだ竜巻に耐えきれず、アツヤが体勢を崩すと、2人はそのままゴールに向かって走り出す。中盤にいるMF達が止めようと向かってくるが、2人の相手ではなく、あっさりと突破する。

 

 

突破した2人の前に、兄の士郎が立ち塞がる。小鳥遊は比得をチラッと見て、もう一度大きく息を吸い込み、毒の霧を吐き出す。比得もそれに合わせて竜巻を起こし、アツヤと同様に士郎を突破しようと試みる。

 

 

「させないよ。【フリーズウィンド】!!」

 

 

が、しかし。士郎はその場で軽く飛び、身体を空中で2度回しながら右足を振るう。すると、小鳥遊と比得に向かって涼し気な突風が巻き起こり、毒の竜巻を打ち消した。

 

 

「嘘だろ!?」

 

「悪いね、貰ったよ!!」

 

 

その隙をついて、士郎は比得からボールを奪い、MFに向けてパスを出した。パスを受け取ったMFは、そのまま前線のアツヤに向けてパスを出す。

 

 

「アツヤ!!」

 

「うぇ、きもちわるい・・・!」

 

 

先程の毒霧を若干吸い込んだアツヤは、気持ち悪そうにしながらもフィールドを駆け上がっていく。小鳥遊と比得以外の選手が飛びかかるが、アツヤは難なく躱して再びシュートを決める。

 

 

 

 

『ゴォォォォォォル!!!再び吹雪アツヤが決めましたァァァァァァ!!!どうしたんだリトルエンペラーズ!!ゆきんこベアーズの吹雪兄弟相手に、手も足も出ないのかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』

 

 

 

その後、試合は終始ゆきんこベアーズのリードのまま進んでいく。小鳥遊と比得の2人は周りを頼らず、士郎を抜こうと躍起になるが突破出来ず、逆にアツヤにもう一点奪われ、3-0の状態で前半が終了した・・・。

 

 

 

 

 




今回出てきたオリジナル技の【アイシクルショット】と【フリーズウィンド】は、エターナルブリザードのシュートの所と風に乗って2回まわる所だけを抜き出した感じです。


やっぱり、オリジナル技の詳しい解説とかって載せた方がいいですかね?

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