トリップした先で天才漫画家に振り回されててとりあえず早く帰りたい 作:ミツホ
流石にこれ以上往来でくだらない応酬を続けられないと思ったのか、露伴先生が家に向かって歩き出したのでその後ろを全員でぞろぞろとついて行くかたちとなった。
家に入ってから気付いたんだけど高校生2人は時間的に帰宅を促すべきでは?
そう思って声を掛ければ家に電話をしてあっさりと外泊許可を貰い『話を聞くまで帰らないぞ』という感じに構えられる。
仗助君だけなら露伴先生が追い出したかもしれないけど康一君が居るし心ぱ…迷惑をかけた手前ここからは関係無いんだから帰れとは言えず…。
昨日のようにテーブルを挟んだ向こうに仗助君と空条博士が座り、私が露伴先生の隣に座ればあとは当然あっちに幸が座ってこっちに康一君を呼ぶ形になると思うんだけど
「お前が座るのはあっちでしょうが」
スパンッ!
「痛ってー!」
空気を読まずに私の隣に座ろうとした尻を叩いて向こうに行かせようとしたら周りの目が刺さる刺さる…。
思ったよりも大きな音が鳴ったせい…?
コイツが大袈裟に痛いって言っただけでコレ全然痛くないからいや本当に何でそんな目でこっち見るんすかね…。
「アタシのキュートでハニーな尻な軽々しく触らないで貰えますぅ!?」
「うわぁ…」
「おえ…」
康一君も仗助君もドン引きしてるんだけどごめんねうちの弟家でも外でもノリが変わんないんだ…。
「健全な青少年の前で不気味な本性を晒すのやめなさい」
「本性じゃねーよ!! 人前でスパンキングしたねーちゃんが悪いだろ今の!」
あのもしかしてさっきの視線そういうことだったりする?
教育的指導であって君達だって小さい頃は……いやコイツももう小さくは…無いけど……無駄にデカくなっただけで中身は…ほら、ね…?
う、うちはうち余所は余所なんで!!
「スパ…悪ガキのケツシバいただけのことを卑猥な表現するのどうかとねーちゃんは思うよ。 そもそも何でこっちに座ろうとしたの」
「別に弟が姉の隣に座るのは普通だろ!?」
座るに座れずいつのまにか康一君は仗助君の傍らに移動していたようで、視線の端に『悪ガキ…?』『見た目によらず歳の差が…?』とボソボソ呟きながらわりと明け透けにこっちを見る高校生が映った。
そして露伴先生は家に入ってからというもの野球延長のせいで見たい番組がなかなか始まらないみたいな顔をしてるんだけどそんな顔するぐらいなら何か言って。
というか空条博士は今すぐ幸の手綱を引いてそっちで管理して。
「お前は今空条博士側の人間なんだからあっちに座りなさい」
「あっち承太郎さんとデカい方の子が座ってて既に超狭いじゃん! サイズ的にXL XLであっちに座ってんだからSSの子があっちに行ってM SのこっちにLの俺が来るべきだろ!」
「殊勝なこと言っときながらそっちが本音かよこのクソガキ! ほら! あっち行きなさい!」
なにが姉の隣だこの野郎腹立つわー…。
でも確かにあっちギッチギチだしそれと比べてこちらのゆったり具合よ。
仗助君可哀想に…他は知らん縮め。
「ちぇー、ねーちゃんのケチー」
ぶつくさ言いながらあっちに収まった成人男性が弟とか世も末ェ…。
これはもうケツシバかれても仕方無いよね。
「……あのさぁ、お前今いくつ? ねーちゃんの知る限りでも少なくとも21歳だよ? 時代は違えど時の流れが同じだとしたら今23? 確かに家で甘やかし過ぎたのは否めないけどさぁ…」
「大丈夫だって。 俺今SPWで雑務やって衣食住賄ってるけど真面目な日本人で通ってるしちゃんと社会人してるからさー」
「今ちゃんと社会人してないというかお前の隣の人SPWでVIPみたいなイメージなんだけどそんな人の隣でよくあんな姿晒せるよね」
「いやいやいや、俺向こうではちゃんとしてるから。 ね? そっすよねー、承太郎さん」
「英語で会話をしているときは普通だな。 俺しか居ないときでも英語で話せと何度も言ったが改善された試しが無い」
「やっぱ母国語の方が落ち着くじゃないすか。 タイラーには『お前は英語と日本語で言語中枢のIQが30は違う』って言われた事あるけどどんだけーみたいな」
タイラー誰だよっていうか日本語のときは上司相手でも真っ当じゃないことを明言されてねーちゃん弟の行く末が心配なんだけど。
そしてコイツが今まで英語圏にいたっていうのが分かってねーちゃんびっくりだよ。
自分がそっちじゃなくて本当に良かったわ。
空条博士は日本語が分かるばかりに幸に絡まれたんだろうなぁ…。
なんかもうほんと…うちの弟がすみません。
そして一生弟の賢い姿を見ることがなさそうっていうのはわかった。
「何で母国語の方がIQ70しか無いの」
「何で英語の方を平均値に合わせるんだよ」