サルゲッチュ ミリオンモンキーズ エピソードレジェンド 作:syuone
---コンビナート近く 工場道
「標的がホワイトハウスなんて・・・」
「スペクターは何でそんなことを」
カケル達一行はサル軍基地から抜け出し、近くの工場道にいた。レーザー砲が破壊されたことにより、基地とその周辺にいたサルたちは撤退した。そのため、対サル地球防衛組織が基地に向かってきたため、一行は基地から離れることになったのだった。
ハカセは調べた結果をアキエたちにも話した。みんな反応は違ったが、ショックを受けたのは同じだった。
「こんなことをするなんて、早く止めないと!」
「でも、こんな荒っぽいするなんてスペクターがやることなの?」
サヤカの問いに皆、黙り込む。今までスペクターがやったことはお遊戯みたいなものだった。それが力で好き放題にやるのは違和感が大きすぎる。
「・・・もしかしますと、スペクターは利用されているのではないでしょうか」
チャルの言葉に皆は注目する。
「チャルちゃん、それってどういうこと?」
「以前、ハイテクオリンピアでスペクターは謎の男に洗脳されてピポサルを含めた私たちを攻撃しました。スペクターはピポサルのリーダーですし、サルたちを操るなら先に狙うと思われます」
「じゃあ、今回の騒ぎの黒幕は別にいるかもしれない、ということ?」
ナツミの問いにチャルは頷く。
「謎の男?」
「...って誰?」
サトルとサヤカの問いを博士は答える。
「そうじゃったな。サトルくんとサヤカちゃん、そしてヒカルくんも知らんかったようじゃな。謎の男というのは・・・」
ハカセはハイテクオリンピアで起きた事件とその首謀者、そしてピポトロンについて話した。聞いた3人は驚愕の表情を浮かべる。するとサヤカは何かを思い出した表情に変わった。
「もしかして、私とサトルがこの前のスペクターが起こした事件でゲッチュした変な3匹の黒いピポサルって、そのピポトロンなんじゃないかしら」
「え!?ピポトロンを捕まえたことがあったの!?」
カケルの問いにサヤカは頷く。
「もっともスペクターをゲッチュした後、いつのまにか3匹とも逃げてしまったわ。だからどんな奴なのかわからなかったわ」
「そうなんだ・・・」
サヤカの答えにカケルは少し残念な表情を浮かべるとき、チャルはハカセに問いかけた。
「ハカセ、もしかして今回の黒幕はあの男なんじゃ・・・」
「ふむ、確証ではないがハルカくんも何か調べておるし、その可能性は高いようじゃのう」
「そうなら、空中戦艦に行こう!」
「でも、どうやって?空中戦艦は空を飛んでるし、何しろ世界中に何隻も飛んでいるんだよ?」
ヒカルの問いにカケルは黙り込む。その通りだ。スペクターが載っていると思われる空中戦艦はマスコミのヘリで撮影されて以来、どこかに行ってしまった。仮に見つけてもどうやって侵入するべきなのかも不明だ。
「ハカセが作ったロケットはどう?」
「残念じゃが、あそこまで飛べる高さではないし、仮に飛べても着く前に撃ち落とされるじゃろうな」
どうすればいいのか途方にくれる一行。すると・・・
「諸君!それならば、いいところがある!」
振り向くとそこにはドクタートモウキが決めポーズをしていた。
「カツラのおじさん!」
「トモウキくん...良かった無事だったのね」
涙目のアキエに、トモウキはたじろぐ。
「だ、大丈夫です。機械が相手なら私が負けることなどありませんから」
「トモウキくん...」
「あー、二人とも、自分たちの世界に入るのは後にしてくれんかの」
ハカセの言葉に二人は慌てて、離れる。
「そ、それは失礼しました。それでは、モニボーグ、カモン!」
トモウキは指パッチンを行うと、背後から大きなモニターを抱えた飛行ロボットが現れた。
「それって、新型のテレボーグ?」
「ザッツライ!(そのとおりさ!)サルたちが作ったテレビ番組を人に見せるために作られていたモニボーグだ!最も、ナマケモノ状態にさせる人類が予想より遥かに多くなったため、投入されることはなかった」
「そ、そうなんだ・・・」
自分がナマケモノになっていたことを思い出したヒカルが若干引き気味に答えた。
トモウキはモニボーグのモニターに電源を入れた。そこにはNSB緊急ニュースが放映されていた。
内容は先ほどのコンビナートの基地に爆発があったこと、対サル地球防衛組織が応戦しているが、劣勢気味であることだった。
防衛組織は空中戦艦にも攻撃をしたが、全くダメージを与えられなかったようだ。
「やっぱり、突入は厳しいわね。どうすれば・・・」
「それは次の映像を見ればいい!」
トモウキがそう言うと、次のニュースはスペクターが載っていると思われる空中戦艦が横浜スタジアム上空に現れたというものだった。軍関係者によると、サル軍は、このスタジアムを新たな基地にする予定ではないかと推測しているらしい。
「どうやらコンビナートの基地が機能不全になったために、彼らは新たな基地を造らなければならなくなったらしいな」
「でも、それが空中戦艦に侵入するのに何の関係があるの」
「実はあのスタジアムにはとあるエネルギーと同じものがずっとあるようなんだ」
トモウキの言葉に子どもたちは首を傾げる。すると、ハカセは何かが分かったのか、表情を変える。
「もしかすると、ピポサルが転送していたのと同じものなのじゃな?」
「そのとおりです。おそらくあそこには空中戦艦と行き来できる転送装置があると思われます」
トモウキの言葉にみんな理解する。つまり、空中戦艦に乗り込むためにはスタジアムに行くべきなのだという。
「それならば、早速スタジアムに向かうべきだよ!ここでグズグズしたら、黒幕の思い通りになってしまう」
「ちょっと待ちなさい!コンビナートの基地が破壊されたのよ。スタジアムの戦力はコンビナートよりも倍になっていると思うわ」
ナツミの言葉にカケルは立ち止まる。確かに今回、ピポサルたちはものすごい戦力を持っている。いきなり突っ込んだら、蜂の巣にされてしまう。
「そうね。ここは二手に別れましょう。空中戦艦に乗り込む組とスタジアムの戦力の一部を引き付ける囮をする組をしましょう」
アキエの言葉にみんな頷く。話し合いの結果、カケル、ハカセ、ナツミ、チャルの四人が乗り込む組。ヒカル、ピポッチ、サトル、サヤカ、アキエ、トモウキが囮をする組に。
「スタジアムにはヨットハーバーを通過するのが早いわね」
「じゃあ、僕ら乗り込む組はまずそこを通ろう」
「囮組はどこに行こう?」
「横浜駅に向かいましょう。そこなら、スタジアムにも近いし、目立ちそうみたいだからね」
それぞれ行くべき目的地を確認後、お互いの健闘を願い、別れたのだった。
---スタジアム
『スペクター様、こちらでございます』
「ああ、さっさと案内しろ(ええぃ、なぜ俺様が偽物のフリをしなければならないんだ)」
スタジアム内では本物がスペクターが偽物のフリをしながら、お供のピポサルと共に案内役のピポサルに転送装置までついていっているのだった。
本来なら強行突破をする予定だったが、コンビナート方面のサル軍基地が爆発。戦力をここに集中してきたピポソルジャーに今の装備では勝てないと判断したため、ウッキーピンクの提案で偽物のスペクターのフリで空中戦艦にこっそり乗り込むことになったのだった。
作戦は的中し、ピポソルジャーはスペクターを本物だと思い(実際そうなのだが)転送装置まで案内するのだった。
(こいつら・・・全部終わったら覚えとけよ!)
スペクターは怒りを堪えて、転送装置に向かうのだった。ウッキーブルーは一緒にいると怪しまれるため、今回、乗り込むメンバーに入っていない。スタジアムの近くで、何か起きたときのために身を潜めている。
ようやく、転送装置前に着いたのだった。それなりに大きいため、人間なら何人か同時に転送できるだろう。
「よし、ごくろうだった」
『はい、それでは自分は・・・』ゲッチュ!!
紫のゲットアミを被せられたピポサルは哀れにも本物のスペクター基地に転送されるのだった。大きく鼻を鳴らすスペクターに背後のピポサルが若干ドン引きしている。
スペクターはピポサルを睨みつけるとこう言った。
「お前ら!今から偽夜野郎をギッタンギッタンにするぞ!突撃!!」
『へ、へ〜い・・・』
突入したスペクターに配下のサルは渋々、転送装置に入り込む。
カケルたちと、本物のスペクターたち、それぞれの戦いが始まろうとしていた。