私の夢は文豪さんに護られて   作:黒猫( 'ω')

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初めまして、武装探偵社さん

あぁ、遂に来てしまった・・・・・・。着いてしまった・・・・・・。そう思いながら、私は深く被ったフードを目が隠れるんじゃないかって位迄伸ばした。『あれ』は誰にも見られたくないから。それから私は、決心した(様に見えて欲しい)目で磨り硝子が嵌め込まれ、『武装探偵社』と書かれた木の扉を二回叩く。そして、ゆっくりドアノブに手を伸ばす。あと数糎という所で、いきなり扉が開き中から長身の男性が現れた。そのまま、私とその男性は衝突。私は反対の壁に吹っ飛ばされる。その扉の中に居た十数人の人達が此方を見て少しざわついている。

「す、済まない・・・! 君、大丈夫か・・・・・・い・・・?」

「え? あ、はい・・・大丈・・・・・・夫で・・・す・・・・・・。」

吹っ飛ばされて数秒してから、男性と奥の人達のの驚きの反応と私の頭の違和感により、気付いた。深く被ったフードが取れかけている。と云うよりもほぼほぼ取れて隠していた『あれ』がモロ見えている。私の体からさっと血の気が引いていくのが手に取る様に分かった。

「あ・・・・・・えと・・・その・・・・・・す、すいませんでしたっ!」

「え!? ちょ、ちょっと君!」

そう云って、私は逃げる様にその場から立ち去ろうとした・・・・・・のに、足に力が入らず、上手く走れない。更に、段々視界がぼやけていく。

 

 

 

それから、何があったのか私は覚えていないが、次に目を開けた場所は何処かの医務室みたいな処だった。右手には衝突した男性が座って読書している。・・・・・・え? 何其の本の名前・・・。完全自殺読本・・・・・・? え?自殺? あ、気付かれた。男性は本を閉じて此方に視線を向ける。そして、にっこりと微笑みながら

「目が覚めたようだね。大丈夫だったかい? いやはや、実に申し訳ない事をしてしまったよ。」

と云った。砂色の外套を着て首や手首には包帯が巻かれている。きっと自殺未遂の結果だな、そんなことを思い乍ら、私は

「此方こそすみませんでした。あの、その・・・・・・お怪我とかはなされていませんか・・・?」

「ん? してないよ。心配してくれて有難う。」

「そ、それで・・・其の包帯は・・・・・・如何して? 」

男性はけろりと笑いながら、

「これは元からだから気にする事はないよ。所で、君が探偵社に来たのは依頼だろう? 一昨日、事前予約をした女性と同じ声だったし。」

「あ、はい・・・。そうです。最近おかしなことが起きていて、警察では分類(カテゴリ)の範囲外かと・・・・・・あっ、その、あの・・・・・・私の頭の是の事・・・・・・誰にも云わないでください。お願いします・・・・・・!」

私は布団に埋まる位頭を下げた。男性は一瞬、戸惑いの表情を見せたけど、直ぐに元通りの顔になった。そして、何故か手を握られそうになる。私は本能で咄嗟に男性の手を回避した。男性はがっかりした様な顔になる。えぇ・・・・・・何故・・・。あ、そう云えば・・・

「あの、貴方のお名前を訊ねても・・・?」

「あぁ、そう云えばまだだったね。私は太宰。太宰治だよ。君の名前はなんて云うのかな?」

「私の名前は、楓香。橘 楓香。」

太宰さんにそう告げて私は寝台(ベッド)から降りようとするがそれを太宰さんが右腕を掴んで制止する。すると・・・・・・え? 嘘・・・・・・『あれ』が・・・・・・。自分の頭に触れる。矢張りない。

「如何して・・・・・・。」

「ん? 何がだい?」

「あ、いえ。何でもないです。」

「太宰さんっ! 早く来てください! 国木田さんが呼んで・・・・・・ってあ、お早う御座います。大丈夫でしたか?」

バンッと大きな音を立てて扉を開けて銀髪の青年が入って来た。私に気が付いて云った台詞が真逆のだったな、うん。

「大丈夫ですよ。えと・・・貴方は?」

「あっ、すいません。僕は中島敦です。宜しくお願いしますね・・・・・・えっと・・・。」

「ふ、楓香です。あの、私今日は帰りますね。皆さん忙しそうなので。また後日来ますね。それでは。」

そう云って私はフードを被り直し、寝台(ベッド)から降りる。二人はなにか云いたげだったけど、私はそれに構わず、部屋から出る。そして、体の形を変えて武装探偵社を後にした。もう夕方か。急いで帰らなきゃ。そう云い乍ら、私は夕焼け色に染まった横浜の街を走っていった。

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