私の夢は文豪さんに護られて   作:黒猫( 'ω')

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作戦開始 SIDE H

「挨拶も済んだ様だし、早速作戦を開始しようか。」

太宰さんがそう云うが早いが太宰さん、国木田さん、敦さんの順で探偵社を後にした。続いて、私達も、と云う所で、ナオミさんに腕を掴まれる。それからの事は一瞬だった。先ず、ナオミさんは先程敦さんが連行された部屋に連れて行き、「同じ恰好の人が同じ場所から出てきたら、不審に思われると思います。なので、楓香さんには少々服装を変えて頂きますわ。」って云い出して、私の耳や尻尾が隠すことが可能なふんわりとした白と薄い青のストライプのワンピィスに大きめの明るい色の帽子を出して来た。其れを私に押し付けて「着替えてください。」と、試着室みたいな所に突っ込んだ。私はよく分からなかったが、従った方がいいと考え、着替えた。今迄こんな服装した事ないし持ってもいなかったから、新鮮だった。着替え終わった私を待っていたのは、化粧台の前で待機しているナオミさん。私の恰好を見て「よく似合っていますわ。」って云って呉れた。そんな事、滅多に云われないから嬉しい。靴は変えてないけど、良いのかな? まぁいいか。ナオミさんに促されて私は化粧台の前にある椅子に座った。そうすれば、いきなり蝶の髪飾りを付けたボブカット、白いシャツと黒いスカァトを身に付けた女性が現れ、ナオミさんと一緒に私の長い黒髪を弄り始めた。あれでもない、是でもないと試行錯誤を繰り返す二人を鏡越しに見ながら、私は無意識に呟いていた。

「敦さん、大丈夫かな。」

と。其れを聞けば、こちらの御二方、ナオミさんと先程名前を教えて貰った与謝野さんは、まるで私を恋する乙女を見るような目で見てきた。別にそういう意味ではないのだが・・・・・・。そして、待つ事数分、私の長い髪は、サイドテールをされていた。其れの付け根の所は細めの三つ編みが一周されていた。正直に云います。鏡に映る此方の方は本当に私ですか?

「さて、それじゃあ行こうか。」

与謝野女医がニヤケながらに云う。靴はナオミさんが何時の間にか用意していた、空色のパンプスを履く。そして、私は与謝野女医とナオミさんに続いて部屋を後にした。

 

待っていたのは谷崎さんとオーバーオールに麦藁帽子を身に纏った金髪の少年、一昔前にいそうな探偵崩れのような服装に、黒髪、細い目を持つ青年。三人とも私の姿を見るや否や、ぽかんと口を開けた。

「何処か・・・可笑しかった・・・ですか?」

「否、否々全然可笑しくないよッ。ねェ、賢治君、乱歩さん。」

「はい、迚も似合ってますよ。可愛らしいです。」

「嗚呼、よく似合ってるよ。でも、其の恰好じゃあ後々大変になるかもしれないね。」

恐らく、金髪の少年が「けんじくん」で、黒髪の青年が「らんぽさん」だろう。なのだろうが、是の人は今なんて云った? 後々大変になる? どういう事だ。

「あの、其れって一体・・・・・・。」

云いかけて、突然私の携帯から着信音(某歌い手さんの曲)が流れ、振動する。何事かと思えば、敦さんからの電話だった。ストーカーは確保できたのだろうか。だとしたら、いいのだが・・・・・・。相手を待たせては悪いと、急いで通話釦を押そうとするが、寸での所でらんぽさんが私の手首を掴んで止めた。

「僕の推理が正しければ、君の携帯に掛かってきたのは敦だろう? だけど、電話の内容はストーカー確保なんかじゃあない。更に云えば、其れを掛けてきた人物は敦では無い。」

「つまり・・・・・・敦さんは・・・・・・。」

場の空気がガラリと変わる。私はらんぽさんに向けていた視線を携帯に戻して、通話釦を押す。是の場にいる全員に聞こえるように、拡声機(スピーカー)にして。

「もしもし・・・? 敦さん?」

若干震えている私の声。周りにいる人達は皆、黙って私の携帯から流れる筈の声に耳を澄ませる。

『やァ、楓香さん。初めまして。』

携帯から流れ出た声は、是の場にいる全員が知らない、男の声。らんぽさんの云った事、私が考えてしまった、最悪の事態が訪れる予感がした。首筋に冷たい汗が伝う。

「何方ですか? 私は貴方の事なんて知りませんけど?」

『おやおや、其れは失礼。俺は君が其処にいる原因を作った者、そう云えば、分かるかな?』

男は嗤う。私の反応を聞いて。怯える様が、そんなにも心地良いのか。訳が分からない。だけど、そんな男の嗤う声も次の私の一言でピタリと止む。

「ストーカー・・・!」

『そうそう、君のストーカー・・・・・・じゃねぇわ! 誰がストーカーだ!』

「否、ストーカーの他何も無いですし。貴方あれでしょ? 私に変なの付けて其れで羞恥心に駆られてるトコを捕まえて人身売買にでも出すとか、ホルマリン漬けにして自分の隣に置こうとか考えてたんでしょ。この変態。最低の屑野郎。」

「あの、楓香さん? 其れは幾ら何でもやり過ぎ・・・・・・。」

私の口から出る詞に何かを感じたのか、青ざめた顔の谷崎さんが止めに入る。

『中々来るモノだな・・・こういうのって・・・・・・って違う、そうじゃない。本題に入らせて貰うが、君達武装探偵社の社員、中島敦君の身柄を此方で預かっている。』

「矢っ張りか・・・。それで? 何をすれば敦さんを返してくれるの? 三秒以内に言わないと・・・・・・。」

『言わないと?』

 

「今迄味わった事の無い様な、そして、これから二度と味わえない様な、そんなトラウマモノの生き地獄を味合わせてやるよ。」




一番最初の台詞が少し抜けてましたね、すいません。以後気をつけます
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