私の夢は文豪さんに護られて   作:黒猫( 'ω')

6 / 7
ストーカーとの電話とその後

「今迄味わった事の無い様な、そして、これから二度と味わえない様な、そんなトラウマモノの生き地獄を味合わせてやるよ。」

 

『なッ・・・・・・!?』

なんかストーカーの発言一つ一つが私を腹立たせる。だから、一寸だけ脅してみようかな、なんて思ってついこんな事を口走ってしまったが、一応可能なのだよね。まぁ、口走ったなんて口が裂けても言わないけど。私の詞にはストーカーだけでなく、探偵社の人達も驚きとか焦りとか、そんな感情が色々混ざっている。先刻迄余裕こいてたらんぽさんですら、なのだから、世の中何が起きるか分からないモノだ。

「取り敢えず、敦さんは返して貰う。どうせ、貴方がいる処に一人で来いってテンプレみたいな事言うんでしょ? 早く教えて貰おうか。」

真顔で淡々と告げる私を、周囲の人達はどう思っているのだろうか。少なくとも、普通の人間とは思われていない。でも、今はそんな事をいちいち気にしていたらキリが無い。

『ば、場所は倉庫街の・・・・・・。』

「ふーん、よし分かった。大体の目星は付いた。精々一秒でも長く生きれる様に武器の手入れをしとくんだね。」

『おッおい・・・・・・!』

ストーカーから場所を聞き出して、通話を終了する。電話からは無機質な音が流れる。如何やって地獄を見せてやろうかと考える。流石に是の恰好は動きづらく、良ろしくない。

「すいませんが、着替えさせて貰いますね。一寸あのお部屋借りますね。」

「あ、嗚呼。分かッたよ。」

与謝野さんからの返事を聞いて私は先程着替えに使った部屋に行く。先に着替える前とは違う、伸縮性の高い真っ黒いズボンを履いてワンピィスを脱ぐ。ワンピィスをハンガーに掛け、ズボンと同じ真っ黒なTシャツを着る。最後に何時もと同じパーカーを羽織り、濃いグレーのスニーカーを履く。折角結って貰った髪を崩すのは、あの二人には失礼だと思って、髪型だけは、変えないでおこう。でも、と、紅い組紐を髪の結び目に結ぶ。直ぐ解けてしまわない様に頑丈に結ぶ。

「よし、できた。是で、あの人達は気付かない。何時もの服(・・・・・)は移動中にでも着替えるか。」

そう呟いて、私は部屋を後にする。

部屋を出ると、谷崎さん達が何やら話し合いをしている。私に気付くと、皆此方を向く。何故か、皆神妙な顔をしている。先刻の私のワンピィス姿を可愛い笑顔で褒めてくれた、けんじくんでさえ。

「楓香さん。」

「何でしょうか。」

谷崎さんが私の名を呼ぶ。私はそれに応える。次に出てくる谷崎さんの詞は何だろう、と考え乍ら。

「貴女を一人で行かせられない。」

「なら、どうするんです?」

「ボクも一緒に行く。」

は? 是の人は何と言った? 私と共に行く? こんな武装探偵社西のチキンみたいな人が?

「如何して貴方が? それ以前に、あのストーカーは私一人で来いと云いました。私だけで行けば敦さんは死なない。其れに、私は他の人と比べれば、未だ強いから。」

「でもね、君はあくまで依頼者だ。依頼者に傷を負わせたとなると僕達にも、君の家族にも良ろしく無い。」

らんぽさんが云う。そんな必要無い。私の『アレ』は制御が難しいから、一人で行った方がいいのだ。でも、そんな事を云っても、彼等は首を縦に振らないだろう。ならば、そう考えたなら、行動を起こさなければ。

「そうですか・・・・・・。なら、強行突破、させて頂きます。こんな私をどうか、許して下さいね? 異能力・・・・・・『夢紡ギ』。」

私の背後に現れる、紫の帯。ソレは、私以外の全員に軽く巻き付く。そして、頭の中に入っていく。すると、皆倒れ込んだ。紫の帯は私の元へ戻ってきた。

「ごめんなさい。次に貴方々と会う時は、こんな物騒なモノじゃない事案である事、もっと穏やかにお話できる事を願いますよ。」

そう告げて私は武装探偵社から立ち去った。私の異能に掛かっていない人物(・・・・・・・・・・・・・・)が一人いたのに。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。