世にも不思議な転生者   作:末吉

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やっと、もう一人出せた……


09:もう一人の転生者

今日は高町さんたち三人組(特にバニングスさんと高町さん)の機嫌が悪い。ひょっとしてテスタロッサさんとのことで悩んでいる高町さんに、バニングスさんがキレたのかな?

…って、もうそこまで話が進んでたんだ。一回だけ魔導師の状態で高町さんに姿を現して手伝ったけど、そこから先は不干渉だったからなぁ。

 

あれ?いつも気配を薄めてるけど真面目に登校している長嶋君がいない。そしてそれにみんな気付かない。まぁ僕だって気付くのに三年も要したからね、時間。

 

……にしても、天上君は相変わらず清々しいほどの下種だね。ボイスレコーダーで録音して本人に送りつけようかな。『気持ち悪いんだよ、死ね』というメッセージを添えて。

うん。なかなかのアイディアだ。ていうか、天上君っておそらくというか絶対に転生者じゃないよね。何度かちらちらと高町さんが頑張っているところを見たけど、彼の姿は見えなかったし。おそらく魔力は生まれついてのものだろうから、高町さんの昔と同じで無知の状態かもしれない。

まぁ、だからといって気持ちが悪いことには変わりないんだけど。

あ、先生来た。しょうがない。今度天上君に嫌がらせする作戦を考えよう。

 

そう思って、僕――斉原雄樹は委員長としての役割をこなすことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも。転生者の斉原雄樹です。昔の名前は覚えてません。昔習ったことは覚えてますけど。

僕は中学校を卒業するときに事故りました。まぁ特に長生きしたいと思っていなかったので受け入れたんですけど。

 

なんと気づけば僕がいた世界の上空にいました。どうも幽霊になったらしいです。

 

もう縛られることは何もない!幽霊になった僕はそう思い色々なところを回ろうと計画しましたが、その計画を立ている途中で神様と名乗るおおよそ世間一般で「仙人」と信じられている格好をした人が現れたと同時に手紙を渡してきました。

 

しかし僕は目の前に仙人が現れたとしても計画を実行する気でしたので、手紙を受け取らずそのまま即興で立てた計画通りに行動していきました。

 

だけどの神様という奴もしつこく、向かった先々に現れてきたので、僕はしょうがなくその神様に勝負して負けたら手紙をもらうと条件をつけておきました。

 

そこから鬼ごっこが始まったのですが、開始して一ヵ月で捕まりました。正直言って悔しかったです。

 

で手紙をもらったのですが、その手紙の内容が偉く雑なものでした。

 

その内容で僕はこうして転生者となったわけですが……、いささかチートすぎる能力をもらった気がします。

 

まずは魔力ですが……幽霊になって神様と鬼ごっこをした結果元々あったらしい魔力に上乗せされてSS+になりました。まぁ願い事でもらったわけじゃないんですけど。ちなみに、測定したのはうちのデバイスです。

次に餞別でデバイスをもらいました。これがなければこの世界でやっていけ…なくはないですけど、あったほうがいいので。ナイト、って名前です。バリアジャケットは甲冑姿を想像してください。大体当たりです。

最後に願い事を一つ叶えてくれるというので、『手先を器用にしてくれ』と頼みました。自分、不器用だったので。

 

これのどこがチート?と思うでしょうが、手先が器用になりすぎました。

おかげで機械の調子をわずか八歳そこらで調整できるようになってしまい、親からは「天才だ!」と言われてます。

作るのも得意です。前に夏休みの宿題でミニチュアのログハウスを作って出したら賞をもらいました。

……ただ、長嶋君がその時出そうとしていたのが本物そっくりの拳銃(マガジン付。弾は装填不可)だったので僕が却下したことを今でも覚えています。

 

…上には上がいましたね。まぁ僕ははなから競争する気はないのでいいですが。

 

っと、こんな回想をしていたらいつの間にか三校時目が終わりかけてました。まぁ勉強でわからないところは今のところないので問題ないんですがね。

 

さて今からでは遅いですが、集中しますか。

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

昼休みになりました。僕は今ついさっき来た長嶋君と会話しながら昼食をとっています。

長嶋君の弁当は美味しいです。たまにクラスの僕の友達がおかずを勝手にとっていくほどです。本人は気にしていないようですが。

 

ここで僕は切り出しました。

 

「ずいぶん遅かったじゃない」

「本来ならサボる気でいたんだから遅かろうが関係ない」

 

どうやら今日はサボる気だったようです。気が変わったんですかね?

 

「どうして来たの?」

「…理事長から電話がかかってきた」

 

苦虫をかみつぶしたかのように感じる顔で(実際は眉一つ変わってないですが)彼が答えてくれました。

 

「え?」

「『ちょっと話があるから学校に来てください』って電話をな。そのせいで四校時目に出れなかったが…高町たちは何かあったのか?」

 

む。さすがは長嶋君。自分のことをそれとなく話題から外させるとは。しかたない。今日もおとなしく乗りましょう。

 

「バニングスさんと「喧嘩でもしたのか?」その通り」

 

分かってたのなら聞かないで。それとも、こう思わせることが彼の目的なのかな?

ふとそのことを考えようと思いましたけど、無駄なような気がしたので話を進めましょう。

 

「天上君は休み時間に毎回声をかけてるけど…毎回無視されてるよ」

 

内心ザマァミロと見るたびに思いましたけど、今は言いません。だって、

 

「あいつはポジティブなナルシストだな。いい加減に気づけよと言いたい」

 

彼が代弁してくれるので。

 

「だよねぇ」

 

そうやって二人でのんきに食べていると、こちらに向かってくる気配が二つ。手に取るようにわかりました。

だって長嶋君の気配を探していたらこうなったので。

 

どうして長嶋君のことを気にかけるのかというと、前に一方的にメールを寄越した神様からまたメールが届きまして(パソコンに)、『転生者が一人お前と同じ学園、同じ学年で向かったから、先輩として監視でもしてくれ』とご丁寧に名前まで教えてくれました。お返しにちょっとしたいたずらメールをしましたが。

 

見てくれは冷静な男の子なんですが、どうも性格が破綻してる気がするので今も監視しています。

 

決してホモじゃないですよ。僕だって好きな人ぐらいいます。名前は明かしませんが……

 

さて場面を戻しましょう。

いち早く気づいていた長嶋君が弁当を食べながら言いました。

 

「昼ならもう食べてるぞ、バニングスに月村」

「…驚かないと思っていても驚くわね」

「すごいね、長嶋君は」

 

僕だって気付いていましたが、野暮なことを言うのはやめましょう。さすがにホモ疑惑につながりかねません。

 

あ、男子連中の視線がヤバい。そして天上君の視線も。

高町さんは…こちらを見ていませんね。完全に上の空です。目が虚ろってます。

 

「…男子の気が立ってるから二人で食べてくれないか?」

 

長嶋君はそれにさっきから気付いていたようで(男子の嫉妬の視線に)、言外にどこかへ行けと言っています。

流石長嶋君。嫌われやすい最悪な性格だね。

ですので、僕も応援しました。

 

「相談事があるなら僕達と一緒に食べたら?きっと力になるよ」

「委員長、テメェ…!」

「そう?ならお言葉に甘えようかしら」

「ありがとうね、斉原君」

 

いえいえ。長嶋君に一矢報いることができたのでお礼なんてとてもとても。

 

 

 

 

そんなわけで、バニングスさんからの相談事を弁当を食べながら聴く僕達。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・。

あのさ、プライベートって意味、知ってる?友達だからって何でもかんでも話せるとは思わないほうがいいんじゃないかな?

その証拠にほら、月村さん困った顔してるし。

 

これはどういったものかなぁと思っていると、食べ終わって弁当を片づけていた長嶋君が言いました。

 

「……隠し事って、そんなの当たり前だろ。バニングス、お前は馬鹿か?」

 

容赦ない一言。バニングスさんはその一言でキレました。その気持ちは分かりますけどね。

 

「誰が馬鹿よ!」

「お前だ」

「なんですって!!」

 

片やヒートアップ寸前、片や平常運転。口論で長嶋君に勝てると思わないほうがいいと思いますよ、バニングスさん。

流石に頭を冷やしてもらいたいので、僕は言いました。

 

「違うよ長嶋君!バニングスさんはツンデレなんだよ!!」

 

「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」

 

 

場が、凍りました。

 

 

 

 

 

後に彼は語る。『反省や後悔もしてるけど、僕としてはあれが最善だったんだ』と。




読んでくださりありがとうございます。
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