世にも不思議な転生者   作:末吉

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年齢逆算するとこの年になるはず……


106:中三・空港火災の裏側で

 それはある装置の機能実験を登校中に拉致られたついでに行っていた時だった。

 

「……?」

 

 最初に感じたのは嗅覚。焦げ臭いにおいがどこからかしたことによる違和感。

 

 現在俺は連行された先の厄介事を収束させ、ついでにという事である装置の実験をしたらどこかの空港の入り口にいる。周りに人がいないことが幸いしたが、どうもこの空港外にいる機械がとどまっているようなので、ひょっとして映ったのかもしれないと考える。

 

 が、すぐさま思考を切り替えてここがどこなのかを考える。

 

 適当に装置を起動させて場所を指定しなかったからどこへ転移(・・・・・)したのか見当がつかない。

 周りを歩きながらそんなことを思っていると、けたたましい破砕音が聞こえた。そして悲鳴が上がり、建物が燃え上がり、中から逃げ出す気配を感じ取れた。

 

「見事に燃え始めたな……」

 

 野球ボール大の球体を弄びながら建物の近くで感想を漏らす。

 

 助けられるといえば助けられるのだが、建物が全壊するという条件が付く。

 そこまでやる義理が俺にはないのでさっさと離れようと思ったが、機械音が聞こえたので上を見る。

 若干高さがあるせいでよく見えないが、なにやら奇怪な機械だ。形状がイメージする二足歩行ロボではない。

 一体どこのどいつが操作しているんだと思いながらジャンプしてそのロボを破壊し、少し離れた場所で来た座標を調べる。

 

 ……なるほど。無人世界か。

 

 その座標を持ってきた球体を展開して打ち込む。

 とりあえずあの空港が燃えた原因にでも会いに行くか。

 そんなことを思いながら、このロボットを片手でつかみ、もう片手で球体をつかんでその場から転移した。

 

 

 

 

 俺が今持っているのは、構築した理論を組み込んだ空間転移装置。

 その理論というのが単純な発想で、神様達の回廊を理論的にして見たらどうなるかという知的好奇心が元になっており、様々な考えが浮かんでは神様達の回廊を通って検証したり観察したりして今の今まで時間がかかってしまった。

 

 なのは達には知られてない秘密の道具及び実験なので、知られたらどうなるかはわからない。

 まぁどうせ完成したらそれでいたる世界へ転移していく予定なので知られるのは目に見えているが。

 

 

「……とはいってもこれは未完成(・・・)なんだよな」

 

 そう。座標を詳しく入力したところで少しばかり誤差が発生してしまうぐらいには未完成。はっきり言ってセンチ、ミリ位の誤差なら大丈夫だろうが、キロ単位で誤差が生じるとさすがに笑えない。使えば使う程誤差が広がっていく可能性も考慮すると、結局笑えない。

 

 しかしどうしたものか。楕円形の奴(俺が今つかんでいるロボット)が来た場所に転移してみたが、そこから先をどうするか考えてなかった。

 

 とりあえずこのロボット投げ込んでから考えるとするか。

 そう結論を出した俺は軽くジャンプをして、空中から大きく振りかぶって目の前にある施設へ向けてそのロボットを投げる。

 

 キュゥン、ドオォォン!!!

 

 距離がないのと投げ込んだ速度の二重効果で、当たって爆発するまでの間が全くなかった。

 音もなく着地した俺は、そういえば俺魔力流し続けているんだったなと相手に見つかっている可能性にふと気づく。

 

 それと同時に背後と地面から気配を感じたので、真下に拳を思いっきり振り下ろして地面を割る。

 

 衝撃により地面が礫と化して周囲を襲い、打撃の衝撃自体は真下へ。

 それだけで近くに感じた気配二つが消えた。

 

 あ、やっちまった。ついついそんな暢気なことを考えながらその場に留まっていると、燃えてる建物から数人現れた。

 

 そのまま動かないでいると彼らは近づき、俺が視界に入ったらしい場所で立ち止まる。

 別にこの場で会話するのは構わないが、聞き取れないとかなると面倒だと思った俺は軽く一歩踏み出し彼らの半歩前で立ち止まる。

 

 そこにいたのは白衣を着た紫髪の男と、似たような服を着ている女達だった。

 俺が近くに来たことに警戒と驚きが隠せていないようなので、とりあえず「お前達は一体なんだ?」と質問する。

 

 すると、相手側が「お前こそ一体なんだよ!!」と悲痛を感じさせる叫びで質問をしてきたので、当たり前の返しだなと思いながら俺は自己紹介した。

 

「俺の名前は長嶋大智。変な機械の出所を追ってきたらここに来たので壊そうと思った、単なる暇人だ」

「それだけで私達の家を壊したんすか!?」

「正確に言うなら、とある空港が炎上した際に飛び去る機械の出所を追ってきたらここに来たからとりあえず目についたこの建物にお礼参りしに来た」

『説明になってない!!』

 

 全員からダメ出しをされる。ふむ。おかしな理屈だろうか。少なからず理にかなっていると思うのだが。

 戦争がそもそも理にかなった行為だったりそうじゃなかったりと言う曖昧なものなので俺の理屈も変なのだろうと薄々気づいているが、人間と言うのは理屈に合わない行動を多々することがあるので理由付けができなかったところで何ら問題はない気がする。

 

 そんなことを文句を聞き流しながら考えていると、不意に「……空港の、火事だと」と白衣の男が呟くのが聞こえた。

 

 やっと話が通じるなんて思いながら「ああ」と頷くと、「その機械は、私がある人物から渡されたデータを復元したもので、現状モニター機能しかついてない」と答えた。

 

 そう言われて自体の最悪さを確認した俺は、素直に謝ることにした。

 

「すまない」

「いや、君も君の理由でこうした行為に及んだのだろう。責める気はないと言えばウソになるが、一つだけ約束してもらえないだろうか」

「なんだ」

「この子たち――ナンバーズに危害は加えないでくれ」

「?」

 

 いきなりなぜそんな話になったのかわからずに首を傾げながら、ひょっとしてこいつ俺の事管理局の手先だと思っているのではないかという推測がたった。

 あの組織に所属してないしそもそも俺はあんたの事を知らないんだが……そう言いたいのに言えないでいると、相手側が勝手に話を続ける。

 

「ナンバーズにはまだ何一つ汚い仕事をさせていない。私が人道に反する仕事を請け負ってるだけだ。だから彼女達を……」

「そんな!」

「やめてください博士!」

「あー、あのな」

 

 そこから俺の声が届くまで――実に三十分に及び――彼女達は三文芝居を繰り広げていた。

 

 

 

 

「……なに、管理局の者じゃないのか?」

「ああ。だったらまず報告するだろうし、あんたの顔を見た瞬間に名前すらピンとくるだろ」

「そういえば君は驚いた様子も見せなかったな。てっきり私を始末しに来たのかと思った」

「更地にしても構わんが?」

「それだけはやめてくれ」

 

 冗談で言ったことなのに思いの外すばやく否定する白衣の男――ジェイル=スカリエッティ。

 こんな無人世界で原型の留めていない研究所を前に、事情を説明して現在はお茶を飲みながら談笑している。

 

 ちなみにナンバーズと呼ばれた彼女達――身長にばらつきはあり、性格もバラバラ――は地面から出てきた同類と吹っ飛んだ奴を介抱している。

 

 俺はカップに口をつけてコーヒーを一口飲んでから、「あの機械ってのはなんだ?」と質問すると、「データだけ送られたから復元してみたものだ。名前は確か、ガジェット(・・・・・)だったか」と答えてくれた。

 

 最後の名前に聞き覚えがある俺は一瞬五年の頃を訊ねようか逡巡したが、「それはいつ送られたんだ?」と質問する。

 それに対し、二年前ほどだと返ってきたので状況を整理しながら今考えていたことを漏らした。

 

「……引っ越すか?」

「まぁそうだな。研究所がこんなに成ってしまってはどうすることも出来ん」

「なら謝罪ついでに引っ越し先を提供してやろうか?」

「……何が目的だ?」

 

 一瞬で警戒心をあらわにしたので、「だから謝罪だって」と答え、観察した結果を述べる。

 

「スカリエッティさんは研究者らしいし支援者もいる。だから別段困ったことはないのだろうけど、始末されるという言葉が出たのだから、かなり深い『闇』を背負っているんだろ? それを彼女達に触れさせたくない。だったら、謝罪ついでにその『闇』を払って新しい研究に力を注げるように、場所と資金を提供しようってだけだ」

 

 どうせデータは全部無くなったんだろうから、このまま姿をくらましてれば普通の研究者として生活できるようにはなると思うぞ? と付け足すのも忘れない。

 

 その言葉を聞いた博士は言い当てられたことに関して驚いたようで、俺がコーヒーを飲んでいる間も固まっていた。

 呑み終わった俺はコップを置いて「で、それでも断る?」と意地悪く質問する。

 

 我に返った博士は瞬時に考え始めたようで、その間暇だなと思いながらポケットから取り出した転移装置を弄んでいると、研究者の血が騒ぐのか「それはなんだ?」と思考そっちのけで質問してきたので、「空間転移装置だよ。未完成の」と投げやりに答える。

 

「なんだと!? そ、それを作ったというのか、君は!」

「ああ。今回はその機能実験で飛び回ってるんだ」

「なん、だと……っ!」

 

 衝撃が走ったかのように椅子から立ち上がったかと思ったらヨロヨロと後ろに下がり、膝から崩れ落ちて「なんていう事だ!」と叫びだした。

 

 実際のところは結構魔力使うから俺以外使ったら大変なことになるし多少魔力による空間のゆがみが発生してしまうので位置が判明する恐れがあったりするという危険がある……と言いたかったが、どうにも言える雰囲気ではない。

 

 どうしたことかと観察していると、正気に戻ったのか博士が立ち上がりとてもいい笑顔で「分かった!」と何のためらいもなく言い切った。

 

 その思い切りの良さに尊敬すら覚えながら、「じゃ、決まったな」と言って俺も立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果を言うと、博士達の引っ越し先は俺達が住む海鳴市にあるすずかが拘束されていたログハウスになった。

 と、いうのも、あの事件の後に俺はその土地を買い取り放置していたことを思い出したからなのだが。

 

 さすがに全員を連れてきたので(あそこの建物で死亡の偽装工作をして)魔力が底をついてフラフラだったが、注意事項と言うか最低限の話だけして地下室を通って家へ帰り(地下室をつなげた)、家に入ってすぐバタンと倒れて寝た。

 

 目が覚めたら翌朝で、携帯電話に雄樹となのは、フェイトやはやての履歴が残っていたが面倒だったのでリダイアルせずにシャワーを浴びて着替え、朝食を食べてスカリエッティにこの世界におけるふるまいの仕方を教えるために学校を休むことにした。

 

 

 ……そういえばあと数ヶ月で卒業なんだよな。




ご愛読ありがとうございます。
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