世にも不思議な転生者   作:末吉

11 / 145
二話連続で投稿します


10:困ったときの質問

そして放課後。俺は多少治った委員長の席へ向かった。

 

向かった理由は、『人』になるにはどうしたらいいかという質問をするため。

 

『観察したらどう?』と理事長が提案したのでそれを授業中に実行したが、分かったことといえば授業を真面目に受けている奴らが多いくらいだ。

ためしに休み時間も観察してみた。その時気付いたことは、楽しそうに会話する奴、廊下を走ったりする奴等、『友達』と一緒に行動していること。

 

友達。それは俺と委員長の関係のことを言うらしい。らしい、というのは、去年委員長にそう言われた記憶があるからだ。

 

―――――友達っていうのは、持ちつ持たれつの関係なんだよ。

 

そんなことまであいつは言っていた。俺には少し理解できないが、周りの奴らを見る限り教科書を貸したり借りたりしている関係のことを指しているのだろう。

 

…こんなことまで思い出していたら、やや陰りを背負っている状態の委員長の席に着いた。

 

「よう」

「…ああ、長嶋君。僕を笑いに来たのなら笑えばいいさ……」

「いや。訊きたいことがあるから来たんだが」

「そう、訊きたいこと…………って、え?」

 

そう言って目に光が戻る委員長。なにか驚いてる感じがするんだが、どうしてだ?

 

「訊きたいことって言った?」

「言った」

 

確認を取ってきたので頷いたら、今度こそ委員長は目を見開いて驚いていた(様な気がする)。

 

俺が相談することが予想外だったのだろうかと思いながら質問しようと口を開いたら、委員長が俺の目の前に人差し指を置いて「話なら帰り道に聴くよ」と言ってきた。

 

まぁ、急ぎってわけじゃないしな。そう思いながら、俺も自分の席に戻り帰る準備をした。

 

 

 

 

 

 

「こうして君と帰るというのも初めてだね」

「そうだな」

 

確かに。学校ではよく話しているが、こういった帰り道で一緒になったことはない。

 

「そもそも僕達の家がどこにあるのかなんて把握してないもんね」

「ああ」

「というわけで、君の家へ案内してくれない?」

「なんでそうなる」

 

ぬけぬけと提案してきたので、俺は思わず言ってしまった。

それを見た委員長は頷きながら、「うん。いつも通りだね」と言っていた。

 

「どういうことだよ」

「君が通常運行だなってことだよ」

「訳が分からん」

「ははっ。君って自覚がない上に鈍いんだね」

 

…これは馬鹿にされてるってことなんだな?そう思ったが、スルーして本題に入ることにした。

 

「ところで訊きたいことだが」

「ああうん。そうだったね」

 

こいつ忘れてたのか?そう思ったが、言わぬが花だろうと思いまたもスルーし、訊いてみた。

 

「『人』って、どうすればなれると思う?」

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

「『人』って、どうすればなれると思う?」

 

そう質問したら、委員長は笑い出した。

 

「ははははっ!そんな難しい顔をして訊いてくるものだから、てっきり原作について悩んでいるのかと思ったけど、そんなことか!ふふっ。おかしい!」

「そんなにおかしいか?」

 

不思議に思って訊くと、笑い過ぎたのか涙を浮かべながら言った。

 

「君がそんなことをあんな顔で言うからね……ププッ。思い出し笑いが……」

 

さらに笑う委員長。

 

あっちの世界でもたまにこういう奴が居たな。何か発言するたびに笑うやつ。

などと昔の思い出に浸っていると、笑いが収まったようだが多少頬が緩んでいる感じの顔で委員長が話を進めた。

 

「さて。人になるにはどうしたらって質問だったっけ」

「ああ」

「う~ん。…答えらしき答えでいうと、『僕にもわからない』。そもそもこの場合、『人とはどういったものか』という定義から始めないといけないからね」

「……お前、本当に同い年か?」

「その同い年にこんな質問をする君もどうなのか疑うけどね。……まぁ、話の続きは君の家に行ってからにしよう」

「いや、俺は……」

「いいからいいから。話は聞いてあげるから案内して」

 

話が途中から俺の家へ行くことになり、その上それが決定事項になっていたことに納得がいかないまま、委員長と一緒に俺の家へ向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「一軒家なんだね。そして隣が高町さんなんだね」

「ああ」

 

確認するように隣や家を見て言ってくるので、その度に俺は頷いた。

 

「じゃぁ早速入れてよ」

「お前、いい性格してるな」

「君ほど破綻してないよ」

 

そう言われてふとドアノブに手をかけようとしてやめた。

 

破綻。委員長はそう言った。

話の流れからすると性格のことを指していると思うのだが…、なんて考えていたら、

 

「ほらさっさと開けてよ」

 

急かしてきたので我に戻り、俺は鍵を開けてドアノブをまわしてドアを開け中に入った。

 

「お邪魔しまーす……って、人の気配がしないんだけど。両親は?」

 

家の中に入る早々、人の気配がしないという委員長。

俺は内心感心しつつ表情を顔に出せずに言った。

 

「いない。父親は生まれた時には行方不明だし、今年に入って母親も行方不明だ」

「それはまたなんとも…」

 

両親の奇行を理解したのか、言いたかったことを飲み込んだらしい委員長。さすがにすごいと思う。

 

「で?一体どういう経緯でそう言う質問をしてきたんだい?」

 

リビングに案内すると、椅子に座った委員長がいきなり切り出した。

 

 




読んでくださり、感謝です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。