世にも不思議な転生者   作:末吉

12 / 145
連続の方がわかりやすいと思い。


11:親らしく

 今俺達がいるのは俺の家のリビング。委員長が有無も言わさず家に入り、そのまま話を切り出してしまったからだ。

 

 お茶も何も出していないのだがこのまま話していいのだろうか……と思っていると、不意に家の中から不穏な気配を感じた。

 人のモノでもない。おそらく機械――ロボットの類の気配。それが俺に分かる程度でいきなり現れた。

 

 突然の出現に警戒していると、委員長が首を傾げながら聞いてきた。

 

「どうしたんだい? 何か出てきたの?」

 

 俺は警戒しながら「ああ」と答えると、きょろきょろとあたりを見渡したと思ったら目をつむった委員長が少ししてから目を開けてこういった。

 

「……うん。いるみたいだね。二階の方だね?」

「残念だが、一階、しかももう近くに来ている」

「え?」

 

 そういって呆けている間にそのロボット――飛行型らしく飛んでいた――が突撃しようとしていたので、ただの右ストレートでそれを破壊した。

 

「うわっ!」

 

 近くで破壊音が聞こえたからか、びっくりして椅子から落ちる委員長。

 

「大丈夫か?」

「君の家はトラップハウスかい!?」

 

 ここまで元気よく騒げるのなら、問題ないだろう。そう結論付けた俺は再び警戒。

 だが今度は気配を感じない。というより、なにやら機械音が聞こえる。

 

 ウィィィィィィン……キュウィィィィン……

 

 何の音だかさっぱりわからない。というより、この家でなにが発動したのかわからない。

 と、ここで先ほどの理事長の言葉を思い出した。

 

『君の家に他人は入れないようになっている』と。そしてそれは両親によると。

 

「これはそういうことなのか……」

「え?」

 

 なんとなくつぶやいた言葉を聞いたのか不思議そうにする委員長。だが俺はそれについて答えずに耳を澄まし続ける。

 

 聞こえる規則正しい機械音。いくら手先が器用な俺でも、ここまで緻密で精密な機械を作ったことがない。まぁ作った大半が武器だったりと日常生活ではあまり役に立たないものなんだが。

 

 念のために作り保管してあるが……はたして使う機会があるのだろうかとどうでもいいことを考えていると、機械音が止まり次の瞬間。

 

『よぉ大智。初めまして、だな』

 

 リビングのテーブルの中央に人の立体映像が映り、そんなことをのたまった。

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 その映像の主は明らかに男で、豪快そうで愉快そうな印象を受けるものだった。

 委員長はこれを見て「ホログラム……明らかに今現在の世界では存在しない技術だ……」などと呟いてじっと凝視している。

 

 その映像の男は明らかに俺の方を向いて言ってきた。

 

『まぁなんだ。こうしてやってみると恥ずかしいもんだな』

 

 だったらやるなといいたい。

 

『だが俺の息子のためだ。このぐらいの恥は捨ててやるさ』

 

 さらっとカミングアウトされた事実に驚けない。

 というか、納得できてしまった。

 

 ああ。この人が自分の父親なのかと。

 

 そんな風に感慨に耽っていると、父親がまるで心を読んだかのように言った。

 

『感慨に耽っているところ悪いが』

 

 なんだ?

 

『これを見ているということは、家に他人を入れているという事だろう』

 

 だろうな。そう考えなきゃ説明がつかない。

 

『そして、その他人がお前と同じ転生者』

「「!!?」」

 

 驚いて映像の男を凝視する俺。委員長も同じことを思ったのか、映像をじっと見つめている。

 

『そうじゃねぇとこれが見えないからな。見てるということは……なるほど。見事につながったわけだ』

「つながった?」

 

 聞いても返ってこない質問をする俺。

 だが父親はそれすらも予想していたのか頷き、説明しだした。

 

『先に明かしておくと、俺と母さんはこの世界の住人じゃない。別次元――それこそ神仏修羅が跋扈する世界の住人だ』

 

 だから今はこっちで働いている。帰るのにあと二年ぐらいかかるかもしれないと言っていた。

 

『俺達がこの世界に来たのは、お前が転生することが分かったからだ。あっちの世界で産んだ場合、お前が真っ先に狙われるからな』

 

 なぜそれを知ったのか。その理由に対して触れないまま、話を続ける。

 

『あとなんで転生者だと断定しているかというと、ちょうどもう一人転生させようとしていたところだったから。その話を聞いた俺達は便乗してそっちでお前を転生させてもらったわけだ』

 

 ここまで聞いて話の整理をすると、一つ疑問が生まれる。

 

 生まれ変わってるだけで誕生、という最も原始的な過程が存在しない理由とはなんだ、と。

 

 だがすぐに納得できる事実に思い至った。

 俺はもともと神様だったらしい。それが本当だとするなら、誕生から消滅というサイクルから外れ『存在している』から消滅という、中途半端な人生の過程になるのも納得だ。

 故に俺にはあの時中学生以前の記憶がなく、今は小学生以前の記憶がない。

 

『で、本来なら俺ら二人もそっちの世界で仲良く暮らしたかったんだが、いかんせん仕事があってな。ある程度大丈夫になったら母さんも復帰するということで俺だけ戻ったわけ』

 

 育児休暇とかはなかったのだろうか?

 

『あるわけねぇだろ。勝手に育っていく世界に育児なんて行為はないんだから』

 

 それで、どういった話をしようというんだ?

 だいぶ本筋からずれた気がしたのでそう思うと、向こうもそう思ったのか『さっさと本題はいるか』と呟いてから、こう言った。

 

『でだ。話を戻すが、そこにもう一人の転生者がいることをどうして断言できるのかというと、そいつが入らないと、他人は誰も入れないようにしたからだ』

 

「「……」」

 

 絶句する俺たち。

 すると何か? 委員長を連れてこなければ誰も家へ入れなかったってことか?

 そんな俺の疑問に、親父は愉快そうに笑った。

 

『まぁお前が家に入れようとするほど親しい友達なんていないだろうから、問題はなかったろうがな』

「確かに」

「…………」

 

 親父の発言に神妙にうなずく委員長。それを聞いた俺はまさに当たっていたので何も言えなかった。

 

『これを見てるにはその転生者を助けることが条件だが……それすらもクリアしたんだろう。よくやった』

 

 パチパチパチと拍手する親父の映像。まるで祝福のようにならされたそれは、むず痒いようなくすぐったさがあった。

 先ほどのバニングスの様に変な感じが体を満たすので訳が分からないでいると、まるで俺の現状が分かっているかのような口ぶりで親父は言った。

 

『今ので「この変な感じな一体なんだ?」と思ってる大智。そんな風に悩んでいるからいつまでも仏頂面で、性格破綻者で、コミュニケーション障害なんだよ』

「!? それはどういう……」

『だ・か・ら! お前も少しは周りに合わせて生きてみろっていうんだよ!』

 

 そう言うや否や、映像がぷつっと切れてしまった。

 

 黙ってしまう俺達。

 その間俺は、先ほどから言われ続けた、性格破綻、という言葉の意味を考えていた。

 

 破綻。破れ綻びること。もしくは、修復不可能なほどに物事が行き詰ること。

 となると性格が破綻しているということは、自己を形成している一つが修復不可能なほど終わっている、ということになる。

 そういわれているということは、俺の性格は手遅れと言われるぐらいひどい、と同義という結論に至る。

 あまり自覚はないのだが、委員長やら理事長、父親にまで言われたのなら、そうなのだろうか?

 

 自分の結論に自信が持てないので、何やら考え込んでいる委員長に質問した。

 

「一ついいか?」

「なに?」

「俺の性格は手遅れなのか?」

「そこは君の努力次第だと思うけど……今の君は全く駄目だね」

「そうか……」

 

 そういわれて納得し、俺は再度質問した。

 

「感情とは、どうすれば出せる?」

 

 すこしでも『人らしく』なろうと思ったため。




読んでくださり感無量です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。