世にも不思議な転生者   作:末吉

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ここから本格的に合流する予定……です。


12:流れの始まり

「それじゃ、また」

「すまないな、委員長」

「いいよ別に。これで君が良くなるのを祈るね」

 

 今の時刻は午後五時。少しばかり空がくらんできたので、俺は委員長のことを送ることにした。

 というより、『小学三年生を一人で歩かせる気かい?』と言われ仕方なくついて行った感じなのだが。

 

「というか、母子家庭じゃなかったんだね」

「ああ。俺の勘違いたっだらしい」

「まぁお母さんだけと生活してたらそうなる……かな?」

 

 そう言って首を傾げる委員長だが、目の前にはお前の家があるんだ。さっさと入ってもらえないだろうか。

 

「じゃ、また明日ね」

「ああ。またな」

 

 ようやく家に入ろうとしてくれたので、俺は背を向け手を振って帰ることにした。

 

 

 

 

 

 

 のだが。

 

「こら君。こんな時間に一人で歩いてたら危ないだろ」

 

 警官に見つかってしまった。

 

 今の時刻はまだ六時前のはずなのだがどうして俺は注意されているのだろうかと思ったが……すぐに答えに思い至った。

 今の俺は小学三年生。それが夕方、しかも暗くなり始めているのに一人でふらふらと歩いている。そんな姿を見たら注意を受けるだろう、と。

 

 俺は素直に謝り、警官の連れ添いのもと、何事もなく家へと帰った。

 

 

「ありがとうございました」

「今度から気を付けるんだぞ」

「わかりました」

 

 そんな会話をして警官と別れた俺は家の中へ戻り、リビングの電気をつけてから帰る前に委員長に聞いた質問の答えを反芻した。

 

「『感じたことを素直に表現すれば出せるよ』……か」

 

 つまり、何かしらに対して感じた『その気持ち』や『感想』を体や表情・声音などで表す、という意味なのだろう。

 しかしどう表現すればどんな感情になるのかさっぱりわからない。

 ならばということでパソコンを使おうと思ったが……夕飯が先だったことを思い出し、冷蔵庫へ向かった。

 

「中身がない、な」

 

 ふむ困った。委員長と長話というより、親父の長話に付き合っていたら買い物どころではなくなってしまった。

 いや、一日絶食したところで別段問題はない。問題はないのだが、授業中に腹が鳴る可能性が否めない。

 

 しょうがない。今から買いに行くしかないか。

 

 空腹感を感じながら、俺は財布を持ってフラフラと家を出るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「また君か……家に帰ったんじゃないのか?」

 

 スーパーまで歩いていたら、先ほどと同じ警官に捕まっていた。

 よく会うなぁと思いながら、「お腹空きまして……」と正直に答えたところ、警官はため息をついて俺を諌めるような口調でこう言った。

 

「いいかい? 君の家の事情は知らないけど、暗くなったこの時間に子供の君が一人でうろついちゃだめだぞ。後、お腹がすいたのなら、ご両親に連絡すること。こんな時間で歩き回らない」

 

 今後はちゃんと守るんだぞ。そう付け足した警官は、何を思ったのか俺の手を握ってどこかへ連れて行こうとした。

 

「ほら。家へ帰りなさい」

 

 どうやら家へ戻そうとしているらしい。そうされると食糧難で明日一日睡眠授業すること請負なので、俺は渋った。

 

「ですが……」

「なんだ。家へ帰れない理由があるのか?」

 

 えぇ冷蔵庫が空という、非常に大事な理由が。

 それをのみこんでいると、空腹が頂点に達したのか俺の腹が鳴った。

 

「「…………」」

 

 黙る俺達。先に口を開いたのは、警官の方だった。

 

「~~分かった。買い物してきなさい。その代り、私も一緒に回るから」

 

 なんで一緒に来る必要があるのだろうかと思いつつ、「ありがとうございます」と礼を言った。

 

「無表情で礼を言われると、不思議な感じがするな」

 

 やはりいきなりは無理か。そう思いながら、俺はそのままスーパーへ向かった。

 

 

 

 

 

「大分買ったのによく持てるな、君。本当に小学生か?」

 

 俺が持っているレジ袋×四を見て、後ろからついてきている警官は驚きあきれながら訊いてきたので、頷くだけにした。

 そのまま歩いていると、特に何事もなく家に着いた。

 

 一応ついてきてもらったのでお礼を言うと、「さっきと比べて硬さはとれたかな? でもまだ表情が硬いぞー」と笑って言われた。

 どうして笑われたのかわからなかったが、「じゃぁ私はこれで。出来る限りこの時間帯以降を出歩くんじゃないぞー」と去り際に嬉しそうに言われ、さらにわからなくなった。

 

 

「ただいま」

 

 本日三度目の帰宅。俺はすぐさま冷蔵庫に買ってきたものを詰め込み、今日食べようと思ったものを並べ始めた。

 

「さて作るか」

 

 警官の態度の理由に関して棚上げし、俺は夕飯を作ることにした。

 

 

 

 

「いただきます」

『マスター。私はなぜ二階で放置されていたのですか?』

 

 とりあえずいつも通りナイトメアをテーブルに置いて夕食を食べ始めたところ、いきなり愚痴を言われた。

 

 ……一日の大半は二階で過ごしているはずなのに、一体何を言い出すんだろうか?

 そう思ったが飯を食べたいという欲求の方が勝ったので、無視することにした。

 

「……」

『マスター。無視しないでください』

「…………」

『マスター』

「………………」

『マス』

 

 ドゴォォォン!

 

「『!?』」

 

 近くで盛大に雷が鳴る音がしたので驚く俺達。さっき歩いた時は特に雷が鳴るほど荒れてなかったはずなんだが、一体どうなってやがる?

 

『……! 魔力反応が七つ! それぞれこちらともう一つの反応に向かっています!!』

「は? なんでこの家に魔力を持つ奴があるんだ?」

 

 ナイトメアの言葉に首を傾げる俺だったが、それ(・・)はすぐに理解した。

 

 いや。理解させられた。

 

「それはいつぞやの君が本来の所有者である持ち物を、持ち逃げしたからだよ」

 

 聞き覚えがある声が背後から聞こえた。それと同時に思い浮かぶはあの時(・・・)の光景。

 前世にて俺の、いや俺達の敵だった呪神をつくりだし、俺が好きだった彼女の体を乗っ取った(かたき)ともいえる存在。

 俺は席を立ち上がり、呟く。

 

「――――どうして」

 

 自然と拳を握る力が強くなり、肩を震わし、唇を噛みながら、背後にいるそいつに向けて叫んだ。

 

「どうしてテメェがここにいる! 災厄神夜刀神(ヤトノガミ)!!」

 

 

 

 

「ふふっ。久し振りだね、大智」

 

 そいつ――夜刀神は嬉しそうに、それでいて禍々しさを出しながら、俺の名前を呼んだ。




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