世にも不思議な転生者   作:末吉

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お久し振りです。毎回こんなばっかりな気がしますが。


133:合流と自己紹介

 なんだかんだでほとんどのメンバーが揃った昼過ぎ。

 会計を済ませようとしたところ、なのは達に引き留められたので仕方なく留まることを余儀無くされた。

 

 そんなときに力也がこの店に入ってきた。

 

「やぁ久し振りだね」

「天上君? どうしてここが分かったの?」

 

 驚くアリシアに力也は何ともないという感じで答えた。

 

「別にむずかしい事じゃない。僕がこの街で知らないことはないからね」

「だよな。この地元でお前が知らなことといえば大智が関わってるものぐらいだろ」

「まぁね」

「へぇー」

「あ、あの」

 

 裕也の言葉に力也が相槌を打つと、たまらずなのかエリオが割って入ってきた。

 

「今更なんですけど、自己紹介しませんか? どういった人達か知りたいので」

「あれ? ひょっとして俺達の事、来る前に何も言わなかったのか大智」

「俺が主体的に動いていたわけじゃない。説明不足を言うならなのはたちに言え」

「まぁ良いじゃないか裕也。僕達も名前しか知らないんだから……とはいってもエリオ君はさっき質問してきた子だというのは分かるけどね」

「まぁ男が一人しかいないからな」

 

 そう言って納得する二人。それに周囲も納得し、それから「それじゃあたしから説明しようかしら」とアリサが立ち上がった。

 

「とはいってもさっき自己紹介したからいいとは思うけどね。私の名前はアリサ・バニングス。今は大学生よ」

 

 なんでも最初にやりたがるのはアリサらしいなと思っていると、すずかが次に立ち上がった。

 

「私の名前は月村すずかです。大智君たちと同級生で、今は工学部の学生です」

 

 そう言って頭を下げてから座る。その所作からも育ちの良さが分かったのか、聞いていたスバルとティアナは反射的に頭を下げた。

 

「次は僕か……天上力也だ。学生で、大智が経営している会社のアルバイトをやっている」

 

 そう言って静かにカウンター席に座る力也。それを見ていたのか奥の方のボックス席から立ち上がって裕也が自己紹介した。

 

「最後……じゃないけど、まぁ今は俺が最後か。如月裕也だ。今は大智が始めた何でも屋の社長代理をやってる」

「じゃぁ次はこっちやな。スバル、ティアナ、エリオ、シャル。自己紹介し」

「「「「はい」」」」

 

 そう言って四人は立ち上がる。丁度その時俺の携帯電話が鳴ったので、「悪い。電話だ」と言って店を出ることにした。

 

「もしもし」

『おいっす!』

 

 反射的に電話を切った。

 すぐさま電話が鳴ったので、再び電話に出る。

 

「なんだ親父」

『いきなり切るなよ。今更反抗期が来たかと思ったじゃないか』

「変な挨拶してきたのが悪い。で、なんだ?」

『ちゃんと休暇楽しんでるかー?』

「まぁ」

『こっちは暇だから犯罪者に天罰与えてるぜ。誰が一番面白い天罰与えられるかで競争してる』

「……本当に暇だな」

 

 そんなことしてていいのかとなんて思ってしまうのは俺がワーカーホリックだからだろうか。

 そんな考えを読んだのか、『休み位は誠心誠意休めよ!』と言って電話が切れた。

 

「……一体何だったんだ?」

 

 あまりにもあっさりと電話が切れたので首を傾げながらポケットに入れて店に入ろうと思ったところ、「よぉ大智。最近見なかったが、どこ行ってたんだ?」と私服の巡査が声をかけてきた。

 

「異世界」

「あーそう。異世界ね……ん?」

「ところで巡査は?」

「ん? ああ。ちょっと用事があってな。たまたま通りかかっただけだ」

「ふ~ん」

「ま、あんまり騒ぎになる様なことはせんでくれ。面倒だ」

「おう。それぐらいなら弁えてる」

 

 そう言うと片手を挙げてじゃぁなと言ってそのまま通り過ぎて行った。

 なんというか全体的に嬉しい事でもあったのだろうかと思いつつ、そういえば巡査結婚したんだったなと思い返し、「今更だがご祝儀送るぞ!」と叫んだらダッシュで戻ってきた。

 

「要らねぇよ! それに、実際はまだ結婚してない!!」

「マジか」

「今からその相談しに行くんだよ! ガキは黙ってろ!!」

「結婚したら親父達に言っとくから」

「それはマジでお願いする!!」

 

 実際は俺が言わなくてもあっちが勝手に嗅ぎつけると思うがそれは言わず、「こんどこそじゃぁな」と言って見送る。

 

「ああ行ってくる!」

 

 そう笑顔で言った巡査はそのまま走り去っていった。

 それを見送った俺は不意にどうして結婚してないんだっけと今まで巡査から受けた相談を思い返しながら納得した。

 

「そういえばそんな話をするたびに何か事件に巻き込まれてるんだったな……」

 

 今回は無事に済みますように。柄にもなくそんな祈りをした俺は、伸びをしてから店に入った。

 

 

 自己紹介はすでに終わり、何やらみんなで雑談していた時に戻ってきたら、一斉に俺に視線が向いた。

 

 向けられる理由が分からないので首を傾げると、一応機動六課のリーダーだからか、代表してはやてが話しかけてきた。

 

「これから別れて移動するんやけど大智はどうするん? うちとすずかとなのはちゃんにフェイトちゃん、アリシアちゃんにアリサとヴォルケンリッターは一緒に行動して、雄樹やスバルたち、天上や如月は一緒に行動するそうやけど」

「私ははやてと一緒に居るですよー」

 

 存在を忘れては困ると言わんばかりに主張するリィンフォースⅡ。

 俺はその提案を聞いて訊かなくても分かっていそうなものだろうにと思いつつ「雄樹たちと行動する」とため息をついて答える。

 

「えー一緒に回らないのー?」

「男一人で女子集団に居ろと。恥ずかしくて無理だ」

「えっ」

「? おかしなこと言ったか?」

『大智が……羞恥心を持った!?』

「おい」

 

 何やらヒドイ驚かれ方をしていたので思わずツッコミを入れたが無視された。

 

 

 結局地球に住んでいた管理局組の女子と初めて来た管理局組に分かれ、その案内をするために俺達男子が行動を共にすることに。

 夕飯がバーベキューだとか言っていたのでおそらく食材でも買いに行くのだろう。結構な大所帯だ。

 

 で、俺達ははやて達が住んでいたところや学校などを紹介して回ることにした。

 

 のだが、どうにも裕也の様子がおかしい。誰かを意識しているのかテンションが若干高めである。

 先頭で紹介をしている裕也と力也の様子を見ながら、俺は隣で歩いている雄樹に小声で訊いた。

 

「(どうしたんだ一体?)」

「(一目惚れじゃないかな? たぶん)」

 

 一目惚れね。そりゃ結構なことだ。

 そんなことを思いながら、時折頼まれる仕事の依頼を一人で解決してその内容をメモしながら報酬を受け取りつつ後を追う。

 本日休業なのだが暇だし片手間で出来る事ばかりなのでささっと終わらせる。

 

 それを見ていたのか、雄樹がため息をついていた。

 

「君って本当に……」

「悪かったな。どうにも暇は好きじゃないらしい俺の性分だ」

「やることないのは分かってるけどさ、もうちょっと協調性をね」

「まぁそうだな。やるしかないな」

「おい二人! ちゃんとついて来いよ!!」

 

 張り切ってる裕也の言葉に苦笑した俺達は、「ああ」と言って少し先を行っている六人を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 案内を終え転移してきたログハウスに戻ってきた俺達。

 するとなのはたちが談笑しながら準備をしていた。

 先に戻っていたのなら電話ぐらいしてくれればいいんだがなんて思いつつ「今戻ったぞ!」と声を上げると一斉にこちらを見てきた。

 

「お帰り。どうやったみんな?」

「とても平和ですね。グレアム元提督がはやて隊長の家に住んでいたのが驚きでした」

 

 はやての質問にティアナが真面目に答えた。

 それを後ろで見ながらまぁ全員興味津々に聞いてたからなと思っていると、「楽しかった?」となのはが質問したので全員で「はい!」と返事した。

 

 そりゃ良かったと思いつつ手伝おうかと考えたが、ここで手伝ったところで邪魔にしかならないだろうなと考え直し空を見上げる。

 日が沈みだしているのが分かる。星が一つ二つと輝いている。

 

 来るとしたらもうそろそろだろうかと思いつつ目を瞑ると、「どうしたのさ大智?」と雄樹が声をかけてきた。

 俺はそのまま返事をした。

 

「いや……こういう穏やかな空気に浸っていたくてな」

「それはそれは…昔の君が聞いたらびっくりするだろうね」

「表情は変わらないだろうがな」

「そうだね」

 

 いつの間にか俺の隣に雄樹しかおらず、裕也と力也は適当な場所にいた。

 

「俺達だけ動いて無いな」

「まぁ僕も動いたところで何もできなさそうだからこの場に留まっているんだけどね」

「あ」

「どうしたのさ」

 

 不意に思い出した事実にやりたいことを思いついた俺は思わず声を上げる。

 

 そういやあいつらまだ来てないんだよな……なら。

 思いついたが吉日。そう考えた俺は瞼を開けてから隣の雄樹を見て「少し買うものが在った。手伝ってくれ」と頼んだ。

 

「何あるの?」

「クラッカー。及びケーキだろうか」

「?」

「ちょっと確認してくる」

 

 そう言って俺はアリサの方へ駆けよって質問した。

 

「なぁアリサ」

「何よ」

「元一と木在の事、なのはたちには?」

「あ、いけない。ケーキとか買ってくるの忘れたわ」

「え、本当アリサちゃん?」

「そうか。なら買ってくる」

「悪いわね」

「みんなで分けられる大きさでお願いね」

「何とか探してくる」

 

 そう言うと俺は駆け出して雄樹に「行くぞ」と耳打ちした。

 

「え、ちょっと!」

 

 慌てて追いかけてきたのを尻目で見ながら、俺はそんな巨大なケーキどうやって運ぼうかと考える羽目になった。

 

 

 

 

「……疲れたね」

「まったくだ」

「本当、悪いわね」

 

 至急諸々を用意して慎重に運んだ俺達は、みんなが驚いてそれを見ている中座り込んでいた。

 

 夕食はすでに食べ始めていたようで、帰ってきたころには食材の半分はなくなっていた。が、食べる気力など俺達には残されていなかった。

 

「ケーキ探し回って運ぶのが大変だった」

「ああそうだな。こんなことなら転移装置使えばよかった……」

「え? 使えたのかい?」

 

 驚くように訊いてきたので俺は首を横に振って「残念ながら座標を登録してなかったんだ」と付け足した。

 

「なんだ……それにしても、お腹空いたね」

「そうだな。でも腕に力入るのか?」

「そういう大智は?」

「何とか入り始めた」

 

 疲れが無くなりつつあるので何とか立った俺は背伸びをして雄樹に手を差し伸べる。

 

「ほら」

「ありがと……」

 

 何とか腕を上げて立ち上がる雄樹。それでも力が入り辛いのか膝に手を当てて俯いていた。

 それに気付いたはやてが「大丈夫、雄樹?」と心配そうに近寄って訊いてきたので大丈夫だろうと思い皿を探そうとしたところ、「はいこれ」となのはが渡してくれた。

 

「……ありがと」

「どういたしまして。……でも大智君。どうしてこんな大きなケーキを買ってきたの?」

 

 そういえば知らされていなかったんだったか。そう考えて教えようかと思ったところあがってくる気配を二つ――元一と木在――察知したので反射的にクラッカーをばらまいた。

 

 それで気付いた力也、アリサ、すずか、裕也は普通に手に取り他の奴らはぽかんと見ているだけ。

 まぁ誰にも教えてないからだろうなと思った俺もクラッカーを準備。

 

「え、どうしたの急に?」

 

 困惑して質問して来るなのはを無視して待っていると、元一と木在が腕を組んで堂々と歩いてきて、俺を見つけたのか手を挙げて「おぉーい!」と叫んでこちらに来たので、俺はくっきりと見えた場所でクラッカーを鳴らした。

 驚いて足を止める元一と木在。俺が鳴らしたのを皮切りに残りの四人も鳴らしていき、全員が鳴らし終ってから驚いたままの二人に言った。

 

「婚約おめでとう二人とも」

『……え、えぇぇぇぇぇ!?』

 

 俺の言葉を理解した地球にいた奴らは絶叫し、状況を理解した二人は照れ笑いを浮かべた。




今回もご覧いただいた方には感謝を。
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