世にも不思議な転生者   作:末吉

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知らぬ内に感想が二件消えてました。そして、キャンプ終わりました。


31:帰宅

「……ん?」

 

 ふと眼が冴えたので起きると、そこは自分の家だった。

 

 果たして何が起こったのだろうかと思いながらベッドから起きて窓を見てみると、空がうっすらとオレンジがかっていた。

 

「どのくらい寝てたんだ、俺?」

 

 腕を組んで首を傾げ、最後の記憶を思い返す。

 

 あれは高町を疲れた体に鞭打ってテントまで運んで……そこから記憶がない。

 一体いつなのだろうかと思いつつ、俺は自分の部屋を出た。

 

 

「おはよう」

「大分寝てたわね。もうすぐ夕食よ」

「お前死んだように眠ってたからな」

 

 リビングへ向かうと、夕飯の準備をしているらしい母親と、何を作ろうとしているのか紙と睨めっこしている親父がいた。

 

「今何時?」

「午後五時半」

「約半日寝てたわね」

 

 ふむ。それほどまで俺は寝ていたのか。

 現状を把握した俺は、次にキャンプはどうなったのか気になった。

 

「キャンプは?」

「無事に帰ってきたぞー。お前爆睡してたけど」

「高町さんは色々訊かれてたわね」

「おかげで士郎の奴から伝言受けちまった。『今月中にでも勝負しよう』だってよ」

「…………」

 

 結構一緒にいた時間が長かったから勘違いされたのか。高町には申し訳ないことをした気がする。

 そんなことを思いながら、俺は自室へ戻り風呂場へ向かう。

 

 この二日でやらなかった、ランニングと筋トレを。

 

 

 

「行ってき」

「夕飯食べてからにしないさい」

「そうだぞー。飯が冷める前に食べろ」

 

 両親に出鼻をくじかれ、仕方なくてトレーニングウェアのままリビングへ向かう俺。

 やってから食べた方がいいんだが……等と思ったが、何も食べてなかったことに今気づき、そのせいかお腹が鳴ったので、黙って食べることにした。

 

「「「いただきます」」」

 

「そういや大智。昨日小人に連れられてどこ行ってたんだ?」

「頼まれごと」

「高町さんと一緒に?」

「……あいつは、ついてきただけだ」

 

 夕食を食べていると親父たちが昨日のことについて質問してきたので、事実だけを答えながら俺は食べ進めていった。

 

「ごちそうさま」

「皿は洗いなさい」

「分かってる」

 

 食べ終わった俺は母親に言われながらもキッチンへ向かい椅子に立って食器を洗い始める。

 この椅子は前から置いてあったもので、「大智用」と見つけた時に書いてあったことから、一人で暮らす時に使わせるものだと考え、ずっと使っていた。

 

 はっきりいって身長がある程度戻るまではずっとこれを使う予定である。

 

 テキパキと洗っていると、親父がふと思い出したように言った。

 

「そういや大智」

「なに?」

「思い出したんだが……俺昔作ったんだよ、地下室」

「は?」

 

 いきなり何を言い出すのだろうかこの親父は?

 食器を洗う手を止め、バカじゃないのかと言う視線を送る。

 その視線に気付いたのか知らないが、親父は「バカじゃない!」と反論し、そこから説明した。

 

「ほら、俺ここにいると大体発明しかしないだろ? だからさ、迷惑にならないように地下室作ったんだよ。この家の下に」

「……良く金があったな」

「あっちの世界のお金を両替してな。何百年働いてると思ってる」

 

 そう言えば両親はあっちの世界の住人なんだったか。

 傍から見れば三十代にしか見えないので忘れがちだが、もうすでに百歳を超えてる人間(?)なんだよな。

 それが何で俺の両親なんだろうかと考えたが、別段どうでもいいので話を戻した。

 

「その地下室がどうかした?」

「ちょっと整理したいから手伝ってくれね?」

「いつ?」

「夕食終わったら」

「親父の?」

「そう」

 

 俺は食器洗いを再開しながら考える。

 別に手伝うこと自体は問題ないのだが、食べ終わったらランニングと筋トレをするという予定を立てていた。

 

 どちらを優先するかと食器を拭きながら考えていると、不意に宮野巡査の存在を思い出した。

 

 ……あの人に見つかってまた連れ戻されそうだな。なんとなくそんな気がする。

 これじゃ夜は動けないかと食器を片づけながら思った俺は、ため息をつきながら了解した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「地下室にはどうやって行くんだ?」

「あ?」

 

 親父が夕食を食べ終えたのでそれまでナイトメアの愚痴を聞き流していた俺が早速質問すると、何故か怪訝そうな顔をされた。

 

「やるんだろ、地下室の整理」

「やるけどよ……お前少しは待ってくれたっていいだろうが」

「待ったぞ」

「…………分かった分かった」

 

 せっかちな奴だなぁとぼやきながら立ち上がる親父。

 

 そう言われても俺は本当の事しか言ってないんだが。

 何か納得できないと思っていると、親父がリビングから出て行ったので後をついて行くことにした。

 

「ここが地下室に通じる道だ」

「……物置だろ?」

 

 リビングからいつも見ている物置の前にやってきた俺達。どうも地下室へ行ける場所らしいのだが、そもそも物置の必要性を感じない生活をしていた俺は、その存在が希薄となっていた。

 

 俺の発言を受けた親父は「論より証拠」と言って鍵、ではなく物置の壁に手を当てた。

 何が起こるのだろうかと見ていると、勢いよくドアがスライドした。

 

「な? 道があるだろ?」

「……」

 

 その中には物などなく、下に続く階段だけ堂々と存在していた。

 

 開いた口が塞がらないと言うが、それに準ずるほど驚いている。発明好きな親父が、地下室までの道をここまで凝ることに。

 

「それじゃ、行くぞー」

「……ああ」

 

 親父に呼びかけられて我に返った俺は、手招きしているのを見て慌ててついて行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー何年ぶりだったか」

「……」

「そう怒るなよ。まさかシステムが反応しないとは予想外だったんだから」

「…………」

 

 階段を降り、地下室に着いた俺達。

 何故か知らないが俺だけ自動防衛プログラムに引っかかり、現在の身体能力の限界をたびたび超えそうになりながらすべて回避した。

 親父は悪びれているが、絶対にわざとだったに違いない。

 そんなことを考えながら、俺は不機嫌そうに吐き捨てた。

 

「愛想でも尽かれたんだろ」

「……言葉の凶器が辛いぜ」

 

 胸を押さえてうずくまる親父。

 そんな親父を無視して、俺は地下室全体を見渡した。

 

「広いな……」

「だろ? 何とかお隣さんの下に行かないように設計したんだぜ、ここ」

「殊勝なことだ」

「何が?」

 

 真顔でそう返されたので、「これからどうするんだ?」と誤魔化すと、「ちょっと待ってろ」と言って親父の近くにあった機械を操作していた。

 

 様々な機械音がひしめき合い始めたのを耳で感じながら何が始まるのだろうかと思っていると、急に電気がつき、部屋全体が明るくなった。

 そして、その部屋を見た俺は、さすがに頭を抱えたくなった。

 

「……部屋埋まりすぎだろ。八割ぐらい」

「…………」

 

 図星だったのか何も言わなくなった親父。

 

 放置しすぎだろ……等と思いながらウェアの袖をまくり、手身近にあるダンボールに手をかけて親父に向かっていった。

 

 

「で? これをどうするつもりなんだ?」

「……あ、ああ。とりあえず中身確認するために上に運ぶ」

「分かった」

 

 そのままダンボールを持ち上げる。

 重い。箱の見た目とは裏腹に、重い。

 おそらく100kg位あるのではないだろうかと思える位に重い。

 

 見た目に反して中身が恐ろしいな、おいなどと思いながらそれでも普通に運んでいく。

 まぁ自動車ブン投げたことあったしなぁと前世の記憶を思い返しながら歩いていると、階段を上り終え、庭に着いた。

 そこに段ボールを置くと、俺はそのまま戻っていった。

 

 地下室に戻ると、親父のはしゃぐ声が奥の方で聞こえた。

 この中にどうやって入れたのだろうか……と不思議に思ったが、なぜはしゃいでいるのか気になった俺は声を張り上げた。

 

「どういう事だ親父!」

「うおっ! 大智か! お前もこっち来いよ! 久しぶりなものがたくさん見つかってよー!!」

 

 やけに嬉しそうに聞こえる声。

 無論、そんな声を聞いて先ほど荷物を運んだ俺が我慢するはずもなく。

 

「自分でやれやぁ!」

 

 そう叫んで近くの段ボールを蹴り飛ばし、そのせいで他の段ボールに当たったり崩れたりして盛大な音を立てて視界を埋め尽くした。

 何か男の野太い悲鳴が聞こえたが無視し、筋トレだけやって風呂入って寝るかと思い地下室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けてくれ~~!!」

 

 ダンボールに埋もれながら叫ぶ竜一の声は、地下室にむなしく響いた。




両親が関わらないとお気に入りが増えやすくなる不思議。
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