世にも不思議な転生者   作:末吉

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今更ですが、チートだからといって無敵という訳ではありません。別次元の強さを誇る主人公ですが、体は生身で小学三年生ぐらいのリーチしかありませんので。


53:八神家訪問

「すまない。図書館へ行くのが遅くなってしまい」

「構いません。それより、俺はやっぱり」

「帰る必要無いで大智。約束は守るから」

「そうはいってもだな。家族と一緒に居るのに邪魔するなんて…」

「家主のうちがいいって言うとるんやからいいんや。うちと大智の仲やし」

「ザフィーラさん、代わりましょうか?」

「いや、大丈夫だ」「って無視かい!」

 

 結局逃げられずに銀髪の青年――魔力があり何やら耳が生えているのでアルフに似た奴だろうか――ザフィーラを紹介され、改めて自己紹介して八神家に移動中。

 なお、車椅子はザフィーラが押している。

 

 ザフィーラの後の八神のツッコミに対し、俺は無視する形で礼を述べた。

 

「ありがとな」

「な、なんや急に」

「いや。家に誘ってくれたことと昼食を食べさせてくれる礼だが」

「律儀やなぁ」

「恩義を感じたら礼を言うのが普通だと思うからな」

「お。ようやく変わり始めたんか」

「まぁな」

 

 そんな会話をすること数分。

 段々と来たことがある道を通り始めたので若干不思議に思ったが、家に着いたときにその答えが分かった。

 

「斉原の家の隣だったのか…」

「そうや。雄樹からも大智の話良く聞くで」

 

 なるほど。道理で途中から通ったことがある道だと思ったわけだ。

 しかし斉原は八神にどういう話をしてるのだろうか? ふとそんな疑問がわいたが答えてもらう必要もないと思い「そうか」の一言で終わらせた。

 それに対し何やら言いたそうだったらしいが、シグナムは八神に「早く入りましょう。ヴィータ達ももうすぐ戻ってくるでしょうから」と言った。

 

「そか。なら先に昼食作ってまってようや」

「えぇそれが良いでしょう。あの二人もお腹を空かせて帰ってくるでしょうから」

 

 そんな感じでさっさと入る三人。俺はというと、少しばかり考え事をしていた。

 

 八神を図書館に連れて行ってからどこかへ行ったというこの二人。ほかの二人もまだ帰ってきていないという。

 なぜ八神一人を置いて彼らはどこかへ行ってしまったのだろうか。そのことが不思議に思えたからだ。

 

 一応推測として出るなら……やはり『魔法』。これが、彼らが八神を置いて出かける理由にかかわっているはずだ。

 なぜそう考えるかというと、八神はこの通り足が悪い。実際は歩けるという可能性もあるかもしれないが、最初に会った時にはすでに立つことすらままならなかったようなので、その可能性は捨てる。

 その考えを基にして、前から会っているシグナム。今回初めて会ったザフィーラ。他の二人がどうかは知らないが、少なくともこの二人は魔力を持っている。

 そうなると彼らも高町達と同じ、いや、系列は違う場所で働いている魔法関係者で、八神には知られたくないと思っているからの行動なのかもしれないと推測ができる。

 

 が、これはあくまで推測。現状では情報が足りないためどうしても確証が持てない。

 

 確証なき証言は災いに発展する。前世での教訓を生かすとするなら、ここは黙ったほうがいいだろう。

 と、ここまで考えたところで「長嶋」と声をかけられた。

 声の主を見ると、やはりシグナムだった。

 

「どうかされたか?」

「…いや。考え事をしていただけだ」

 

 不思議そうな目で見てくるので頭をふって大丈夫だとアピールすると、「はやてがお呼びだ」と言われたので、俺は「分かった」と答えてからお邪魔した。

 

 

 

 入った感想。

 まぁ普通の家だ。

 というか、基本的にバニングスや月村の家が豪華すぎるのだろう。かくいううちも、異空間地下室が存在する、普通の家とは違う造りになっているが。

 だが基本的構造は普通の家と何ら変わりはないか。……トラップが不在の時作動しているのが普通かどうかはともかくとして。

 

 なぜトラップ云々の話になるかというと、六月のある日曜日に『そろそろ防犯対策の更新するかー』という親父の一言で理解させられた。

 つまり誰もいない状態(長嶋家の人間がという意)で誰かが入ろうとすると、それを迎撃するようなトラップが存在しているという事だった。

 

 我が親ながら凶悪なものを設置していないかとハラハラしたが、別段痛めつける系のトラップがないので安心した。

 ……さすがに自動で赤外線が不在時に至るところから発生すると言われ時には侵入者に同情しようと思ったが。

 

 そういえばナイトメアはどうしてるのだろうか。普段持ち運んでいないデバイスの事を案内されたソファに座り、ふと考える。

 

 また呪詛の様に暇だ暇だ暇だ暇だ暇だ暇だ・・・・・・などと呟いていないだろうか。正直鬱陶しくてかなわない。

 もし呟いていたらどうやってなだめようか。腕を組んで黙ってそんなことを考えていると、ザフィーラが「どうかしたか長嶋大智」と言ったのが聞こえたので、もうなるようになれだと思って考えるのを放棄し「家に誰もいないので心配になったんですよ」といつも通りの声で答えた。

 

 「そうか」と引き下がるザフィーラと、「帰ったぜはやて!」「ただいま帰り……あら?」という声が聞こえたのが同時だったが、普通に聞き取れた。

 ていうか、帰ってきたのか。なんだか居心地が悪くなるな。

 

 人見知り、というのだろうか。いや、気心知れた奴ら以外だと警戒心が先立つからか。ともかく、俺はすでに帰る準備を見えないようにし始めたところで……

 

「お。丁度できたところに帰ってきおったな、二人とも」

 

 作った料理をシグナムと一緒に運ぶ八神が来た。

 

 あ。逃げ場がない。わずかコンマ数秒のうちに結論が出たので、俺はもう諦めて立ち上がり、八神が持ってきた料理を「運ぶぞ」といって返事も聞かずに持ってテーブルに置き、他に準備するものを聞いて(八神は少し抵抗があるようだったが)運んだら、先程の声の主たちがソファに座っていた。

 

 おっとりしてそうな女性に小柄で生意気そうな少女。この二人はどこかで見たことがあった気がしたが気のせいかと思い、ヴィータとシャマルだろうと名前だけを推察した。どちらがどちらだか分からなかったが。

 

 ちなみに昼食はそうめん。大人数だからこれでいいかという事らしい。俺は別に大丈夫だが。

 俺がとりあえずテーブルにすべて置くと、「すまない長嶋。客人なのに手伝わせてしまって」とシグナムが代表してなのか謝ったので、「勝手にやったことですので別に」と答えた。

 

 さて。今現在荷物はソファの後ろにあるのでよしとするが、俺の座る場所がない。ないというか、何とも座りにくい。

 壁際で立ってそのまま傍観してようかと考えていると、八神を俺を見て首を傾げた。

 

「どないしたん? 食べなきゃなくなるで」

「……あぁ」

 

 仕方がないので渡された容器と箸を持ち、茹でられて水切りされたそうめんをつゆが入った容器に入れて立ったまま(・・・・・)啜る(すする)

 もう一つもらおうかと思い箸を伸ばそうとしたが、何故か感じる視線に箸を止め、ぐるりと見渡す。

 

「どうした?」

「いやな。座って食べへんのかなぁ思うて」

「座れる場所…あるか?」

「あるやろ。ヴィータの隣とか」

「な、はやて! なんでこいつが隣なんだよ!?」

 

 八神が箸でその場所をさすと、その隣の少女が分かりやすく拒絶した。

 だろうな。だから俺は座らなかったんだ。

 少女のいう事にため息をついた俺は八神に「立って食べたままの方が消化が早いから別に構わない」と言ってもう一つ掴んで容器に入れ、食べる。

 

 ふむ冷たい。夏にぴったりだな。

 初めて食べたそうめん(二口目)に少し感動しながら、家で一人だとこれ食べるのが寂しいだろうなとふと思い、そこから関連して家に帰ってナイトメアをなだめようと思い「ごちそうさま」と言って使った食器を台所の流し台の方へ向かおうとすると、八神がこちらを向いてるのか聞きやすい声で不思議そうに質問してきた。

 

「もう食べないんか?」

「誘ってくれたのにすまん。家で忘れてたことを思い出してな。早急に帰らなければいけなくない」

「そか…なら、仕方あらへんな」

「ありがとな」

「えぇって。世話になった恩返しや」

 

 そして食器を洗ってそのままにして置き、「洗うだけは洗った」と言ってソファの後ろにあった荷物を持ってリビングを出た。

 

 玄関口。靴を履いてドアノブを握ろうと思ったが、後ろにいる気配に気づき声をかける。

 

「なんだ?」

「ヴィータが済まない。なにぶん初対面相手には警戒が先走って…な」

 

 わざわざそんなことをいうためにこちらに来たのか。随分と律儀な奴だな。そしてあの小さいやつがヴィータという名前なのか。

 感心しながら俺はドアノブを開けて言った。

 

「気にしてはいない。初対面で警戒するのは平和ボケをしていない証拠だし、俺は元々警戒されやすいからな」

「!」

 

 後ろの気配――声からしてシグナムだろう――が驚いて身構えたのか息を飲んだのか知らないまま、俺は外に出た。

 

 

 さて。家に帰って食べなおすか。ナイトメアのこと放置したままだし。

 

 

 ……あいつ、今頃呪詛を読み上げるようにつらつらと言ってないだろうな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その心配は的中した。

 

 家に帰ると、

 

『マスターのバカマスターのバカマスターのバカマスターのバカ…………』

 

 リビングのテーブルで延々と噛まずに呟いている、ナイトメアの姿が存在した。

 

 宥めるのに一時間を要し、俺はそこから昼食を作ることにした。




この日は立て続けに物事が起こるようです。

読書、お疲れ様でした。
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