世にも不思議な転生者   作:末吉

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三話目。


06:少しばかりの確認

月村家に招待されて三、四日が経った。

 

なんていうか、そろそろ本格的に空気になろうかなと思い始めてきた。

視線は針のむしろ。主に男子から。その量が日に日に増え、面倒になってきた。

 

「俺、学校サボろうかな…」

『マスターが何も言わないからだと思いますけど』

 

今俺は一人でテレビゲームをやっている。これも父親が作った奴だそうだ。なんていうか、つくづくメカに強いな、親父。

 

そんな風に過ごしていると、ふとナイトメアが訊いてきた。

 

『そういえば。色々と作っていましたけど、どうするつもりなんですか?』

 

そう言われて、俺はゲームを中断して思い出した。

 

「ああ。あの『弾』だろ。あの時代で使われていたのをアレンジしてみたんだが、いかんせん使えるかどうかが怪しんだよなぁ。修行してないし。下手するとクレーターできるし」

『……そんな危険なものを作ってどうするつもりで?』

「その前にあの『弾』について理解してる?」

『?』

 

やっぱりか。俺の最後の一言だけでどういうものか判断したな。

 

「いいか。あの弾ってのはだな―――――」

 

それから十分ほど説明したら、一時間ほどナイトメアに説教された。主に威力面で。

 

 

 

 

次の日。

 

出席確認の時だけ気配を現し、それ以外の時はすべて気配を立ってのんびりと過ごした。そろそろサボタージュを計画しようかと思えてきた。

 

体育の時はその存在感の希薄さで見学。ドッジボールは女子(主に月村)が強すぎることには驚いた。

 

昼休みに温泉へ行く計画を立てたらしい。それに聞き耳を立ているのがナルシスト。こちとらどうでもいいので、最近俺の気配に気づき始めた委員長と会話している。

 

 

 

 

 

 

 

土曜日。隣りが騒がしいと思いつつ、俺は普段の気疲れからか半日ほど寝ていた。空腹感を感じなかったのでどういうことなのか不思議に思ったが、ナイトメア曰く「お昼になったら勝手に昼食を作って食べてました」とのこと。

 

たまに長く寝ると仲間たちが「ご馳走様です!」と言っていたのはそれが原因なのだろうかと今更気づいた。

 

 

 

 

 

 

日曜日。朝早く起きて、久し振りにマイクを手に取った。

 

「聞こえてるか、神様」

 

それから数分後、マイクから声が聞こえた。

 

『何か用か…?Zzz……』

 

随分眠たそうな奴だなと思いながら、今更な質問をしてみた。

 

「聞こえてる前提で質問するぞ。一つ。俺が転生者だとばれたらこの世界にどう影響する?一つ。あっちの世界では俺の予想外の死でどんな影響が起こっている?一つ。俺のこっちの世界での両親はどうなってる?」

 

しかし返事が返ってこない。

時々『ぐかー』とか聞こえるので、おそらく寝ているのだろう。さすがに朝六時だからな…って俺が許すはずもなく。

 

「・・・・・・とっとと起きろ」

『イ、イエス!』

 

子供とは思えない低い声をマイクにぼそっとつぶやいて起こした。いい気味だ。

 

「んじゃ起きたところでさっきの質問に答えてもらおうか」

 

とりあえず先ほど述べた質問についての返答をしてもらう。そうじゃなきゃ神様と連絡取ろうとは思わん。

 

ブツブツと何か文句などが聞こえたが気にしないで待っていたら、

 

『質問の類は願いにはいらないからと言って一篇にするでない』

 

と言ってきてから答えてくれた。

 

『最初に質問じゃが、転生者とかはバレても「何コイツ」的な反応されるだけじゃろ』

「なんていうか、身もふたもない言い方だな」

『そういうなて。神様など偶像上の話だと思っているのが大半じゃし』

「俺は…そうでもなかったな」

『それは世界の違いじゃと思うんじゃが?』

「それはそうだな」

 

そう返事をして少し思い出す。仲間たちと共に戦ったあの『神』。あの戦いが終結した後の、平穏だった日々を。

 

『思い出してるところ悪いが、次の質問に対して返答するぞ』

「あ、悪い」

 

神様の声で現実に戻され、俺は昔の回想を止めることにした。

 

「で?次は?」

『あっちの世界ではお主の墓がほかの墓と違って目立っていたのぉ。ぶっちゃけ英雄みたいな扱いじゃったぞ?』

「そこまで恭しくないだろ」

『で、あっちの世界じゃが、お主の仲間たちは今新しい奴がリーダーをやっている。誰ひとり欠けておらん』

 

俺は、その言葉を聴いて安心した。

 

「そうか…」

『うむ。お主の戦い方が基本的に採用されておる。今や国や世界が一体となっておるわい』

「マジで!?結構仲が悪い国って結構あった気がするんだが」

『それらは滅んだわい。侵攻によってな』

「あー。マジか」

『平和、とまではいかんが今はそれなりに休息期間じゃぞ?仲間たちは毎日来とるし』

 

存外慕われておったんじゃな、と笑う神様に対して「俺もびっくりだ」と返しつつ、心の中では様々な思いが渦巻いていた。

 

まとまりのなかった仲間たちに対しての絶望感、やらなきゃやられるという焦燥感、初めて生還した時の安心感、仲間たちとの信頼――――――

 

思いつく限りの想いを内心で言葉にしつつ、俺は言った。

 

「で?最後の質問は?」

『それは秘密じゃ。生きとる、とだけ言っておこう』

 

瞬間。俺はマイクをベッドに投げ、下におりた。

 

 

 

―――――――この世界は、平和だな。少なくとも、何もしなければ。




かけたら四話目の投稿を予定。
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