さて…「まよいのどうくつ」に行くとは言ったものの、あそこに行くにはサイクリングロードを通る必要がある。今の俺には金なんてないから自転車は買えないし、どう行くんだ?
「さ!私のトロピウスに乗って!」
「………え?」
なんでも、まよいのどうくつは崖の下だから、空を飛んで行った方がいいらしい。
確かにナタネはBW2のPWTでトロピウスを使ってたけど…「そらをとぶ」覚えてなかったよな?大丈夫なのか?途中で落下とかやめてくれよ?
「私のトロピウス、飛ぶの得意だから、2人乗っても大丈夫だよ!ほら!」
不意に手を引かれて、トロピウスに乗せられる。
「っ!!」
トロピウスに触れた時、柔らかさ、体温、呼吸…それを感じ取って、自分の考えが間違っていることに気づいた。
こいつは「生きてる」って事を実感した。
別に、頭の中では理解してはいたし、街中でも散歩してるポケモンとかを見ていたからなんの不思議もないけど、どこかで「ゲームの世界」と思ってたところがあったんだろう。だから
そんなこともわからなかった自分が悔しくて、思わず歯噛みした。
それを見ていたナタネが、優しく話しかけてきた。
「何を考えてるか私には分からないけどさ、今からポケモン捕まえに行こうっていうのに…そんな顔してちゃダメだよ。ほら笑顔笑顔!」
そう言ってナタネがほっぺを引っ張る。
「いひゃいいひゃい!わかりました!わかりましたから!」
そう言うと、ナタネは手を離してくれた。
いや、マジで痛てぇ…
「そういえば名前!」
ん?
「名前教えて貰ってなかった!」
あー、そういえばそうだ。
「って覚えてないか…」
いやさっきまで「笑顔笑顔!」とか言ってたヤツが暗い顔してんなよ!ったく…
「いや、名前….思い出しそうです…」
「えっ!ホントに!?」
この世界だと名字とか無さそうだし…
「俺の名前は……キョウシロウ…そう、キョウシロウです」
とりあえず下の名前だけにしておく。
「キョウシロウね、分かったわ。じゃあキョウシロウ、しっかり掴まっててね」
「はい」
ん?もう飛ぶのか。
そしたらすぐ、フワリと宙に浮く感覚がした。うぅ…この感覚苦手なんだよね、飛行機の離陸とか。
そんなどうでもいい事を考えてると、あっという間に空まで飛び上がってしまった。
おお〜、街全体が見渡せる。あー、あれがパルキアの像か…結構大きいな。
「まよいのどうくつまではそう遠くないからゆっくり行くね」
そうナタネが言うと、トロピウスは前に進み始めた。
まよいのどうくつ入口
さて着いた!飛んでたあいだが気になるって?大したことしてないぞ?トロピウスの顎のバナナ食っただけだわ。めっちゃ美味かった。そんなことよりも俺は今までに無いくらい胸が高鳴っている。
【アイツ】がここに!
俺が興奮していると、ナタネが
「どう?なにか思い出した?」
と聞いてきた。
「うーん…」
あぁ、思い出す…誕生日プレゼントでDSとダイヤモンドを買ってもらった時の事を…
あ、こっから過去話とか入らないから安心しろ。
「とりあえず、中入ろっか」
「そうですね」
そうして、オレとナタネは洞窟の中へと入っていった。
「暗いなぁ」
中はとても暗く、1歩先も見えないくらいだった。
「あ、ちょっと待ってね」
ナタネは鞄の中を漁り始めた
フラッシュ持ちのポケモンでも持ってきたんだろう…明かりがないと進めないもんな。
「あったあった!」 カチッ
oh......
文明の機器「懐中電灯」の登場だァ☆
「…………」
「これで暗い場所でも大丈夫…って、何その微妙な顔…」
いや別にポケモンがフラッシュ使うのを期待してたわけではないよ?ポケモンが光り続けるとか、少し面白そうとか思ってたわけではないよ?
ほんとだよ?
「まあいいわ、それより早くポケモン見つけよ!」
俺は頷いて、あとについて行く。
数時間後
全然見つかんねー!ズバットとイシツブテばっかり出てくる!はぁー早く【アイツ】欲しいなぁ…まぁ、エンカウントの概念がないから、普通に無視すれば戦うこともないのはいいけど…
「まだ見つかんないのー?」
ナタネは疲れたようで、岩の上でぐったりしている。
「うーん…見つかんないなぁ…」
「そろそろ帰らないと日が暮れちゃうよー?」
そうだよなぁ…また明日にするか…
諦めて帰ろうとしたその時!
「ギャウ!」
キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!
「ナタネさん!あいつです!」
「分かったわ!この子を貸してあげる!頑張って!」
「ありがとうございます!いけっ!」
手渡されたモンスターボールを投げると、空中で開き、中からナエトルが出てきた。
絶対に捕まえてやるぞ!
フカマル!
そう、俺が狙っていたのはフカマル。こいつの最終進化は、俺の一番大好きなポケモンにして、約10年間トップメタに君臨し続けた600族にして、レート戦の主人公「ガブリアス」!!
最近はフェアリータイプの台頭で、レート戦での使用率は減り、主人公の座はミミカスに譲ったなどと言われているが、そんなことは関係ない!そもそもフェアリータイプができた理由自体が、ガブリアス抑制みたいなものだ。だったら
「ナエトル!フカマルにたいあたりだ!」
ナエトルはフカマルに向かって一直線に走り出す。
「ギャウッ!」
しかし、その体当たりはフカマルに紙一重で躱される。
「ちっ!ナエトル!もう一度たいあたりだ!」
ナエトルはもう一度フカマルに向かって走っていく。だが、またしてもフカマルに躱されてしまう。
「ナエトル!一旦…」
ナエトルに一旦距離を置くように指示しようとした時、フカマルがナエトルに飛びついた。
「ガヴッ!」
「キャウッ!」
飛びつかれたナエトルはフカマルに何度も噛みつかれる。
「ナエトル!振り払え!」
ナエトルは必死になってフカマルを振り払おうとするが、フカマルはしがみついてナエトルから離れない。
どうするか…わざをやるだけじゃダメだ…この世界のポケモンは生きている。さっき理解したばかりだろう!何か策は……ナエトルの特徴…ナエトルの特徴…そうだ!
「ナエトル!からにこもる!」
ナエトルは、全身を甲羅の中にしまい込む。フカマルはなおも攻撃するが、硬い甲羅に阻まれて、ナエトルに攻撃は通っていない。
「ナエトル!そのまま足だけ出して壁に向かってたいあたりだ!」
ナエトルは甲羅から足を出し、壁に向かって全速力で走っていく、フカマルは振り落とされないようにしがみついたままだ。
「そのままの勢いで背中から壁に突っ込め!」
指示通り、ナエトルは壁に勢いよく突っ込んだ。
ドッゴーン!
「グエッ!」
あいだに挟まれたフカマルは決して軽くないダメージを負う。
「今よ!このモンスターボールをフカマルに投げて!」
ナタネに渡されたモンスターボールをフカマルに向けて投げ、フカマルが光になってモンスターボールの中に吸い込まれていく。
捕まれ!
コロン
捕まれ!
コロン
捕まれ!
心の中で、思わずAボタンを連打する。
「いぃっよっしゃあぁぁぁぁぁ!!!!」
ようやく捕まりましたね、フカマル。てか戦闘描写くっそ難しい…