「おめでとー!」
フカマルを捕まえ、喜びを噛み締めているところに、ナタネが抱きついてきた。
「あ、ありがとうございます」
ふよん ふよん
おお…これは大きい、それになんかいい匂いする…
ナタネさん、これ他の男だったら間違いを起こしかねないっすよ。
え?俺?
大丈夫だ、問題ない。
幾度の厳選によって鍛えられた精神力は伊達ではないのだよ。
ナタネは俺からパッと離れると、次にナエトルに抱きつく。
「よく頑張ったねー♡おー、よしよし♡」
ナタネはナエトルを優しく撫でる。ナエトルも嬉しそうだ。
「少しいいですか?」
俺はナタネにそう言って、ナエトルを撫でる。
「ありがとな、お前のおかげでフカマルを捕まえられたよ」
「キャウン♪」
ナエトルは、気持ちよさそうに目を細めながらそう答えた。
「じぃーーー…」
ん?
「じぃーーーーーーー…」
ナタネがこっちをじっと見つめてる。てか、声に出てるぞ。
「ど、どうかしましたか?」
「敬語禁止」
「えっ?」
「だから敬語禁止!」
いきなりどうしたナタネさん…
「どうして…」
「だって、ナエトルにはタメ口なのに私には敬語ってなんか嫌!」
「いやぁ、でもナタネさんには色々お世話になってますし…」
現にこうやって、フカマルを捕まえられたのもナタネのおかげだ。
「そんなの関係ないよ。だってもう…
友達認定早っ!いや嬉しいけど…こっちの世界の人たちってこんな感じなの!?
「で、ですが…」
「次敬語使ったら、ここにおいてくからね」
それは困る…
「わかった、これでいいだろ?」
「うん!それでOK!」
ナタネは笑顔でサムズアップをする。
「ん、それじゃ試しにフカマル出してみるか」
「さんせーい!」
俺はさっき捕まえたフカマルを出してみる。
「ギャウ!」
モンスターボールからフカマルが元気よく出てきた。かわいい
俺が手を差し伸べると、手に擦り寄ってくる。かわいい
おー、手が血だらけだー……
へ…?
「ぎゃあああ!!!!」
くっそ痛てぇー!!でも、夢特性嬉しぃ!!あっ…あっ…あっ…(思考力低下)
「大変!手当するからじっとしてて!」
ナイスだナタネ!俺の思考力が回復した。とりあえず手を出してじっとする。んん…消毒がしみる…
「よし、とりあえずこれで大丈夫ね」
おお、随分と手馴れてるな。
「ありがとう」
「お礼はいいわよ。それよりもフカマルの相手してあげたら?」
そういえばと思い、フカマルの方に振り向くと…
「ギャウゥ…」
申し訳なさそうにこちらを見ていた。
「大丈夫、お前のせいじゃないから」
フカマルを撫でようとするが
「撫でたらまた同じでしょ!」
「あ、そうだった…でもフカマル、本当にお前のせいじゃないからな。気にするなよ?」
フカマルは俺の言葉を理解したのか、ボールから出てきた時のように元気に戻った。
良かった良かった
「じゃあ、そろそろ帰りましょうか」
「そうだな」
俺とナタネは、ポケモンをボールに戻して帰路についた。
ハクタイシティ
日は既に沈ずみ、シティを街灯が彩っていた。
「そういえばさー」
「ん?」
「泊まる場所とかあるの?」
「あ」
すっかり忘れてた。ホテルに泊まるにしても金無いしなぁ…
「無いなら泊めてあげるよ?」
女の子の家に泊まるだと?いいのか?俺みたいな男をホイホイ連れ込んで。色々問題があるんじゃ…
「ジムに」
「お願いします」
なんの問題もないね。
「じゃあ少し買い物しないとね」
買い物?
「何を買うんだ?」
「だってキョウシロウ、何も持ってないじゃない」
「あー…」
忘れてた…
「でも俺、金無いぞ?」
「後で返してくれればいいよ?」
「でも…」
「ウダウダ言ってないでほら行った行った!」
「ちょ!うおっ!」
ナタネに、背中を押されて前へ進んでいく。仕様がないので、ナタネにお金を借りて買い物することにした。
ハクタイジム
「ふぅー、ジムに着いたぁ…」
予想以上に買い物に時間がかかった…
買い物中の話は割愛させてもらう。特にこれといったこともなかったしね。強いて言うならジムリーダーって収入いいんだなぁってことくらい。
「向こうに宿直室あるから。もう使ってない部屋だし自由に使っていいよ」
「ありがとう」
ナタネに礼を言って、宿直室に向かう。
ジムって宿直室とかあるんだ、すごいなぁ。
「ここか」
宿直室に入り、とりあえず電気を付ける。
「へぇ、いい部屋じゃん」
キッチンと6畳ほどのスペース、どうやら風呂もあるらしい。
「さっさと飯食って寝るかー」
俺は適当に夕食を作って食べ、風呂に入ってさっさと寝てしまった。
翌日
朝食を食べ、昨日買ったリュックを背負ってジムの外に出ようとすると、ナタネが誰かと話していた。白い髭に白い髪、オーキド博士とは違う厳しそうな顔
間違いない…ナナカマド博士だ…
少し感動していると、ナタネが俺に気づいたのか俺を呼ぶ。
「ナナカマド博士、彼が昨日話した…」
「あぁ、記憶喪失の男の子か…私はナナカマド、ポケモンの進化についての研究している。」
「キョウシロウです」
「ああ、無理に自己紹介などせんでいい。記憶が無いのなら自分のこともわからんだろう」
ゲーム通り、顔に似合わず優しい性格なのだろう。こういう気遣いはありがたい。
記憶がないわけではないが…
「ところでキョウシロウくん」
「何でしょう?」
「昨日ポケモンを捕まえたらしいじゃないか、ナタネくんから聞いたよ」
「それが…どうかしました?」
「ポケモンを使いバトルをし、ポケモンを捕まえた…ある程度ポケモンと触れ合ったはずだ」
「そう…ですね…」
「それを踏まえて、素直に答えてほしい」
ナナカマド博士は真剣な顔で、俺に一つの質問をした。
なぜこんな質問をしてきたのかは分からない。
でも、そんなの決まってるじゃないか
ナナカマドはその言葉の真偽を確かめるかのように、じっと目を見つめた後
「そうか!ならこのどうぐを受け取るといい!」
そう言われて渡されたのは、タウンマップとモンスターボール数個
「君は自分のためにも、旅に出るべきだろう!道中で自分自身についても、なにか手がかりが掴めるかもしれん。どうかね?」
「旅ですか…」
旅ねぇ…そういうの…待ってたわ!YES以外選択肢ねぇわ!
「いいですね、楽しそうですし」
「なら決定だな」
「旅といえば!」
ナタネが急に詰め寄る
「キョウシロウはジムバッチ集めるの?」
ジムバッチを8個集めて、ポケモンリーグの四天王とチャンピオンを倒し、新チャンピオンになる。ほぼ全てのポケモントレーナーの夢だろう。俺もこの世界でチャンピオンになりたい。
「もちろん」
「じゃあ私ともバトルするのね」
「そうなるな…」
「キョウシロウにはうちのジムを受ける前に課題を出すわ!」
「課題?」
「そう!課題よ!」
「どんな?」
「ジムバッチを7つ集めること」
それってここ以外の全部じゃん!
「私が、キョウシロウを迎え撃つ最後のジムリーダになるってこと」
それは面白そうだ、乗った!
「わかった。そんだけ言っといて、さっさと負けるとかやめてくれよ?」
「そんなことあるわけないじゃない!私だってポケモン達と修行して、今よりもずっと強くなって迎え撃ってやるんだから!」
互いに目を合わせてニヤリと笑う。
「負けないわよ?」
「こっちこそ」
俺とナタネが火花を散らしていると
「ウォッホン」
ナナカマド博士が咳払いをし、俺とナタネはそちらを向く。
「とりあえずどこへ向かうのかね?」
「うーん…」
タウンマップを開き、どこに行くかを決める。
「とりあえず、コトブキシティに行ってから、クロガネシティに行くことにします」
「ふむ、コトブキシティで情報を集めてから、クロガネのジムに挑むと…」
「まぁ、そうですね」
「クロガネシティのジムリーダーはヒョウタくん。彼の使う岩ポケモンは手強いわよ」
まあ、ゲームの時は思考停止マッハパンチで終わったけど、こっちの世界なら相当手強いだろうな。
「おお、忘れていた」
不意にナナカマド博士がそう言って、バックの中から3つのモンスターボールを出す。
「この中から1匹だけ持って行っていいぞ」
俺は1つ手に取り、モンスターボールからポケモンを出すと
「ウキッ!」
中にいたのはヒコザルだった。
「博士、こいつにします」
「いいのか?最初に挑むジムはいわタイプなのだろう?」
「いや、こいつでいいんです」
俺の最初の相棒、忘れるはずがない。
「さて、俺はそろそろ行きますよ」
「もう出るのか」
「博士、キョウシロウは旅に早く行きたくてたまらないんですよ」
「ハハハ!無理もない。私は生まれて60年、未だにポケモンと一緒にいるだけでドキドキする」
「博士、ありがとうございました!お元気で!」
早く旅に行きたくてたまらない俺は、二人の会話など全く聞いていなかった。
「じゃあなナタネ、次会うときは挑戦者とジムリーダーだ!」
ナタネにも別れの挨拶をし、2人に見送られてジムを出ていく。
ナナカマド博士はポケモンの進化についての研究の権威らしいですし、ジムリーダーなら知り合いかな?と思い今回書きました。
ちなみに僕はポッチャマを選んだので、ヒョウタ戦は思考停止バブルこうせんでしたw