ハンターやってれば出会えるってホントですか!? 作:四国の防波堤
「うわぁーー!!た、助けてください!」
僕は今雄火竜に連れ去られそうになっている。
(あっ、地面があんなに遠くにある…僕、これから死ぬのかなぁ)
僕はそんな事を考えていた。死ぬ前って案外冷静なんだね。
「ちょっと待ってねー、今から助けに行くからぁ!」
地上から女性の声が聞こえる。けれども生死の境目にいる僕にその声はほとんど届かなかった。
雄火竜”リオレウス”が僕の頭上で咆哮をあげる。
とてもうるさかったけどもうどうでもよかった。
だって僕はこれからコイツに殺されるんだよ、雛の餌にされちゃうかもしれないんだよ?
思えば短い人生だったなぁ。
ロズワルド享年18歳かぁ。
自分の死に様を考えていたら、頭の隣を赤い物体が横切り、雄火竜の頭に当たった。
雄火竜は怯み、僕を離した。
(待って、ここで離されたら僕は一体…?)
考える暇も無く地獄の垂直落下は始まった。
「ああああぁぁあぁああー!!」
[死ぬ]
そう確信した僕の頭には今日までの記憶が走り回っていた。
走馬灯ってホントに見るんだね。今日は発見がいっぱいだなぁ。
そんな呑気な事を思っていたら、地上がもう目の前に迫っていた。
僕の体は地上に打ち付けられ…
…てない。
どうやら茂みに上手いこと落とされたようだ。
「ロズくーん!大丈夫?生きてるー?」
先程の女性…もといアンナさんがこっちに走ってくる。
アンナさん、アンタのハンマー投げの方がよっぽど死ぬかと思ったよ。
僕はそれをアンナさんに伝えると、アンナさんは
「ごめんごめん、でも生きてるんだから良いよね!」
と、犯罪的な笑みを僕に向けてきた。
この笑みの余罪は幾つなんだろうなぁ。
けれど、アンナさん、人に向かって鈍器を投げつけるのは頭おかしいです。有罪です。
この抜けてる所が無ければ完璧なんだけどなぁ
そう思っている僕がこの色々抜けているお姉さんと一緒に狩りをしてるのには色々事情があってね。
あれは、一週間前くらいかな。
僕は最近ハンターになった新米なんだけど、いまいちハンターになってから目標が無くなってね。
いわゆる燃え尽き症候群ってやつだよ。
それでね、最低限狩りだけ行って、夜に酒場で騒ぐっていう生活をその一週間前まで続けていた訳ですよ。
で、問題の一週間前のきんようび
僕はその日、いつも通り飲んでいたんだけどね、明らかに熟練のハンターが同席してきたんだよ。
で、酒も入ってたからその人に悩みを打ち明けたんだよ。
そしたら、その人何て答えたと思う?
「ハンターは金と女と酒だ!」
って豪快に言い放ってね。
それがカッコいいのなんの、見事に感化されて今こういう事になってます。
じゃあ回想終わり!
現実へ戻ろうか。
アンナさんが雄火竜と殴り合っている。
いや、男らしすぎません?まぁそれも魅力の内だけどね。
あっ!スタン取った!僕も行かなきゃ。
さっき言い忘れていたけど僕の武器は大剣だ。
でもね、尻尾を切るだけっていう地味な任されないの。
僕も空のモンスターに向かってハンマーを投げつけるモンスターと張り合いたくは無いからね。
皮肉もこれくらいにして、溜め三斬りを打ち込もうか。
これで尻尾を切れるはずだけどどうかな?
おっ切れた、計算通りだね。
まぁ一ヶ月も同じモンスターを狩ればいい加減分かるか。
ん?今何故一ヶ月も連続で雄火竜を狩っているかって?
これもまた、あの天然さんが関わっててね。
端的に纏めると、彼女は異常なほどのリオレウスフェチなんだ。
なんせ、ギルドカードの称号が[大空の王者]だよ?
全く、どんだけ狩ってんだって話だよ。
でね、本人に聞いたんだよ。何故そこまでリオレウスに拘るのかって。
そしたらね、
「大空の王者だよ!すごくカッコいいじゃん!」
だってさ。
多分僕の恋のライバルはリオレウスだろうなぁ。
まぁそこから狩ろうと思う思考回路が分からないけど。
もしかしたら僕も狩られちゃうかもね。
そんな事は絶対に無いんですけどね。
「ロズくん!捕獲するよー!」
僕を捕獲して下さい!
おっといけない。現実に戻らないとね。
彼女は毎回捕獲する。
そのせいで僕のアイテムボックスからはネンチャク草が消えたけどね。
まるで、貢いでるような感じだよ。
実際貢いでるんだけどね。
無事に捕獲も終わり、僕たちは帰宅する途中だった。
「ねぇロズ君、夜ご飯一緒に食べない?」
来ました、恋愛フラグがビンビンですよ。
ここは冷静に、
「いいですね、何処にしますか?」
よし!言えた!もう死んでいい!
店はアンナさんの提案でチーズフォンデュで有名な店になった。
有名店ということで値段が少々気になったけどアンナさんが全部払ってくれるという事なのでお世話になる。
ちょっと男前過ぎませんか?
一応僕が男なんだけどなぁ…
だからと言って僕が払える額では無かったので、結局お世話になった。
まさかこの夜がこんなにも長くなるだなんて今の僕たちは全く思っていなかった。