ハンターやってれば出会えるってホントですか!?   作:四国の防波堤

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第二話 リオレウスのワールドツアーは嫌いだ

僕ら二人は主食のチーズフォンデュも程々に狩りの思い出話に花を咲かせていた。

 

「私ね、一回銀火竜を狩った事があるの!」

 

嬉々として語る彼女の頬は既に赤かった。

アンナさん、銀火竜は絶滅危惧種だし、特殊な許可が無ければ狩れませんよ。

まぁ酔ってるし仕方ないか。

 

「あーロズ君疑ってるでしょー」

 

「べ、別に疑ってませんよ!」

 

ったく、こういう時だけ心読むんだから。

今心読めたんだから、頭の横をハンマーが掠めた時の僕の気持ちも分かりますよね?

心の中で全力で罵って彼女の方を向くと…

何だあれは?銀色に輝く鱗…?

 

それが銀火竜の鱗と理解するのに結構時間がかかったね。

そりゃ誰だって嘘だと思うじゃないか。

酔っ払いの戯言だって思うじゃないか。

とりあえず僕は彼女にそれをしまわせた。

銀火竜の素材は高値で取引されるから狙う賊も多いんだよね。

 

あ、ついでに前々から気になっていた彼女のハンターランクも聞いたよ。

そしたらね、彼女自慢気に

 

「よくぞ聞いてくれました!私のハンターランクは307です!」

 

一瞬目の前が真っ暗になった。

は?嘘だろ?僕はさっきまでHR300越えの化け物と一緒に狩りしてたの?

僕まだHR6だよ?

何でこんな可愛い人が僕の50倍もHR高いの?

もう訳わかんないよ、その可愛さもHRも。

 

僕が正気を取り戻すと彼女は

 

「えへへ、驚いた?私だって伊達に10年間もハンターやってる訳じゃ無いからね」

 

また目の前が真っ暗になったよ。

10年?じゃあこの人今何歳なんだ?

場合によってはとんでも無く年上の人を落とそうとしている訳だが…

 

「あっ!今私の年齢を考えてるでしょー!そういう事はやっちゃいけないんだよ!」

 

また心が読まれたよ。

僕は顔に出てるのかね?

また読まれそうで怖かったけどそんな事を考えた。

 

「私はまだ25歳だよ」

 

恥ずかしそうに彼女はそっと呟いた。

となると、彼女は15歳の頃からハンターを続けている事になる。

そらこんなに強い訳だ。

 

そんな彼女が何故こんな辺境の地でリオレウスばかり狩っているのかは未だに謎だ…

 

 

 

 

 

 

 

ん、待てよ。

彼女は今酔っている、ならばこの状況なら言ってくれるのでは???

僕は勇気を振り絞って彼女に聞いた。

ここは酒の席。空ぶっても酔った勢いと言えば許される。

 

「んーそうだなぁ。ロズ君は良い人そうだし言っても良いかなぁ」

 

出たよ、[良い人そう]

僕は良い人より先のステップに進みたいんですけどね。

だからと言ってここで告白する勇気も無い僕なので彼女が口を開くのを待っていた。

 

「私ね、昔好きなハンターがいたの。

けれどその人私には見向きもせずあるモンスターの事が好きだったの。

そのモンスターがリオレウスでね…」

 

来たー!昔好きだった人との思い出告白!

まぁ大胆な告白は女の子の特権だからね。

彼女は再び口を開き、

 

「だから私、その人に振り向いて欲しくてずっとリオレウスを狩っていたの。

そしたらいつの間にかこんなになっていて…

馬鹿だよね私。昔の人に未だに振り回されて。その人の心に私は居なかったのに」

 

そう言って彼女は泣き出した。

僕は持っている語彙を使って全力で彼女を励ます言葉を作ろうとした。

 

けれど、作れない。

どう頑張っても彼女を励ます言葉は出てこない。

何故なら彼女の心に僕は居ないから。

彼女の心に居るのはきっとリオレウス好きなハンターだけだから。

 

「ゴメンね、ロズ君。弱い所見せちゃって。

君は私みたいになっちゃダメだよ」

 

そう言って彼女は更に泣き出した。

酒が入っているからか、彼女の号哭は止まらない。

どうしよう、僕が理由なんか聞いたから。

後悔してももう遅い。

彼女は泣き止まないのだかr…

 

 

 

 

 

あれ、泣き止んだ?

僕は彼女の顔を覗き込んだ。

寝てる。この人完全に寝ちゃってますよ。

酔い潰れたのか、泣き疲れたのかは分からないけど彼女は寝てた。

 

(どうすんのこれ、僕女性経験無いからわかんないよー)

 

とりあえず声を掛けてみた。

けれど、彼女は眠ったままだ。

どんだけ深く眠ったんだこの人は。寝顔もめちゃくちゃ可愛いから困る。

 

彼女が起きたのは結局最終手段だったビンタだった。

いや、肩叩いたり、揺さぶったりしたんだけどね。起きないのこの人。

彼女の美しい顔に傷を残さないように優しくビンタした。

 

「ん?あ!ゴメン寝ちゃってた!?」

 

「はい、それはもうグッスリと」

 

僕が皮肉も交えてそう言うと彼女は見るからに顔が赤くなっていった。

 

「ゴメンね、ロズ君、私ダメダメで」

 

彼女はすぐにでも泣き出しそうな声でそう言った。

また面倒くさいアンナさんに戻られても困るので僕は…

 

 

 

「貴女はダメダメなんかじゃ無い!

人間誰しも泣きたい時もありますよ、だから今は存分に泣いて、また笑顔になって下さい!

貴女が笑顔じゃなきゃ僕は貴女との狩りが思い出として残らなくなってしまう!」

 

 

 

やった!遂に言えたぞ!彼氏らしいセリフ!

少々キザだったけれど初めてだしご愛嬌という事で。

そんな事よりも彼女の様子が気になった。

 

彼女は泣いている。

僕はそれを無言で見守った。

泣いて良いと言ったのは僕だ。

彼女は周りの目を気にせず大声で泣き叫んだ。

幸い個室なので声はそんな漏れないし、周りの目も無いんだけどね。

 

「ロズ君、ゴメンね。

私、明日からハンター協会の特別調査員として世界中を渡り歩かなければいけないの。

だから貴方と会うのも今日で最後だと思う。

ありがとう、この一ヶ月間。貴方のおかげでとても楽しかった」

 

彼女は涙ながらにそう話した。

この人、大タル爆弾放り込んできたよ。

正直僕も泣きたかった。

けれど、ここで泣くのは僕のちっぽけなプライドが許さない。

彼女の嗚咽の音が聞こえなくなった後僕は彼女に

 

「僕、必ず強くなって貴女の下へ行きます。

その時はまた一緒にリオレウスを狩りましょうね!」

 

彼女は涙を抑えて笑顔を僕に向け、

 

「うん!分かった!必ず来てね!」

 

どこまで天使なら気が済むんだこの人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の朝彼女は飛行船で旅立った。

僕は勿論見送りに行った。

彼女は最後に僕に一つ煌めくいい物をくれた。

それは何かって?そんな事秘密だよ。

まぁ感のいい読者なら分かるかもね。

 

アンナさんを乗せた飛行船が空へと浮かんでいく。

僕は不意に一言、

 

「これだからリオレウスのワールドツアーは嫌いだ」

 

こう言った僕は多分泣いていただろう。

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