ハンターやってれば出会えるってホントですか!? 作:四国の防波堤
翌日、僕たちはいつも通り調査に出かけた。
密林を散策中、僕は彼女に
「ベルカさん、レンさんって誰ですか?」
やはり、昨日の出来事を覚えていないのか、彼女は驚いて、
「何故お前がアイツの事を知っている!?」
来ました!この反応を待ってました!
さて、じゃあ昨日の事を思い出してもらおうか…
「だって昨日言ってたじゃないですか、
レン、好きだ…
って」
彼女は目を瞑り、頑張って思い出そうとしている。
それもまた可愛い。
アンナさんを捨てたって思われるかもだけど可愛いのだから仕方ない。
それよりもやっと彼女が思い出してくれた様だね。
「あーその件は済まなかった。忘れてくれ」
すみませーん、ファーストキスを忘れろだなんて無理だと思いまーす。
それに、ここで引き下がるのも面白くないしね。
「レンさんってどんな人なんですか?
折角ですし、教えて下さいよ」
僕がそう言うと彼女は
「うるさい!お前に教える義理は無い!」
まぁそれもそうですよね。
しかし、責任は取ってもらわないとね。
ふと、目の前を何が通った気がした。
「ロズワルド!気を引き締めろ!」
彼女が叫ぶ。
その時、何物かが僕の背後を駆け回った。
後ろを振り返る。
しかし、何も居ない。
「ロズワルド!避けろ!」
彼女にそう言われて、僕は反射で避ける。
僕の顔の横を何か長い棘のような物が通った。
あぶな…当たってたら即死だよ…
それよりもこの棘の主は…
「ロズワルド!敵の姿をしっかり捉えろ!」
はいはい、分かってますよ。
言われた通り敵の姿を目視する。
そこには迅竜"ナルガクルガ"が獲物を狙うようにこちらを睨んでいた。
やっぱコイツか…この密林にいるとは聞いていたけどまさか出会うとは。
迅竜は狙いを付け、素早い動きでこっちに突っ込んで来た。
僕には当たらなかった。
しかし裏を返せば"僕以外の誰か"が狙われたという事だ
「ベルカさん!大丈夫ですか」
彼女は少し吹っ飛んだがすぐに体勢を立て直し、
「あぁ大丈夫だ、それよりもコイツは厄介だぞ」
あんなに強い彼女が厄介と言うくらいだから真面目に狩らないとね。
一方当の迅竜はこちらに向けて威嚇をしている。
「ロズワルド、今だ仕掛けるぞ!」
そう言って彼女は背の棍棒を抜いた。
彼女がまずモンスターに乗って隙を作り、そこに僕の大剣でダメージを与えるのが僕たちの狩りの基本だ。
彼女は棍棒を使って大きく飛び上がり、迅竜の背中に飛び乗った。
その隙に僕は迅竜に近づく。
ここまでは予定通りだ、そろそろベルカさんが迅竜を転かしてくれるはず…だったのだが、
転けたのは迅竜ではなくベルカさんだった。
彼女は地面に強く体を打ち付け、蹲っている。
僕は頭に溜めていた大剣の一撃を放った。
彼女が体勢を立て直すまでの時間を稼ぐためだ。
狙い通り迅竜の注目は僕に向いた。
迅竜の攻撃を凌ぐ。
迅竜は疲れた様子など全く無くむしろ攻撃は増すばかりだ。
普通なら疲れてる筈だけどなぁ。
「ロズワルド!撤退するぞ!」
流石に分が悪いと感じたのか体勢を立て直した彼女が叫ぶ。
僕も迅竜の攻撃の合間を縫い、撤退する体勢を整え、走り始めた。
その時だった、
僕の目の前には赤い残光だけが残り、前を走っていた彼女は消えていた。
僕は何が起こったか理解出来なかった。
けれど、彼女が倒れているのを見つけ、
「ベルカさん!大丈夫ですか!?」
大丈夫では無いのは分かっていたけどそう声をかけるしか無かった。
彼女がやっとの事で口を開き、
「ロズワルド…お前だけでも逃げろ…」
「そんな事出来るわけないじゃ無いですか!必ず一緒に帰りますからね!」
僕は迅竜に立ち向かった。
足は竦み、腕も震えていたがそれでも立ち向かった。
全ては僕にとって大切な人を守るためだ。
必死に攻撃した。
攻撃もバラバラで無茶苦茶だった。
迅竜も必死に攻撃してきた。
僕はそれを全て受け止める。
迅竜も流石に疲れたのか涎を垂らし、こちらの様子を見て伺っている。
そんな頭に一撃入れようとした時、迅竜も僕に噛み付こうとしてきた。
先に届いたのは僕の剣だった。
迅竜は気にせず腕に噛み付いてきた。
しかし、迅竜の噛み付く力が弱まっていく。
やがて、迅竜は腕を地面に着き、倒れた。
僕は倒した迅竜に目もくれず、一目散に彼女の下へ向かった。
「ベルカさん!迅竜を倒しました!帰りましょう!」
彼女は目を開き、
「ロズワルド、足が動かないからおぶってくれ」
こんな時でも褒めてくれないのかぁ
でも、そんな事言っている場合でもないので素直におぶる。
帰る途中に彼女が
「お前はレンに似ているよ、弱気な所とか、いざとなれば頼りになるところとかな。」
ん、弱気ってディスられた気がするけど頼りになるって言われたので全て帳消しにする。
「けれどレンと違う所は私を助けようとして消えなかった所だな」
また突然のカミングアウトかぁ、重いなぁ。
けれど、彼女が話した言葉は嗚咽混じりだったので黙って聞く。
「ありがとうなロズワルド、お前がいたおかげで助かった」
そこから先は何も話さず、そのまま拠点へ帰った。
拠点に帰り、彼女を医務室につれていってから隊長に活動を報告した。
医者によると、彼女の足は骨折していただけで、二週間ほど安静にすれば狩りに復帰出来るとの事だった。
また、今回の調査の功績が認められ、僕たちは近々天空山の調査に出向くという部隊に編入される事になった。
天空山は未開の地が多く、ギルドの調査が未だに続いている数少ない場所だ。
この事を彼女に告げると
「また、お前と組むのか、よろしく頼むぞ」
彼女はそう言っただけだった。
素直じゃ無いなぁ、嬉しいのはバレているのに。
その証拠に彼女の顔は少し明るく見えた。