いつの間にか眠りについてしまったユーリを起こすわけにもいかなかったディルミナス。
部屋へと連れていこうと考えたが、一緒にいると心地が良かったためにそのまま仕事場へと連れていく。
炎の精霊王のフィアナは城内を珍しそうにあちこち見ながらも着いて来ていた。
『意外と綺麗にしてるんだね?』
「・・・仕事場が汚いと色々困るんだ。それにユーリが来たときに見せれる部屋にしたいからね」
『そのご本人は寝ちゃってるけどねー』
ユーリから溢れる魔力は常人ならば生まれ持たない魔力量だ。
ディルミナスも抱き抱えているときにもそれを感じれるほどに。
だからこそ起きうる症状がある。
「フィアナ様。少し聞きたい事がある」
『んー?なんだい?』
「ユーリは何故、こうして生きていられるのだろうか」
その瞬間フィアナの魔力が攻撃的な物へと変わる。
『それは、ユーリが生きていちゃ駄目ってことかな』
「・・・言葉が悪かった。何故これほどの魔力を持っていながらも生きながらえるのだろうと思った」
『過剰な魔力はボク達や精霊達が勝手に食べてる。だけどそれだけでは説明付かない・・・だろうね』
「この国に居てもらう以上はもてなすつもりだよ。だけれどユーリ自身に情・・・なのが湧いてね」
仕方ないといった表情でフィアナは語った。
普段ならば絶対に他人には漏らさないユーリの事を。
竜王であり、民衆を束ねる国王でもあるディルミナスへ語る。
『ユーリの名。それこそが秘匿されるべき名であり、ユーリの存在がボク達が好む』
「名前・・・ユーリという名前だけではない・・・と?」
『そうだよ。その名前はユーリ本人から聞くべきだ。その名前はユーリが許した者にしか紡ぐことが出来ないんだ』
「なるほど・・・存在は愛し子だね」
『うん。ユーリの魔力はとっても美味しい。ボク達精霊からすれば御馳走以上なんだよ』
「・・・一つ聞きたいんだ」
『んー?なにかな?』
「こう・・・ユーリといるとすごく心地が良いというか、温かく安心するんだ。生まれてからこんな感覚は初めてでね・・・」
『・・・それはボクには答えられない』
「そうか・・・ありがとう」
『でも、それはすぐに答えが出るかもしれない。もしかしたら、それに近しい知識を自分自身で得ることが出来るかもね』
ディルミナスが感じているそれは本来知っているものが多い。
だが知識として知っているが、感じたことのがない為に実感が無かったのだろう。
『さてっ、これ以上はボクがいてもお邪魔になるだけだからね!』
待ったねー、と言うとフィアナは実体を解くとユーリとディルミナスだけの空間になった。
ディルミナスの膝にはユーリが乗っており、未だ目を覚ます気配がない。
「・・・暖かいな」
普通は有り得ない竜と猫の光景は一見可笑しいように見えるだろう。
だが竜族そのものを知っている殆どの者は恐怖する者が多い。
城内でも重要部には竜が多いのもそのせいだ。
「・・・自分らしくない」
ユーリといるととても心地がよく、普段よりも存分に調子が出ている。
それを魔力同士の相性で言われているのを知識でしか知らなかったディルミナスはそれを知るのはいつになるのだろうか。