秩序の騎空団でグラブる 作:秩序派
・前回までのあらすじ
借金してまでグラシを購入したので金欠だけど、どうにか共闘で稼いで設備拡充できたぜ。
エピソード1
シェロカルテ殿から準備完了との連絡を受けた俺は、自室にリーシャを呼び出した。
「失礼します、隊長。私に手伝ってほしいことって……これは!」
「ああ、少し散らかっているだけだ。とりあえずこれを持っててくれないか」
俺は『九界琴・凪』を手渡した。なにせ大事な天星器だ。これを守れるのはリーシャしかいない。つまるところ、彼女を呼んだのは荷物持ちをさせるためだった。
「それじゃあ順番に確認していこうか。まずは、柔らかい羽が300個」
俺の言葉に、室内にいた量産型ロボミが反応する。
「確認しました」
柔らかい羽300個が、量産型ロボミの輸送用バックパックに収納される。
「次に、風伯の羽が300個、原初の砂が100個、清らかな水が100個、固い土が100個、渦琥珀が100個、鷹の羽が100個、紅黄石が100個、虚ろなる魄が100個、ラクリモサが100個、予見の双葉が80個、オルディネシュタインが80個、古代布が100個」
手元のメモを見ながら指示を出していく。この辺は、古戦場の戦貨で入手したトレジャーだ。輸送用バックパックに入りきらなくなったのか、途中から小型のコンテナに収納されている。リーシャは唖然としている。
「ティアマトのアニマが100個、嵐竜の琥珀眼が80個、プロミネンスリアクターが20個、海神の扇尾が20個、創樹の花蕾が20個、プライマルビットが20個、黒霧の結晶が20個、真なる風のアニマが12個、真なる火のアニマが3個、真なる水のアニマが3個、真なる土のアニマが3個、真なる光のアニマが3個、真なる闇のアニマが3個、風の宝珠が950個、烈空の宝珠が100個、緑の書が250個、疾風の巻が150個、ウィンド・ジーンが950個、風竜鱗が80個、星晶の欠片が250個、虹星晶が450個、覇者の証が30個、碧空の結晶が70個」
「すべて確認しました、マスター」
これらは、エンジェル・ヘイローや武勲の輝きの交換などで入手したトレジャーだ。さすがに量が多く、小型コンテナ2つが埋まってしまった。リーシャは呆然としている。
「次は宝晶石か。ちょうど場所ができたな……そらぁっ!」
俺はベッドをひっくり返した。その裏側には宝晶石が貼り付けられている。貴重なものなので、保管場所には注意しなくてはならないのだ。そのうちの2000個を量産型ロボミに渡すと、それらは腹部の貴重品収納スペースに入った。
「最後はいよいよヒヒイロカネだ。確かこの辺だったか……」
ベッドのあった場所の床板をベリベリと剥がすと、そこには紛れもなくヒヒイロカネが鎮座していた。これは四象イベントで入手して、すぐここに隠したものだ。俺は慎重に取り出すと、しっかり両手で握りしめる。
「見ての通り俺も手一杯だから、その九界琴を持って一緒に来てほしい」
リーシャがいれば強奪されることは無いだろう。防犯能力の高さは俺がよく知っている。
「……」
リーシャは愕然としていた。
エピソード2
天星器とは、数百年前に伝説の名工が作った十種類の武器である。古戦場に埋まっていたそれらを、磨いて属性の力を宿して強度を高めて純度を高めて濃縮することで、ようやく覚醒するのだ。
「そうして覚醒したのが、その『九界琴・疾天』だ」
「なるほど、確かに強大な力を感じます。あれだけのアイテムを必要としたのも納得です」
よろず屋からの帰り道、手にした九界琴を見てリーシャは感動しているようだった。だが実際のところ、覚醒したからといって大幅に強くなるわけではない。自分で装備することだけを考えるなら、ヒヒイロカネを使ってまで覚醒させなくても十分だ。
それでも、わざわざ覚醒させた理由は――
「ねえ、あなたの旋律を私に聴かせて」
――目の前に現れた彼女をハーレム要員にするためでしかない。
ニオ、彼女は九界琴を覚醒させると確実に仲間になる女の子だ。落ち着いた言動で、大人っぽい雰囲気なのだが、ハーヴィンだから当然のように幼女体型である。合法ロリ万歳! 普通の女の子とはできないようなプレイも楽しめそうで、今夜が待ちきれない。ともあれ、この戦闘に勝利しなくては。
「隊長、あの人はいったい……?」
「九界琴を覚醒させた俺達の実力を確かめにきた、ってところだな。心配しなくても傷つけあうことにはならないさ。ただ、決して油断はするなよ。あの力は団長にも匹敵するほどだ」
「父さんと……いえ、誰が相手でも全力を尽くすだけです」
「量産型ロボミは、余力があったらバリアの無効化を試してほしい」
「了解しました、マスター」
リーシャはやる気になったし、量産型ロボミも反斥力フィールドの応用とかで何とかすると信じよう。俺だって出発のときから火属性装備&グランデは万全だ。だからこそ、11個目の武器である九界琴はリーシャが持つしかなかったのだが。
「あなたの旋律、すべて聴きたいの。聴かせて」
ニオはふわりと浮かび上がって、琴に指をかけた。
「いいぜ、俺の鼓動に酔いしれろ!」
こうして俺達の協演が始まった。
ニオのちっちゃい指、ニオのおへそ、ニオの絶対領域、ニオのとんがり耳、ニオのほっぺ、ニオのおくち、ニオのふくらはぎ、ニオのおでこ、ニオのつまさき、ニオのおなか、ニオの眼差し、ニオの吐息、ニオの体温、ニオの表情、ニオの感触、ニオの×××××、ニオの×××××、ニオの×××××、ニオの×××××、ニオの×××××、ニオ、ニオ、ニオ、ニオ、ニオ、ニオ、ニオ、ニオ、ニオ、ニオ……。
「――長、隊長、しっかりしてください!」
「はっ! 戦闘はどうなった!?」
たしか最初にデバフを入れて、その後でニオの演奏を聴いて……まさか魅了されていたのか?
「ちょうど終わったところです。隊長は大丈夫ですか?」
「あ、ああ。恐るべき精神攻撃だったが、その分そっちへの圧力は少なかったはずだ」
「はあ」
まさか俺が片手間に魅了されたとでも思っているのだろうか。いくらニオが超ロリ可愛いからといって、そんなことはないに決まっている。多分。
「戦いの時でさえ変わらないのね……あなたの旋律は」
ニオがふわふわと近づきながら話しかけてきた。
「あなたの感情が奏でる旋律は、いつもまっすぐ。その揺れない想いは、戦っている時もずっと聴こえていたわ」
「ニオ……」
そうか、俺の本心が知りたくて魅了したんだな。大丈夫、ニオへの愛は永遠だ。
「その綺麗な音、もっと聴いていたいわ。だから……」
「ああ、一緒に行こう! いいよな、リーシャ」
「ええ、共に秩序を目指しましょう」
「嬉しい……」
ついに、俺にも両想いの相手ができた。実際に出会ってから少ししか経っていないのだが、深い部分で通じ合えたのだから関係ない。それに、これから物理的な繋がりで愛を深めていけばいいのだから。
「さあ、ニオ」
俺は両腕を広げて、ニオを抱きとめる体勢になった。ニオは迷わずその胸に飛び込む。
「えっ、私ですか?」
「もちろんよ……私には貴女しかいないもの……」
ニオを抱っこすることになったのは、リーシャだった。
「ちょっ、話が違――」
「ねえ、貴女の部屋に行ってもいい? ここは嫌な音が聴こえるの」
「え、ええ。……そういうわけなのでお先に失礼します、隊長。私の方から嘱託団員の説明などしておきますね」
「そうじゃな――」
ポロンと弾かれた琴の一音で、俺の声はかき消された。そのまま去っていく2人。
「九界琴は弾ける? 貴女の演奏も聴いてみたいわ」
「いえ、私にはちょっと……」
「大丈夫……その想いをこめれば、九界琴は応えてくれるから。だから……いつか一緒に演奏してくれる?」
俺にはそれをただ見送ることしかできなかったわけで。
数時間後。
「夜になりました、マスター」
「……あっ、ああ、ショックで思考停止していたか……そうだな……帰るか」
ニオが秩序執行巡空独立強襲隊に加入しました!
エピソード3
「ハーレム王に俺はなる!」
俺は改めて決意した。なぜならあれだけ苦労して仲間にしたニオが、すっかりリーシャに懐いてしまい心が折れそうだったからだ。だがこれは逆に考えると、リーシャを攻略すればニオも付いてくるということで、まだ最悪の状況ではない。そこで、まずは現在の状況を整理することにした。
まずは“本妻”のモニカだが、原作通りにリーシャをとても信頼しているようだ。お菓子のおかげで俺への好感度も上がっているはずだが、まだ警戒されていると見ていいだろう。防犯ブザーを手放そうとしないし。
次に“愛人”のリーシャは、それなりの好感度があるはずだ。単独攻略なら、そこまで難しくもないだろう。
続いて“膝の上”のニオは、リーシャから離れたがらない様子だ。俺を隊長だと認識しているかどうかすら怪しい。いったい俺の何が悪かったというのだろう。
そして“妾”のソシエは、第一印象からかチョロいからか、好感度は高めだと思う。ただ、彼女にはユエルがいるので、どうにかそれ以上の存在にならなくてはならない。
最後に“ペット”のユエルは、ソシエへの愛ゆえに俺を嫌っているようだ。
ここまでの情報を相関図にすると、以下のようになる。
モニカ→リーシャ←ニオ
俺
ソシエ←→ユエル
これを見ると、なんとなくハーレム作品っぽく見えなくもない感じだ。むしろプロローグの時点では、大抵の作品がこんなものだろう。
さて、それを踏まえた上で、それぞれの攻略について考えてみたい。
モニカ:リーシャを召喚されるうちは現状維持。
リーシャ:最初に攻略すると浮気できないので後回し。
ニオ:リーシャ攻略後に攻略可能となる。
ソシエ:ユエルに警戒されていると厳しい。
ユエル:ただ好感度が低いだけで、むしろ仲良くなるとソシエの嫉妬も煽れる。
結論としては『ユエルときどきソシエ、忘れずにモニカ』といったところか。
そんなわけで、ユエルとのデートのために、頼れる隊員たちに色々と聞いてみることにした。
「休憩中に悪いな。ちょっと聞きたいんだが、女の子を誘えるようなカフェを知らないか?」
「いくつか心当たりはありますが……隊長、いったい『誰と』行くつもりですか?」
気のせいか彼らの表情が硬い。もしかして接待か何かと勘違いしているのだろうか。
「ああ、親睦を深めようと思ってな。副隊長の――」
隊室から一切の音が消えた。なぜか全員がこちらに注意を向けているようだ。
「――ソシエや、その補佐のユエルと、だ」
「なるほど! そうでしたか!」「それなら俺たちに任せてください!」「全力でお手伝いしますよ!」「カフェ以外にも色々と紹介できます!」「ソシエ副隊長たちの好みはご存知ですか?」
「たしか油揚げと魚が好物だったような……」
それを聞いて隊員たちは口々に意見を出し合った。「それなら大通りのレストランが」「いや商業区にも」「発着場だと新鮮だ」「混雑よくない」「専門店はどうか」などなど20人全員が議論に参加していた。……何故?
そして信じられないことに、数分後には完璧なデートプランと各店の無料招待券が用意された。
「えっ、これ本当に貰っていいのか?」
「はい、いつもお世話になっている隊長への感謝の気持ちです! どうか受け取ってください」
「ありがとう。しっかりと親睦を深めてくるよ」
上司想いの隊員たちに感謝しつつ、俺は隊室を後にした。
「他の女性と恋仲になれば、いくら隊長でもリーシャ様に手を出そうとは思わないだろう」
「ああ、リーシャ様のためを思えばあれぐらい安いものだ」
エピソード4
アビリティについて考えてみよう。リーシャは隊員を指揮することで「味方攻撃アップ」を習得した。俺は死にかけることで「ダメージ無効」を習得した。ならば、ユエルが「回復&弱体解除」を習得するには……。
「ソシエを酔わせて『出血』させればへぶっ!」
いきなり後頭部をぶん殴られたので振り返ると、怒った様子のユエルがいた。待ち合わせ時間を少し過ぎているというのに逆ギレとは、秩序的では無いですよ。
「アンタは! こんな往来で何を言うてんねん!」
「い、いや、違うぞ。俺は『ソシエの陸之舞で弱らせて敵を失速させる戦術パターン』を考察していただけだ。『ソシエが弱らせて失速させれば』って言ったんだ」
「はぁ?」
そこに、ソシエが小走りでやってくる。
「ユエルちゃん、先に行かんといてって。あっ、隊長はん、遅れてもうて堪忍な。ユエルちゃんが寄り道しとって……」
「そんなん言うとる場合やない! 隊長がソシエに酷いことするって!」
「誰より優しい隊長はんが、そないなわけあらへんやろ」
こんな場合は言った言ってないの水掛け論をしても仕方ない。攻めるべきはソシエだ。
「すまない、また俺が誤解させるようなことを言ってしまったせいで……。でも、そんな勘違いをするほどユエルが友達想いだって知ってるから、気にしなくて大丈夫だ」
「もう、ユエルちゃんったら!」
このように、口下手アピールしつつ、ユエルを持ち上げる感じに誤魔化すと大抵は上手くいくのである。安定のチョロさだ。
「今日こそアンタの化けの皮をはがしたるからな! 行こ、ソシエ」
そんな感じでユエルに睨まれつつも、街の案内という名目のデートが始まった。
「この魚! 焼き具合と塩加減が絶妙すぎて最高やな! 大将、もう1人前追加や!」
「ユエルちゃん、食べすぎとちゃう?」
「これやったらいくらでも食べられるで」
「ウチ、サーカスって初めて見たわ。すごかったな、こうバーッとドーンて」
「うんうん、あんな感じに舞うのも面白そうやね」
(カルメリーナはいなかった……!)
「なあ、この秩序羊羹って、なんで立方体なん?」
「さあな、秩序の考えることは分からん」
「……って、アンタも秩序の騎空団員やろ!」
デートは順調だった。プランから少し外れて『秘密の秩序スポット』に行ったりもしたのだが、予想外に面白がっていたほどだ。そもそも、ユエルは1つのことばかり考えていられない性格なので、大丈夫だとは思っていたけど。
「2人に渡したいものがあるんだ」
夕暮れも近い自然公園で、プレゼントイベントを起こす。
「今日は来てくれてありがとう。どうか記念に受け取ってほしい」
「わぁ、可愛らしい髪飾り! 隊長はん、ありがとね」
「ウチはそんなんに騙されたりせえへんからな!」
ここでようやく当初の目的を思い出したのか、そっぽを向くユエル。だが、お前の敗北は既に確定しているのだ!
「そうか、残念だ。せっかく『色違い』を準備したのに、ユエルには迷惑だったか……」
「ユエルちゃん、うちとお揃いにしいひん?」
「うっ……ま、まあそこまで言うんやったら貰ったるわ。感謝しいや!」
悔しそうに俺から髪飾りを受け取ったユエルは、さっそくソシエと着け合ったりしている。相変わらずの仲良しっぷりだ。だが、それを利用すれば2人とも攻略できることを、俺は今日のデートで確信した。この後は俺の部屋に連れ込んで、もっと親密に……。
「よお、ずいぶんと楽しそうじゃねえか。オレ様とも遊んでくれよ」
「ガンダルヴァーーー!!」
結局、出血(普通の意味で)したのは俺だったというオチだ。
久しぶりのガンダルヴァ襲来でした。なお月に1回ペース。
システム的に、九界琴を覚醒させたのはリーシャです。
主人公はヒヒイロカネを持っていただけの人でしかありません。
そもそも九界琴をきっかけに知り合ってから、人柄に惹かれて加入するのがニオです。
Q:×××××って?
A:汚れた大人になったら分かります。
次話は「深遠なる~(時間が無くて一文節しか決まってない)」です。
その次は「だから俺はH(ハーレム)ができない」(フェイク)です。
グラブル脳でない読者様のための、作者による雑な用語解説
・天星器の覚醒
詳細は「十天衆について」で検索。
尋常でない量のアイテムや、滅多に入手できないヒヒイロカネを必要とする。
覚醒させると、対応する十天衆が加入する。
・ニオ
十天衆の1人。九界琴の覚醒で加入する。
他者の心が普通に読める。主人公の側にいたくないほど常時発動で読めてしまう。
そして、何故か浮遊することができる。
・魅了
確率で行動不能になる弱体効果(状態異常)。
ニオ大好きな主人公にとっては抜群の効果だった。