秩序の騎空団でグラブる 作:秩序派
爆死したグラブル脳の主人公は、せっかくの転生特典チートで解放十天程度の強さを得る。
そして、ハーレム王を目指して権力等を手にするべく秩序の騎空団に入ることを決意する。
アマルティア島に降り立った主人公(レベル1)は無事に入団試験を受けられるのか……。
エピソード1
ここが、グラブルの世界か。
目の前には巨大な門が、そして少し前方には超巨大な建物がそびえている。あれが、何と呼ぶのか忘れたけど秩序の騎空団の本部だな。今日この時から、俺のハーレム王への道は始まるのだ。
さて、ひとまず現状確認といこうか。服装はその辺の市民が着ているような普通のもので、右手には身分証明書を持っていた。天涯孤独の15才でサイタマの村出身と書いてある。おそらく入団試験のときに必要なのだろう。そして、どうやら身体が15才まで若返っているようだ。一般的に入団試験を受けるような年齢にしてくれたってことだろうか。若い方が1日の回数制限が多いし助かったぜ。
他には何も所持していなかった。武器も、ルピ(財布)も、日用品も、替えの下着さえも……。これって入団できなかったら色々と詰むやつだ。ま、まあ解放十天衆の実力があれば余裕に決まってるけどな。
ふと隣で1人の少女が門を見上げているのに気づく。さっきまでは居なかったから、俺がポケットを漁っている間にやってきたのだろう。年齢は今の俺と同じぐらいで14,5才だろうか。長い髪をそよ風で揺らしつつ、決意に満ちた顔で独言を呟いている。
「父さん……私も……一人前の騎空士に……秩序を……」
少女がこちらを向き、意志の強そうな目が俺を捉える。顔に見覚えは無いし、おそらく一緒に試験を受けるモブだろう。
「おはようございます。貴方も入団試験を受けに来たんですか?」
「!! 流石は圧倒的なビジュアルクオリティの本格スマホRPGだ。モブでもなかなか可愛いな」
や、やっちまった! つい思っていることを口に出してしまった。でも可愛い娘が急に話しかけてきたら、誰だってこうなるに決まってる。つまり俺の所為じゃない、可愛いのがいけない。
「初対面の女性に向かって失礼な人ですね。ここにいるということは貴方も秩序の騎空団の入団試験を受けるのでしょう。そのような秩序に欠ける態度では、秩序の守護者たる秩序の騎空団に相応しいとは思えません。今すぐにその乱れた秩序を改めるべきです」
「えっ、あ、す、すみません」
なにこいつ、意識高い。受験生でもこれって秩序の騎空団すげえな。ただこの後の展開は読めた。この優等生少女が何かやらかして、俺が圧倒的実力で解決して上層部に認められるやつに違いない。ふっ、調子に乗っていられるのも今のうちだぜ。
不機嫌な顔で巨大な建物に向かう少女に続いて、俺は悠々と歩き出した。
エピソード2
受付を済ませ、受験票を貰う。どうやら1次試験は集団面接らしい。
……うわあああ、自己PRとか志望動機とか何も考えてない。『ハーレム王に俺はなる』って言っても大丈夫なやつか、いや絶対に駄目だろ。どうしようどうしよう。
「ようこそ諸君、私が団長のヴァルフリートだ」
気づいたら面接が始まっていた。よし、ここからは落ち着いて冷静に状況を判断――って今、目の前のオッサン何て言った!? ヴァルフリートってリーシャの父親で七曜の騎士だろ。もしうっかり『リーシャをハーレム要員にしたいです』なんて言ったら俺が死ぬ。社会的にも物理的にも抹殺される。なんと言っても、あの黒騎士と同格の七曜の騎士だ。何色か忘れたけど。ん? 黒騎士と同格? ……なんだ大したこと無いな。解放十天衆の俺の方が、少なくとも物理的には強い。
「オレ様は船団長のガンダルヴァだ」
どうして船団長がリーシャじゃないんだ! いや、まだ焦るときじゃない。ガンダルヴァが船団長ってことは、まだヴァルフリートと戦ってないってことか? 2人の間に険悪な空気も無さそうだし……つまり、今は原作開始前ってわけだ。
「船団長補佐の――」
モニカでないやつのことはどうでもいいとして。たしか原作だと、ガンダルヴァ追放→モニカが船団長になる→リーシャが船団長になる、の順番で起こるはずだが……話は読めたぞ。次の船団長は俺だ! ガンダルヴァ追放までに実力を示して実績を積めばいける!
「では、そちらの方から順番に自己紹介と志望動機をお願いします」
おっと、最初はあの可愛い優等生ちゃんか。色々と俺が話すときの参考にさせてもらおう。お礼に、俺が船団長になったら秘書にしてあげてもいい。たまにセクハラするけど。
「リーシャ、15才です」
…………は?
いやいや、リーシャなんてよく聞く名前だし、あの帽子をかぶってないし、へそ出しファッションですらないこの娘が俺のリーシャなわけ――
「私の父は秩序の騎空団を率いて、全空の秩序を守ってきました。そんな父の背中を見て育った私は――」
俺のリーシャだった。きっと初対面の俺の印象は最悪だったろう。死にたい。ってかヴァルフリート、嬉しそうに聞いてんじゃねえ! 娘の面接するってどうなんだよ。肉親の情程度で秩序は決して流されないから問題ないのか?
「――我らが秩序の光を、あまねく世界に!」
気づいたら、可愛いリーシャちゃんのスピーチは終わった。次は俺の番だ。さあ行こう秩序の果て、リーシャとモニカのハーレム。
エピソード3
面接は散々だった。自分でも何を喋ったか覚えていない。とりあえず意識高く秩序を連呼しておけばいいだろうと『秩序の秩序による秩序のための秩序』とか『俺の秩序が光って唸る! 悪を倒せと輝き叫ぶ!』とか言ったような気もするが……。はぁ、せめて一目でいいからモニカに会いたかった。
「やはり真面目に試験に取り組む気は無かったようですね」
リーシャが話しかけてきた。オリ主なのにSEKKYOUされちまうのかよ、俺。
「ここにいる皆は今日の試験のために努力を重ねてきました。試験官の方々も、そんな私達を正当に評価すべく全力で取り組んでくれています。貴方の態度はその全員への侮辱であり――」
ヴァルフリートは娘に目標にされて喜んでたけどな! ああモニカ、どこにいるんだモニカ。いや、今が原作開始の5年前だとすると、モニカは12才か。いるわけなかったぜ! それにしても12才のモニカ……アリだな! 今のうちに探して誘拐して監禁して……へへへっ、俺が育ててやるぜ。
「ちゃんと聞いていませんね!」
「ごめんなさい、反省してます」
そうこうしている間に結果発表の時間だ。次の試験に進める者の番号が呼ばれていく。リーシャも無駄に緊張しつつ聞いているようだが、ここで落ちるなんてありえないだろうリーシャだし。
「110番」
リーシャの番号だ。2秒ほど嬉しそうな顔をしていたが、すぐにキリッとした顔で振り返りもせず待機室の出口に歩いていく。リーシャともここでお別れか。色々と話してくれて嬉しかったよ(説教だけど)、ありがとう。
「111番」
リーシャの次に試験の受付をしたのは俺だ。リーシャの次に集団面接で話したのも俺だ。手元の受験票にも『111番』と書いてある。つまり……次の船団長は俺だ! 思わずガッツポーズが出る。リーシャは振り返って信じられないような顔で俺を見ている。驚いた顔も可愛いな。
「いったいどんな不正をしたんですか!」
次の試験場所に向かう途中の廊下で、リーシャに睨まれた。
「いや、これが正真正銘の俺の実力だ」
心当たりがあるとしたら転生特典による補正ぐらいだけど言えるわけがない。
「そんなはずはありません。だって、あんな不真面目な」
「つまり、あのヴァルフリート団長が不正に関与したと言いたいわけだ」
「そんなことは、無い……ですけど……」
「物事の表面だけしか見てないから、正しい判断ができないんじゃないか?」
「ううっ」
実際に合格という結果が出ている以上、反論は難しいようだ。
「納得してくれたようで良かった。それにしても、さっきは傷ついたなー」
「!!」
「俺なりに一生懸命試験に取り組んだのに不真面目とか言われたなー」
「そ、それは……」
「自分の非を認めないのが『秩序の騎空団に相応しい』態度ってやつなのかなー」
「私が……」
「わーたーしーがー?」
「私が、が、わ、わる、悪かっ」
「うんうん」
「私はっ! 貴方なんて絶対に認めないからっ!!」
そう怒鳴るとリーシャは走り去っていった。あっ、やりすぎた。
エピソード4
結果発表の少し前。
「次。111番は不合格ですね。あんなのを団に入れるなんてありえないですよ」
「まあ待てや。なあ団長さんよ、かなりのもんだろ、アイツの強さ。オレ様の見立てだと、将来的にはお前にも匹敵するぜ」
「まさか、あんなひょろい奴が……」
「私も同じ意見だ。だが秩序の守護者として、力ある者を無条件に入団させるわけにはいかないな」
「けっ、力こそが秩序だろうが。船団長の権限で1次試験は免除だ」
「ガンダルヴァっ!」
「だったら、次の試験ではオレ様にアイツの担当をさせろ」
「それは、構わないが……」
「それでアイツに『秩序道精神』が宿っているかどうか見極めてやるよ」
ガンダルヴァはリーシャに謝るべき。
冒頭に登場した建造物は、裁きの門、秩序の騎空団第四庁舎です。
ヴァルフリートは碧の騎士です。もちろん普通に主人公より強いです。
原作で21才のリーシャが15才なので原作開始の6年前です。主人公は無知。
リーシャだけに110番。
モニカは原作開始時で17才だとして、今は11才で別の空域にいます。(独自設定)
ガンダルヴァは少し我慢強く、とりあえず現時点までは反逆していません。(独自設定)
リーシャがあの秩序ファッションになるのは入団後です。(独自設定)
入団するためには秩序道精神が必要らしいです。(独自設定)