秩序の騎空団でグラブる   作:秩序派

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前回のあらすじ

主人公「リーシャへの想いは永遠だ!(リーシャの主観による意訳)」
リーシャ「///」


第20話 マナリア魔法学院

エピソード1

 

 夢の中にいる。

 

「オオオォォォ!!!」

 

 目の前には、闇の炎の子が羽ばたいていた。どうせ夢なら女の子に来てほしいのに。お呼びじゃないぜ、バハムート。

 

「オオオォォォ?」

 

 バハムートは戸惑っている様子だ。すぐに消えないってことは……まさか『特別な夢』なのか? バハムートが出てくるのは『竜の試練』だから、時系列としては間違っていないが。

 

「いいだろう、お前の試練を受けてやる! さっそくだが、俺の仲間を呼んでくれ」

 

「……オオオォォォ」

 

 了承されたようだ。そんなわけで、モニカ、ニオ、リーシャ(リミテッド)がやってくる。

 

「みんな、相手は強敵だ。気を抜かずに全力でいくぞ!」

 

「えっ、ここは……? いったいどういうことですか、隊長」

 

「この力、まさか星晶獣か? 事情は後ほど説明してもらうぞ」

 

「……早く帰りたい」

 

 そんな感じで戦闘開始だ。さっさと終わらせて4人で夢デートしよう。

 

 

「オオオォォォ!!!」

 

 最初にバハムートの咆哮によってアビリティを封印される。信仰が強ければ効果を受けずに済むのだが、今の俺では対抗できない。続けて鉤爪での直接攻撃が襲いくる。防御の上からでも大幅にHPを削られて、わりと痛い。しかし、これは俺達の力を見る試練であり、決して戦闘不能にはされないのだ。攻撃重視でガンガン殴っていこう。

 

「リーシャ、号令を頼む。タイミングを合わせて一斉攻撃だ」

 

「了解。白翼の守護神よ、我らに力を」

 

 リーシャのブレイブコマンドもあって、戦闘は比較的あっさり終わった。

 

「オオオォォォ!!!」

 

「ああ、こんなところに迷い込んでいたか……。特異点を待たせている。こちらだ……」

 

 突然、謎の声が聞こえたかと思うと、バハムートの姿は徐々に薄れていった。まあ、そんなことはどうでもいい。俺の夢に美少女が3人もいる状況で、思い通りに……脱がせ……奉仕を……。

 

 

 

 目が覚めた。枕元に「バハムートの鉤爪」があったが、気にせず二度寝した。今なら夢の続きが見られるかもしれないのだ。

 

 

 

 一方その頃。

 

「~♪ あれ? どうしたんですか、ニオ。気分が優れないみたいですが」

「……大丈夫。少し嫌な夢を見ただけよ」

 

 

 

エピソード2

 

 バハムートの鉤爪は、よろず屋でバハムートダガー・ノヴムと交換した。そのバハムートダガーを強化するために、そしてキャラのレベルアップのために、今はヘイローを周回している。

 

「おっ、白竜鱗だ、ラッキー! このまま続けて挑戦するぞ」

 

「ええっ、まっ、待ってください、隊長!」

 

「どうしたんだ、リーシャ。もしかして、モニカも呼びたいのか?」

 

「違います! 皆さん単調な戦闘で精神的に疲れているようですし、少し休憩にしましょう」

 

「そうなのか……それなら仕方ないな。各自、30分ほど休んでくれ」

 

 俺は量産型ロボミから全員のレベルアップ報告(推測)を聞きながら、男性隊員達が拾い集めたドロップアイテムを見ていく。朽ち果てた竪琴があったので、上限解放してエンジェル武器で強化する。必要なのは16個だが、これで何個目になっただろうか。

 

「隊長、差し支えなければ、この戦いの意義を教えてください。目標が明確だとモチベーションが上がるかもしれません」

 

 リーシャの言葉に、俺は朽ち琴にエンジェルハープを押し付けていた手を止める。

 

「なるほどな。戦ってると、たまにディメンション・ヘイローが出現するだろ? その中には真の姿が九界琴である個体がいるから、それが落とす竪琴の銀片を40個は集めたいんだ。でも銀の依代の竪琴を落とす場合もあるし、あと200回ぐらいやれば終わりは見えると思う」

 

「にひゃくかい、ですか」

 

「彼の旋律は本気よ、リーシャ」

 

「銀の依代の竪琴ができたら、その最終上限解放のために各種エレメント300個が必要で、それから黄金の依代の竪琴にするために、6属性の依代と覚醒した九界琴と属性変更した九界琴10個と銀天の輝き10個とダマスカス骸晶10個と究竟の証5個と吟遊詩人の証30個とヒヒイロカネが必要で、そこに宿った純然たる魂が我らを九界の繁栄へと導くだろう」

 

「……」

 

「……頭、大丈夫?」

 

 それは運営に言ってくれ。そういう仕様なんだから。

 

 

 

 その後、流石の俺もヘイローに飽きたのでポート・ブリーズにやってきた。暴走状態でないとはいえ、不安定なティアマトの力を削るためだ。本当はマグナアニマとSR方陣武器のためだが、敢えて教える必要もないだろう。

 

「ユエルちゃん、いけるよ!」

 

「これがウチの全力や! 融月緋刃!」

 

 そして、この程度ならホワイトラビットを装備していても倒せるほどだ。俺としては通常攻撃でトレハンしたいし、もう少し長引いても大丈夫なんだが……。

 

「ソシエ、どやった?」

 

「うん、ユエルちゃんだった」

 

 まあいいか、ユエルちゃんだったみたいだし。思考放棄した俺はユエルをねぎらう。

 

「ナイスだ、ユエル!」

 

「こんくらい、ウチに任せ……あっ、別にアンタに褒められても嬉しないわ」

 

 そして相変わらずのノリツッコミだ。そんな感じで何度か戦闘を終えたころ、街からリーシャが戻ってきた。

 

 

「話を通してきました。定期的にティアマトの力を削ってくれて感謝する、とのことです」

 

「これぐらいは当然のことだ。いつもの通り、謝礼は部隊の活動資金に回してくれ。俺の取り分はドロップアイテムの現物支給ってことで」

 

「了解しました。ところで目的の武器は拾えたんですか?」

 

「そうだな、ティア銃は攻撃力が高いから一時的な装備として強化していくつもりだ。スキル強化も無駄になりにくいしな。ティア斧は、得意武器補正を考えるとティア剣に負けるから強化素材に使おうと思う。風属性は剣得意が多いから、ここは妥協しない。ただ、明日以降のドロップの偏りによっては再考の余地もあるか……」

 

「やっぱり、それが理由でしたか」

 

「…………はっ! も、もちろん俺が最優先するのは秩序の維持であって、方陣武器はその副産物に過ぎない。秩序の騎空団の一員として当然のことだ」

 

 リーシャは明らかに信じていない様子だ。とりあえず謝っておくか……?

 

「はぁ……。結果的に、秩序に貢献できているので良しとしておきましょう」

 

「分かってくれたか。じゃあ次はバルツに行こう。コロッサスはSSRの攻刃が杖だけだから、SR武器を多めに作っ――」

 

「隊長!」

 

「ごめんなさい、真面目にやります」

 

 結局、バルツに到着するまで説教された。

 

 

 

エピソード3

 

 さて、忘れてはならないのが、俺は冤罪で長期勾留されていたということだ。もちろん、秩序の騎空団としては「必要な措置だった」として、何の賠償もなく済ませることはできる。だが、この俺の重要性を考慮したのか、1回だけ便宜を図ってくれるという話になった。

 

 

 そんなわけで、俺は留学生としてマナリア魔法学院に一人やってきた。

 

「前から魔法を勉強したいと思ってたんだ。時間停止、透明化、集団催眠、感覚倍増、分身などを使えるようになりたい」

 

 などと面接では優等生っぽくアピールしたが、もちろん本命はアン王女とグレア姫である。まずは孤立気味のグレアに優しく声をかけて、一緒に授業を受けたり食事したりすれば、3日ぐらいで攻略できるだろう。その後はアンに紹介してもらって、俺の実力をアピールすれば「強い男性って素敵!」となるはずだ。そうなったらグレアの尻尾の付け根を確認したり、コスプレしたり、海に行ったり、学園祭をしたり、お泊り会をしたりして……最終的にはハーレム王になれる!

 

「測定の結果、魔法の素質がほとんど無いと判明しました」

 

「……は?」

 

「予定されている短期留学では効果が見込めません。今からでも中止した方が――」

 

「いや、それでも俺はここで学びたいんだ。たとえ魔法が使えなくても構わない」

 

「そうですか。秩序の騎空団にはお世話になってますから、こちらとしては歓迎しますよ」

 

 考えようによっては、授業を聞く必要が無くなってラッキーなのかもしれない。せっかくだし、攻略人数を増やすのもいいだろう。例えば生徒会のメンバーとか……。

 

「それじゃあ、ミラちゃん先生が教室まで案内するわね☆」

 

「あっ、はい」

 

 きつい。ミラちゃん先生は無いな。

 

 

 そして、廊下の角でアンとぶつかったりすることもなく、教室の前に到着した。この学院の設計は大丈夫なのか? せめて、屋上や急な階段があるといいんだが。

 

「私が呼ぶまで、ここで待っててねー☆ おっはー☆」

 

 ミラちゃん先生は教室に入っていった。しばらくして中からザワザワと声が聞こえてくる。みんな留学生の話に興味津々といったところか。その期待を裏切らないようにしないとな、などと考えていると呼ばれたので、教室のドアを開ける。

 

「どうも、秩序の方から来た者です」

 

『…………』

 

 あっ、これはまた滑ったやつだ。まあいい、気を取り直そう。アンとグレアはどこだ?

 

 

 !?

 

 

 なんか不良っぽい生徒が多いような。いや、気のせいだ。どうせアンは寝坊とかで、グレアは隅の目立たないところにいるはず。

 

 

 !?

 

 

 見覚えのある金髪リーゼントがいた。暴走族の総長、ツバサだ。そして、これだけ生徒が荒れてるってことは、原作主人公が『孤独の竜姫』もクリアしたのだろう。アンとグレアも隣の空域に行ってしまった可能性が高い。

 

「あの、俺やっぱり留学中止に――」

 

「えっと、まだ次の先生が決まってないから、みんなは自習しててねぇ☆」

 

 ミラちゃん先生は去っていった。慌てて俺もその後を追おうとするが……。

 

「オイ、新入り。俺達をシカトしてんじゃねえよォ!!」

 

「テメェ、どこ島出身だ?」

 

「パン買ってこいよ、コラ!」

 

 これはあれだな。転校生が休み時間に囲まれるイベント的なやつ。どうせなら女生徒に囲まれたかったんだが。例えば向こうに座ってる女の子とか……。

 

「あっ、コイツいまアキナちゃんに色目使いやがった!」

 

「何ィ!」

 

 

 !?

 

 

 俺を囲む人数が倍になった。仕方ないので実力行使、いや秩序執行してしまおう。

 

「なんかもう面倒だし、まとめてかかって来いよ。“秩序”の時間だオラァ!」

 

 俺は釘バット(武器種は剣)を構えた。

 

 

 

エピソード4

 

 3日後。

 

「おはようございます! 秩序の兄貴!」

 

「秩序の兄貴ィ! 昨日の集会の話、聞いて下さいよォ!」

 

「お前ら場所を空けろ! 秩序の兄貴、紅茶買ってきました!」

 

「おっ、悪いな」

 

 不本意ながら、俺はクラスに馴染んでいた。彼らは単純なので、ただ強いというだけで尊敬される。そして、拳を交えたからには俺も仲間というわけだ。そんなわけで、紅茶代を渡した俺は彼らの話を適当に聞き流している。こいつら実は全員美少女だったりしないかな……無いか。

 

「よォ、秩序」

 

「おう、ツバサ。今日は早いな」

 

「そっちこそ」

 

 登校してきたツバサと挨拶を交わす。先日の乱闘の後で『面白ェ、今度タイマンで勝負すンぞ』とか言われて、ライバル認定されてしまったようなのだ。これじゃあマナリアフレンズではなく、『魔成亞訃煉頭』になってしまう。この状況から早く抜け出したいし、よくある学院陥落イベントでも発生しないかな。いや、むしろ俺がこっそり結界を壊せば……。

 

「――秩序の兄貴なら余裕っスよね?」

 

「ん? お、おう、もちろんだ」

 

 話を聞いていなかったので適当に返事をする。どうせ話の中身なんて無いのだから。

 

「スゲェ! じゃあ、秩序の兄貴用に、とっておきの単車を用意してやっぜェ!」

 

「……? 単車?」

 

「ケッタギアのことっスよ! 今夜の集会で秩序の兄貴が乗るヤツっス!」

 

「秩序の兄貴のドラテク、勉強させてもらいます!」

 

「いや、その……」

 

 このままだと『とっておきの単車』とやらで集会に参加させられてしまいそうだ。そんな男だらけのイベントに興味はないし、適当に理由をでっち上げて断ろう。

 

「ハッ、止めときな。いくら腕が立つからって、その秩序野郎は新入りだべ? 俺らのスピードに付いてこれねーだろ」

 

「……あまり俺を侮るなよ。これでも仮面ライダーは欠かさず見ていたんだ」

 

「そうだそうだ!」「今夜が楽しみっス!」「でも仮面ライダーって何だ?」

 

 はっ! つい安い挑発に乗せられてしまった。単車だけに。

 

 

 

 ケッタギアとは単なる電動自転車のことであり、「単車で集会」というのも集団サイクリングでしかない。そして、自転車なら前世で乗り慣れていたため、チート身体能力で力押しできるのだ。そんなわけで、俺は問題なく彼らに追走して溜まり場までやってきた。すると、後から別の集団がやってきて、俺達を囲むように走りはじめた。その集団から1人の男が出てくる。

 

 

 !?

 

 

「今宵……貴様らを奈落の底に叩き落とし、夜想曲を奏でよう……ヒャハハハハーッ!」

 

「なんだ、テメェは?」

 

 彼はイベントのボスだ。事故で人を死なせた加害者の息子ということで、迫害されて不良になったんだったか……まあ、俺には関係ない話だ。今もツバサを煽っているので、順当に喧嘩が始まるだろう。ガンガン倒してイベント報酬を貰うとしようか、えーと……。

 

「さァ、Show Timeの始まりといこうか……」

 

 そうだ、ショウって名前だった。すっきりしたから心置きなく倒すぞ。俺は四天刃を持ちショウに近づいていく。

 

「ん~? 最初に沈むのは貴様かァ~?」

 

「四天刃キック!!」

 

「ぐがぁっ!」

 

「出た!」「秩序の兄貴の死纏神キックだ!」「まさに、死を纏う神のごとき一撃だぜェ!」

 

 ショウを蹴り倒すと、背後から頓珍漢な解説が聞こえた。俺は無視してドロップアイテムを探すが……無い! 一体どういうつもりだ、ショウ!! 俺が睨みつけるとショウは起き上がり、単車に飛び乗ってペダルを回しはじめる。

 

「まだだァ! デーモンリアクタァァァ! フルスロットルゥゥゥゥッ!!」

 

 彼の単車に搭載された違法な動力装置「デーモンリアクター」が暴走する。それはもはや単なる電動自転車ではなく、モンスターマシンだった。

 

「デーモンリアクター……だと!?」

 

 ツバサはショックを受けているようだが、俺は気にせず戦闘を開始する。この形態なら間違いなくドロップアイテムに期待できるのだから。

 

「ヒャハハハハァァーッ!! 死ねええええッ!」

 

「来いよ、何度でも倒してやる。“秩序”を“執行”っちまうぜ!」

 

 

 こうして俺は、イベント報酬の金属バット(EX攻刃だ!)、ダマスカス骸晶などを入手した。

 

 

 

 翌日、タンデム騎空便商会にて。

 

「すみません、秩序の者ですが……」

「ひぃ!」

 

 隊長からの情報で強制捜査が行われ、商会のボス(ショウの父親)は裁きを受けた。




マナリア魔法学院編、終了。

Q:アンとグレアは?
A:偶然にも、主人公の留学が終わる頃まで海にいました。

Q:便宜って……。
A:上層部「もし逆恨みされたら、何をするか分からないので」
A:学院「秩序上層部が落第学級で十分だと。でも素質が無いのは本当」

・予告
ソシエ「第3部になってから、うちの台詞はまだ2つ……。
   隊長はん、お姫様に興味あるみたいやけど、うちかて王家の末裔なんよ。
   次回、第21話 蒼紅之華。隊長はん……優しゅうして……」


グラブル脳でない読者様のための、作者による雑な用語解説

・アビリティ封印
トレハン信仰を高めることで無効になる。
具体的には、トレハン9999回成功で入手できる武器の効果。

・エンジェル・ヘイロー
ニオの最終上限解放のために周回する。
詳細は「十天衆の最終上限解放」で検索。

・アンとグレア
詳細は「孤独の竜姫」で検索。
アニメBD「マナリアフレンズ」はヒヒイロカネ付きで好評発売中。

・ツバサとショウ
詳細は「蒼空の向こう側」で検索。
マナリアフレンズには登場しない。

・四天刃キック
格闘得意でないシルヴァが狙撃銃キックでダメージを出せているため、
同じ原理で主人公も四天刃キックできるはず。
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