秩序の騎空団でグラブる   作:秩序派

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ホワイトラビットが主人公と過ごした期間はリーシャより長いです。
左遷された時も、投獄された時も、ずっと近くにいました。
その関係は、まるで……。


第24話 最終上限解放

エピソード1

 

 極限の中にいる。

 

「兎、倒す、ニンジン、落とす」

 

 アマルティアの森、探す。奥の方、探す。探す、探す、探す。……出た! 兎!!

 

「倒すっ!」

 

 斬った! 倒した! ニンジン……無い……。がっかり。

 

 

「あっ、隊長。その様子だと、まだ続けていたんですね。どうして森の魔物を倒しているのか分かりませんが、そろそろ休憩してはいかがでしょうか。皆さんも心配していましたし……」

 

 白い、人間。兎、違う。倒す、しない。

 

「兎、倒す」

 

「待ってください、隊長。ひょっとして、また魔物が大量発生するんでしょうか。隊長はそれを少しでも遅らせようと……」

 

 探す、探す、探す、探す。……兎! 見つけた!

 

「落とせっ!」

 

 斬った! 倒した! 落ち……ない。つらい。

 

「あの、私はもう庁舎に戻りますね」

 

 探す、探す、探す、探す、探す。……歩く、できない。薬、飲む。

 

 

 ゴクゴク(APを回復)

 

 

 あれ? もしかして半分ぐらい意識飛んでたか? さすがに二徹は辛いな。古戦場中でも7時間は休めていたのに。とりあえずはチートボディに感謝しつつ、探索探索っと。もう少し上の方にも行ってみるかな……おっ、ホワイトラビット!

 

「リミサポ仕事しろ!」

 

 ホワイトラビットを倒した。ニンジンは……落ちた!

 

「加護のおかげぴょん」

 

 ベルトに装備された召喚石から声がした。それは巨大兎へと姿を変えると、目の前の新鮮なニンジンをモグモグと食べはじめる。どうやら100本食べることで白兎剣に進化できるようだが……。

 

「それで何本目だ?」

 

「……81本になったぴょん。このペースだと今日のうちに終わりそうぴょん」

 

 そう言うと、白兎は召喚石の姿に戻った。まったく、いい御身分だ。

 

 

 

 その後、無事に100本目を入手することができた。

 

「終わっーたーー!」

 

 その場に仰向けで倒れこむ。最後の1本がなかなか落ちなかったので三徹も覚悟したんだが、これでようやく白兎剣を製作できる。そうすれば、俺は……。

 

「あの、言いづらいことがあるぴょん」

 

「どうした、これで次の段階に進めるよな?」

 

「いや、その……ハピネスキャロットが美味しかったから、あと2~3本は食べたいなと……」

 

「あ? 叩っ壊すぞ?」

 

 軽く脅しをかけて、俺は意識を手放した。

 

 

 

 製作完了:白兎剣

 

 

 

エピソード2

 

 目を覚ますと、少し離れたところに白い剣が落ちていた。おそらくは、あれが白兎剣だろう。拾うために近づこうとすると、剣が勝手に浮かび上がる。

 

「力を示すぴょん。さすれば使い手として認めるぴょん」

 

 声は目の前の白兎剣から聞こえる。十天衆最終解放イベントでおなじみの、武器との戦闘というやつだ。解放の手順としては自然なものなので、疑問の余地はどこにも無い。

 

「いいだろう。俺の力、たっぷり見せてやる」

 

 なにはともあれ、あの兎野郎を合法的に攻撃できるチャンスだ。俺は最初から全力でいこうと決意して武器を構える。

 

 

 READY

 

 

 まずはミストで弱体――

 

「うわー! やられたぴょんー!」

 

 わざとらしい台詞とともに、白兎剣が地面に落ちた。

 

「いや、まだ何もしてないんだが……」

 

「無意味に長引かせても疲れるぴょん。経過はともかく『白兎剣との戦闘に勝利した』から問題ないぴょん」

 

「えぇー」

 

「改めてよろしくぴょん、相棒」

 

 

 

 最終上限解放が可能になりました!

 

 

 

 そして、部隊の倉庫まで移動する間、白兎剣の能力を説明された。

 

 第1に体内収納。俺の身体に白兎剣を収納できるというものだ。これにより、いかなる状況であっても即座に抜剣が可能となった。

 

「ラノベの武器でよくあるやつだな」

 

 第2に簡易召喚。白兎剣の鍔には穴が開いており、メイン召喚石をセットすることで召喚できる(1戦闘に1回)。なお、メイン召喚石を装備していない場合はホワイトラビット召喚だ。

 

「特撮の玩具っぽくなったぞ」

 

 第3に属性変更。出現時に指定した任意の属性に変更できる。

 

「OK、理解した。要するに劣化ルリアか。体内収納の設定は消えつつあるけど」

 

「身も蓋もないことを言わないでほしいぴょん」

 

「それはさておき、次は俺がLv100になったらイベント発生でいいのか?」

 

「その通りぴょん。でもその前に言っておくことがあるぴょん」

 

「なんだ? ニンジンなら我慢しろよ、まだ周回で疲れてるんだ」

 

 倉庫に到着したので、扉を開けようと手をかける。

 

 

「いつまで我慢するつもりぴょん? くだらない秩序ごっこは止めるぴょん」

 

 

 扉の軋む音が、耳障りだった。

 

「な……にを……」

 

「もう分かっているはずぴょん。このまま攻略を続けても無意味ぴょん。お菓子を渡してもモニカの好感度は上がってないぴょん。普通にニオと話すこともできないのでは何も進展しないぴょん。ユエルも先日のことで警戒を強めたぴょん。それに、結局リーシャはハーレムなんて絶対に認めないぴょん」

 

「あ……ああっ……」

 

「だから、力尽くで奪えばいいぴょん。遠慮も自重もしなくていいぴょん。全員を無理やり屈服させてしまえば何も問題ないぴょん。そうやって多くの奴隷を従えた時、ようやくハーレム王になれるぴょん」

 

「……そうだったのか。……いいだろう、最低最悪のハーレム王になってやる」

 

 全裸で傅くモニカ達の姿を想像して、俺は笑みを浮かべた。

 

 

 

 その後、倉庫(強化・育成アイテム用)内にて。

 

「さっさと食えよ。それとも俺が押し込んでやろうか」

 

 俺は巨大兎の口に、ラジエルの書を突っこんでいた。

 

「モガモガ……これは読むものであって、食べるものではないぴょん」

 

「それを何とかするのがお前の仕事だ。ちゃんと俺の経験値にしろよ」

 

 遠慮と自重を止めた俺は、ラジエルの書×15でLv100になった。

 

 

 

 フェイトエピソードが解放されました。

 

 

 

エピソード3

 

・1戦目

 

 俺は量産型ロボミを従えて、船団長の執務室にやってきた。

 

「モニカ、俺の女になれ」

 

「……貴公は疲れているようだ。長時間、周辺の森で魔物退治をしていたと報告を受けているぞ。話は今度聞いてやるから、今日はゆっくり休むといい」

 

 書類から顔を上げることもなく返事をするモニカ。そっちがその気なら仕方ない。俺は四天刃を構えてモニカに向けた。当然ながら、白兎剣は攻撃力が低いので体内に収納してある。

 

「いいから言うことを聞けよ。怪我したくはないだろう?」

 

「本気……のようだな。いいだろう、反逆者には罰をくれてやる」

 

 モニカは剣を抜きつつ、執務机を跳び越えた。防犯ブザーに手を伸ばすような隙があれば即座に攻撃してやるつもりだったが、そんな甘い状況ではないと把握できているようだ。それにしても、今の『揺れ』は凄かった。後でたっぷり上下運動させたい。

 

「二度と俺に逆らえないよう、その身体に教え込んでやる」

 

「ふん……訓練の時の私と同じだと思うなよ」

 

 モニカが紫電を帯びていく。そんなわけで戦闘開始だ。

 

 

 

 数ターン後。

 

「この短期間でLv100になっていたのは想定外だったか? そもそも俺は火属性だから有利だったんだよ。ちょっと前に、EX攻刃の『武王の鉄剣』(武器種は刀)も拾えたしな」

 

「後は頼んだ……リー……」

 

 モニカは倒れた。

 

「よし、モニカを地下牢に運ぶんだ」

 

「了解しました、マスター」

 

 量産型ロボミに命令した俺は、改めて床に倒れているモニカを眺める。

 

「……」

 

 指で少し突っついてみた。……最高だった。

 

 

 

・2戦目

 

 気絶したモニカを運ぶ量産型ロボミを従えて建物から出ると、ソシエと遭遇した。

 

「水属性の武器を出してくれ。それと、モニカを運んだら戻ってこい」

 

 量産型ロボミに渡された武器を装備しつつ、火属性武器を外していく。もちろん白兎剣は体内に収納したままだ。

 

「あの……隊長はん……?」

 

「ああ、モニカは急な病気で船団長を引退したんだ。だから……今から俺が船団長だ」

 

「ええっ……モニカはん、大丈夫やろか……」

 

「はははっ、相変わらずソシエはチョロいな」

 

「もう! 冗談にしても、そういうんは……。……?」

 

 ソシエは一歩下がった。どうやら少し警戒しているようで、扇に手をかけている。

 

「今からお前を力尽くで俺の奴隷にしてやるよ。嘘だと思うか?」

 

「隊長はん、どないしてもうたん……」

 

 ソシエは戸惑っていたが、俺は構わず攻撃をしかけた。

 

 

 

 数ターン後。

 

「楽勝だったな。そもそもソシエは単独戦闘に向いてないんだよ」

 

「ユエルちゃん……助け……」

 

 ソシエは倒れた。

 

「……」

 

 少しめくってみた。……最高だった。

 

 

 

・3戦目

 

 戻ってきた量産型ロボミに、ソシエを地下牢に運ぶよう命じた。その時、ユエルが襲来した。

 

「ソシエに何しとんねん、この変態!」

 

「何もしてないさ、まだ。もっとも、後でじっくりねっとり味わうつもりだが」

 

「そんなことっ……!!」

 

「ああ、でも、もしもユエルが代わりに奴隷になるというなら、ソシエには何もしないと約束しよう。……どうする?」

 

 もちろん嘘だ。ソシエが泣き叫ぶところを特等席で見せてやる。へへっ。

 

「……決まっとる。アンタを殺してソシエを助けるんや!」

 

 一応、ソシエは人質になっているんだが……まあいい、倒すだけだ。

 

 

 

 数ターン後。

 

「はぁはぁ……いつまでも、狐に狩られる兎だと、思うなよ……ぜぇぜぇ……」

 

「ソシエ……ごめ……」

 

 余裕の勝利だった。白兎剣は装備していないので、上手いこと言えてないようにも思えるがハーレム王は気にしない。

 

「……」

 

 少し触ってみた。……最高だった。

 

 

 

・4戦目

 

 ユエルはソシエと一緒に袋詰めするよう命令していると、ニオがやって来るのが見えた。俺は慌てて火属性装備に変更する。

 

「酷い旋律。これ以上、聴いていたくないけど……リーシャが来る前に調律しないと……」

 

 諸事情で少しだけ疲れていた俺は、手っ取り早くニオの心を折ることにした。

 

「この武器をエレメント化してくれ」

 

「了解しました、マスター」

 

「あぁ……それはリーシャと想い出の……」

 

 このために準備しておいた九界琴・疾天を、量産型ロボミの腹部に入れてスイッチを押す。

 

「ニオ、想い出なら今から俺と作ろう」

 

「やめて……今度一緒に演奏するって、約束したのに……」

 

 エレメント化が完了して、九番天星の欠片×50などを入手した。さあ、指先が震えている状態で調律できるものならやってみろ。

 

 

 

 数ターン後。

 

「昏睡にだけ注意すれば、どうとでもなるな。最終済みなら少しは苦戦したかもしれないが」

 

「リーシャ……逃げ……」

 

 ニオは倒れた。

 

「……」

 

 少し撫でてみた。……最高だった。

 

 

 

・5戦目

 

「適当に9人と戦えばいいんだったな?」

 

「その通りぴょん。9連戦に勝利すればエピソードクリアぴょん」

 

「じゃあ、これで折り返しだ」

 

 黒い翼を羽ばたかせ、堕天司オリヴィエが降臨した。俺は量産型ロボミに光属性装備を準備させて、ニオを地下牢に運ばせる。

 

「隊長殿、ついに決起するのだな。秩序の騎空団を手中に収め、パンデモニウムを打ち破り、同朋達と共に天司を滅ぼすために!」

 

「そ、そこまでは……いや、それもいいか。エウロペもブローディアも俺の獲物だ」

 

「おお……!」

 

「でも、その前にお前を徹底的に堕としてやるよ」

 

「それは一体どういう……」

 

 まずは、初めて会った時の借りを返さないとな。

 

 

 

 数ターン後。

 

「これがシュバ剣編成だ。ファータ・グランデ最強の力、思い知ったか」

 

「あの方々に……お詫び……」

 

 オリヴィエは倒れた。

 

「……」

 

 少し覗いてみた。……最高だった。

 

 

 

・6戦目

 

 あと4人。1人はリーシャだとしても、残り3人をどうするか。秩序の騎空団員3って探したら見つかるだろうか……。

 

「水属性武器を装備して少し待つぴょん」

 

 仕方ないので言われた通りにした。あと、オリヴィエも地下牢に運ばせる。

 

「グラス……どこ……?」

 

 まさかの星晶獣フラム=グラスだった。しかも片方だけだから、あまり強くないはずだ。

 

「安心しろ、グラスと一緒に可愛がってやる」

 

「お前……燃えろっ!」

 

 ところでオールド・エッケザックスくれない?

 

 

 

 数ターン後。フラムは倒れた。

 

 

 

・7戦目

 

 とりあえず土属性武器を装備して待機する。フラムは地下牢送りだ。

 

「フラム……行かないで……」

 

 ほどなくしてグラスもやってきた。

 

「心配しなくても、すぐにお前も地下牢に送ってやるよ」

 

「……凍れ」

 

 今から双子とのプレイが楽しみだ。

 

 

 

 数ターン後。グラスも倒れた。

 

 

 

・8戦目

 

 グラスを地下牢まで運んだ量産型ロボミが戻ってきた。

 

「……それで、あとどれぐらい待てばいいんだ?」

 

「調整に時間がかかるぴょん。もう少し待ってほしいぴょん」

 

 そんな会話をして数分後、目の前に謎のゲートが出現した。そして、その向こうから歩いてくる1人の少女。数年前に出会って、二度と再開することはないだろうと思っていたのだが……。

 

「リナリア……?」

 

「あーっ、お兄さんだ! あたしのこと覚えててくれたんだね。嬉しいなっ!」

 

「お、おう。でも、どうして……」

 

「えーとね、お兄さんがぜんぜん公演に来てくれなくて、ショロトル様に文句言ってたら会わせてくれることになったの。すごいでしょ!」

 

「あ、ああ」

 

(星晶獣ショロトルは因果に干渉する力を持つぴょん。白兎剣の運勢操作の力と合わせることで、2年後の世界からリナリアを連れてきたぴょん)

 

 ちょっと何を言ってるのか分からない。でもまあ、リナリアを倒せばいいってことなら話は簡単だ。俺はハンドサインで、量産型ロボミに光属性武器を準備させた。

 

「ねえ、あたしってかぁ~いいよね」

 

「可愛いよ。俺だけの巫女として、ずっと地下牢で飼いたいぐらいに」

 

「えっ……お兄さんが求めてるのって、そういう……」

 

 リナリアが困惑している間に、装備変更を済ませた。お前にもシュバ剣の力を見せてやる。

 

 

 

 数ターン後。

 

「原因はいくつかある。病みじゃなくて闇属性のはずだったリナリアが、ショロトルリッパーを装備することで風属性になっていること。2年後を基準にすると、インフレの影響でシュバ剣Lv150がさほど強くないこと。リナリアのアビリティ『五色閃華』のダメージがやたら大きいこと。あとは……ぐはっ」

 

「あーあ、お兄さんと話したら、もっとかぁ~いいあたしになれると思ったのにな」

 

 俺は倒れた。リナリアは2年後に帰っていった。

 

 

 

「……どうするんだよ、おい」

 

「最終的に『リナリアが撤退したことで戦闘に勝利した』から問題ないぴょん。それに死亡フラグも無事に折れたぴょん」

 

「意味不明なこと言ってんじゃねえ!」

 

 気分は最悪だった。

 

 

 

・9戦目

 

 いよいよ最終戦だ。リーシャ対策に火属性の武器を装備していると、背後に気配を感じた。

 

「ぼー……」

 

「……ジオラ?」

 

(なぜかリナリアと一緒に2年後の世界から来てしまったぴょん)

 

 まあ、そういうこともあるよな、ジオラなら。

 

「……」

 

「おい、何か言――」

 

「あ、お兄さん。この前はピクルスありがとうね」

 

「お、おう」

 

 ピクルス? 何のことだか分からないが好都合だ。このまま倒せば問題ない。

 

「じゃあ私も帰るね」

 

「ああ……ま、待ってくれ」

 

「どうしたの?」

 

「……俺のために1曲、歌ってくれないか」

 

「いいよ」

 

 ジオラは笑顔で頷くと踊りはじめた。俺も両手に持った四天刃を振りながら、タイミングを合わせてコールを入れる。

 

「ウオオーッ! ハイ! ウオオーッ! ハイ!」

 

「♪~」

 

 ああ、この歌を聴くのも数年ぶりだ……。

 

 

 

 3分後。

 

「ジオラ様ー! 愛してるー!」

 

「……お腹すいた」

 

 歌い終えたジオラは、鳥っぽいポーズで2年後に帰っていった。

 

 

「結局のところ『ジオラが撤退したことで戦闘に勝利した』から問題ないぴょん」

 

 勝利って何だ?

 

 

 

エピソード4

 

 そんなわけで9連戦に勝利したのだが……。

 

「9連戦の後は最後のフェイトエピソードぴょん」

 

「まだあるのか……もしかして原作主人公と戦わされるとか?」

 

「その必要は無いぴょん。最後はリーシャに勝利したら、サポートアビリティを習得するぴょん」

 

 よかった。理不尽なDANZAI展開は無かったんだ。と、一安心したところで気づく。いつの間にか100人以上の秩序の騎空団員に囲まれている! 彼らを指揮しているのはリーシャだ。

 

「隊長、貴方は完全に包囲されています。武器を全部捨てて、大人しく投降してください」

 

「うるせぇ、そんな奴らをいくら並べても俺には勝てないだろうが!」

 

「ええ、彼らの役割は足止めでしかありません。貴方の悪行は私が止めます」

 

「やれるものならやってみろ!」

 

 俺が答えると、リーシャは1人で歩いてきた。自分から来てくれるなんて好都合だ。勝った後は団員達の前で剥いてやる。ひひっ。

 

「無駄な抵抗は止めてください。今なら、まだ罪が軽くなります」

 

「ここまできて今さら止められるかよ。最後のターゲットはお前だ、リーシャ」

 

「はぁ……それでは、秩序の騎空団の権限において秩序を執行します」

 

「何が秩序だ偉そうに。からあげにレモン汁ぶっかけてやる!」

 

 こうして最後の戦いが始まった。そして普通に俺が負けた。

 

 

 

 いや、ぜんぜん負けてないし。運悪く連続攻撃やクリティカルが出なかっただけだし。

 

「ま、待ってくれ。ちょっとタンマタンマ!」

 

「……どうしたんですか?」

 

「どうも調子が悪かったみたいだ。もう一度やり直しを要求する」

 

「えっ……」

 

 リーシャが面食らっている隙に、ポーションでHPを回復させる。そして武器や召喚石をチェックして、四天刃を何回か素振りする。うん、どこにも問題は無い。さっきは少し油断したが、今度は最初から全力でいこう。

 

「待たせたな、リーシャ。次は俺の本気を見せてやる」

 

 こうして最後の戦い(2回目)が始まった。そして、またしても普通に俺が負けた。

 

 

 

 これは戦術を見直す必要があるな。アビリティや奥義のタイミングを見極めないと、勝てるものも勝てなくなってしまう。相手の特殊技が痛いから、対応して……。

 

「あの、投降する気になりましたか……?」

 

「ちょっと戦術パターンを変えて試してみたい。強くなったな、リーシャ」

 

「ええ、まあ……」

 

 こうして最後の戦い(3回目~6回目)にも負けた。

 

 

 

 装備を見直すことにする。白兎剣の攻撃力は低いが、簡易召喚を使うことで召喚効果が得られるのだ。最後の戦いで役立つ、ってのは物語的にも妥当だろう。そんなわけで四天刃の代わりに白兎剣を装備してイフリートをセットする。

 

「これが俺の完全状態だ!」

 

「その剣は……」

 

「すぐに分かるさ、この白兎剣の恐ろしさが」

 

 こうして最後の戦い(7回目)にも負けた。

 コロマグをセットしても(8回目)、グランデをセットしても(9回目)負けた。

 

 

 

 どうしよう……そうだ、ボーナスを火属性装備に集中させれば……! 俺は量産型ロボミの手を借りて、ほとんどの装備に+99を付けた。そんな最後の戦い(10回目)にも負けた。

 

 

 

 やっぱり3ターン目に奥義を使って、主導権を握る必要があるのかもしれない。そんなわけで、都合よく連続攻撃が続くまでやり直すことにした。

 

「オクトー最終もこんな感じだったな……」

 

 そんな最後の戦い(11~30回目)にも負けた。

 

 

 

 こうなったら仕方ない。リナリアと同じように『勝利した扱い』にしてもらおう。

 

(リーシャが負けを認める、後方に下がる、のどちらかで勝利したことにできるぴょん)

 

「だそうだ。形だけでいいから負けてくれないか?」

 

「いえ、秩序は反逆者に決して屈しません。それよりも、今その剣と話して……」

 

「なんでだよ!」

 

 勢い任せで挑んだ最後の戦い(31回目)にも負けた。

 

 

 

 最後の手段を使う時がきたようだ。そう、エリクシールを使って勝つまでコンティニュー戦術である。これで理論上はどんな敵にも勝てる!

 

「これだけは使いたくなかったが……悪いな、リーシャ」

 

 俺は瓶を口に運んだ。

 

「ズルですか!?」

 

 次の瞬間、エリクシールは粉々に砕け散った。その戦い(32回目)でも普通に負けた。

 

 

 

 まさか……どうやっても、勝て……ない……?

 

(ここまでリーシャが強いとは思ってなかったぴょん)

 

「そんな……。そうだ、オリヴィエはどこにいる! 画面外から援護してくれ!」

 

「彼女は地下牢で気絶しています、マスター」

 

「……だったらフレンド石だ。シヴァさえ選択できれば、火力が大幅アップする!」

 

(申請は誰にも承認されなかったぴょん)

 

 ううっ、俺のハーレム王が……こんな……最後の最後で……。

 

「うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 俺はエピソードクリアに失敗した。秩序の騎空団には平和が戻った。

 

 

 

 数分後、俺はリーシャによって拘束されていた。

 

「……それで、どうして貴方はこんなことをしたんですか?」

 

「それは…………あっ! これで! 実戦形式の! 抜き打ち演習を! 終了とする!!」

 

 包囲している団員達にも聞こえるように、俺は全力で叫んだ。

 

「……抜き打ち演習?」

 

「そう! そうだったんだよリーシャ。船団長が不在という状況にも関わらず、しっかり団員達をまとめて包囲網を作って、犯人役の俺を見事に倒してみせた! 素晴らしい! 感動した!」

 

「そんな言い訳が本気で通ると思っているんですか?」

 

「もちろんだ。その証拠に、俺は戦闘不能にした彼女達に指一本しか触れてない」

 

「つまり、指で触ったんですね」

 

「それは……まあ、その、物の弾みで……」

 

「有罪です」

 

 案の定、秩序的な断罪展開が待っていた。




主人公は洗脳されたとかではなく、睡眠不足で変なテンションになっていただけです。
ともかく、これで「赤き竜と蒼の少女」に対抗できる、
「混沌の獣と秩序の少女」になりました。(勝てるとは言ってない)

Q:モニカの何を突っついたんですか?
A:リーシャ「秩序的に考えて頬ですね。モニカさんの丸顔は柔らかいので」

Q:ソシエの何をめくったんですか?
A:リーシャ「秩序的に考えて袖ですね。裏地を見たかったのでしょう」

Q:ユエルの何を触ったんですか?
A:リーシャ「秩序的に考えて尻尾ですね。隊長には前科があります」

Q:ニオの何を撫でたんですか?
A:リーシャ「秩序的に考えて頭ですね。私が撫でると喜んでくれるんですよ」

Q:オリヴィエの何を覗いたんですか?
A:リーシャ「秩序的に考えて瞳ですね。私も綺麗な色だと思っていました」

Q:リーシャの何を剥くつもりだったんですか?
A:リーシャ「秩序的に考えてPCのビニールですね。隊長は錯乱していました」

Q:五色閃華って?
A:オリジナルアビリティです。破魔効果が主人公に特効でした。

Q:ジオラ?
A:8年前のお礼を言うため、謎のゲートにヤンバルフライアウェイして来ました。

・モニカの予告
「帝国の基地から接収した絵画……それがまさか星晶獣だったとは。
私1人の手には余る。癪だが貴公の力を貸してもらうぞ。
次回、第25話 胎動する世界。いいだろう、今度お茶でも淹れてやる」
(注:セフィラ島には行きません)


グラブル脳でない読者様のための、作者による雑な用語解説

・武器との戦闘
十天衆の解放では必ず天星器との戦闘が発生する。天星器は喋る。
例えば、ニオなら九界琴と戦闘する。

・ルリア
原作主人公の体内に収納できた少女。召喚能力を持つ。
属性は原作主人公と同じになる。たぶんヒロイン。

・ラジエルの書
使用すると経験値を入手できるアイテム。
使い捨てなので、特殊な本なのだろう。だから食べても大丈夫。

・武王の鉄剣
前話で九尾が落とした刀。刀なので主人公はメイン装備にできない。

・九界琴のエレメント化
十天衆を解放するために必要なこと。運営はニオの気持ちを考えるべき。
「九界琴 砕く」で検索すると……。

・シュバ剣
攻刃を4:3:3とか6:2:2とか装備するのが基本的な考え方。
しかし、例えばシュバ剣7本だと8:7:2とか二重に計算できるので強い。
さらにHPも上がる優れもの。ただし効果量は全体的に低め。

・秩序の騎空団員3
名前の無いモブなのに専用グラフィックがある美人。
当然スカートは短い。

・2年後の世界
現実で数年が経過しても、登場人物の年齢が変わらないグラブル世界。
そんなグラブル世界の2年後は、とんでもないインフレが起きているはずだ。

・ウオオーッ! ハイ!
詳細は「舞い歌う五花」で検索。
イクニアと呼ばれる、訓練されたアイドルファンがたくさんいる。

・オクトー最終
十天衆のオクトーがニオに勝てなかった悲しい事件。
負けたら9連戦を最初から戦う必要があって、色々と大変だった。

・ズルですか!?
詳細は「ぐらぶるっ!第866話」で検索。
リーシャはズルを決して許さない。
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